復讐の記事一覧
2020/04/20
【第三章 秘密】第三話 会話
「夕花」 「はい。晴海さん」 晴海は、夕花を自分が座るソファーの前に座らせた。 「夕花の事を聞きたいのだけどいいかな?」 「私の事ですか?」 「そうだ」 「・・・」 夕花は、晴海がどんな答えを望んでいるのかわからない。わからないが、必死に考えた。 「どうした?」 「いえ・・・。お話できるような事はないと思います」 晴海は少しだけ困った顔をする。しかし、夕花に問題があるわけではない。晴海に大きな問題があるのだ。話を聞きたいとだけ言われて、どんな話をすればいいのか考えられる人間がどれほど居るだろうか? …
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【第三章 秘密】第二話 準備
「晴海さん」 「夕花。部屋で待っていてくれ。外からノックを3回したら鍵を開けてくれ」 「はい?」 「今から少しコンシェルジュに忘れた頼み事をしてくる」 「わかりました」 晴海は、夕花に先に部屋で待っているように言って、自分は一度ロビーに戻った。 コンシェルジュに頼んでおきたい事が有ったからだ。 「文月様。何か?」 「もうひとつの部屋の事を問い合わせた者が居たら教えて欲しい」 「かしこまりました。どの様にお伝えすればよろしいでしょうか?」 「端末にメッセージを遅れるだろう?」 「はい。大丈夫です」 「秘匿…
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【第三章 秘密】第一話 部屋
六条晴海が、待っている場所まで、文月夕花を連れてきたのは、赤髪の女性だ。 エスコートしているというセリフが似合っている。 「ご主人様」 「夕花。綺麗になったね」 少しだけ俯いて頬を赤く染める。 「よろしいのですか?」 「問題ない」 六条晴海は、赤髪の女性から、文月夕花の手を渡された。 紙幣を丸めた物をチップとして渡す。一礼して女性が立ち去った。 文月夕花はどうしていいのかわからないようだ。 「夕花。座っていいよ」 「はい」 そう言われても、六条晴海はラウンジにあるバーカウンターに座っている。横…
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【第三章 秘密】閑話 夕花
私の名前は・・・。あんな奴の名字なんて名乗りたくもない。 考えただけで・・・気分が・・・。悪くなる。 父は、愚者だった。 お金が欲しいくせに、汚い癖に他人に悪く言われるのがイヤで他人には文句を言わない。母にだけは強く出られる小心者だった。 働き者ではなく、小心者と怠け者で自分で考えることができない愚者だった。 父は、知人から持ちかけられた共同経営の話に乗った。 最初は会社がうまく回ってかなりの売上が出ていた。歯車が狂いだした。最初は些細なミスだったのかも知れない。父は、他人から責められる事に我…
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【第二章 落札】第三話 合流
全身コーディネートコースまで存在している。 ケチってもしょうがないよな。 「下着や服を、夕花に選ばせる事はできるのか?」 「もちろんできます。ご予算をおうがいいたしますが、文月夕花様に予算内で選んでいただく事ができます」 全身を一番高い物で固めてもそんなに高くは無いな。 女性物の服は・・・あるにはあるが、あれを着せる事はできない。 「わかった。次の事を夕花に伝えてくれ、 ・換えの下着と服。7日分を140万以上200万以下で揃えろ。 ・靴は5足。カジュアルとフォーマルを一足ずつと街歩き用を一足と山歩き…
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【第二章 落札】第二話 契約
今、僕は落札が成立したとして部屋に通された。 部屋の中にいる執事風の男性がいて、これからの手続きを説明して貰った。 目の前にある端末には、僕が落札した本人が希望をつけた奴隷契約書がある。 内容の説明を聞いた。 — 奴隷契約書 法規で定められた云々から始まっている。 ん?条件が何も書かれていない。 執事風の男性に質問する事にした。 「これでいいのですか?条件が書かれていません。通常、解放の条件や待遇が書かれていると先程お聞きしました」 「はい。通常ではそうです。18番からの条件は口頭…
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【第二章 落札】第一話 締切
壁のタイマーが残り60分をしめした。 館内放送でも同じ事が告げられる。 入札を終えた人たちはひとまず入札をしなかった奴隷の部屋を最後に見て回っている。 必ず入札が成立するわけではない。相思相愛にならないと落札できないのだ。 問題なのが、複数に入札を行った者が両方の奴隷を落札してしまった時だ。 この場合には、先に入札を行った方が優先される仕組みになっている。奴隷側には、複数入札が解るようになっているので、選ぶときの指標にもなる。 壁のタイマーが徐々に少なくなっていく。 残り10分になると、廊下…
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【第一章 入札】第二話 入札
全部の情報を取得したときには、ちらほら入札が行われたルームが目立ち始めた。 入札が行われると、入札数が表示されるのだ。入札数が1だと入札は流れる事になっていると説明された。不正防止なのだろう。 /// ルーム18 性別:女性 年齢:18 出身:駿府 希望:殺してくれる人 特記事項: なし。 /// 居た! 赤い印が付いている。それでいて、特記事項がない。特記事項に書けないほどの事情を持っている。 僕の望みにこれほど近い奴隷は居ない。それで死にたがっている。 ルーム18には、すでに入札が4件され…
続きを読む2020/04/19
【第一章 入札】第一話 見学
僕は、六条(ロクジョウ)晴海(ハルミ)。 見た目は、純粋な日本人・・・には見えないと思う。左腕が肩からなくなっている。今は、生体義手を付けているので生活に不自由する事はない。新型で、防水・防塵・熱感知機能まで付いている特級品なのだ。外装部分に使っている皮膚も僕の細胞を培養して作られた物だ。指先はわざと機械の指にしている。義手である事が解る様にしている。 日本人に見えないのは、目の色が特徴的なのだ。右目が黒で左目が青の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)だ。 目だけではなく、殺人事件の事件の被害者となり、僕だけ…
続きを読む2020/04/06
【第四章 復讐】第一話 赤い手毬花
(スズ。ありがとう) 「え?」 私は、掘り起こした場所を、”ぼぉー”と眺めている。 本当に、マホが見つかるとは・・・。違う。まだ、マホだと・・・。ううん。マホだ。私の記憶している服装と同じだ。片方の靴が無いが、マホがよく履いていた靴だ。スカートも破れているが、マホが着ていたスカートと同じだ。 誰が・・・。いや、解っている。杉本だ。許せない。許せない。許せない。 許せなければどうしたらいい。 そうだ、簡単だ。 マホと同じ苦しみを味わえばいい! そうだ、殺そう。 簡単だ。 立花を、西沢を、日野…
続きを読む2020/04/05
【目が覚めるとそこには】夢で終わらない
あぁこれは、いつもの夢だ。誰にでも、1つくらいあるだろう。 同じような夢。疲れた時に見る夢。誰かを殺したいと思っている時に見る夢。 窓も、ドアも、部屋の調度品がなにもない部屋。上も下もわからない白い部屋に私が全裸で居る夢をよく見る。 私は、部屋の中を抜け出すために走りまくる。床だけでなく、壁や、天井を使って、走りまくる。走って、走って、走って、疲れ切って、倒れる。最後は、なぜか部屋から抜け出す。 その時に、必ず振り返ってしまう。白かった部屋が、真っ赤に染まったシーンで目をさます。 目を覚ますと、…
続きを読む2020/04/05
【第三章 託された手紙】第六話 青い手毬花
「それで、沙奈。いつにする?」 克己が沙奈に予定を訪ねる。 「そうね。美和さん。次のお休みは?」 沙奈は、美和の予定に合わせるようだ。 「土日なら休めるわよ」 鍵となる鈴の予定を最後に聞いたのは、鈴の予定次第でスケジュールを決めなければならないためだ。 「鈴さんは?」 「え?あっ私も大丈夫だけど、進さんが休みの時がいいかな?唯をお願いできる」 鈴はいつでも大丈夫だというが土日だと唯の学校が休みで家に居る。 進が居ないと1人に鳴ってしまうのは心配だと考えた。 「それなら、土曜日だな。日曜日は呼び出し…
続きを読む2020/04/04
【さよならの理由】取られる事の無いコール
もう、貴方の事は忘れたほうがいいの? もう、連絡帳にも入れていない、貴方の連絡先。 消すまでに、1ヶ月掛かったのよ? 消してからも、指が、心が、体中が覚えてしまった、貴方の連絡先。 連絡帳から選択しないでも、貴方の電話番号をコールする事ができる。 ダメな事だとは理解している。 この取られないコール音だけが、私と、貴方を繋ぐ。細い。細い。細い。一本の糸。 けして繋がる事がない。一本の糸。 あれから、コール音を何回聞いた?出るはずが無いコール。1回、2回、3回、4回、解っている事だけど、コール…
続きを読む2020/04/04
【第三章 託された手紙】第五話 記憶
「はい。マホが私に”見つけてほしい”と言っています。見つけて、帰ってきて欲しいです」 鈴の宣言を聞いた4人は覚悟を決めた。 「美和。悪いけど、沙奈を呼んできてくれ」 「わかった。子供たちの様子も見てくるね」 美和が部屋から出ていく。追い出したわけではない。今後の動きを確認するためと、行動するのなら沙奈が居たほうがいいと判断したのだ。関係者だけで行動するよりも、部外者が居たほうが言い訳ができる。 「克己。どうする?内容から、俺は動けないぞ」 「そうだな。桜と進は動かないほうがいいだろうな」 「進は絶対にダ…
続きを読む2020/04/02
【第三章 託された手紙】第四話 邂逅
鈴は、マホが自分を恨んでいると思った。だから手紙を唯に渡して、届けさせたのだと考えたのだ。 「鈴!鈴!いいか、手紙が、本当にマホが書いた物なら、お前や進や唯を恨む内容ではない。大丈夫だ。マホがお前たちを恨むはずがない。鈴やなつみを恨んでいるのなら、同窓会のときに対応していたはずだ。だから、鈴。大丈夫だ」 克己が鈴を見てはっきりと宣言する。進も同調する。 「・・・。進さん。・・・」 年齢で言うと、鈴だけ年下になる。それでも、一児の母親だ。自分の子供に被害が及ぶかも知れないと思って恐怖を感じていたが、手紙…
続きを読む2020/04/02
【3年目の出来事】3周年のチラシ
高校生の男子が1人で住むには、少しだけ不釣り合いなマンションだが、大城(おおしろ)和義(かずよし)は一人暮らしをしている。 よくある理由で、不幸が重なったからだけだ。 高校2年になっているが、部活もバイトもしていない和義は、学校からまっすぐに部屋に帰ってくる。 マンションはオートロック機能がついている上に常時人が居る状態になっている。その上、部屋のドアには監視カメラがついていて、帰ってからでも訪ねてきた人を確認できる状態になっている。 和義が部屋のドアを開けると、白い1枚のチラシが床に落ちた。拾い…
続きを読む2020/04/02
【第三章 託された手紙】第三話 託された手紙
「あ!ママ。忘れ物は見つかった?」 美和と沙奈が制止しようとしたが、唯は鈴に抱きついた。 「うん。ありがとう。見つかったよ。それで、唯。手紙は読んだの?」 「うん!菜々ちゃんが書いたのは先生から貰ったよ!」 「菜々ちゃんが書いた?」 「うん!お休みするときに、書いてくれて、菜々ちゃんのママが持ってきてくれたの!」 唯の話を聞いて、鈴と進は安心した。 やはり、唯の話し方が悪かっただけで、先生が2つ先に居る唯に届けてくれたのだろう。そう考えた。 しかし、桜は唯が不自然だと感じた。 「なぁ唯」 「何?ユウ…
続きを読む2020/04/01
【第三章 託された手紙】第二話 星
唯の話に補足を入れているユウキの言葉が余計に話を複雑にして大人たちを翻弄した。 どうせいつも通りだろうと、その場に居た者たちは唯とユウキの話を聞き流していた。 「遅くなってごめんなさい」 警察の取り調べが終わった鈴が丸大飯店に入ってきた。進が書いて置いた伝言を見て来たのだ。 「鈴。遅かったな」 「桜さん。”遅かったな”じゃないわよ。私に聞いたって何も知らないわよ」 鈴は話を聞くという取り調べを受けていた。 桜が関係していないのは知っているのだが、当たりたくなる気持ちもわかる。 「そうだろうけど・・…
続きを読む2020/03/30
【第三章 託された手紙】第一話 報告
「ママ!ただいま!」 九条唯は、来たときと同じように長嶋校長が運転するバスに乗って家に帰ってきた。 玄関は空いていたので、そのまま家に上がって、母親を探す。 いつもは、パソコンが有る部屋に居るか家事をしているのだが、今日はどこにも居ない。 「あれ?ママが居ない?」 「唯。おかえり。早かったな」 九条(くじょう)進(すすむ)。 唯の父親だ。今日は、仕事が休みで珍しく家に居たのだ。 進の仕事は、船大工で主に漁船のメンテナンスをしている。あとは、メカ音痴の為に魚群探知機やオート操舵のセッティングを行っ…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】幕間 手紙
唯はもらった2通の手紙を眺めている。 (ママに渡してって言われたけど、ママの知っている子なのかな?) そして、唯は知らなかった。 この手紙を、母親である九条(くじょう)鈴(すず)が読む時に新しい犠牲者が産まれる事を・・・。 (マホちゃん?私以外には声をかけなかったけど良かったのかな?もうどっかに居なくなっちゃったけど?) 「唯!」 「うん!」 自分を呼ぶ声に気がついた唯は周りを見回すが、手紙と順番を教えてくれた女の子が居なかった事を不思議に思ったが、気にしないで名前を読んでくれた、タクミの方に急いだ…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】第五話 手紙
唯が1人で寂しい思いをしている時に、手紙のリレーは鳴海から晴海に、晴海からユウキに繋がろうとしていた。 「あ~る~は~れ~た~きょ~う~の~ひ~を~」 晴海に歌声が聞こえてくる。 正直タクミ以外には、なんの歌かわからない。晴海は、一度タクミに聞いたのだが、言葉を濁して逃げられてしまった。 そして、問題ないのは歌詞だけではない音程がめちゃくちゃなのだ。 しかし、晴海は音程が外れた調子の歌声を聞いてユウキが近い事を確信した。 「ユウキ!」 「ハルちゃん!待っていたよ!」 「だから、僕は男だ!」 「解っ…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】第四話 肝試し
夕飯が終わって、キャンプ場に集められた生徒たちは座って、先生が離す怪談を聞いていた。 ”キャァァ!!” ”ヤメロ!” 誰が言ったのは名誉のために伏せておこう。 しかし、タクミたちではない事だけは確かだ。 タクミたちの班は一箇所に集まって話を聞いているのだが・・・。 ”フッフーン。怖くなんて無い” ユウキが口ずさんでいるが、タクミの服の裾を離す気配はない。同じく、鳴海は晴海を後ろに座らせて、自分の背後を守らせている。 怪談は、よくある話だ。 よくある話だけに怖いのだ。そして、積み重ねられた歴史が…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】第三話 タクミの能力?
「ちょっと待て!ユウキ!」 タクミの静止も虚しく、肝試しの順番が最後に決定してしまった。 それには理由もあった。班のリーダーはユウキなので、ユウキが言ったのなら決定事項になる。 先生方もわざと意地悪をしたわけではない。 これが、最初を望んだりしているようなら、タクミの静止を聞いて、”班で話し合ってからもう一度申告しなさい”と言ってくれだろう。しかし、ユウキが言ったのが”最後”だったので、先生はこれ幸いと受諾してしまったのだ。 先生方の考えもわかる。理由も簡単だ。肝試しの順番では、最後を選ぶ班はほと…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】第二話 二日目
「ねぇユウキ?」 「なに?」 班ごとに部屋に入っている。 もう、夕ご飯も食べて、夜のリクリエーションも終わって、各班に割り当てられている部屋の一室だ。 9時を少し回った位の時間だが、朝早い時間に集合して、慣れない山歩き。疲れて寝てしまう子が出ても不思議ではない。 この部屋に居るタクミ。ユウキ。唯。鳴海。晴海の5名も疲れて寝てしまっている者も居る。起きているのは、元気いっぱいなユウキと慣れない場所で寝られない唯だ。 「ユウキのパパとママは、私のパパと同級生だよね?」 「うん。タクミの克己パパも同級生だ…
続きを読む2020/03/30
【第二章 キャンプ】第一話 お泊まり会
「桜!」 「なんだよ」 そこは、篠崎家のリビングだ。 森下桜は、悪友で隣に住む篠崎克己の家をたずねている。 お互いは幼馴染だと言っていい関係だ。 二人は、生まれ育った町に家を新築した。隣り合った土地が空いていた事や、とある事情で安く購入する事ができるなどのいくつかの偶然が重なった結果だ。二人とも、実家は別にある。実際には、篠崎克己には実家と呼べる物は無い。両親や親戚は、全て他界してしまっている。篠崎克己には、妻の沙菜と息子の巧が居るだけだ。 森下桜には、母親は存命だが隣町に引っ越してしまっている。…
続きを読む2020/03/30
【第一章 過去】第三話 忍び寄る影
『きゃぁぁぁぁ!!!!』 どこからか悲鳴が聞こえる。 鈴と菜摘も悲鳴の方を見ると、前面に備え付けられていたスクリーンが降りてくる。 スクリーンに何かが投影され始めたのだ。 最初は、最近死去した者たちの写真が流れた。 その後、鈴と菜摘も会場で見かけた者たちの名前が流れるように表示される。 「(山中と古谷?)」 鈴は後ろの席に座っていた二人の名前を見つけて、気になって後ろを振り向いた。 鈴と菜摘のテーブルは中央の最前列になっている。 横には、今は静かになっているが、騒がしかった立花たちが座ってい…
続きを読む2020/03/30
【第一章 過去】第二話 同窓会
そこは、ビルの3階にある結婚式の二次会で使われることが多い広いスペースを持つ飲食店だ。 同い年の男女が200名ほど集まっている。俗に言う”同窓会”が執り行われている。 通常の同窓会では、会費を入り口で徴収するなどのことが行われるが、この同窓会では、受付に名簿があるだけで誰かが立っているわけではない。 心配した数名が、会場の設営をしてくれた者たちに確認をしたら、すでに代金の支払いが終わっていることや、進行や設営の指示は貰っているということだ。 『同窓会にお越しの皆様』 アナウンスが始まった。 席が…
続きを読む2020/03/30
【第一章 過去】第一話 葬儀
黒い服に、黒いネクタイをした男性が2人で話をしている。 葬式に参列して、顔なじみに会って近況を話し合っているようにも見える。 「なぁ」 「なんだよ」 しかし、二人はここ4ヶ月で、3回の葬式に参列して顔を会わせている。 「少し葬式が多くないか?」 「あぁ?そうか?こんな感じじゃないのか?」 4回を少ないと考えることはできそうに無い。 しかし、二人は多いと考える事ができなかった。 「おっ西沢!久しぶりだな」 西沢と呼ばれた女性が立ち止まって二人を見る。 「なに?立花くんも山崎くんも来ていたの…
続きを読む2020/03/30
【序章】第一話 終わり
すべて終わったわけじゃないけど、ボクにできる事はもうない。 パパ。ママ。ユズ姉。ボクは地獄に行くよね。ボクは、天国には行けないよね。これだけのことをしたのだから、当然だよね。 後悔なんてしていないよ。ヤツラは、奴は、それだけの事をしたのだから、報いを受けないとね。ボクは、喜んで地獄に行くよ。この身体が・・・心が・・・100万回引き裂かれても、悠久の時を苦しもうと後悔はしないよ。ボクは、パパとママとユズ姉とナユ兄のことを思い出して、それだけでボクは大丈夫。だから、ボクのことは安心してね。 パパとママと…
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