チートの記事一覧
2022/04/27
【第六章 ギルド】第十六話 説明準備
ギルドはうまく回っているが、うまく回り始めているから、新しい問題が出始めている。子供やメンバーが狙われ始めている。 ナッセの話し方から、理解したことだ。 ナッセが目配せをする。 「そうか、それで、監視しているのだな?」 そこまでヒントを貰えれば、さすがに判るだろう。 それに、”監視”対象は、中に居る者たちではないだろう。ミルが、ギルドのメンバーと話をして、問題が無いと判明したら、監視している視線が弱まった。 「気が付きましたか?」 「入口やギルドに近づく者たちを監視しているのだな?」 テーブルの上に置かれて…
続きを読む2022/04/20
【第五章 共和国】第二十一話 悪夢
おいらは知っている。 兄ちゃんは、ダンジョンに潜ったり、おいらたちと雑魚寝したり、剣を持って戦わなくてもいい人だ。 王国に住む人なら、赤子以外なら聞いた事がある。ライムバッハ。 それが、本来・・・。名乗るべき家名だ。王国の辺境伯の跡継ぎだった。難しい事はわからないけど、兄ちゃんは目的があって、辺境伯の名前を外して活動している。 兄ちゃんの朝は早い。 寝ている時間は、誰よりも短い。おいらの半分くらいだとカルラ姉ちゃんが言っていた。 おいらは・・・。違う。カルラ姉ちゃんも知っている。 兄ちゃんは、よく魘される。…
続きを読む2022/04/20
【第六章 ギルド】第十五話 ナッセ・ブラウン
ミアと手を繋いで、ギルドに近づく。 ミルが警戒を強めるが、誰も襲ってくる様子は無い。視線は増えていない。監視は、俺やミルを見ているわけではなさそうだ。 (ギルドを監視している?) フェム辺りなら、状況を把握しているのだろう。王都の様子を含めて聞いたほうがいいかもしれない。 「ねぇリン?」 「ん?」 「リンの事を話すの?」 ミルは、時々・・・。言葉を抜いた・・・。省略した話し方をする。 俺の何を話すのか?ミルの中では、詳細な説明をしているつもりのようだが、俺からしたら、言葉が足りない。 「俺の何を?」 「ん?…
続きを読む2022/04/03
【第五章 共和国】第二十話 最下層
W-ZERO3はしっかりと役割を果たしている。プログラムの最終確認をして、アルバンとエイダにも協力してもらった。 空気の膜を作って、俺たちを包んでいる。 割れる様子もない。 これなら、水の中でも大丈夫だ。エイダに外側からスキルで攻撃をさせてみたが、結界に阻まれて、空気の膜は保った状態をキープできている。 アルバンには、物理攻撃を加えさせたが、10回程度の攻撃では問題はなかった。 さすがに、アルバンとエイダの連携では結界が弾けた。 空気の膜だけになってしまうと、スキルでも攻撃でも、膜に触れてしまえば、膜は弾け…
続きを読む2022/04/03
【第六章 ギルド】第十四話 監視
おばちゃんから話を聞いた。 思っていた以上に王都は悪い方向に進んだようだ。これなら、王都を拠点にしないで、ギルドの本部ごと神殿に移動させたほうがいいかもしれない。いや、俺が考えることではない。ギルドのメンバーやハーコムレイたちが考えるべきことだ。 俺は、皆が”神殿”を選んだときに、受け入れるだけだ。 「リン。どうする?」 ミルが、レオの上に乗るミアの手を握りながら、俺に問いかける。 おばちゃんの話はたしかに衝撃的だけど、俺たちに何ができるかわからない。貴族同士の見栄の問題にまで発展しているのなら、俺たちがで…
続きを読む2022/03/24
【第五章 共和国】第十九話 攻略中?
「ナベ!」 「ΑД‡ο∝ξ∝с」 「しっかりしろよ」 「♭р∝Г∝Ё∝Φ∝Э∝σ∝ж」 「それならいい。お前を名指しで来ている。指名だぞ」 「∝О∝Φ∝О∝Φ∽≧∝χ∝к∝Ж∽′」 「それで?お前、本当に解っているのか?俺のボーナスがかかっているのだぞ!」 「∝Ч∝Ω∝χ∝и∝в∝ΣΔёΘР∝Ж∝σ∝М∽≧∝Ж∝б∽≦♭ο∝К∝О♪Ч‡○∝Й∝Φ∝Ж∝σ∝ж∽≧」 「関係ないって・・・。まぁいい。案件を奪うぞ!」 「∝О∝Φ∝О∝Φ」 — 懐かしい情景の夢を見た。 俺が話している言葉は、どこの言…
続きを読む2022/03/24
【第六章 ギルド】第十三話 王都
ミルが戻ってきた。 怪我もしていないので、相手は問題になるレベルではなかったのだろう。 「リン!」 ミルが駆け寄ってきて、ミアを見つけて、安堵の表情を浮かべる。その表情のまま、俺に抱きついてくる。 ミルの頭を撫でながら、状況を聞く。 「どうだった?」 ミルの様子から、奴らでは無い。貴族関係の者でもなさそうだ。 「関係ない人たちだった。僕や、ミアを見て、奴隷として売ろうと考えたみたい」 それは、それで問題だけど、確かに、ミアは珍しい種族だし、ミルは”美少女”だ。狙うのは理解ができる。でも、簡単に捕まえられない…
続きを読む2022/02/26
【第五章 共和国】第十八話 攻略中
アルバンとダンジョンに入った。 草原フロアと言ってもいい場所で、眠った。 大丈夫だ。覚えている。 起きてから、探索を再開したが、このフロアは広い。 本当に広い。帰りたくなるが、変える方向も解らなくなっている。 俺とアルバンだけでは厳しい状況だけど、魔物は適度に現れるし、修練にはちょうどいい。難易度は低いけど、縛りを付けた戦闘には丁度良かった。 戦闘訓練にはなっている。 ただ、同じような魔物ばかりで飽き始めているのが問題だ。 「兄ちゃん」 「アル。言うな。俺も飽きてきている」 「そうだよね。ゴ…
続きを読む2022/02/25
【第六章 ギルド】第十二話 散策
見る物すべてが珍しいのか、ミアは周りを見ては、ミルに質問をしている。 ミルも嬉しそうに、ミアの手を握りながら、説明を行っている。俺から少しだけ前を歩く形になっていて、俺には二人の会話が聞こえない。 「あるじ!」 ミアが、後ろを振り返って俺を見た。 「どうした?」 「ミルお姉ちゃんと、あるじは”ふうふ”なの?」 「ん?ミトナルさん?」 ミルを見ると、視線を逸らした。 レオが目線をそらすという器用な真似をしている。 「レオ!」 ”ワフ・・・” レオは、ミルを見つめる。 やはり元凶は、ミルのようだ。…
続きを読む2022/02/19
【第六章 ギルド】第十一話 到着
王都に入る為には、パシリカの時でもなければ、検閲を受けなければならない。 ハーコムレイ辺りと、ギルドが交渉してくれたら、もしかしたら楽になるのかもしれない。 今は、列に並ぶのが自然な事だ。 それに、目立ちたくない俺たちに取っては、列に並ぶ以外の選択肢はない。 結局、列に並ぶ前に、アウレイアの眷属をどうするのか結論が出なかった。 ミアがテイムしている”白狼(ホワイトウルフ)”だということにした。 本人?に確認をしたら、そのままミアの護衛としてテイムされても問題はないということになった。身振り手振…
続きを読む2022/02/19
【第五章 共和国】第十七話 攻略開始
アルバンとダンジョンに向かっている。 道中に現れた獣は無視した。 盗賊たちが使っていると思われる拠点を発見したが、すでに使われなくなっているようなので、燃やして、穴を掘って埋めておいた。新しい盗賊が住みついたり、魔物の巣になったり、何かの拠点に使われるのは俺が望む未来ではない。 「アル。悪いな」 「いいよ。兄ちゃん。これも大事なことだよね」 「あぁ新しい盗賊が住みついたら、町は大変な目にあう」 「うん」 「それに、この前のようなゴブリンが住みついても厄介だろう?」 「そうだね。おいらの最初の村も・・・…
続きを読む2022/02/09
【第五章 共和国】第十六話 準備
アルバンの武器を作った。 結局、投げナイフは諦めた。作成は可能だったが、単価があまりにも高くなってしまう。同じ単価なら、違う武器を作ったほうがいい。 アルバンに、戯れで作った多節棍を見せた所、何が気に入ったのか解らないが。多節棍を主武器に変更すると言い出した。 武器として考えると取り扱いは難しいが、難しい部分は、プログラム(魔法)の補助を組み込むことで対処を行った。複雑な動きは、アルバンの訓練が必要になってしまったが、プログラム(魔法)の補助を得て、アルバンの思い通りに動かすことができた。 単価で…
続きを読む2022/02/09
【第六章 ギルド】第十話 神殿では
リンとミトナルが、王都に到着しようとしている時、神殿では、マヤが頭を抱えていた。 「え?何?」 マヤは、リンが作成した地下通路の中央部に来ている。 中央部には広場が作成されているのだが、広場から離れて奥まった場所に、ロルフの反対を押し切って、森林を設置して、森林の先に一軒家を作った。森林の広さは、マヤたちが住んでいた村と同じくらいの広さがあり、一本の道が伸びている状態だ。 家には、一つの寝室とキッチンと風呂場とトイレとリビングがあるだけのシンプルな作りになっている。リンとマヤが元々住んでいた家から、…
続きを読む2022/02/02
【第五章 共和国】第十五話 予感
ふぅ・・・。 落ち着いて考えよう。 アルバンが言うように、ダンジョンの中には”魔物”しか存在しない。 言葉を使わないからだ。理解はできるが納得は難しい。言葉という曖昧な理由ではなく、もっと違う理由があるはずだ。 「なぁアル」 「何?」 「ダンジョンで、魔物を倒す時には、魔核を得るよな?」 「うん」 「動物や魔族では、魔核は得られるのか?」 「え?考えたことがなかった。動物は、多分、ないと思う。解体する時に、魔核を見たことがない。魔族は解らない。そういえば、燃やしてしまうよね?」 「そうだな」 魔核…
続きを読む2022/02/01
【第六章 ギルド】第九話 ギルド(仮)本部では
リンがマガラ神殿で、マヤとミトナルが起きるのを待っている頃。 王都では、いろいろな事が発生していた。 王都の一等地に立つ店舗のような建物の中にある。一つの部屋で、女性だけ8人が集まって会議をしている。 「ルナ。それで?リン君たちはまだ見つからないの?」 王国に初めてできる組織の方向性を決める会議をしていた。先ほどまで、次期国王であるローザス王子とハーコムレイ次期辺境伯とギルドが正式に認められた場合に、ギルド長に内定しているナッセ・ブラウンと人材面のサポートを行うアッシュ・グローズが参加していた。 …
続きを読む2022/01/25
【第五章 共和国】第十四話 散歩
アルバンと、町から出て森に向かう。 最初は、クォートかシャープが付いてくると言っていたが、二人には俺とアルバンが町に居るように偽装してもらうために、残ってもらった。 カルラは、町から離れることを印象付けるように出て行った。他の町に、物資の調達をするためという理由だ。そのために、馬車と一緒に旅立った。俺たちが残った理由は、『一緒に商売を行う商隊が遅れていて、待っている』ことにした。 間違っていないが、突っ込まれると困る言い訳だ。 だが、町長夫妻だけでなく、町民は誰も突っ込んでこなかった。 町にお金…
続きを読む2022/01/24
【第六章 ギルド】第八話 ステータス
ミアは、自分が従者だと認識はしていても、従者の役割がよくわかっていない。 今も、アウレイアの眷属に跨って・・・。正確には、眷属の白狼に抱きついて眠ってしまっている。俺とミルが、自分に危害を加えないとわかったのだろう。安心して眠ってしまっている。 「リン」 ミルは、ミアの髪の毛を触りながら、僕を見つめて来る。 もう、他の猫人族が離れてしまっているので、神殿にミアだけを向かわせるのは難しい。不可能だと言い切ってもいい。戻すのなら、俺たちも、一度神殿に戻る必要がある。せっかく、マガラ渓谷を抜けたのに、戻っ…
続きを読む2022/01/19
【第五章 共和国】第十三話 休養
ウーレンフートからの補給物資が届くまで、休養にあてる事にした。 「旦那様」 カルラが部屋に入ってきて、頭を下げる。 何か用事ができたのか? 休養にあてるようには伝えてあるはずだ。 「どうした?」 カルラは、書類を手に持っている。 報告書なのだろうか? 昨日の段階で、前回までの報告書と、クリスからの返答を貰った。問題になるような記述は無かった。近況報告のようになっていただけだ。皇太孫だけが、わがままを言っているようだが、そこはクリスに頑張ってもらおう。共和国に、皇太孫が身分を隠してでも来られるわ…
続きを読む2022/01/16
【第六章 ギルド】第七話 ミア
「リン様。一つ、お願いがあります」 突然、猫人族の長が俺に話しかけてきた。 「ん?」 長は、連れてきた少女を呼んでいる。固有名詞が無いのは、不便ではないのだろうか? 少女が、俺の前に出てきて、跪く。 どういう状況なのか解らない。ブロッホを見ても、何か納得した顔をしているだけだ。ミルを見てみても、首を横に振るだけで、俺と同じで困惑している。 「長?」 「リン様。この者を、リン様の従者として連れて行って頂けないでしょうか?」 状況がさっぱり解らない。 「どういうこと?」 ブロッホが耳打ちするように説…
続きを読む2022/01/09
【第五章 共和国】第十二話 増援
朝になって、シャープが朝食の用意を始めている。 落ち着く為に、飲み物だけを頼んだ。朝には、コーヒーを飲んでいたが、紅茶を飲むのが多くなった。 紅茶を飲んでいると、アルバンが部屋に入ってきた。 「兄ちゃん!おはよう!」 アルバンの声が頭に響く。 「もうすぐ、朝食だ。アルも食べるだろう?」 「うん!でも、兄ちゃん!おいらも、エイダたちと戦いたかった」 アルバンの分の紅茶が置かれる。朝食まで、ここで待っていて欲しいという意味なのだろう。 カルラもだけど、アルバンは探索や御者以外の能力が欠如しているのか…
続きを読む2022/01/07
【第六章 ギルド】第六話 猫人族
力の波動?を抑える話になっていたが、元々は、ブロッホに洞窟の奥に潜んでいる獣人との接触を頼むためだ。 「ブロッホ」 「はい」 「洞窟の中に居る獣人は、無事なのか?」 「無事か・・・。解りませんが、こちらを警戒しています」 「わかった。俺とミルは少しだけ離れた方がいいか?アイルが居れば、大丈夫だろう?」 「はい。旦那様たちは、入口から離れた場所でお待ちください」 「ミル。少しだけ離れるよ」 「うん」 ミルが、俺の腕を取る。 洞窟から直接見えない位置まで下がる。丁度いい場所に、露出している岩があったので、…
続きを読む2021/12/31
【第五章 共和国】第十一話 予想外
町長や、監視している連中が動くかと思ったが、最初に状況が動いたのは、魔物の討伐に向かったエイダたちだった。 『マスター』 夜明けに近い時間帯に、パスカルから連絡が入った。 『どうした?』 『はい。エイダが魔物との戦闘に入ります』 魔物? 『ゴブリンの集団か?』 報告は聞いている。村から少しだけ移動した所に、ゴブリンの集団がいる。エイダが、討伐に向かった。 『いえ、オーガに率いられた、魔物の集団です』 『オーガ?』 パスカルが情報を整理してくれている。 当初、エイダたちが向かった場所には、ゴブリン…
続きを読む2021/12/26
【第六章 ギルド】第五話 力?
洞窟の中から、こちらを伺っている様子が伝わってくる。 「リン。ぼくが行こうか?」 「どうして?」 「うーん。うまく言えないけど、中から伝わってくる雰囲気が、リンを恐れているように思える」 「俺?人畜無害だぞ?」 「ぼくは知っているから大丈夫だけど、すごい力を感じるよ?」 「え?俺が?」 「うん。気が付いていなかった?」 俺が驚いていると、リデルがミルの肩で頷いている。 気が付くわけがない。ミルもマヤも眷属たちも、態度が変わらないし、そうだ! 「ナナも、何も言わなかったぞ?」 え?なに?ミルが盛大な溜…
続きを読む2021/12/04
【第五章 共和国】第十話 前準備
婦人が頭を下げて、離れから出ていく。 「カルラ。どう思う?」 「問題の解決は難しいと思います」 そうだよな。 この町の問題は、隣町のダンジョンだけが問題ではない。根本的には、”共和国の無策”に繋がっていくのはわかっている。だからこそ、俺たちに何かができるわけではない。 盗賊団を壊滅させることはできるだろう。 しかし、盗賊団が産まれる原因を排除することはできそうもない。俺たちが、この町や周辺の領主にでもなれるのなら、本腰を入れて考えるのだが、俺たちは”商人”でしかない。もっと、本質的なことを言えば、…
続きを読む2021/12/04
【第六章 ギルド】第四話 王都の途中
街道に出るまでは、急いだ。アゾレムからの追っ手を警戒したが、追っ手どころか、俺たちの後ろからは誰もついてきていない。まだ、商人が揉めているのだろうか? 「リン?」 ミルが不思議そうな表情で俺を確認してくる。 「さて、森に向かおう、誰かが来ているだろう」 「うん」 ミルと二人で、近くの森に向かう。 さすがに、王都に向かう街道だけあって、整備されている。 マガラ渓谷を越えてから、1時間くらい走ると、いろいろな街道からの合流地点が見えてくる。この近くに森がある。この辺りで、お供として王都に向かう者がいる…
続きを読む2021/11/23
【第五章 共和国】第九話 事情と情報
アルが戻ってくるのを待っていると、アルではなくカルラが戻ってきた。 「旦那様」 「宿は見つかった?」 「はい。私たち以外は、町を訪れる者が居ないようです」 「そうか・・・。それで?」 「はい。宿の店主・・・。町長が言うには・・・」 カルラの話は、シャープが聞いてきた話と同じだ。 「よく宿屋が営業していたな」 「町長を兼ねているらしく、宿屋を閉じると、泊まる場所がなくなるので、営業をしていると言っていました」 「わかった。それで、アルは?」 「エイダと、馬車を見ています」 「ん?あぁそうか、人手が足りない…
続きを読む2021/11/23
【第六章 ギルド】第三話 王都へ
ミルと二人で、マガラ渓谷の受付に並んでいる。 チケットは持っている。通過はできるとは思うが、マガラ渓谷は敵方(アゾレム)の関所だと考えられる。 ミルは大丈夫にしても、”死んだことになっている”俺はどういう形になるのかわからない。 「次!」 関所の人間が偉そうにしている。 次が俺たちの番だ。 前は、行商人のようで、荷物を検めるのに時間が必要になっているようだ。 「リン。どうして、マガラ渓谷を越えるの?」 ミルの素朴な質問だけど、確かに説明をしていなかった。 まだ、時間が掛かりそうだし、簡単な説…
続きを読む2021/11/03
【第五章 共和国】第八話 アルトワ町?え?
うーん。 町? 確かに、入り口に掲げられている看板には、”アルトワ町”と書かれている。 自称”町”が正しいように思える。うん。村だな。村でも誇大呼称に思える。集落?廃村?いろいろ、マイナスのイメージが浮かんでくる。 「カルラ。アルと一緒に、宿屋を頼む」 「かしこまりました。アルバン。行きますよ」 「うん!」 「カルラ様。アルバン様。お待ち下さい」 クォートが二人を止めた。 アルは、もう駆け出しそうになっていて、急にストップをかけた車のようにターンを決めている。 「なに?」 「馬車も一緒にお願いい…
続きを読む2021/11/02
【第六章 ギルド】第二話 いい女
ナナは、俺とミルの話を黙って聞いてくれた。 冷え切った飲み物で、喉を潤す。 俺とミルの話が終わったと思ったのか、ナナは閉じていた目を開けて、俺を見つめてくる。 「リン君。いくつか、質問をしてもいい?」 「あぁ」 「まず、マヤちゃんは生きているのよね?」 「ミルと一つになったが、生きている。今は、神殿に居る。妖精になってしまっているから、連れてくるのは問題があると考えた」 「そう、わかった。マヤちゃんの本当の姿?なのよね?」 「マヤは、そう言っている。俺もよくわからないが、マヤは困らないから大丈夫だと言…
続きを読む2021/10/27
【第六章 ギルド】第一話 三月兎
ミルは、妖精の姿を気に入っていて、元のサイズに戻ったときにも、背中に羽を生やそうとしていた。 「ミル。やっぱり、羽は・・・」 「僕には、似合わない?」 可愛く言っても・・・。確かに、似合っている。似合っているが、人ではないのが解ってしまう。 「似合うよ。すごく、可愛い。でも、これから、王都に行くのに、スキルやステータスは隠蔽でごまかせるけど、羽は無理だからね?」 「うん。わかった」 ミルは、服の袖を握りながら、目を閉じた。 羽だけを消すようだ。 「これでいい?」 「完璧!」 「よかった」 ミルが腕…
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