高校生の記事一覧
2021/09/13
【第一章 スライム生活】第十一話 裏山
やること(復讐)は、私の中で決定した事柄だ。 そのためには、私は弱すぎる。 幸いなことに、魔物(スライム)になってしまった。魔物(スライム)には、日本の法律、だけではなく、世界中のどの国の法律も、適用が不可能だろう。魔物に感情があり、知恵があるとは思われていない。そもそも、弱肉強食の世界だ。いつ、どこで、殺されても不思議ではないのが、魔物の世界なのかもしれない。 せっかく作った裏庭の池。 ビオトープではないが、水草や周りの環境も整えたい。本当なら、街に出て、ジャンボエンチョーとかで買い物をすれば、…
続きを読む2021/09/12
【第一章 スライム生活】第十話 里見茜
私は、里見茜。 ギルド日本支部で、働いている。英語が活かせる職場だと聞いて、応募した。学生の時に、機械学習を専門にやっていたことを認められて、喜んで居た。過去形だ。こんなに、ブラックな状態になるとは考えても居なかった。 「茜!今日・・・。も、無理そうね」 「うん。ごめん。無理」 「主任は?」 「おじさんたちとデート」 「それは、ご愁傷さま」 「貴女の部署の上司も含まれているのだけど?」 「え?聞こえない。聞こえない。あのハゲは、滅ぼしていいよ。誰も困らない」 「でも、次の会長選に出るのでしょ?」 「え?…
続きを読む2021/09/11
【第一章 スライム生活】第九話 練習
僕が得たスキルは、ギルドで検索を行っても”未知”のスキルのようだ。 やはり、僕だけの素晴らしいスキルなのだ。 当然だ。魔物(スライム)にしてしまうという凶悪なスキルだ。もしかしたら、ギルドは、この偉大なスキル”魔物化”を知っていて、Aランクという規格外のスキルを隠しているのかもしれない。 そうなると、僕もスキルを隠したほうがいいだろう。 スキルを隠すようなスキルを取得すればいい。 なんだ、簡単なことだ。 僕には、魔物を作り出せる能力がある。 スライムを作って、殺せばいい。 どうする? 誰…
続きを読む2021/09/10
【第一章 スライム生活】第八話 スキル
気持ちよかった。スライムボディは本当に優秀だ。 今になって気がついたけど、もしかしたら・・・。家に帰ったら試してみよう。たしか、丁度いい物があったと思う。私は興味が無かったけど、ママのママが買ってくれた。あまりにも興味がなかったから、天井裏に入れたままになっている。 まずは、アイテムボックスの整理だ。 アイテムリストを見る。 え?ほぉ・・・。並び替えが出来るようになっている。使っていると、レベルでも上がって、機能が増えるの? ゲームみたいだけど・・・。まぁ便利になるのだから、文句はない。 試し…
続きを読む2021/09/09
【第一章 スライム生活】第七話 ギルド日本支部
「主任!」 「どうした?」 主任と呼ばれた女性は、部下の女性からの呼びかけに、資料に落としていた目線を上げる。 「今日の会議での資料です」 「ありがとう。また、ハゲオヤジたちの相手をしなければならないのか・・・。代わりに出ては・・・」 部下の女性は、にっこりと笑ってから勢いよく首を横に降る。 「ギルド内の会議だけならいいのだけど・・・。なんで、利権にしか興味がない議員先生が出てくる必要がある」 「ギルドが利権の塊にでも見えるのでは?」 「赤字団体だぞ?私たちの給料だって、実動部隊を除けば・・・」 「主任…
続きを読む2021/09/08
【第一章 スライム生活】第六話 家
うーん。 ソファーに座り?ながら考える。 学校に行けない(最終学歴は、中卒になるのか・・・)以外で、困ることがなさそうだ。 両親たちの保険が、口座に残っている。多分、前の生活を続けても、死ぬまで困らなかっただろう。 困るのは、食事くらいかと思ったが、スライムボディは優秀だ。一日が経過したが、食事をしたいとも、排泄をしたいとも、思わない。困るのは、睡眠が必要ないこと・・・。正確にいうとしたら、睡眠が出来ないことだろう。目を瞑っても、周りが見えてしまう。そもそも、目を瞑っているのかさえもわからない。 …
続きを読む2021/09/07
【第一章 スライム生活】第五話 魔物化
”なぜ、僕の呼び出しに、誰も・・・” 僕が、魔物化という素晴らしいスキルを得てから、何度も呼び出しているのに、奴らは、一人として呼び出しに応じない。 実験で、待ち合わせ場所に来ていた女子をスライムには出来た。 — 「よし!メッセージは送られた!」 彼は、覚えているアカウントに対して、呼び出しのメッセージを送った。 自分のアカウントだと、知られないように、フリーのアカウントを取得して使っている。 普通に考えて、知らないアカウントから、”お前の秘密を知っている。バラされたくなかったら・・・…
続きを読む2021/09/06
【第一章 スライム生活】第四話 魔物
遅かった。 私の考えが、足りなかった。 私は、このまま魔物(スライム)生を終えてしまうのだろうか? 山の頂上から、丸くなって転がった・・・。までは、よかった(と、思いたい)。木々にぶつかっても痛くは無かった。岩にぶつかって止まってしまったことは有ったが、問題ではなかった。 転がっている最中に、名前が把握できている草木を、取り込みますかと連続で言われて、面倒になって、自動で取り込めないかと考えたのも問題ではない。その結果、自動採取という項目が増えたのも、問題ではない。何も、問題ではない。アイテムボッ…
続きを読む2021/09/05
【第一章 スライム生活】第三話 自衛官
ドアがオックされる音で、部屋で書類を整理していた男は、顔を上げる。 「少佐。報告に来ました」 「入ってくれ」 「はっ」 ドアを開けて入ってきたのは、自衛隊の標準的な制服を来た。男性隊員だ。部屋の主である。少佐と年齢は同じだ。防衛大の同期なのだ。階級に差が出来てしまっているのは、中尉が”不良隊員”だと嘯いて実際に行動で”不良”を示してしまったからだ。 少佐と呼ばれた男は、報告に現れた男の顔を見て、一瞬だけ驚いた表情をした。 上から、本日付けで、少佐の副官が変わると通達が来ていたのを思い出した。上の考え…
続きを読む2021/09/04
【第一章 スライム生活】第二話 山道
学校のなんとも言えない状況を知ってしまった、女子更衣室を抜けて、プールから山道に入った。 山道を、人の足で5分ほど歩けば、小屋が有るはずだ。まずは、小屋を目指す。スライムの身体での、移動時間の目安になるだろう。 私のスライム生は始まったばかりだけど、かなり慣れてきた。跳ねる移動方法も、最初は”うさぎ跳び”の要領で疲れてくるのを心配したが、歩くように移動できる。手が無いのも、触手?を伸ばすことで対応できる。もしかしたら、人だったときの感覚とスライムの感覚が混じって使いやすくなっているのかもしれない。今も…
続きを読む2021/09/03
【第一章 スライム生活】第一話 移動
私は、どうやらスライムになってしまったようだ。 ”魔物になってしまった” なんて例は、掲示板にもギルドにもないだろう。 ”ぽよんぽよん” うーん。自分ながら、可愛い。是非、ペットにしたい。 現実逃避をしていても、何も変わらない。 私が持ってきていた荷物が無い。 そう言えば、着ていた服や下着は?誰かが持っていった?え?やだ! 私・・・。今、全裸? これって、もし、スライムから、人間に戻ったら、全裸になってしまうの? ここに居てはダメだ。 スライムになってしまった理由はわからないけど、ここに…
続きを読む2021/09/03
【第五章 マヤとミル】第十八話 神殿の拡張
ミルは、生き残れていないと判定されてしまうのではないかと考えているようだ。アドラの気持ち次第かもしれないが、多分ミルはまだ排除されていないように思える。アドラなら、負けが確定した時点で、無条件で白い部屋に戻すだろう。 「俺は、ミルはまだ大丈夫だと思っている。でも、たしかに、可能性は広げたほうがいいな」 「うん。僕もそう思う」 「マヤは?」 「うーん。まだダメ」 「そうか、マヤが活動出来るようになったら、話をしよう」 「うん。でも、瞳たちと協力体制は必須だと思うよ?」 「そうか?」 「うん。生き残るだけなら…
続きを読む2021/09/02
【序章】第三話 スキル
怖い。怖い。怖くない。怖くない。怖い。怖い。怖くない。僕なら・・・。そう、僕は、選ばれた存在だ。 一般の人なら見つけられない。コボルトを見つけた。これで、僕の目的が果たせる。 犬と言うよりも、出来損ないの狼男だな。 出来損ないなら、完璧な僕が負けるわけがない。理科準備室は、入られなかったけど、調理クラブに入られて、包丁も借りてきた。ナイフも有った。そして、胡椒と一味を振りかければ、犬科なら撃退できるだろう。やはり。僕は天才だ。 まずは、真っ直ぐな場所に誘い込む。 そこで、一味をぶつける。怯んだ時…
続きを読む2021/09/01
【序章】第二話 登校日
表現には注意していますが、”いじめ”や虐待の描写があります。苦手な人は、スキップしてください。 — なんで、夏休みなのに、学校に行かなければならない? アイツらに会いたくない。僕が何をした。何もしていない。 パパは、助けてくれない。それどころか、僕がアイツらに言われて、パパの財布からお金を盗んでも何も言わない。最初は、1,000円だった。それが、5,000円になって、10,000円になった。パパは、僕に無関心なのだ。僕が、殴られて、顔を腫らして帰ってきて何も言わない。見てもくれない。 …
続きを読む2021/08/31
【序章】第一話 え?
空想上の生き物が目の前にいる。 違う。正確には、ガラスに映るのは、私だ。でも、私ではない。 『認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを・・・』 ダメだ。現実は、何も変わらない。 私史上、言ってみたいセリフの15位(適当)を呟けない。 これってあれだよね? ニュースで流れていた。”モンスター(魔物)”。 私も、人並みにゲームを嗜むから、すぐに理解できた。日本に、地球に、魔物が発生した。そして、モンスターを討伐すると、”スキル(異能)”が芽生える。始めて討伐するときには、高確率で…
続きを読む2021/08/28
【第五章 マヤとミル】第十七話 拡張の理由
ブロッホは、謝罪するかのように頭を下げて、何も語らない。 「ブロッホ!」 マヤが無理をして、ミルを危険に晒すような行為を、”なぜ”俺に相談をしないで実行した。その理由が知りたいだけだ。 「リン。ブロッホは、悪くない。僕とマヤで決めた」 「ミル・・・。だから、”なぜ”を知りたい」 「リン。この神殿の、最初の拡張はリンがしたよね?」 「あぁ皆が過ごしやすいように・・・。虐げられた者たちでも、安心できる場所を作りたかった」 「うん。ロルフから話を聞いた。上位種であるアウレイアやブロッホは別にして、リデルやヴェ…
続きを読む2021/08/16
【第五章 マヤとミル】第十六話 管理者
「アウレイア。他には、魔力溜まりは見つかっていないのだな?」 『はい』 「ミル。見つかった魔力溜まりは任せていいよな?」 「うん。マヤと相談するけど、問題はないよ」 「それなら、神殿に戻るか?」 『マスター。眷属を、魔力溜まりの監視に残したいと思いますが、ご許可をいただけますか?』 監視は必要だな。それに、魔物が必要でも、間引きはしておいたほうがいいよな。 「そうだな。監視は、必要だ。ミル。いいよね?湧いた魔物の、間引きを含めて、アウレイアたちに頼んでも?」 「うん」 アウレイアたちには、引き続いて森の…
続きを読む2021/08/11
【第五章 マヤとミル】第十五話 嫌がらせ
『マスター!新しい、魔力溜まりを発見しました!』 「はぁ?」 街道までの距離を計測していたアウレイアからの報告だ。 『アウレイア。どういうことだ?』 アウレイアからの報告では、街道近くに新しい魔力溜まりができていて、低位の魔物が産まれ始めているという報告だ。 「ミル。どうする?」 「うーん。アウレイア。その場所って、神殿からどっちの方向?」 ミルが、普通に俺と話をしながら、アウレイアに繋げるという器用なことをしている。俺も練習をしてみよう。できるようになれば、いろいろなことができる。 アウレイアの報…
続きを読む2021/07/31
【第五章 マヤとミル】第十四話 魔力溜まり
「ミル!」 「大丈夫」 魔力溜まりに飲み込まれる状態になっている、ミルの声だけが聞こえてくる。 気のせいかも知れないが、魔力溜まりが小さくなっているように思える。 『マスター?』 「わかっている。周りには魔物は居ないのか?」 『はい。すでに駆逐しました』 「そうか、ありがとう」 魔物が湧いて出る様子もなくなった。周りを警戒していた、眷属たちが戻ってきている。 皆が、小さくなっていく魔力溜まりを見つめている。 5分くらい経って、ミルが顔を出す。 「ミトナルさん?」 「あっ・・・。説明、忘れた」 魔…
続きを読む2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十三話 ミルと狩り?
「リン。おはよう」 「マヤ?」 「うん!」「リン。今日は、マヤが身体を使う」 二人で取り決めでもしたのか? ミルが妖精の姿で、俺の肩に止まる。 「リン。僕。今日は、ロルフと神殿の調整を行うけどいい?」 「え?調整なら俺が行うぞ?それに、言ってくれたら、施設を作るぞ?」 「・・・。リン。僕にやらせて、お願い」 「・・・。わかった。無理するなよ?神殿の調整には魔力を使うぞ」 「うん!大丈夫だよ!ありがとう」 マヤがミルの止まっていない方向から抱きついてきて、頬に唇をあてる。 「マヤ!」 ミルが、俺の耳元…
続きを読む2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十二話 マヤとミル
「ふっふん!いいよ!ミル。リンに確認してもらおう!」「わかった」 マヤがミルの肩に移動している。 二人で一緒に詠唱を始める。 ん?魔法やスキルの呪文ではないな。はぁ・・・。フュ○ジョン?誰の仕込みだ?7つの珠を集めて、ギャルの(以下、自粛)。 光が二人を覆った。眩しいほどではないが、直視していると目が痛くなりそうだ。光は、それほど長い間は光っていなかった。 「え?」 間抜けな声が出てしまったが、しょうがないだろう。 光が収まったところに立っていたのは・・・。 「マヤ!」 それも、全裸の状態に戻…
続きを読む2021/06/17
【第五章 マヤとミル】第十一話 全裸で復活?
「リン!ミルになんてことをするの!僕は、リンと居られるのなら、姿なんてどうでも良かった!リン!聞いているの?」 小さな小さな羽が生えている。不思議な形をした生き物だが・・・。マヤだ。マヤが、俺に話しかけている。 「マヤ」 「リン!僕のことは、いいの!なんで!ミルを犠牲にしたの!僕、本当に怒っているのだよ!」 マヤが、名前を呼んでいる。 手を伸ばす。 「・・・。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。・・・」 「え?リン?何?」 マヤを両手で包むようにして、抱き寄せる。 温かい。小さな小さな妖精になってしまっ…
続きを読む2021/03/25
【第五章 マヤとミル】第十話 依代
「旦那様」 俺が、ミルに魔力を循環させてから、どのくらいの時間が経過しているのか・・・。循環を行っている魔力が、ミルの身体に溶け込むようになった。 「どうした?」 ブロッホが何か慌てだす。 「旦那様。依代を用意したほうがよろしいかと・・・」 「依代?」 「はい・・・」 ブロッホの説明では、 ミルとマヤが、一つの身体に共存しようとして、身体が耐えきれなくなっている。ミルの身体では、2つの魂の入れ物には小さくなってしまっている。俺が、魔力を循環させたことで、ミルの身体の崩壊は止まったのが、マヤとミルの存在…
続きを読む2021/03/07
【第五章 マヤとミル】第九話 執事からの提案
ブロッホが、眷属たちの意見をまとめてくれた。 ロルフも意見をまとめるのを手伝ったようだ。 二人からまとめられた意見をもとに、神殿の内部を変更した。 俺が専用で使う部屋を用意した。マヤとミルが眠っている祭壇の横に作られた。ジャッロやヴェルデやビアンコからの要望だ。俺の部屋が無いのを気にしていた。俺は別に必要ないと思ったのだが、ブロッホから皆が安心するためにも、俺の部屋が必要だと言われた。拠点となるように、寝室と執務室を作った。調度品は、とりあえずはポルタ村から持ってくることに決めたようだ。 寝室の奥…
続きを読む2021/02/17
【第五章 マヤとミル】第八話 執事と施設と
施設の調整を行って、一息ついていたところに、ロルフと老紳士が入ってきた。 ロルフは、入り口で立ち止まったが、老紳士が俺の前まで来て綺麗な所作で跪いた。 「旦那様」 ブロッホ(黒竜)だと言うのは解っているが、理解が追いつかない。髪が長かったはずが、短く切りそろえている。白髪が老紳士を演出している。服装も、ポルタ村では絶対に無かった服装だ。貴族家の執事が着ているような服を身にまとっている。 「え?ブロッホ?」 「はい。旦那様。ロルフ様から、旦那様に仕えるなら、執事の格好にしたほうが、違和感が少ないと教えら…
続きを読む2021/02/01
【第五章 マヤとミル】第七話 眷属長?
「わかった。味方は欲しい」 ”ありがとうございます” オーガには、ラトギの名を与えた。黒竜には、ブロッホの名を与えた。 ブロッホは、ワイバーンを眷属にしていたために、その者たちも眷属に加わる。 ラトギは進化の兆しが見えた為に、ヒューマに命じて里に移動させた。 ブロッホは進化を抑え込んだようだ。種族的な進化はしなかったが、スキルが大幅に進化して、ブロッホは”人化”できるようになった。 「リン様」 全裸の状態で、俺の目の前で跪いているブロッホが居る。 どうしていいのか迷っていると、人化を解いて竜に戻…
続きを読む2021/01/17
【第五章 マヤとミル】第六話 来訪者
暖かい(温かい)食事だ。心にある澱みが消えていく感覚だ。 どのくらいの時間が経過したかわからないが、リンの周りには眷属たちが嬉しそうな表情で集まっている。 照れ隠しなのか、近くにいた眷属に話しかける。 「そういえば、ロルフは?」 「まだ、お帰りになっていません」 「そうか・・・。困ったな」 「マスター。何に、お困りなのですか?」 ”困った”というセリフがリンの口から出た事で、眷属たちは一気に緊張の度合いを高める。 ヴェルデ(ゴブリン)だけではなく、話を聞いていた、ビアンコ(コボルト)やジャッロ(オ…
続きを読む2021/01/01
【第五章 マヤとミル】第五話 眷属
ミルは目を覚まさない。魔法陣が消えれば、”起き出す”と言われた。原因は、わかっている。マヤが怒っているのだろう。 心臓は動いている。血色もいい。明日ではなく、今にも起きそうだ。 でも、ミルは起きてこない。 ”マスター” 誰かが呼んでいる。 「ロルフ?」 ”いえ、ロルフ様は、ヒューマと外に出ています” 「外?なにか有ったの?」 ”いえ、定時の見回りです。それと、眷属に接触があった者を向かい入れるための準備をしています” 「ん?あぁロルフがなんか言っていたな・・・」 確か、4-5日前にアイル(スコル(…
続きを読む2020/12/17
【第五章 マヤとミル】第四話 ギルド
「タシアナ!イリメリは?」 「まだ!フェムと一緒に外に出ている!」 「はぁ?それなら、ルナは?」 「金髪(ローザス)に呼び出された。それよりも、今日の面接はどうするの?」 「そっちは、ギルドマスターに頼んだ!」 「わかった。サリーカ。私も・・・」 「あ?!あぁそうだね。お願い」 ギルドは、認知され、活動を開始した。王都が荒れたタイミングでの開業だった。そのために、認知される速度も早かった。 王都に貴族たちが混乱して、暗殺だけではなく、町中での襲撃が発生する自体になっている。 当初は、王都だけで収まって…
続きを読む2020/10/26
【第五章 マヤとミル】第三話 神殿
「マスター。眷属たちに食事を配り終えました。にゃ」 「ありがとう。ロルフ。マヤの様子は?」 「・・・」 「ロルフ!」 「はいにゃ!神殿に、マヤ様の気配はないにゃ」 「どういうことだ?」 「わからないにゃ」 ミルの首筋を触るが、脈はあるので生きているのは確認できる。鑑定で見てみるが、以前に見た情報と変わっていない。マヤに変わった感じはしていない。 マヤだけが消滅したのか?それなら、ロルフは”気配がない”とは言わない。”消滅した”と説明するだろう。 「ロルフ。どうやって、マヤが”居る”と判断している」 「は…
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