2020/04/06
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その3)
「カイル君。この部屋は、これから君が生活する部屋で間違っていないよ」 「ディアス姉ちゃん。俺1人で?孤児院に居た時には、この部屋よりも狭い場所で、全員が寝ていたぞ!?」 カイル君の言葉に弟たちが首を縦にふる。 「わかっています。でも、君たちはこれから沢山勉強して、ヤス様のために働いてもらいます。そのためには、広い部屋が必要です。カイル君は冒険者になって魔物を倒して強くなりたいのですよね?」 「・・・。うん」 「それなら、武器や防具を置いておく場所が必要です。それに、素材を集めて、鍛冶屋に武器や防具を作って…
続きを読む2020/04/05
【目が覚めるとそこには】夢で終わらない
あぁこれは、いつもの夢だ。誰にでも、1つくらいあるだろう。 同じような夢。疲れた時に見る夢。誰かを殺したいと思っている時に見る夢。 窓も、ドアも、部屋の調度品がなにもない部屋。上も下もわからない白い部屋に私が全裸で居る夢をよく見る。 私は、部屋の中を抜け出すために走りまくる。床だけでなく、壁や、天井を使って、走りまくる。走って、走って、走って、疲れ切って、倒れる。最後は、なぜか部屋から抜け出す。 その時に、必ず振り返ってしまう。白かった部屋が、真っ赤に染まったシーンで目をさます。 目を覚ますと、…
続きを読む2020/04/05
【第三章 託された手紙】第六話 青い手毬花
「それで、沙奈。いつにする?」 克己が沙奈に予定を訪ねる。 「そうね。美和さん。次のお休みは?」 沙奈は、美和の予定に合わせるようだ。 「土日なら休めるわよ」 鍵となる鈴の予定を最後に聞いたのは、鈴の予定次第でスケジュールを決めなければならないためだ。 「鈴さんは?」 「え?あっ私も大丈夫だけど、進さんが休みの時がいいかな?唯をお願いできる」 鈴はいつでも大丈夫だというが土日だと唯の学校が休みで家に居る。 進が居ないと1人に鳴ってしまうのは心配だと考えた。 「それなら、土曜日だな。日曜日は呼び出し…
続きを読む2020/04/05
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その2)
私は、ディアス。このくだりも何回か行っていると飽きてきます。 今、私はヤス様が保護を約束された子供たちと一緒にアーティファクトに乗っています。東門から西門に向かっています。 「ディアスお姉ちゃん。今度はどこに行くのですか?」 ”お姉ちゃん”いい響きです。カイル君はやんちゃな弟という感じで、イチカちゃんは好奇心が旺盛な妹という感じです。 「今度は、学校に行きます。イチカちゃんたちがこれから神殿の都(テンプルシュテット)で生活するのに必要な知識を学べる場所です」 「え?学べる?何か、教えてくれるのですか?…
続きを読む2020/04/04
【さよならの理由】取られる事の無いコール
もう、貴方の事は忘れたほうがいいの? もう、連絡帳にも入れていない、貴方の連絡先。 消すまでに、1ヶ月掛かったのよ? 消してからも、指が、心が、体中が覚えてしまった、貴方の連絡先。 連絡帳から選択しないでも、貴方の電話番号をコールする事ができる。 ダメな事だとは理解している。 この取られないコール音だけが、私と、貴方を繋ぐ。細い。細い。細い。一本の糸。 けして繋がる事がない。一本の糸。 あれから、コール音を何回聞いた?出るはずが無いコール。1回、2回、3回、4回、解っている事だけど、コール…
続きを読む2020/04/04
【第三章 託された手紙】第五話 記憶
「はい。マホが私に”見つけてほしい”と言っています。見つけて、帰ってきて欲しいです」 鈴の宣言を聞いた4人は覚悟を決めた。 「美和。悪いけど、沙奈を呼んできてくれ」 「わかった。子供たちの様子も見てくるね」 美和が部屋から出ていく。追い出したわけではない。今後の動きを確認するためと、行動するのなら沙奈が居たほうがいいと判断したのだ。関係者だけで行動するよりも、部外者が居たほうが言い訳ができる。 「克己。どうする?内容から、俺は動けないぞ」 「そうだな。桜と進は動かないほうがいいだろうな」 「進は絶対にダ…
続きを読む2020/04/04
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その1)
私は、ディアス・アラニス。もうすでに、アラニスの姓は捨てたから、今はただの”ディアス”だ。 アデヴィト帝国で生まれたのだが、帝国を恨んでいる。家族を殺されたからだ。そして、私も殺されかけた。カスパルに救われて、私は神殿の都(テンプルシュテット)に住んでいる。 神殿の主であるヤス様にお願いされて、子供たちに神殿を案内している。子供たちは、来たばかりで神殿の施設(地下)に入る許可は降りていないが、神殿の都(テンプルシュテット)の施設なら案内できる。 まずは、魔の森方面に向かう。子供の代表は、カイルとイチ…
続きを読む2020/04/03
【積読】精霊幻想記 16.騎士の休日 (HJ文庫)
書籍紹介 内容紹介 復讐を遂げた騎士は、帰りたい場所へ辿り着く―― ルビア王国での予期せぬ強襲から離脱し、無事にベルトラム王女姉妹をガルアーク王国城へと送り届けたリオ。 一連の不穏な動きについて国家間での情報共有が進む中、リオは度重なる功績の褒賞として、ガルアーク王城内にある屋敷を下賜されることに! さらに好意を隠そうとしないガルアークの王女シャルロットが、リオに猛烈なアプローチを仕掛け―― 「二人はハルト様と婚姻を結ぶ気はありますか」 死闘を終えた騎士の休日に、少女たちの恋心が大きく揺れ動く! 関連作品 …
続きを読む2020/04/03
【積読】賢者の孫12 合縁奇縁な仲間たち (ファミ通文庫)
書籍紹介 内容紹介 新章「東方世界編」でもシンが規格外な力で大暴れ!? 魔人領攻略作戦から一年半が経ち、魔人シュトロームの子供シルバーと憩いの時を過ごすシンとシシリー。そんな中、オーグから「エルス自由商業連合国に来てほしい」と連絡があり、アルティメット・マジシャンズ全員で向かうことに。すると、そこには東方の国クワンロンから来たミン=シャオリンとリーファンが!! 突然のことに戸惑っていると、シャオリンから「姉を助けてください」と頼まれて……。新章「東方世界編」でもシンが規格外な力で大暴れ!? 関連作品 吉岡剛…
続きを読む2020/04/03
【積読】異世界迷宮でハーレムを 10 (ヒーロー文庫)
書籍紹介 内容紹介 シリーズ累計180万部突破! 4人の美少女と迷宮攻略! 白装束が水に濡れて…。ご期待以上のムフフ満載の第10弾! 五人パーティーになり探索がかなり捗るようになったミチオたちは ドロップ品を集めて生活の基盤を整えながら、順調に階層の攻略を進めていった。 魚好きのミリアのために、レアドロップのツナを求めてボス戦の周回をしたり。 または男の欲望を叶えるために、オイルをひたすら集めまわったり。 先に進んで戦いたがるロクサーヌに引きずられつつも、 ほどよく刺激的な戦闘はまんざらでもなく、 ミチオは…
続きを読む2020/04/03
【積読】異世界チート魔術師 12 (ヒーロー文庫)
書籍紹介 内容紹介 異世界成長物語の真打、第12弾。 TVアニメでもコミックでも描かれなかった秘密とは? 水の精霊ウンディーネと契約し、 リヴァイアサンとティアマトの争いを鎮めた太一。 ウンディーネは願いを聞いてくれたお礼として、好きな報酬を与えたいと告げる。 その申し出に、太一との実力差に悩んでいた凛は、自身の力の底上げができないかと問う。 後日、再び海底神殿に訪れた凛、ミューラ、レミーアの三人は、 ウンディーネの修行を受けることになるのだが、その方法は―― 「皆さんも、精霊と契約をするのです」。 とはい…
続きを読む2020/04/03
【読了】ドラマCD付き カードキャプターさくら クリアカード編(8)特装版 (講談社キャラクターズA)
雑感 総出演。あと出てこなければならないのは、二人だけど出てくるのかな?そして、カードさんが可愛いと思うのは共通認識で大丈夫だと想います。 書籍紹介 内容紹介 かきおろし脚本のドラマCD(前編・後編)が、7巻・8巻の2巻連続で登場!7巻特装版のドラマCD前編に続き、8巻特装版には後編を収録。初公開の会話やエピソードが、豪華声優陣によってあざやかに描きだされます。『カードキャプターさくら クリアカード編』の魅力がたっぷり詰まったドラマCD。ぜひ、前後編あわせてお楽しみください! 著者について CLAMP 19…
続きを読む2020/04/03
【読了】転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~(2) (シリウスKC)
雑感 災禍の幕開けまでなのですね。いいところで切ってくれました。アニメには出てこないだろうけど、出てきたら楽しいキャラクターなのにな。 書籍紹介 内容紹介 魔国連邦での日々は、獣人族のフォス、龍人族のステラ、有翼族のネムの三人にとってそれぞれの主命を忘れそうになるほど楽しく驚きに満ちたものだった。そして、彼女たちの得意とする戦闘においても、ハクロウの気闘法やミュウランの魔法による多彩な戦術に瞠目させられる。 本編コミカライズのキャラクターや出来事をトリニティ三人娘の視点で描く、伏瀬先生原案・監修の『転生した…
続きを読む2020/04/03
【読了】学園ベビーシッターズ 20 (花とゆめCOMICS)
雑感 尊いの詰め合わせ。遊園地と、トラさんセータの回が気に入りました。 書籍紹介 内容紹介 竜一たち高等部の皆と遊園地にやってきたベビーズ達。 おおはしゃぎのベビーズだったが、世界最速コースターから聞こえる絶叫に!? お気に入りのセーターに穴が開いて落ち込む虎太郎に理事長が!? 特別編「みんなの連絡網」も収録。 2020年4月刊 関連作品 時計野はり関連作品
続きを読む2020/04/03
【読了】天堂家物語 7 (花とゆめCOMICS)
書籍紹介 内容紹介 道具として尽くす決意をし天堂雅人と再び手を組んだらん。 雅人の叔母・操との面会に備えらんは琴の稽古に勤しむ。 雅人の冷たい態度に煩悶するまま面会の日を迎えるが――。 2020年4月刊 関連作品 斎藤けん関連作品
続きを読む2020/04/03
【読了】トナリはなにを食う人ぞ ほろよい 4 (花とゆめCOMICS)
雑感 旅行編。料理の話が少なめで旅行先の特産品の話がメインの巻です。 書籍紹介 内容紹介 料理男子・瀬戸くんと同棲生活を送るすずな。 宅建試験に合格したすずなを祝うため、二人は金沢へ温泉旅行に行くことに♪ 旅先で出会う美味しいご飯とお酒も、二人でいればもっと美味しい★ 幸せがとまらない第4巻! 2020年4月刊 関連作品 ふじつか雪関連作品
続きを読む2020/04/03
【読了】陰の花は檻に咲く 3 (花とゆめCOMICS)
書籍紹介 内容紹介 背中の火傷の痕が薄れてきた楓に、水揚げの話が持ち上がる。 動揺する蓮たちだが、その相手は・宣雅で――…? 艶やかなる江戸陰間草子、堂々の完結巻! 2020年4月刊 関連作品 羽野ちせ関連作品
続きを読む2020/04/03
【最高のおめでとう】一番欲しい言葉
「弘樹(ひろき)!」 同級生で、幼馴染の由紀乃(ゆきの)だ。 「なに?」 「卒業前に、みんなでボーリングに行くけどどうする?」 「みんな?」 「そう、大志(たいし)や弥生(やよい)も一緒だよ」 うーん。ボーリングは魅力的だけど、僕は高校受験が残っている。 「ごめん。行きたいけど、受験がまだ有るからね」 「え?弘樹は、私立に受かっているよね?」 「うん。滑り止めだからね。本命は、商業だよ」 「そうだったの?」 「うん」 大志や弥生と家に来て、兄さんたちと受験の話をしていた。 「でも、私立なら、私と一緒に…
続きを読む2020/04/03
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第三話 ヤスの勘違い
「ヤスさん。これは、ですね・・・。そう、そう、子供たちにヤスさんの偉大さを伝えていたのです!はい。多少の誇張は許されるべきです!」 ドーリスが一気に捲し立てるが、ヤスの笑顔の前では無意味に思えてくる。 サンドラも何か言おうとしたが、口を開いてから音にするのは止めた。 「ミーシャ!」 「はい?」 後ろからミーシャの声が聞こえる。 「ミーシャ。悪いけど、エイトと一緒に子供たちに神殿の案内を頼む。そう言えばリーゼは?」 「リーゼ様は、地下です」 「カート場か・・・」 「・・・。はい」 「しょうがないな。まだ…
続きを読む2020/04/02
【第三章 託された手紙】第四話 邂逅
鈴は、マホが自分を恨んでいると思った。だから手紙を唯に渡して、届けさせたのだと考えたのだ。 「鈴!鈴!いいか、手紙が、本当にマホが書いた物なら、お前や進や唯を恨む内容ではない。大丈夫だ。マホがお前たちを恨むはずがない。鈴やなつみを恨んでいるのなら、同窓会のときに対応していたはずだ。だから、鈴。大丈夫だ」 克己が鈴を見てはっきりと宣言する。進も同調する。 「・・・。進さん。・・・」 年齢で言うと、鈴だけ年下になる。それでも、一児の母親だ。自分の子供に被害が及ぶかも知れないと思って恐怖を感じていたが、手紙…
続きを読む2020/04/02
【3年目の出来事】3周年のチラシ
高校生の男子が1人で住むには、少しだけ不釣り合いなマンションだが、大城(おおしろ)和義(かずよし)は一人暮らしをしている。 よくある理由で、不幸が重なったからだけだ。 高校2年になっているが、部活もバイトもしていない和義は、学校からまっすぐに部屋に帰ってくる。 マンションはオートロック機能がついている上に常時人が居る状態になっている。その上、部屋のドアには監視カメラがついていて、帰ってからでも訪ねてきた人を確認できる状態になっている。 和義が部屋のドアを開けると、白い1枚のチラシが床に落ちた。拾い…
続きを読む2020/04/02
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二話 ドーリスとツバキと子供たち
「旦那様。旦那様。ツバキ様とドーリス様がお戻りになりました」 ヤスはまだしっかりと目覚めていない。 エイトが持ってきた水を飲んで、頭がと身体が起き出してくるのを感じている。 「子供たちは?」 「幼体は、孤児院に預ける前にギルドで話を聞くそうです」 「そうか、審査は問題なかったのだな」 「はい。幼体の代表が旦那様に面会を求めております」 「わかった。セバスに言って時間を調整してくれ」 「かしこまりました」 「あっそれから、シャワーを浴びたらリビングに行くから朝食の準備を頼む」 「はい」 ヤスがシャワーを…
続きを読む2020/04/02
【第三章 託された手紙】第三話 託された手紙
「あ!ママ。忘れ物は見つかった?」 美和と沙奈が制止しようとしたが、唯は鈴に抱きついた。 「うん。ありがとう。見つかったよ。それで、唯。手紙は読んだの?」 「うん!菜々ちゃんが書いたのは先生から貰ったよ!」 「菜々ちゃんが書いた?」 「うん!お休みするときに、書いてくれて、菜々ちゃんのママが持ってきてくれたの!」 唯の話を聞いて、鈴と進は安心した。 やはり、唯の話し方が悪かっただけで、先生が2つ先に居る唯に届けてくれたのだろう。そう考えた。 しかし、桜は唯が不自然だと感じた。 「なぁ唯」 「何?ユウ…
続きを読む2020/04/01
【残された記憶】何気ない日々
今日も憂鬱な一日が始まる。 最低な目覚めだ。 「太輔!太輔!朝だよ。早く起きて、ご飯を食べちゃいな!」 「解っている。起きるよ」 ほら、こうして、無理矢理起こされる。勉強なんてしてもしなくてもさほど変わる事はない。 母親も父親も弟も妹も幼馴染のあいつも俺に何を期待している。 どうせ、今更勉強しても変わらない。 中堅の大学に入って、運が良ければどっかの公務員にでもなれるだろう。そうじゃなかったら、俺程度が入られる会社なら、大した仕事もさせてもらえないだろう。楽しくもない仕事を、もらえる賃金で釣り合…
続きを読む2020/04/01
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第一話 ヤスの帰還
ヤスはセミトレーラを地下に停めた。 「セバス。コンテナの開け方はわかるよな?」 「はい。旦那様」 「降ろすのも大丈夫か?」 「はい。大丈夫です。セミトレーラの切り離しもマルス様から覚えるように言われております」 「そうか、トラクターとトレーラを切り離して、工房に移動しておいてくれ。コンテナは降ろして、物資は皆に提供してくれ、方法は・・・。ドーリスは居ないか?サンドラとミーシャとセバスでやってくれ」 工房に持っていくのは改造ではなく、メンテナンスのためだ。本格的な移動を行ったので、トラクターにダメージが出…
続きを読む2020/04/01
【第三章 託された手紙】第二話 星
唯の話に補足を入れているユウキの言葉が余計に話を複雑にして大人たちを翻弄した。 どうせいつも通りだろうと、その場に居た者たちは唯とユウキの話を聞き流していた。 「遅くなってごめんなさい」 警察の取り調べが終わった鈴が丸大飯店に入ってきた。進が書いて置いた伝言を見て来たのだ。 「鈴。遅かったな」 「桜さん。”遅かったな”じゃないわよ。私に聞いたって何も知らないわよ」 鈴は話を聞くという取り調べを受けていた。 桜が関係していないのは知っているのだが、当たりたくなる気持ちもわかる。 「そうだろうけど・・…
続きを読む2020/03/31
【残された3分】冷めてしまった紅茶
私と彼の距離を表現するのに、一番適切な言葉は、紅茶が冷めない距離。 彼は隣の部屋に住んでいる。 それは偶然だった。 中学卒業までは、一緒の学校に通っていた。 高校になったら、彼のご家族は引っ越してしまった。何か理由が有ったのだろう。 中学卒業の時に彼に告白しようと思っていた。でも、告白ができなかった。 学校で一番可愛いと言われている子に告白されていた。受け入れると思っていた。 「紀子!」 「え?」 「一緒に帰ろう。オヤジとオフクロとお前のご両親は先に帰ると言っていたぞ」 「なんで?」 「ん?な…
続きを読む2020/03/31
【第七章 王都ヴァイゼ】幕間 ドーリスと子どもたち
私はドーリス。生まれは・・・。わからない。気がついた時には王都のスラムで生活していた。5歳になるときに、孤児院に入った。そこで、お母さんが出来た。王都に行った時に会いたかったけど都合が合わなかった。 王都までヤスさんを案内した。王都では各ギルドを回って、神殿に新たにできるギルドが承認された。すでに根回しが終わっていたがやはり緊張した。現状の神殿の都(テンプルシュテット)の様子が伝わっていたら間違いなく各ギルドは別々に作ると言い出すに違いないからだ。幸いなことに、ヤスさんのアーティファクトの速度が異常だっ…
続きを読む2020/03/30
【第七章 王都ヴァイゼ】幕間 イチカとカイル
私の名前は、イチカ。お母さんが付けてくれた。お母さんと言っても、私を勝手に産んで身勝手に捨てた女じゃない。私を育ててくれて、優しく家族になってくれた人。 お父さんは少しだけ怖いけど、すごく優しい。いろいろ私たちに教えてくれる。カイルなんて、影でも父さんや母さんと呼んでいるのに、お父さんやお母さんの前に出ると、クソジジイやババアと言っている。 カイルは、私の一つ年上だけど、手間のかかる弟って感じ。 今、私たちは住んでいた孤児院から逃げ出して、スラム街のルーサさんの所に来ている。 「カイル!イチカ!逃げ…
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