高校生の記事一覧
2023/02/10
【第四章 スライムとギルド】第六話 緊張する
最悪だ。 今までにないくらい興奮もしている。しかし、緊張が、興奮を上回っている。吐きそうになってしまっている。 最初は、円香さんも、蒼さんも、孔明さんも付いてくると言ってくれていたが、蒼さんは、私たちが(主殿から提供された情報を、検証してマイルドな物から)公表した件に関して、元の職場から呼び出しが掛かった。 この時点で、主殿には約束をしていて、日時の変更を言い出しにくい状態になってしまっていた。主殿に都合がいい日をいくつか出してもらって、その中から選んだのはギルド側だ。 でも、蒼さんが居なくても、孔明さんで…
続きを読む2023/02/05
【第七章 神殿生活】第十三話 計画
アデレード殿下が神殿に関わることが決定した。 アデレード殿下もルアリーナも、神殿には居ない。二人は、ミヤナック辺境伯領で療養していることになっている。 アデレード殿下から、詳しい話を聞いた。 詳しい話も、隠し事をしないで全部を話してくれたようだ。ルアリーナが聞いていた話で補助を行ってくれた。 アデレード殿下とルアリーナという外部との折衝で頼りになりそうな人物が、折衝を行う事ができない。 神殿の勢力が大きくなって、独自の戦力だけで他の勢力と拮抗できるようになれば、二人が表舞台に出ても問題はないだろう。それまで…
続きを読む2023/02/03
【第四章 スライムとギルド】第五話 茜、頑張る
主殿の依頼は、いくつかあるのだが、ギルドは全部の依頼に応えることに決まった。 一つ目の依頼は、スライムが大量に発生した場所のリストアップだ。リストアップは、私の仕事だ。主殿の話で、1年未満で大丈夫だと言われたが・・・。主殿から、いくつかの日付を教えられた。その中から、スライムや魔物の情報があった物をリストアップする。 「茜。どうだ?」 「芳しくないです。主殿が指摘した日付で、スライム発見の通報があったのは3回だけです。それも、数が多くても3体です」 「そうか・・・」 「円香さんは、どうですか?」 「孔明が、…
続きを読む2023/02/01
【第七章 神殿生活】第十二話 アデレード
私は、”アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーア”、名前からわかっていただけると思うのですが、トリーア王家に連なる者です。 親しい者からは、アデレードではなく、”アデー”と呼ばれています。 大きく物事が動いたのは、今年のパシリカが終わった位です。 私も、パシリカを受けました。授かったスキルは”秘密”です。悪いスキルではなく、ステータスも良かったのですが、少しだけ問題が発生しました。ジョブが”癒し手”と言われる初代様と一緒に・・・。 もっと正確に言えば、初代の王妃様が持っていたジョブです。 王家や上位貴族の…
続きを読む2023/01/27
【第四章 スライムとギルド】第四話 会議
よかった。 本当に、良かった。少女・・・。主殿が連絡をしてきてくれた。 円香さんが、私に”ステータス”の事を聞けと指示を出した。 『え?ステータス?』 「はい」 『ありませんよ?』 「え?」 『あるのですか?』 「鑑定で見た時に、何か訳が解らない文字列が並んでいて、ギルドで検証を行っていますが、これがステータスではないかと思って・・・。主殿が何か知っていたら教えてもらおうかと・・・」 『あ!鑑定で見た時の文字化けですか?』 「そうです!そうです!」 『あぁ・・・』 「何か?まずい情報ですか?」 『いえ、あま…
続きを読む2023/01/23
【第七章 神殿生活】第十一話 事情
皆の視線が集中したアデレード殿下は、大きなため息で、”困っています”をアピールしている。 「アデー?何を困っているの?」 さすがは、”空気を読まない”マヤが、アデレード殿下の目論みを潰す。 ルアリーナが苦笑を浮かべて、アデレード殿下に助け船を出す。 「アデレード殿下。ここには、アデレード殿下の味方しか居ません。それに、アイツらの事なら大丈夫です。私たちの、リン君の敵です」 ルアリーナは、事情を知っているようだ。 ミヤナック家と相談した時に、ルアリーナが事情を聞いたのだろう。 「え?」 アデレード殿下は、俺た…
続きを読む2023/01/22
【第四章 スライムとギルド】第三話 スキル調査
私が鑑定を得たように、千明もスキルを得ていた。 「それで、千明は、どんなスキルを得たの?」 「”水”スキル?」 「疑問形で言われても、解らないわよ」 ”みゃみゃみゃぁ” 「え?アトス?本当?」 「千明?」 「あのね。茜に、見てもらえれば、”スキルが解る”だって」 「え?スキルは見えないよ?」 ”にゃっにゃぁぁ” 「え?そうなの?千明。私の手を握ってくれる?それで、”ステータス・ディスクロージャー”と、私が言えばいいみたい?」 孔明さんと蒼さんの視線が怖い。円香さんが、私の肩を触ろうとしているのを、孔明さんが…
続きを読む2023/01/15
【第七章 神殿生活】第十話 アデー
会議室に入ってきた、ミトナルの肩に座っていたマヤがいきなり、アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを愛称で呼んだ。 呼ばれたアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアも、目を”パチパチ”して、マヤを確認している。 そして、不思議な物を見たような表情で、マヤと名前を呼んだ。 知り合いのようだ。 そして、俺がアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを知っている事が前提にあるようだ。 アデレード殿下を見ると、俺を見て少しだけ困った表情をしている。 何に、困ることがあるのだろうか? 「マヤ」 「何?」 マヤが…
続きを読む2023/01/09
【第四章 スライムとギルド】第二話 鑑定石
円香さんが、少女(主殿)から渡された魔石を見ている。 円香さんやギルドの皆には伝えていないが、少女(主殿)が着ていたのは制服だ。市内の高校が”今年から採用した”制服だ。少女(主殿)が、高校に通っているのかは、判断ができない。でも、高校の制服を入手できる立場だった。 いとこが、同じ高校に通っている。 調べれば、解るかもしれない。でも、調べてどうするのか?あの少女(主殿)が何を望んでいるのか解らない。 ”にゃ!” 「どうしたの?」 クロトが、足下にやってくる。 鳴き声で、クロトかラキシか判断ができる。 二匹にも…
続きを読む2023/01/01
【第七章 神殿生活】第九話 案内
揉めるかと思ったが、ゲートを入る順番は最初から決めていたようだ。 最初は、ナッセ・ブラウンが入った。 フェナサリム(重久真由)が続いた、最後に残ったのは、イリメリ(静川瞳)だ。 タシアナ(韮山里穂)の弟や妹たちは、まだ商隊と一緒に待機してもらっている。まずは、ギルドのメンバーと商隊の主要メンバーだけが、神殿に入ることに決まったようだ。順番や神殿に向かう人選は、関与していない。 俺とセバスチャンで、ゲートの周りを確認する。 「セブ。こっちは頼む。後で、眷属を向かわせる」 「わかりました。いってらっしゃいませ」…
続きを読む2022/12/18
【第七章 神殿生活】第八話 通行証
「リン=フリークス」 リカールが、背筋を伸ばして、俺を真正面から見ながら、名前を呼んだ。 見ていた書類から目を離して、リカールを見つめ返す。 「なんでしょうか?」 「サリーカの言葉を信じて、ここまで来た。まずは・・・」 リカールの言葉を遮る形になるが、手を上げた。リカールも、俺の意図が解るのだろう。言葉を切って、俺を見て来る。 「わかりました。神殿に行きましょう」 安堵の表情を浮かべる。 何があるのか解らないが、商隊の中での駆け引きがあるのだろう。 「助かる。父が・・・。商隊長が煩くて・・・」 父?サリーカ…
続きを読む2022/12/06
【第七章 神殿生活】第七話 セトラス商隊
料金や運用を、セバスチャンに任せて、神殿に戻った。 屋敷の隣に設置したゲートの確認の意味もあった。 「ロルフ!」 ゲートの設置場所にロルフが居た。 俺を待っていたわけではないようだが、タイミングがよかった。 『マスター』 「何組のゲートが設置できる?あと、ブロッホやヒューマからゲートの設置依頼はあるのか?」 『マヤ様とミトナル様が、整理をリソースへの還元を行っています。現状では、残りは6組です。リソースへの還元が終了すれば、10組になる予定です』 「そうか・・・」 まずは、ギルドへの依頼をしなければならない…
続きを読む2022/12/06
【第四章 スライムとギルド】第一話 贈り物
少女との会談は、無事に終了した。 無事だと思いたい。最低限。本当に、最低限のラインは守れた。少女たちと敵対はしていない。 「円香!」 孔明が何か怒鳴っているが気にしないようにしている。 千明がアトスを撫でている。私も、千明と一緒に現実逃避したい。茜は、少女からの依頼を達成するために、端末で格闘している。 「円香!」 「孔明(こうめい)。聞こえている」 「聞こえているのなら、返事をしろ。それに・・・」 孔明が見つめる先にあるのは、少女から渡された”贈り物”だ。 あの日、少女は、女王蟻をライ殿に吸収させた。 そ…
続きを読む2022/11/28
【第七章 神殿生活】第六話 料金設定
屋敷に戻って、セバスチャンにゲートの説明を行った。 仕組みは、俺も理解していないので、”こういう物”とだけ理解をしてもらった。セバスチャンと屋敷に戻って、神殿側のゲートやアロイ側に作ったゲートに関する修正箇所の聞き取りを行った。セバスチャンが考える問題点を上げてもらった。 簡単に言えば、貴族用は手続きを煩雑にして、”自分が優遇されていると思わせる方がいい”という事だ。簡素な手続きでは、面倒な貴族や豪商は、軽く見られると思うようだ。神殿側のゲートを出た先に、貴族用の個別の部屋を設置する。ここで、手続きを行うの…
続きを読む2022/11/28
【第三章 スライム今度こそ街へ】第二十話 少女からの提案
横に座る少女からは、害意は感じられない。 話を進めるにも、困った表情を私に向ける。本当に、”人”ではないのか?それとも、”人”なのに”魔物”なのか? 魔石の話から始めなければならない。 少女から渡された魔石の取り扱いだ。 「壊れましたか?」 私の問いかけに、少女から返ってきた話で、思考が停止してしまった。 慌てて、少女が何を言いたいのか考えた。 私の質問の仕方が悪かったようだ。 「そうではなく、主(あるじ)殿が作られたと、ライ殿から聞きました」 「そうですね。私が、魔石にスキルを付与する形ですが・・・。実際…
続きを読む2022/11/14
【第七章 神殿生活】第五話 神殿街
ゲートの設置が終了した。 隣の部屋に居るはずの二人を呼ぶ。 俺がゲートを設置している時に、マヤとミトナルが戻ってきた。作業をしていたので、二人にはロルフの作業を手伝ってもらっている。 「ミル!マヤ!」 先に反応したのは、マヤだ。 妖精の姿のまま、俺の肩まで飛んできた。 そのあとを、ミトナルが駆け寄ってくる。その後ろを、ゆっくりとした速度で、ロルフが続いている。 俺が信頼できる3人?だ。 「終わった?」 「ゲートの設置はできた。猫人族は?」 マヤが、抱き着いているミトナルの頭の上に戻って、俺に説明をしてくれた…
続きを読む2022/11/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十九話 不思議な少女
「円香さん。私も行かなきゃダメですか?孔明さんと蒼さんだけで・・・。私、留守番していますよ?」 茜がまだ行かないと言っている。 二日前から同じことを繰り返している。 「茜。諦めろ。ライ殿とはお前も会っている。”行かない”のはダメだ。もしかしたら、茜か千明しか会話ができない可能性があるのだ。何度も言わせるな」 ライ殿とライ殿の主と言われる方に会う。 もしかしたら、停滞した事柄が一気に動き出すかもしれない。まだ、ギルド本部には報告を上げていない。私の所で止めている。 長沼公園での出来事は、思い返しても不思議だ。…
続きを読む2022/11/06
【第七章 神殿生活】第四話 ゲート
ロルフと一緒に、支配領域を確認する。 「ロルフ。マヤは?」 「マヤ様は、ミトナル様と一緒に猫人族に神殿の案内をしています」 「そうか・・・。猫人族は、馴染めそうか?」 「はい。マヤ様が、お話を聞いて、神殿の一部・・・。訓練場所に指定していた場所を、猫人族用に変更しました」 「それはよかった」 「はい」 セバスチャンから渡された書類を見ながら、支配領域に組み込む場所を確認する。 結果、かなりの領域が、支配領域に組み込まれる。 まずは、メルナの屋敷と屋敷の周辺を支配領域に組み込む。建物があるためなのか、予想より…
続きを読む2022/11/06
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十八話 スライムとギルド
新しい服の購入は諦めた。諦めたというよりも、私のことを簡単に説明する方法を考えついた。 制服姿になって、待ち合わせ場所で待っていることにした。 ライはギルドの人に解りやすくするために、スライムの姿で待っていることにした。 私もライも、結界を張って、隠蔽のスキルを発動すれば、認識は難しい。 家の近くで試してみたが、誰も私が居るとは気が付かなかった。テストの仕上げは、最寄り駅の駐輪場で行ってみたが、誰にも気が付かれなかった。 スライムの状態で、カーディナルとアドニスに乗って移動をして、待ち合わせ場所で制服を着て…
続きを読む2022/11/01
【第七章 神殿生活】第三話 過去
私は、セバスチャン。奴隷だ。 前の主人は立派な人だった。小さな領の代官だったが、一代で叙勲して、準男爵を経て男爵に陞爵した。子爵にもなるのではないかと言われていた。 領地を得てからの旦那様は、領民には優しく、味方となった者には、どこまでも誠実に対応した。 敵対した者には徹底的に戦った。特に、領民を不幸にする敵対者には、慈悲を与えない。係累には手を出さないが、関係した者は徹底的に潰した。相手が、上位貴族でも矛を収めなかった。 味方も多いが、敵も多かった。 特に、近隣貴族であるアゾレムとはそりが合わなかった。 …
続きを読む2022/10/25
【第七章 神殿生活】第二話 契約と神殿
屋敷に移動すると、セバスチャンが出迎えてくれた。 「旦那様」 「セブ。屋敷は大丈夫か?」 「はい。後は、旦那様が譲渡に関する契約書にサインを行えば終了です」 「契約書?何か、問題があったのか?」 「聞いていた話では、譲渡では無かったので・・・」 「ん?譲渡?セブが聞いていた話と違うのか?」 「はい。王家から渡された書類では、旦那様に譲渡されると記載されています」 「何か問題か?」 「問題は、ありません。税も、免除されることになっています。契約の内容だけの判断ですが、貴族家・・・。それも、伯爵と行う譲渡契約に…
続きを読む2022/10/23
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十七話 賭け
家で、天使湖で得た物(ドロップ品)を整理していた。 こればかりは、私かライにしかできない。判断した物を、まとめるのは、家族にもできるのだけど、まずは必要な物なのか判断しなければならない。 そして、”必要な物”を判断するのが難しい。 殆どの物が、ギルドの買い取りリストに載っていない。 買い取りができないのか?それとも、知られていない物なのか判断が私にはできない。情報がない。 そして、魔石の買い取りは出ているが、ゴブリンの魔石程度の大きさしか買い取っていない。魔物の名前ではなく、大きさでの買い取りが書かれている…
続きを読む2022/10/16
【第七章 神殿生活】第一話 殿下と騎士
当初の計画の3倍以上の時間をかけて、神殿に向かうことになった。 些細な問題は発生したが、概ね予定通りに進むことができた。 3倍の時間が必要になったのは、殿下・・・。の、責任ではなく、殿下に付いてきた騎士たちが、当初の計画に苦言を呈してきた。 曰く 「殿下がお疲れになる」 曰く 「殿下の為の休憩が少ない」 曰く 「殿下の食事が質素だ」 曰く 「殿下が・・・」「殿下が・・・」 騎士たちが最初からこの主張をしてきたのなら、素直に”殿下の為”というセリフを信じられるのだが、ハーコムレイが神殿まで一緒に行動しないとわ…
続きを読む2022/10/02
【第六章 ギルド】第三十四話 移動
皆が合流した。 ミルとミアも訓練施設から会議室に移動してきた。レオはしっかりとミアの側に居る。護衛として、役割を守っているのだろう。 ミルが右側に陣取って、ミアが左側にレオと一緒に居る。 話は、ハーコムレイが主導する形で進んだ。 この場には、最初だけカルーネとフレット・コンラートとアルマールが姿を見せたが、ハーコムレイが神殿に向かわないものは退出してくれというと、何か言ってから、会議室から出て行こうと立ち上がった。 ハーコムレイが、彼女たちに追い打ちを掛ける。この建物は好きに使っていいが、辺境伯家からの支援…
続きを読む2022/09/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十六話 念話と結界
円香さんは、念話の魔石を触って、何かを考えている。 「千明。この魔石を持って、キャンピングカーの外に出てくれ」 いきなり、円香さんが、千明にキャンピングカーの外に出ろと伝える。実験をしたいのは解るけど、最初に実験の説明をしなければ、千明が戸惑うだろう。実際に、千明はいきなり言われて動揺している。 「はい?」 「円香さん。実験をしなくて大丈夫ですか?」 「そうだな。使い方が解らないな。千明も念話ができるか触ってみるか?」 円香さんは、一つを千明に渡して、一つを自分で持つ。 『千明』 「え?頭の中に、円香さんの…
続きを読む2022/09/13
【第六章 ギルド】第三十三話 詰問
ルナが何かまだ考えている。 少しだけぬるくなってしまったお茶に口を付ける。 誰が入れているのか解らないけど、おいしい。 ミルと一緒に野営している時には、ミルが飲み物を出してくれたけど、お茶はなかった。設備がないししょうがない。神殿に戻ったら、調理器具を含めて整備しよう。 「リン君?」 「なんだ?」 「ローザス殿下との話を聞いた?」 「ローザス?あぁルナが婚約者なのだろう?」 「!!違う。違うからね。婚約者候補。いい。候補!婚約者じゃない!」 ルナが椅子を倒す勢いで立ち上がって、テーブルに手をついて訂正してく…
続きを読む2022/09/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十五話 規格外
千明に、円香さんを呼びに行ってもらった。 もう面倒なので、円香さんに丸投げすることに決めた。 話は、3つ。 一つは、眷属化だから、ワインズマンに入力するか確認すればいいだけだ。 『里見茜殿。本体に相談しました』 急にライが話しかけてきた。 「え?」 『里見茜殿は、説明が出来なくて困っている?違いますか?』 説明ができない? もっと簡単に言えば、ライの言葉を中継しなければならないのに困っている。 「そうね。ライが円香さんと話が出来たらいいとは思っている」 『はい。マスターから、贈り物です』 ライが少しだけ震え…
続きを読む2022/09/05
【第六章 ギルド】第三十二話 認定?
アデレード殿下を匿う約束をして、他にも細かい話をした。特に、アデレード殿下を匿うことで発生する費用負担だ。全面的に、王家が用意すると言っているが、実際にどうやって負担するのか考える必要がある。 ハーコムレイもローザスも、アデレード殿下がわがままを言わないと言っている。 ローザス一人の意見なら信じなかったが、ハーコムレイも”自分の妹と同じ”だと言い出したので、問題は無いだろう。 ルナと殿下を比べられても、俺には判断ができない。 そもそも、二人を比べる必要性があるとは思えない。 「アデレード殿下とルアリーナ嬢は…
続きを読む2022/08/29
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十四話 会話
”ライ”が私を見つめている。多分・・・。スライムに目があるのか解らないが、”ライ”から視線を感じる。 まず、このスライムは”ライ”。本体が別に存在している。その本体との繋がりが出来て、はっきりと意思があるのだと言っている。 そして、スライムに名付けした者が存在している。”ライ”はマスターと呼んでいるが、主人なのだろう。 それだけではない。 ”ライ”は、円香さんのスキル構成を見抜いてしまっている。そういうスキルを持っているのか?それとも、スライム特有の能力なのか? 「千明?」 「ん?あっそうね。うん。茜に任せ…
続きを読む2022/08/23
【第六章 ギルド】第三十一話 分裂
ハーコムレイが何も言ってこない所を見ると、既に決定事項になっているのだろう。 領地?が増える? ほぼ、西側の森を、俺に渡す意味があるのか? よくわからない。くれると言うのなら貰うけど、統治とかあるのなら断ろう。俺には、統治や領地運営なんてできない。 「それで?」 「ん?」 ローザスがいきなり”何を言っている”と言いたいような表情をする。 それは、こっちのセリフだ。 「だから、俺に何をさせたい?」 「え?」「ローザス!リン=フリークスに、”お願い”の内容を伝えていない」 ハーコムレイが、眉間にできた皺を触りな…
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