擬態の記事一覧
2023/08/06
【第四章 スライムとギルド】第三十三話 治療(5)
桐元家は、マンションでした。真子さんが部屋に引き籠っていることや、孔明さんが帰ってきて寝るだけの部屋があれば十分なので、戸建てでは無いようです。 「円香。茜嬢。適当に座ってくれ、貴子嬢。さっそくだけど、頼めるか?」 私とライは、孔明さんについて行きます。 「真子」 ドアの前で、ノックをしてから、話しかけます。 部屋からの返事がない。真子さんが居るのは、ライの使っているスキルで解っている。真子さんとモモンガが居る。 「真子。今日は、お前を」「お兄ちゃん。もう・・・。いい。私の為に、お兄ちゃんが傷つかなくて・・…
続きを読む2023/08/05
【第四章 スライムとギルド】第三十二話 治療(4)
桐元孔明(よしあき)さんの妹さんが、スキル利用者になりそうです。真子さんと呼んでいいのかわかりませんが、皆さんが”真子さん”と呼んでいるので、私も真子さんと呼ばせてもらいます。 それから、孔明(よしあき)さんのことも、桐元さんではなく、孔明(よしあき)さんと呼んだ方がよさそうです。 真子さんは、孔明さんのご実家にいらっしゃるとのことでした。 ご実家は、富士宮にあるらしい。移動は、迷いましたが、孔明さんの運転する車に便乗させていただくことにしました。茜さんと円香さんも一緒です。心配性の家族が上空を飛んでいます…
続きを読む2023/08/04
【第四章 スライムとギルド】第三十一話 訪問準備
ライと一緒にギルド職員の茜さんのご自宅に行くことになった。 友達ではないけど、知り合いのおうちを訪ねるなんて、小学生以来で緊張します。 勢いで言ってしまいましたが迷惑じゃなかったのでしょうか? 茜さんの声が、歓迎しているようにも聞こえたので、大丈夫だと思う事にします。 手土産と、治療に必要な準備をしましょう。 「ライ。アイテムボックスを作って、時間停止でいいかな?」 「うん。わかった」 私のスキルの一つ。”記憶保持”が実は、アイテムボックスに付与できることがわかりました。 時間停止とは違うとは思いますが、中…
続きを読む2023/08/03
【第四章 スライムとギルド】第三十話 蒼と千明
俺は、上村蒼。元自衛官だ。 今は、紆余曲折あってギルドに世話になっている。 蒼という名前から、女性だと勘違いされることもあるが、れっきとした男だ。 自衛藍では、魔物の出現が確認されてから新設された混成部隊の分隊の隊長を務めていた。 魔物の駆除が主な任務だった。人の領域に出てきてしまった魔物は、警察が駆除するが、人里に降りてくる前に駆除するのが任務だった。 前の職場も居心地は良かったが、ギルドの居心地も悪くない。任務が仕事になったが、大きな違いはない。 魔物の駆除よりも、情報収集や情報の整理が多くなっている。…
続きを読む2023/08/02
【第四章 スライムとギルド】第二十九話 治療(3)
結局、円香さんと孔明さんの眼力に負けて、ライが新しく出した”鑑定”スキルは私が取得することになりました。魔物鑑定があるからいらないと粘ったのですが無駄でした。 「貴子さん。これから、スキル付きの結晶は、簡単に出さないで貰いたい」 円香さんが注意します。 主殿には必要な事です。簡単には出しているとは思いませんが、価値が高いと思っていない可能性はあります。 魔石を磨くという技術も凄いのです。そもそも、”鑑定”と”錬金”スキルがなければできないのですが、”錬金”がなくても、魔石を磨くことはできるのでしょうか?聞い…
続きを読む2023/08/01
【第四章 スライムとギルド】第二十八話 治療(2)
お金の話が出来て良かったです。 主殿に、価値を知ってもらえれば、自重を覚えてくれるでしょう。 そういえば、果物も”魔石”が使われた土から作っているので、ポーションの材料になるようです。どの果実で作るのが、効果が高いか解らないようです。 「うーん。うーん」 主殿がうなっています。 何か、問題が発生したのでしょうか? 「どうしたの?」 「1億も持ったことがないから・・・。パソコンは、パパの使っていた物があるし、知識もないから新しい物にしても設定ができるか解らないし、スマホも困っていないし・・・。食べ物も、果物が…
続きを読む2023/07/31
【第四章 スライムとギルド】第二十七話 治療(1)
皆を見送りました。 ユグドの分体で覆う計画は、主殿が来てから、他に何か方法がないか聞いてからにします。ユグドに負担をかけたくないこともあるのですが、ギルドにはギルドで、主殿に依頼をしてでもセキュリティを高める方法を考えて欲しいと思います。お金しっかりと払いましょう。 孔明さんが内通していた組織があるのです。情報管理は、これからはもっと厳しくした方がよいと思います。 孔明さんが横流ししたアイテムが、ギルドから安く売り出されれば、自分たちが騙されたと考えるでしょう。 あの手の組織は、”ドラマ”では自分たちが下に…
続きを読む2023/07/30
【第四章 スライムとギルド】第二十六話 報告(7)
「あっ。円香さん。まだ報告は終わっていません。これは、主殿の家族の紹介です」 立ち上がりそうな円香さんの表情が固まります。 わかります。 でも、普段の円香さんなら気が付いてくれると思います。冷静に考えれば答えが導き出されます。 円香さんを見つめます。 「何を・・・」 円香さんが動揺しているのがわかります。 椅子に座りなおしてくれました。 まだ、大丈夫です。 話が出来ます。良かったです。 「主殿は、私や千明と同じです」 「あっ・・・」 「そうです。主殿は、眷属の親です。私と千明が、クロトやラキシやアトスが得た…
続きを読む2023/07/29
【第四章 スライムとギルド】第二十五話 報告(6)
「茜。いろいろ聞いたが、そろそろ、この部屋の説明をお願いできるか?」 解っています。 そんなに睨まないで欲しいです。 あぁ・・・。 ”ユグド。クシナとスサノを連れて部屋に来て、すぐに終わるから、15分くらい時間を頂戴” ”うん。わかった!” 「少しだけ待ってください。あっ」 ユグドがドアを開けて部屋に入ってきました。 「ユグド。本体を、見せて大丈夫?」 「うん。平気!もう、僕が本体の役割を持っているよ?」 それなら良かった。 かき分けたら、女の子が寝ていたらショックだ。 「先に、クシナとスサノの説明をします…
続きを読む2023/07/28
【第四章 スライムとギルド】第二十四話 報告(5)
部屋に、私が隠し持っていたお菓子を持って戻りました。 蜂蜜はなしです。普通の飲み物です。 今回は、お茶にしました。日本茶です。掛川のお茶農家から買った美味しいお茶です。湯山のお茶も捨てがたいのですが、今日は掛川のお茶です。 お菓子には、お茶です。異論は認めますが、私の信念は変わりません。 部屋に戻った私は、円香さんに捕まりました。 「茜!?」 「はい?」 「廊下の音が聞こえない。どういうことだ?」 盗み聞き対策です。とは、答えにくい状況です。 千明も円香さんも同じような作りの部屋に住んでいます。 廊下を歩く…
続きを読む2023/07/27
【第四章 スライムとギルド】第二十三話 報告(4)
主殿の正体と、ライの身元調査は、報酬に関わってくるので、最後にしましょう。 部屋の様子は、聖樹・・・。ユグドに関わってくるので、後回しです。 主殿の正体に関わることで、主殿の戦力ですが、これも最後に回しましょう。 魔石へのスキル付与とポーションの説明が先でしょう。 その前に、休憩ですね。 私も疲れました。 皆はもっと疲れていると思います。 「円香さん。一度、休憩にしませんか?」 「あぁそうだな」 円香さんは、周りを見て休憩を決めました。 休憩と言っても、情報の精査を行う時間が必要なのでしょう。身体の休憩では…
続きを読む2023/07/26
【第四章 スライムとギルド】第二十二話 報告(3)
「茜。主殿には、他にも魔物がいるのか?」 「それは、後にしましょう。先に、蜂蜜の話をしましょう。美味しいですよね?ギルドで買い取りますか?全部で、100瓶くらいあります。1キロくらいの瓶が100本です」 「茜嬢。これも、受諾販売でいいのか?」 「はい」 「蜂蜜の成分は解っているのか?」 「わかりません。ただ、ミツバチが一生懸命に、いろいろな花から蜜を集めていました。それこそ、ブドウみたいな果実やスミレみたいな花とか、あぁロウバイの花も咲いていました。リンゴも桃も柿も、イチゴもありましたよ」 「ちょっとまって…
続きを読む2023/07/25
【第四章 スライムとギルド】第二十一話 報告(2)
「売りましょう。スキルが付与されていない物ですし、ギルドが持っていても意味がありません」 「茜。いいのか?魔石は、鑑定石で使うのではないのか?」 「そうですね。他にも、いろいろ使い道があるのは解っています。でも、アイテムボックスの中にあるものは売っても大丈夫です。数が多いので、全部売れるのか・・・。そちらの方が心配です」 「茜嬢。魔石は、有ればあるだけ売れる。売ってしまっていいのなら、日本国内だけではなく、海外にも欲しがる者は多い。でも、いいのか?残さなくて?」 「大丈夫です」 私は、両手をテーブルの上に置…
続きを読む2023/07/24
【第四章 スライムとギルド】第二十話 報告(1)
方向性が決まった。 まずは、ポーションを用意しよう。それから、魔石を持っていってもらう。 ユグドに相談かな? 円香さんと孔明さんが、何かを話している。銀の名前が出ていることから、さっきの話なのだろう。私には解らない。そっちは、円香さんと孔明さんに任せてしまおう。 ”ユグド” ”なぁに?” ”ポーションを作りたいのだけど、材料は揃っている?” ”うーん。お水が欲しい。出来れば、綺麗なお水がいい!” ”綺麗な水?” ”うん” 二人を見ると、まだ話をしているけど、報告を終わらせたい。 「円香さん!孔明さん!」 「…
続きを読む2023/07/05
【第四章 スライムとギルド】第十九話 メモ
心に刺さっていた棘が抜けた。 まっすぐに俺を見ていた視線で、里見茜嬢が何かに気が付いたのだと思った。 そして、円香から直球を頭に投げられた。 気持ちが楽になった。 ギルドの情報を流す役割を持っていたからだ。 奴らの語っている”正義”には、どの角度から考えても共感が出来ない。しかし、真子を治すのには・・・。苦渋の選択ではない。俺は疲れてしまっていた。真子を殺して、俺も死ぬ事を考え始めた時に、奴らが俺に声をかけてきた。 最初は、眉唾以上の感想はなかった。 しかし、誘われるままに、奴らの会合に行くうちに、信じては…
続きを読む2023/06/11
【第四章 スライムとギルド】第十八話 桐元孔明
円香さんの笑顔が固まった。 「茜!」 頷くしかないです。怖くはないのですが、圧が凄いのです。 私が手を出せば、円香さんが、手を乗せてきた。 これで念話が通じるはずです。 円香さんに伝わるようにイメージして、話しかければ通話ができるはずです。 孔明さんは、部屋を出て行こうとしていたので、後片付けを頼んでみた。笑いながら了承してくれた。盗聴器の回収にも丁度いいと思ったのでしょう。 『茜。どういうことだ!』 円香さんも、念話の使い方をマスターしてしまっている。これなら、スキルを持っている私でなくてもいいのでは? …
続きを読む2023/06/02
【第四章 スライムとギルド】第十七話 看破
素晴らしいスキルが芽生えていた。 どうやら、ユグドではなく、クシナかスサノのまたは両方からの恩恵の様です。 スキル名は「隠蔽」と「偽装」です。もう一つは、あまり使わない気がします。アクティブスキルなのですが・・・。該当しそうな状況にはならないと・・・。思う。と、いいな。 使い方は、なんとなく理解が出来ます。でも、”偽装”に関しては、秘密にしておく必要がありそうです。実験で確認をした所、電子データには使えませんが、紙になっている情報の書き換えが出来てしまいました。書き換えは、私の筆跡になるのであまり使いどころ…
続きを読む2023/05/20
【第四章 スライムとギルド】第十六話 部屋の確認
部屋の前で跪いている私の足下に、クロトとラキシが、やってきて見上げてくる。 スサノとクシナは、私の肩に乗ってくる。 クロトの頭を撫でながら、大丈夫だと伝える。 壁沿いに”わさわさ”動いている樹木が目に入る。意思があるように動いている。 あれ、意思があるよね? ファンタジー的に言えば、エントかな? 個人的には、可愛いからドリュアスの方が良かったけど、考えない方がいいだろう。なんとなく、私の意思を汲み取っているように思える。 問題ではない。 部屋にまだ入っていないから、幻の可能性がある。幻であって欲しい。 壁一…
続きを読む2023/05/06
【第四章 スライムとギルド】第十五話 報告書の前に
ライが、カーディナルに乗って帰っていくのを見送ってから、階段ではない方から帰ることにした。 クロトとラキシは、おとなしいけど、さすがに外を歩かせるのには、リードがない? ”ニャウ!” え? リードがある?主殿から貰った? アイテム袋の中に入っている? はぁ・・・。 確かにリードだ。リードだけど、これは・・・。 私は騙されない。 これは、魔物の素材を使ったリードだ。手に持った事ではっきりとわかった。 でも、確かに見た目はリードだ。 手に持つ場所に魔石が埋まっていたとしても、これはリードだ。武器ではない。 通常…
続きを読む2023/04/22
【第四章 スライムとギルド】第十四話 整理
帰路は、いろいろ考えながら歩いている。主殿は・・・。 クロトとラキシを、主殿が送ってくれることに決まった。 スサノとクシナのスキルを調整したいと言われてしまった。 その都合で、クロトとラキシのスキルが必要になってくるらしい。怖くて、それ以上は聞けなかった。聞いた方が、ギルドとしては正しいけど、聞くのが怖かった。 私の表情を読んで、主殿が簡単に教えてくれた。 簡単に言えば、クロトとラキシが持っている”眷属”の繋がりを、”横に広げる”らしい。 今までは、私が中心になって、クロトとラキシとスサノとタシナに繋がって…
続きを読む2023/04/16
【第四章 スライムとギルド】第十三話 眷属
いろいろありすぎて、本来の目的を忘れそうになっていました。 頭陀袋に入っていた物は、”プレゼント”だと言われた物以外で、同じ素材が複数個ある物は質が悪(・)そ(・)う(・)な物を受け取ります。主殿が、悪い物で、値段を算出して欲しいと言っていたからですが、良い物でも悪い物でも、大きくは違わないように思えます。 委託販売の件では、値段は気にしないと主殿は言っています。 気にしないと言われても・・・。他のギルドメンバーに知られたら、ギルドが叩かれてしまいます。 そうならない為にも、しっかりとした値付けが必要になっ…
続きを読む2023/04/09
【第四章 スライムとギルド】第十二話 杖と付与
倉庫の中は、お宝で一杯です。 蒼さんが来ていたら狂喜乱舞していた可能性があります。 頭陀袋は、ラノベの定番でした。 こんな物を作らないで欲しかった。便利だから、使うけど・・・。主殿や家族たちからしたら、大した価値がない物だと解る。 ライは、今は可愛い男児(弟属性付き)だけど、実際には魔王クラスのスライムだ。スキルで、アイテムボックスの様な物があるらしい。主殿も同じようなスキルを持っているようだ。 「茜さん?」 「ごめんなさい。それで、主殿とライのスキルは同じなのですか?」 好奇心が抑えられません。好奇心が抑…
続きを読む2023/03/27
【第四章 スライムとギルド】第十一話 聖樹
主殿に案内される形で、主殿の家の中を移動します。 「あっ」 哀しい気持ちになってしまいます。 「何か?」 見て、認識してしまいました。 無視して、通り過ぎるのは、私の気持ちが落ち着きません。 「主殿。あの部屋は?」 「祖父母と父と母の・・・」 「主殿がよろしければ、手持ちはないのですが、お線香を上げさせていただけませんか?お家を移動して、騒がせてしまったので・・・」 「ありがとうございます」 主殿の小さな声。 そして、大人なのか子供なのか、それとも・・・。人であった時なら・・・。違いますね。今でも、主殿と友…
続きを読む2023/03/17
【第四章 スライムとギルド】第十話 スキルと属性
もう疲れました。本当に、疲れました。これで、本題に入っていないのですから、拷問です。 でも、主殿の呟きを聞いてしまったら、”帰りたい”とは言えない。もっと言えば、私も主殿ともっと話をしていた。内容が心臓と胃に悪いのは諦めます。あとで、ギルドのメンバーを道連れにします。確定した未来です。しっかりと報告するまでが、私の仕事です。 「茜さん?大丈夫ですか?」 「なんでもないです」 「それなら良かったです。魔石の変形は慣れないと疲れますよね。あっ!でも、茜さんは、クロトちゃんとラキシちゃんが居るから大丈夫なのでしょ…
続きを読む2023/03/03
【第四章 スライムとギルド】第九話 魔石と魔核
主殿は、小さな声で、”ありがとう”と言ってくれた。 その心遣いが嬉しい。そして、主殿が言っているように、スキルを持って、心が化け物に変わってしまった人は、沢山・・・。哀しい事ですが、事実です。ワイズマンに聞かなくても、ギルドの公式資料に書かれています。 筋力アップのスキルを得た者が、恋人を殴り殺したなんて話は、それこそ両手両足の数でも足りない数があります。 研究員の中には、スキルは人の精神を変質させると訴える者も居ますが、確固たる証拠が提示できない状況です。 「茜さん?」 「はへ?」 なんか変な声になってし…
続きを読む2023/02/26
【第四章 スライムとギルド】第八話 聞きたくない
「お邪魔します」 「はい。スリッパをどうぞ」 主殿の家は、外から見た時と印象が全く違った。 周りに民家が無いのも不思議です。 「ありがとうございます。聞いていいですか?」 「なんでしょうか?」 「主殿の家の周りには、民家がないようですが・・・」 「あぁ・・・」 「あっ言い難いようなら・・・」 「別に、隠していないですし、調べたら解ってしまう事ですので・・・」 驚愕です。 聞いた、自分を褒めてあげたい。主殿のご両親と住んでいた家だということだ。これで、主殿の素性が解る。円香さんからの宿題の一つが解決した瞬間だ…
続きを読む2023/02/18
【第四章 スライムとギルド】第七話 道中
「あ!」 主殿が、急に困った顔をしました。 「どうしました?」 「茜さん。私たちの家の場所は把握されていますか?」 言っている意味が解らない。解らないけど・・・。 「正確な場所はわかりません。大凡の場所は把握しています」 これで合っているのか不安ですが、他に言いようがありません。主殿の家の位置は、把握していますが、正しいか解りません。 「そうですか・・・。それなら、家への道は解りますか?」 「はい?」 「かなりの坂道です。私は、慣れているので大丈夫ですが・・・」 やっと、主殿が何を心配しているのか解りました…
続きを読む2023/02/10
【第四章 スライムとギルド】第六話 緊張する
最悪だ。 今までにないくらい興奮もしている。しかし、緊張が、興奮を上回っている。吐きそうになってしまっている。 最初は、円香さんも、蒼さんも、孔明さんも付いてくると言ってくれていたが、蒼さんは、私たちが(主殿から提供された情報を、検証してマイルドな物から)公表した件に関して、元の職場から呼び出しが掛かった。 この時点で、主殿には約束をしていて、日時の変更を言い出しにくい状態になってしまっていた。主殿に都合がいい日をいくつか出してもらって、その中から選んだのはギルド側だ。 でも、蒼さんが居なくても、孔明さんで…
続きを読む2023/02/03
【第四章 スライムとギルド】第五話 茜、頑張る
主殿の依頼は、いくつかあるのだが、ギルドは全部の依頼に応えることに決まった。 一つ目の依頼は、スライムが大量に発生した場所のリストアップだ。リストアップは、私の仕事だ。主殿の話で、1年未満で大丈夫だと言われたが・・・。主殿から、いくつかの日付を教えられた。その中から、スライムや魔物の情報があった物をリストアップする。 「茜。どうだ?」 「芳しくないです。主殿が指摘した日付で、スライム発見の通報があったのは3回だけです。それも、数が多くても3体です」 「そうか・・・」 「円香さんは、どうですか?」 「孔明が、…
続きを読む2023/01/27
【第四章 スライムとギルド】第四話 会議
よかった。 本当に、良かった。少女・・・。主殿が連絡をしてきてくれた。 円香さんが、私に”ステータス”の事を聞けと指示を出した。 『え?ステータス?』 「はい」 『ありませんよ?』 「え?」 『あるのですか?』 「鑑定で見た時に、何か訳が解らない文字列が並んでいて、ギルドで検証を行っていますが、これがステータスではないかと思って・・・。主殿が何か知っていたら教えてもらおうかと・・・」 『あ!鑑定で見た時の文字化けですか?』 「そうです!そうです!」 『あぁ・・・』 「何か?まずい情報ですか?」 『いえ、あま…
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