異世界の物流は俺に任せろの記事一覧
2020/04/12
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第九話 嫌がらせの準備
ヤスが考えた”嫌がらせ”の準備は、神殿の都(テンプルシュテット)をあげて行われている。 ヤスが示した”嫌がらせ”という指標だが、神殿の都(テンプルシュテット)では主からの命令に等しい。会議が終わって、神殿に帰ると、マルスがすでに輸送に必要な物をリストアップしていた。セバスが行っている業務の引き継ぎや作らなければならない物品もあるために、開始はすぐには出来ない。 情報共有や協力を求める連絡をしておく必要もあるので、時間がある程度は必要になってくる。 サンドラは、即座にギルドから辺境伯に連絡をした。サン…
続きを読む2020/04/11
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第八話 嫌がらせの相談(3)
「頼む。それで・・・。王都に、塩と砂糖と胡椒が盗まれてから、王都に運ぶ役目は俺がするしかないかな?」 ヤスが周りをみながら宣言する。 長距離の運転だけではなく、街から出て運転できるのは、カスパルとツバキとセバスだけなのだ。ヤスが運ぶのが現実的だろう。 「旦那様。僭越ながら、今回の運搬は、私が担当いたします」 「セバスが?」 「はい。いくつか理由がありますが、旦那様は神殿に残られまして、皆に指示を出していただきたい。もう一つは、なるべく旦那様が貴族や王家との付き合いをしないようにしたほうがよろしいかと思い…
続きを読む2020/04/10
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第七話 嫌がらせの相談(2)
「さて、サンドラ。この塩と砂糖を、俺が売ると言ったらどうなる?」 「え?これを・・・。ですか?」 「そうだな」 「量は?」 「さすがに無制限とは言えないけど、かなりの量が用意できる」 「それは、2-30キロですか?」 「ハハハ」 ヤスは、サンドラの言い方が面白かった。 討伐ポイントで交換できるのは、キロ単位だ。20キロや30キロなら簡単に交換できる。ポイントに余裕がある今なら簡単な量だ。 「そっそうですよね」 サンドラは、ヤスが笑ったのは、2-30キロも用意できるわけがないと思ったのだ。 1-2キロ…
続きを読む2020/04/09
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第六話 嫌がらせの相談(1)
「ヤス様」 「デイトリッヒ。様は必要ない。それで?」 「そうでした。ヤスさん。”それで”とは?」 「説明しろよ?デイトリッヒが神殿と関係を無くしたいと思った理由は、”それ”なのだろう?」 「そうです」 デイトリッヒは、3つの山を見る。 ヤスを見てから諦めたように説明を始める。 最後の山は、カイトたちに宛てた手紙だったために、デイトリッヒは簡単に説明だけして、手紙の束をカイルに渡した。 卒院していく子供たちに渡していた物で、カイルたちの卒院に向けて書かれていたものだった。 話を聞いて、カイルとイチカ…
続きを読む2020/04/08
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第五話 ヤスと愉快な仲間たち?
新たにギルドに到着した面々は、セバスが案内して会議室にやってきた。 先にタブレットの説明を始めようか、ヤスが迷っていると、マルスから念話が入った。 『個体名デイトリッヒがギルドに到着します』 「ミーシャ。デイトリッヒがギルドに来る頃じゃないのか?見てきてもらえるか?」 ヤスは、ミーシャに話をデイトリッヒの出迎えを頼む。 カイルとイチカがデイトリッヒと聞いて、ヤスの顔を見る。 「わかりました。連れてきてもいいのですよね?」 「頼む。会議室に入る許可は出してあるから、直接入ってもらって欲しい」 「わかり…
続きを読む2020/04/07
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四話 主要メンバー集結(除くリーゼ)
ヤスは神殿に戻って食事(昼飯)を摂ってからから、ギルドに戻った。 ギルドでは、ミーシャがアーティファクトの登録を行っていた。 「ヤスさん。アーティファクトの登録は、全員が帰ってきてから行います。鍵の登録で問題がないと本部から通知が来ました」 「頼むな。それで、カイルとイチカは、まだディアスと見学か?」 「だと思います。呼びますか?」 「いや、いいよ。デイトリッヒも帰ってきていないから、急がなくてもいいだろう。奥の部屋を使っていいよな?」 「はい。ギルドマスターの部屋を使ってもいいですよ?」 「ドーリスの…
続きを読む2020/04/06
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その3)
「カイル君。この部屋は、これから君が生活する部屋で間違っていないよ」 「ディアス姉ちゃん。俺1人で?孤児院に居た時には、この部屋よりも狭い場所で、全員が寝ていたぞ!?」 カイル君の言葉に弟たちが首を縦にふる。 「わかっています。でも、君たちはこれから沢山勉強して、ヤス様のために働いてもらいます。そのためには、広い部屋が必要です。カイル君は冒険者になって魔物を倒して強くなりたいのですよね?」 「・・・。うん」 「それなら、武器や防具を置いておく場所が必要です。それに、素材を集めて、鍛冶屋に武器や防具を作って…
続きを読む2020/04/05
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その2)
私は、ディアス。このくだりも何回か行っていると飽きてきます。 今、私はヤス様が保護を約束された子供たちと一緒にアーティファクトに乗っています。東門から西門に向かっています。 「ディアスお姉ちゃん。今度はどこに行くのですか?」 ”お姉ちゃん”いい響きです。カイル君はやんちゃな弟という感じで、イチカちゃんは好奇心が旺盛な妹という感じです。 「今度は、学校に行きます。イチカちゃんたちがこれから神殿の都(テンプルシュテット)で生活するのに必要な知識を学べる場所です」 「え?学べる?何か、教えてくれるのですか?…
続きを読む2020/04/04
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 社会科見学(その1)
私は、ディアス・アラニス。もうすでに、アラニスの姓は捨てたから、今はただの”ディアス”だ。 アデヴィト帝国で生まれたのだが、帝国を恨んでいる。家族を殺されたからだ。そして、私も殺されかけた。カスパルに救われて、私は神殿の都(テンプルシュテット)に住んでいる。 神殿の主であるヤス様にお願いされて、子供たちに神殿を案内している。子供たちは、来たばかりで神殿の施設(地下)に入る許可は降りていないが、神殿の都(テンプルシュテット)の施設なら案内できる。 まずは、魔の森方面に向かう。子供の代表は、カイルとイチ…
続きを読む2020/04/03
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第三話 ヤスの勘違い
「ヤスさん。これは、ですね・・・。そう、そう、子供たちにヤスさんの偉大さを伝えていたのです!はい。多少の誇張は許されるべきです!」 ドーリスが一気に捲し立てるが、ヤスの笑顔の前では無意味に思えてくる。 サンドラも何か言おうとしたが、口を開いてから音にするのは止めた。 「ミーシャ!」 「はい?」 後ろからミーシャの声が聞こえる。 「ミーシャ。悪いけど、エイトと一緒に子供たちに神殿の案内を頼む。そう言えばリーゼは?」 「リーゼ様は、地下です」 「カート場か・・・」 「・・・。はい」 「しょうがないな。まだ…
続きを読む2020/04/02
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二話 ドーリスとツバキと子供たち
「旦那様。旦那様。ツバキ様とドーリス様がお戻りになりました」 ヤスはまだしっかりと目覚めていない。 エイトが持ってきた水を飲んで、頭がと身体が起き出してくるのを感じている。 「子供たちは?」 「幼体は、孤児院に預ける前にギルドで話を聞くそうです」 「そうか、審査は問題なかったのだな」 「はい。幼体の代表が旦那様に面会を求めております」 「わかった。セバスに言って時間を調整してくれ」 「かしこまりました」 「あっそれから、シャワーを浴びたらリビングに行くから朝食の準備を頼む」 「はい」 ヤスがシャワーを…
続きを読む2020/04/01
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第一話 ヤスの帰還
ヤスはセミトレーラを地下に停めた。 「セバス。コンテナの開け方はわかるよな?」 「はい。旦那様」 「降ろすのも大丈夫か?」 「はい。大丈夫です。セミトレーラの切り離しもマルス様から覚えるように言われております」 「そうか、トラクターとトレーラを切り離して、工房に移動しておいてくれ。コンテナは降ろして、物資は皆に提供してくれ、方法は・・・。ドーリスは居ないか?サンドラとミーシャとセバスでやってくれ」 工房に持っていくのは改造ではなく、メンテナンスのためだ。本格的な移動を行ったので、トラクターにダメージが出…
続きを読む2020/03/31
【第七章 王都ヴァイゼ】幕間 ドーリスと子どもたち
私はドーリス。生まれは・・・。わからない。気がついた時には王都のスラムで生活していた。5歳になるときに、孤児院に入った。そこで、お母さんが出来た。王都に行った時に会いたかったけど都合が合わなかった。 王都までヤスさんを案内した。王都では各ギルドを回って、神殿に新たにできるギルドが承認された。すでに根回しが終わっていたがやはり緊張した。現状の神殿の都(テンプルシュテット)の様子が伝わっていたら間違いなく各ギルドは別々に作ると言い出すに違いないからだ。幸いなことに、ヤスさんのアーティファクトの速度が異常だっ…
続きを読む2020/03/30
【第七章 王都ヴァイゼ】幕間 イチカとカイル
私の名前は、イチカ。お母さんが付けてくれた。お母さんと言っても、私を勝手に産んで身勝手に捨てた女じゃない。私を育ててくれて、優しく家族になってくれた人。 お父さんは少しだけ怖いけど、すごく優しい。いろいろ私たちに教えてくれる。カイルなんて、影でも父さんや母さんと呼んでいるのに、お父さんやお母さんの前に出ると、クソジジイやババアと言っている。 カイルは、私の一つ年上だけど、手間のかかる弟って感じ。 今、私たちは住んでいた孤児院から逃げ出して、スラム街のルーサさんの所に来ている。 「カイル!イチカ!逃げ…
続きを読む2020/03/30
【第七章 王都ヴァイゼ】幕間 孤児院
俺がしっかりしないと! クソジジイから初めて頼まれた。 弟と妹たちを頼むと言われた。当然だ。俺の妹と弟だ。絶対に守る! 俺たちの生活が変わったのは、領主のバカ息子が妾のために屋敷を建てると言い出した時だ。 前から、俺たちが住んでいる場所が目障りで何かと嫌がらせをしていた。成人して卒院した兄ちゃんや姉ちゃんが遊びに来たときに教えてくれた。 俺たちは、クソジジイが運営している孤児院で俺を含めて11人の子供が住んでいる。 俺が一番年上だから、長男だ。本当の兄弟や姉妹ではないけど、俺たちは兄弟で姉妹だ…
続きを読む2020/03/29
【第七章 王都ヴァイゼ】第十六話 孤児とユーラット
子どもたちはすぐに見つけられた。 セミトレーラのライトに照らされた子どもたちは怯えていた。 馬が居なくても走る大きな馬車で、大きな目玉から光を放って、自分たちを見ているように見えれば大人でも怖くなってしまうだろう。子どもたちは、粗末な格好で生きているのが不思議な状況になっている者も存在している。 皆が怯えた目でライトが落とされたセミトレーラを見ている。 最初、ヤスが近づこうとしたのだが、ドーリスに止められた。男性が近づくよりも、女性である自分が行った方がいいと判断したようだ。 ドーリスを降ろして…
続きを読む2020/03/28
【第七章 王都ヴァイゼ】第十五話 ユーラットへ・・・到着出来なかった
ヤスと辺境伯が話をしている最中に、物資を積んだ馬車が門を抜けてきた。 馬車を見たヤスが辺境伯に、情報はドーリスに伝えるようにお願いして、その場を立ち去る。 「ドーリス殿」 「クラウス様。もうしわけありません。ヤス様は・・・。その・・・」 「サンドラから聞いていた通りの人ですね」 「え?」 「貴女もですが、ヤス殿は・・・。”よくわからない”という言葉が似合う御仁はいませんね」 「そうですね。数日間、一緒にいましたが本当に”よくわからない”人でした」 コンテナを開けて物資の搬入を始めたヤスを二人が見つめて…
続きを読む2020/03/23
【第七章 王都ヴァイゼ】第十四話 移動中の会話
ヤスは、ドーリスから冒険者ギルドに出された依頼書を見せられて、簡単に説明された。 「ヤスさん。もうしわけありません」 「別に、ドーリスが謝罪する必要はないだろう?」 「でも・・・」 「必要ない。それに、依頼を受けた奴は居ないのだろう?」 「リップル子爵領にあるギルドは不明だけど、他のギルド経由でも依頼を受けた者が居ないのは確認されています」 「それなら別にいいよ」 「え?」 「だって、襲ってきた連中は、俺を殺すつもりなのだろう?」 「そうですね」 「だったら、殺されても文句は言えないよな?」 「ヤスさん。…
続きを読む2020/03/22
【第七章 王都ヴァイゼ】閑話 テンプルシュテットでは・・・
「リーゼ!それはダメだと思うの!」 姦しい声が地下のカート場に響いている。 神殿のカート場に居るのは、ハーフエルフのリーゼ。帝国から連れてこられたディアス。神殿近くに領地を持つ辺境伯の娘であるサンドラ。 それと、ドワーフの方々だ。 「何がダメなの!問題は無い!ね!サンドラもそう思うでしょ?」 「私を巻き込まないでよ。わたしは、調整で忙しいの!」 3人で会話をしているようにも聞こえるが実際には違っている。 リーゼとディアスはカートでならし走行をしている。サンドラは、ドワーフにお願いして愛機をいじって…
続きを読む2020/03/21
【第七章 王都ヴァイゼ】第十三話 問題が発覚した。
『マスター。個体名ドーリスが近づいてきています』 マルスは、居住スペースで寝ているヤスを起こす。 起こすのはそれほど難しくない。 「おはようございます」 ドーリスが運転席にたどり着く頃にはヤスも起きて外に出ていた。 「おはよう。荷物の積み込みか?」 「はい。お願い出来ますか?」 「わかった。コンテナを開けて待っている。この町では何が手に入る?」 「今までと同じです。主に、イモ類です」 「わかった。積み込みの監視は頼む」 「はい。ギルドも人を出してくれるので大丈夫です」 ヤスが監視を気にするのは、2つ…
続きを読む2020/03/20
【第七章 王都ヴァイゼ】第十二話 帰り道
セミトレーラが動き出してしばらく経ってから、ドーリスがヤスに話しかける。 王都に向かう行程ではアーティファクトを動かすには魔力と精神力を使うと思って無駄な話はしないようにしていたのだが、ヤスが大丈夫だと言ったので、ドーリスも気にしないで話しかけるようになった。 「ヤス殿」 「そうだ!ドーリスも、”殿”とか”様”とか付けないで欲しいけどダメか?」 ヤスは、以前から気になっていたのだ。 ”殿”とか”様”とか言われるのが好きじゃない。できれば、神殿の主と言われるのも止めてほしいと思っていた。 「良いのです…
続きを読む2020/03/19
【第七章 王都ヴァイゼ】第十一話 王都にて
ヤスは、居住スペースで目を覚ました。 『マスター。おはようございます』 『マルスか?』 『はい。報告はエミリアがいたしますが、昨晩は、誰からも攻撃はありませんでした』 『そうか、ありがとう。ドーリスは?』 『まだ来ていません』 『わかった。近くに来たら教えてくれ』 『了』 ヤスが起きてマルスに指示を出している頃。 ドーリスは、冒険者ギルドで神殿の都(テンプルシュテット)の承認申請を行っていた。すでに根回しは終わっているので、軽く質問されただけで終わった。 ギルドマスターになる祝詞を宣言するだけで終わ…
続きを読む2020/03/18
【第七章 王都ヴァイゼ】第十話 王都到着
ヤスが門の前にセミトレーラを止めると、護衛の兵士がセミトレーラの前方にやってきた。 顔が引きつっているのがわかる。ヤスは笑いをこらえて、ライトを落としてからセミトレーラのエンジンを停止した。エンジン音がなくなり静寂が訪れる。 「ヤス殿。ハインツ様と話をしてきます」 「わかった。一旦降りるけど、俺は中で待っているよ」 「わかりました」 ディアナの座席の配置の関係で、先にヤスが降りなければならない。ついでドーリスが降りる。 1人の男性が近づいてきたので、ヤスは警戒しながらエミリアに命じて結界を解除する。…
続きを読む2020/03/17
【第七章 王都ヴァイゼ】第九話 交渉と王都へ
ヤスの交渉は難航した。 理由は簡単だ。ヤスが”金貨”しか提示しなかったからだ。今回は、王都で大量の物資を買うので細かい硬貨よりも金貨で精算しようと思っていたのだ。足りなければ、ギルドから引き出せばいいと考えていた。 街々での購入も、ギルドに預けている硬貨で購入すればいいと思っていたのだ。 「村長。ヤス殿の条件でよろしいですか?」 「問題はありませんが、ヤス様はよろしいのですか?」 交渉をさっさと切り上げたいのは、村長もドーリスも同じだった。 ヤスが拘っているだけなのだ。そこで、ドーリスはヤスから条…
続きを読む2020/03/16
【第七章 王都ヴァイゼ】第八話 寒村は宝の山です
「ドーリス。こっちでいいのか?」 「はい。間違いないです」 「わかった。速度を落とすから、曲がるのなら教えてくれ」 「はい」 ヤスは、山道を走っている。 山道と言ってもほぼ一本道だ。山道に進路を変更するときに、ドーリスの指示が遅れてUターンして戻った経緯があるので、ヤスはそれから速度を緩めるようにした。 「今更だけど、今から向かう村の名前を教えてくれ」 「そうでした。説明していませんでした。村の名前は、『エルスドルフ』という名前です」 「なぜその村に塩を届ける?」 「何も無い村で、交易品が無いので塩の購…
続きを読む2020/03/08
【第七章 王都ヴァイゼ】閑話 クラウス・フォン・デリウス=レッチュ辺境伯
フォルツから報告を聞いた。 神殿の主は、強者の雰囲気は一切纏っていないと説明された。フォルツが腰の剣を振り下ろせば殺せると思えてしまったようだ。 しかし、フォルツが試しに殺気を神殿の主に向けて踏み込もうとした瞬間に自分が殺されているビジョンしか見えてこなかったと言っている。強者ではないが、逆らってはダメな人間だ。フォルツは、儂に進言してくる。 「クラウス様。神殿の主。ヤス様と敵対しないでください。敵対したときには、全力で逃げてください。何分間の時間を稼げるかわかりませんが全力で間に入ります。もしかした…
続きを読む2020/03/07
【第七章 王都ヴァイゼ】第七話 領主からの依頼
ヤスはエミリアに命じて結界を解除した。 「ヤス殿。感謝します」 コンラートが近づいてきて、まずヤスに感謝の言葉を口にした。 ヤスはコンラートの言葉を流しながらドーリスに話しかける。 「いや、それは良いけど・・・。ドーリス。もう出られるのか?次の街に行こう」 「いえ、領主から依頼がありまして、その関係で彼らに来てもらいました」 襲撃犯を完全に無視してヤスとドーリスは話をしているのだが、目の前で拘束された連中がなにか文句を言っている。 「・・・。はぁ・・・。ドーリス。そこで転がっている芋虫以下の奴らは潰…
続きを読む2020/03/06
【第七章 王都ヴァイゼ】第六話 アーティファクトは偉大です?
ドーリスが各ギルドを回って神殿への不干渉を取り付けて冒険者ギルドに戻ってきた。 「ちょうど良かった。ドーリス。塩を積んだ馬車と護衛が到着した」 「よかった。それでは行きましょう。ヤス殿が待っている・・・。と、思います」 「なぜ言い切らない」 「アーティファクトの中で寝ている姿が想像出来たので・・・」 「寝られるのか?」 「寝られます。私は入っていませんが、リーゼとアフネス様とダーホスとイザークは乗ったと言っていました」 「そ、そうか?でも、アーティファクトと言っても安全では無いのだろう?寝るとは・・・」 …
続きを読む2020/03/06
【第七章 王都ヴァイゼ】第五話 攻撃?0%なら怖くない
ドーリスが、領主とコンラートに神殿の主であるヤスについての話をしている頃・・・。 当のヤスはエミリアでダウンロードしてあった小説(ラノベ)を読みふけっていた。普段は、書籍を購入していたがネット小説はオフラインでも読めるようにダウンロードしてあったのだ。続きが読みたいと思うのだが、続きはまだ表示されていない。アクセスをしているようにも思えるので新作が出てくるのを少し期待しているのだ。 (まだ掛かりそうだな。一眠りしておくか?) エミリアに表示されている結界の様子を見ながらヤスは身体を横にした。 『マスタ…
続きを読む2020/03/06
【第七章 王都ヴァイゼ】第四話 ヤスは?不在でも話は進む
ドーリスは神殿の状況とヤスに関して感じたことを率直に語った。 あたたかいお茶を口に含んだ。神殿で出されたお茶よりも美味しく感じない。領主が一緒なので、お茶にも気を使っているのだろうが神殿で出されたお茶の方が美味しく感じてしまっている。 「ドーリス殿。今の話はどこまで真実なのですか?」 話を聞き終えた領主が最初に言い出した。 「全部です。信じてもらえるとは思っていませんが、事実だけを語っています。感じたことやサンドラさんと考察したことを含めたらもっと荒唐無稽な話になってしまいます」 ギルドマスターであ…
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