チートの記事一覧
2023/07/28
【第八章 王都と契約】第六話 奴隷商
馬車が目的地に到着して停まった。 やっと説教から解放される。 「待て!リン・フリークス」 馬車から降りようとしたときに、ハーコムレイに肩を掴まれた。 「はい。なんでしょうか?」 ハーコムレイの手を払いながら振り返る。 「迎えを出しておく」 「は?」 いきなり、”迎え”と言われても意味が解らない。 そんな思いを込めて、ハーコムレイを睨んだが、俺の意思は伝わらなかったようだ。 「お前の用事が終わったら、屋敷に来い。ローザスにも報告が必要になっているはずだ」 「・・・」 一応、説明をしてくれたのだが、それでも意味…
続きを読む2023/07/18
【第五章 共和国】第六十三話 声なき声
戦闘は終わった。 体力も気力も限界だ。 精神的に疲れたので動きたくない。 カルラも珍しく座り込んでいる。アルバンは、横になって目を閉じている。 確かに、周りには脅威になるような物はない。 クォートとシャープもユニコーンもバイコーンも機能が十全に使えるようになって、確認をしてから移動を開始した。 クォートたちが帰って来るまで休憩する。 さすがに、疲れた。 葬送を終わらせて、やっと終わった感じがしている。 辺りは、先頭の余韻が漂っているが、しばらくしたら消えるだろう。 自然が戦闘を隠して、元の状態に戻すだろう。…
続きを読む2023/07/17
【第八章 王都と契約】第五話 ハーコムレイ
皆と別行動になった。 ナナは、フェムサリムの実家に顔を出して、王都との状況を確認したあとで、こちらの状況の説明を行うようだ。あとは、宿屋の性質を知っている為に、状況次第では神殿の中に宿屋を作ってもらう提案をすると言っていた。 リカールは、先ぶれをアッシュの所に出してから、王都の顔馴染みを回るようだ。集合場所は、フェムサリムの実家に決まった。 久しぶりに訪れた王都を一人で歩いている。 アッシュの所には、リカールが情報を流しているはずだ。許可を求めてきたので、リカールが知っている内容なら流しても大丈夫だと伝えて…
続きを読む2023/06/27
【第五章 共和国】第六十二話 DoS攻撃?
黒ドラゴンの正体が、人を核にしたキメラだった。 煙が天に上がる。 森の木々を越えたあたりで、煙が霧散する。 それぞれ・・・。待つ人の所に向かっているようにも思える。 「兄ちゃん?」 「アル。お疲れ。カルラは?」 「姉ちゃんは、防具をまとめている」 さっそく動き出している。 アルバンの視線を追うと、カルラが防具をまとめている姿が目に飛び込んできた。 俺とアルバンは、攻撃をかわすために、全力だった。スキルを使わない戦いは辛かった。 途中からスキルを全開で使わなければならなかった。 本当に、嫌らしい敵だ。 「旦那…
続きを読む2023/06/26
【第八章 王都と契約】第四話 村々
盗賊退治は、大きな・・・。大きすぎる問題に直結する物を見つけてしまった。誰かに丸投げが正しい対応だろう。 教会が、村々を襲わせていた。 それだけでもかなりのスキャンダルになるのだが、その先の指示が、教会の尊厳だけではなく、国の根幹を揺るがす可能性がある。 ツインズは、早々に情報の権利を放棄した。 立場が微妙な自分たちが持っていていい情報ではないというのが、ツインズの主張だ。 そして・・・。 もう一人の当事者になりえる人物は・・・。 「リン君。はい」 ナナは資料を見てから、俺に渡してきた。 こうなるとは思って…
続きを読む2023/06/21
【第五章 共和国】第六十一話 黒ドラゴン
黒ドラゴンは、黒い靄を纏っているようにも見える。 ブラックドラゴンではなさそうなのは・・・。不幸中の幸いか? 考えていても意味がなさそうだ。黒ドラゴンは、既に戦闘態勢だ。 四体の龍を呼び出す。 黒ドラゴンに突っ込ませるが、ダメージを与えているようには思えない。靄は、一瞬だけ剥がれるがすぐに元に戻ってしまう。それだけではない。龍を吸収しているようにも見える。 アルバンとカルラも、後ろを気にしながら攻撃を加えるが、黒い靄が崩れるだけで、すぐに戻ってしまう。 「カルラ!」 「はい。スキルで攻撃します」 「頼む。ア…
続きを読む2023/06/19
【第八章 王都と契約】第三話 盗賊退治
ナナの行動は早かった。 ”ツインズ”という双子の夫婦に話をつけて、俺たちも同行することに決まった。 イベント発生だ。 ゲームでは、サブクエストという扱いになるのだろう。 一番、ワクワクしているのがマヤなのはどうなのかと思うが、マヤは留守番(?)になる。ミトナルの中からサポートを行うことになっている。留守番という表現が正しいか解らないが、本人が留守番と表現したので、留守番が正しいのだろう。 ミトナルのスキルは、マヤのスキルで補完ができる事が解っている。 そして、マヤはミトナルの中から”第三の目”というべきなの…
続きを読む2023/06/06
【第五章 共和国】第六十話 死闘
クラーラ! お前だけは、お前だけは・・・。 『アルノルト様。その”絡繰り”はダメです』 指を鳴らす音が響いた。 「アルノルト様!」 カルラが慌てて、俺に駆け寄ってくる。 剣は構えたままだが、クラーラの姿が見えない。スキルを使うが、クラーラを補足さえできない。 「アルノルト様!クォートとシャープが!」 カルラに指摘されて、二人を見ると、糸が切れたかのように、身体から力が抜けて、座り込んでいる。 バックアップは作成してあるので、復元はできるだろう。 しかし・・・。 その前に、クラーラは、”何を”やったのだ? そ…
続きを読む2023/06/05
【第八章 王都と契約】第二話 メリット
王都に向かう前に、セトラス商隊からの要望を受け入れて、大回りをすることに決定した。 セトラス商隊は、体裁を整えたいと事情を語った。 セトラス商隊の荷は王都を出た時の状態から大きく変っていない。メルナで増減はしたのだが、荷の性質は同じ状態だ。これで、王都に入るときに不思議に思われる可能性がある。そこまで見る者は少ないが・・・。 そこで、大回りになるが、王都での詰問を避けるために、現在の荷物を売って、新たに仕入れをおこなう。商隊として体裁を整えるためだ。 俺も、まだ神殿の状況を知られたくない。あと、王都に入ると…
続きを読む2023/05/16
【第五章 共和国】第五十九話
丘の頭頂部に座っていると、注ぎ込む太陽が気持ち良い。風も気持ちがいい。吹きおろしの風だ。 「アル!」「アルバン!」 何があった? 俺とカルラは、武器を抜いて走り出した。 丘から駈け下りる。 数十メートルの距離がもどかしい。 「クォート!シャープ!」 ダメだ。 森から出てくる奴らを抑えるだけで精一杯だ。二人が苦戦しているわけではない。連携が阻害されている。 違和感しかない連中だ。強いわけではない。数が多いわけではない。でも、ダメージをダメージとして認識していない? 武器を恐れていない。 でも、武器の扱いに慣れ…
続きを読む2023/05/15
【第八章 王都と契約】第一話 ナナ
神殿から出て、王都に向かうことになっている。 シミュレーションを兼ねて森の中の出口を使った。 今は、セトラス商隊が神殿から出て来るのを待っている。 商隊の全員が現状で考えられる手続きをした場合に、商隊がフリークス村から廃墟の村に抜けるまでにどの程度の時間が必要になるのかを計測している。言い出したのは、リカールだ。 フリークス村と廃墟の村の住民以外からは、入場料を取ることに決まっている。 俺としては、銅貨2-3枚でいいと思っていたのだが、セトラス商隊から待ったがかかった。 提案されたのが、商隊が抜けるのに必要…
続きを読む2023/05/07
【第七章 神殿生活】第二十四話 王都へ
新規住民の話は、整理を行ってから、割り振りを含めて考慮することに決まった。 そして、イリメリが連れてきた住民が柔軟に対応をしてくれた。割り振りで揉めなかったのもよかった。 また、森の外周部には、まだ隠里があるようで、イリメリが住んでいた村の住民が、他の隠里を説得してくれることになった。 問題が全くなかったわけではない。 隠里から来た者たちは、身元が解ってしまうと、”脱税”の疑いで、奴隷階級に落されてしまう可能性が出てきた。 これは、セバスチャンが指摘したことだが、隠里の者たちも可能性として考えていたようだ。…
続きを読む2023/05/01
【第五章 共和国】第五十八話 合流
俺とカルラは、荷物や馬車を置いて、アルバンが戦っている場所に急いだ。 アルバンが負けるとは思っていない。 俺とカルラが問題に思っているのは・・・。 アルバンが、相手を殺してしまう可能性があることだ。 アルバンの過去にも影響しているのだが、アルバンにはトリガー(トラウマ)が存在している。トリガーが引かれると俺やカルラが対応しないと、抑えられない。今回は、大丈夫だとは思うが、何があるかわからない。 アルバンを襲った奴らが殺されようが、どんな酷い結末を迎えようが、気にしない。 しかし、アルバンが落ち込むのは避けた…
続きを読む2023/04/23
【第七章 神殿生活】第二十三話 代表者
イリメリが連れてきた代表者との会合を持つことになった。 アデレード殿下は出席をしない。流石に、隠れ里のようになっていた者たちの前に殿下が出るのは、萎縮してしまう可能性が高い。同じ意味で、ルアリーナも最初の会合には参加しない。 イリメリは、案内をしてきたという立場で、会合には参加をしない。イリメリが口を出してしまえば、決定事項になってしまう事を恐れた。 ギルドは、ナッセが出席する。 他には、フリークス村の責任者として、ナナが出席する。 状況と全体の説明を行うために、セバスチャンが参加する。 俺は、参加しない。…
続きを読む2023/04/18
【第五章 共和国】第五十七話 襲撃者?
しまった! 内通者の存在自体が罠の可能性を完全に忘れていた。 王国に帰ることで頭がいっぱいだった。 共和国のダンジョンが弱かったことや、思っていた以上に共和国の連中が弱かったから、気を抜いてしまっていた。 俺たちだけが、共和国内で実践形式の訓練をしていたわけではない。 帝国の奴らも、共和国を狙っていても・・・。それなら、俺たちを見つけて、情報を抜こうとしていても不思議ではない。 俺が、帝国の立場でも同じ事を考えただろう。 そして、実行する。 内通者が仕立て上げられたら、内通者に情報を送らせる。 情報が流れて…
続きを読む2023/04/17
【第七章 神殿生活】第二十二話 待ち人
ナナと一緒に神殿に移動した。 「へぇ中はこうなっているのね?」 「あぁまだ整備中だけどな。何か意見が有れば頼む」 「了解よ。それにしても、本当に・・・。凄いわね」 ナナは、感心しながらも、周りを見て質問を始めた。 表の街道は、両脇に店を構えているが、路地を作ったほうがいいだろうと言われた。 裏にも道があるほうが、住民が、荷物を抱えた状態で、客の前を歩く必要がないから、必要だと言われた。 丁度、タシアナが調整を行っていたので、ナナを紹介する。 タシアナとフェナサリムも一緒になって、質問と改良点を伝えてきた。 …
続きを読む2023/04/13
【第五章 共和国】第五十六話 同行者?
クォートとシャープとの合流まで、半日程度の距離に到着した。 順調な行程に、少しだけ不安を覚える。 俺たち側には、問題は出ていない。 アルバンが暇をもてあましたのが、問題と言えば問題になっている程度だ。俺もカルラも、それぞれでやることがある。何もないアルバンだけが暇を持て余している状態になってしまっていた。狩りに出かけようにも、目的が合流なので、俺たちから離れての行動は許可できない。食料の調達や素材の確保も現状では必要ない。流石に、文句(グチ)は言っていないが、何もない状況に飽きているのが目に見えてわかってし…
続きを読む2023/04/11
【第七章 神殿生活】第二十一話 ガルドバ
ナナと話をして、アロイ側に作ってある村を任せることが出来た。 神殿はギルドが管理を行う。森の中の村は、今後の課題として考えるとして・・・。 ナナとガルドバを、アロイ側の村に案内した。 思いっきり怒られた。 ガルドバがいうには、ここまで立派だと、”村”ではなく、”城塞都市”だと言われた。 「リン君。この”村”は、すぐに稼働したい?」 「え?稼働?準備が整ったら・・・。ごめん。考えていなかった」 正直に謝っておこう。 「アスタ。こいつ、頭がよさそうなのに、ニノサと同類だぞ?」 ガルドバが、凄く失礼な事を言ってい…
続きを読む2023/03/28
【第五章 共和国】第五十五話 内通者
準備が出来た馬車を、あえて王国とは逆の方角に馬車を進めた。 カルラは、反対したのだが、俺が押し切った形だ。 3つの情報を流した。流し方にも工夫をした。俺たちの情報だと解るようにした物と、俺たちだと解らないようにした情報だ。 ・アルトワ町に寄ってから共和国内の別の国から王国に帰る ・馬車は囮で、徒歩で王国に向かっている ・数多くの嘘情報を流して、裏切り者を探している。実際にはダンジョン内に隠れている者をあぶりだす。 情報を流して、すぐに効果が現れた。半日程度で状況が変わったのには驚いた。しっかりと、耳が設置さ…
続きを読む2023/03/27
【第七章 神殿生活】第二十話 契約
ナナの表情が固まっている。 何を考えているのか想像ができる。多分、俺でも同じ事を言われたら、考えてしまうだろう。 「ねぇリン君。もしかして、新しくマガラ渓谷を越えられる場所を見つけたの?それとも、作ったの?」 「違う。神殿の権能で、ゲートを設置した」 「ゲート?」 「転移ができる門と言えばわかるか?」 「・・・。リン君。頭、大丈夫?それとも・・・。ニノサがうつった?」 「ひどいな。大丈夫。どこにもぶつけていないし。信じられないのは、しょうがないけど、今はゲートがあると思って、話を進めてくれ」 「・・・。わか…
続きを読む2023/03/20
【第五章 共和国】第五十四話 密談
アルトワ・ダンジョンの周りには、動物がちらほらと見受けられるが、魔物や人は存在していない。 街道から外れている状況で、且つ、その街道が殆ど使われていないことを考えれば、当たり前の結果だが、野盗が隠れている可能性も考慮した。 動物を見つけられたから、盗賊は居ないと思っていた。 アイツらは、近くに居る動物は狩りつくす。狩りつくした上に、盗賊行為を行う。知恵が付いたゴブリンだ。見つけ次第、殲滅が正しい対応だと思っている。使い道もあるので、殺さずに捕まえることが多いのだが・・・。共和国に入ってからは、野盗は殺してい…
続きを読む2023/03/19
【第七章 神殿生活】第十九話 ナナ
久しぶりに見るアロイの町並みには懐かしさは感じない。それどこか、寂れた感じがする。 「リン。どうするの?」 「ナナの店に急ごう」 街に人影はないが、マヤを誰かに見られたら面倒なことになる。 俺の考えが解るのか、マヤがミトナルの肩に乗って、何かを唱えると、マヤの身体がミトナルに入っていった。 「ミル?」 「ナナの店まで、僕の中で起きている」 「わかった」 俺とミトナルだけなら、注目を浴びる可能性はあるけど、問題はないだろう。視線は感じるが無視できる。 不気味な感じはしたが、すんなりと、三月兎(マーチラビット)…
続きを読む2023/03/13
【第五章 共和国】第五十三話 出立準備
アルトワ・ダンジョンの要塞化は、残りは中身をソフトウェアを整える段階に入った。ここからは、時間がかかる為に、アルトワ・ダンジョンに残る者たちに任せることになる。 残る者たちの手助けに鳴るように、警報装置を設置した。 結界を応用した物だが、消費を抑えた魔法(プログラム)が完成した。かなり機能を削ったが、アラーム程度には使える。アルトワ・ダンジョンに近づいた者をマーキングするだけの魔法だ。 正規の手続きをしないで、城壁を越えたらアラームが鳴るようになっている。 出来たらブラックリストを作りたかったが、そこまで組…
続きを読む2023/03/12
【第七章 神殿生活】第十八話 出立?
俺の前で、王都に出立するはずの二人が見苦しい抵抗をしている。 「アデー。ルナ。そろそろ、あき」『旦那様』 急に、ブロッホが割り込んできた。 「すまん。少しだけ席を外す。アデー。ルナ。でも、本当に、王都に行かないのなら、俺がサリーカと行くからな」 会議室に眷属を連れ込んで、戯れている者たちに、席を離れると告げて、部屋を出る。 『どうした?』 ブロッホが慌てるほどのことが発生したのか? それとも、他の・・・。 『渓谷に人を捨てていた一団を捕えました』 どういうことだ? ロルフから、神殿に人が落ちてきたと報告があ…
続きを読む2023/03/06
【第五章 共和国】第五十二話 要塞化
俺は、カルラとアルバンをアルトワ・ダンジョンの拠点に残して、最下層に移動した。エイダと二人で駆け抜けた。 『マスター』 「ウーレンフートから、ラックを持ってきてくれ」 『了』 エイダに指示を出す。ラックサーバで、アルトワ・ダンジョンと周辺を構築する。 城塞を作るには、組み込んでいるサーバーではパワーが足りない。アルトワ・ダンジョンは、共和国内のダンジョン(サーバー)を管理する必要もある。モニターを行うだけでも、十分なパワーがないと重要な情報を見逃すことがある。 各ダンジョンには、最低限の施設だけを残すように…
続きを読む2023/03/05
【第七章 神殿生活】第十七話 各種設定
アデレードとルアリーナとサリーカの旅立ちは延期された。 主な理由は、アデレードとルアリーナとサリーカが、自分の眷属を愛でる時間が欲しいと言い出したからだ。それなら、俺が王都に向かおうと思ったのだが、そっちはロルフとフェナサリムとタシアナに反対された。 神殿の整備を任せていたロルフが俺の所に、マヤと一緒に来た。マヤは、ミトナルと入れ替わっている。 皆には事情を説明しているが、大きくなった姿での挨拶をしておこうと思ったようだ。 「え?そうなると、今は、ミルが妖精なの?」 喰い付いたのはタシアナだ。 膝の上には、…
続きを読む2023/02/27
【第七章 神殿生活】第十六話 お見合い?
アデレードとルアリーナの強い。本当に、強い要望で、眷属の紹介を先に行うことになった。 バックヤードに連れて行こうかと思ったが、途中でブロッホから待ったがかかった。 「ブロッホ?」 「旦那様」 ブロッホが人型の時には、”旦那様”と呼ぶことにしたようだ。 俺の呼び名に関しては、”リン”で統一して欲しいと言っているのだが、皆が勝手に呼び出したので、面倒になってしまっている。それに、”名”を呼ばれなくても、繋がりがあるので、問題になることはない。 「どうした?」 「お客人を、神殿内部にお連れになるのは、時期尚早だと…
続きを読む2023/02/20
【第五章 共和国】第五十一話 再びのアルトワ
ダンジョンの攻略を終わらせて、王国に帰還するために、拠点を築いたアルトワ町に向かっている。 より正確に言えば、アルトワダンジョンに向かっている。 俺たちだけなら、アルトワダンジョンの最下層からウーレンフートに移動することも出来るのだが、国境で証拠を残す必要がある。 『マスター』 俺の横で静かに作業をしていたエイダが話しかけてきた。 「終わったのか?」 『是』 クォートとシャープと合流して、報告を受けたのだが、俺たちが攻略を見送った小さなダンジョンや、未発見状態だったダンジョンを攻略してきた。眷属を自由に増や…
続きを読む2023/02/19
【第七章 神殿生活】第十五話 王都へは?
神殿での役割が決まって、これからの事を決める前に、王都の奴隷商(アッシュ)の所に行こうかと思っていた。 王都の様子も気になる。 教会勢力と宰相派閥とローザス派閥。それに、王族を指示する派閥が複雑に絡み合っている。正直、神殿に影響がなければ放置でもいいと思っているが、どうやら宰相派閥の中に、俺たちの”敵”が居るらしい。教会勢力も、いくつかに分断されている状況で、こちらに手を出してくるか解らない。友好的なのか、敵対的なのか、その時の状況次第だろう。 数日は、神殿で皆に意見を聞きながら調整を行っていた。 俺が、神…
続きを読む2023/02/13
【第五章 共和国】第五十話 幼き記憶
おいらの名前は、アルバン。 親に与えられた名前は、別にあるのだが、兄ちゃんから、”真名(まな)”を教えない設定でかっこいいと言われた。凄く気に入っている。真名(まな)は誰にも教えない。おいらだけが知っている。魂の名前。 兄ちゃんには、もちろん真名(まな)を教えている。 でも、普段は、アルと呼んでくれる。慣れているのもあるが、しっくりくる。自分が呼ばれていると思える。今更、真名(まな)で呼ばれてもしっくり来ない。 兄ちゃんには、おいらの事は、クリス姉ちゃんから指示を受けたおっちゃんと一緒に旅(行商)をしてきた…
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