擬態の記事一覧
2023/01/22
【第四章 スライムとギルド】第三話 スキル調査
私が鑑定を得たように、千明もスキルを得ていた。 「それで、千明は、どんなスキルを得たの?」 「”水”スキル?」 「疑問形で言われても、解らないわよ」 ”みゃみゃみゃぁ” 「え?アトス?本当?」 「千明?」 「あのね。茜に、見てもらえれば、”スキルが解る”だって」 「え?スキルは見えないよ?」 ”にゃっにゃぁぁ” 「え?そうなの?千明。私の手を握ってくれる?それで、”ステータス・ディスクロージャー”と、私が言えばいいみたい?」 孔明さんと蒼さんの視線が怖い。円香さんが、私の肩を触ろうとしているのを、孔明さんが…
続きを読む2023/01/09
【第四章 スライムとギルド】第二話 鑑定石
円香さんが、少女(主殿)から渡された魔石を見ている。 円香さんやギルドの皆には伝えていないが、少女(主殿)が着ていたのは制服だ。市内の高校が”今年から採用した”制服だ。少女(主殿)が、高校に通っているのかは、判断ができない。でも、高校の制服を入手できる立場だった。 いとこが、同じ高校に通っている。 調べれば、解るかもしれない。でも、調べてどうするのか?あの少女(主殿)が何を望んでいるのか解らない。 ”にゃ!” 「どうしたの?」 クロトが、足下にやってくる。 鳴き声で、クロトかラキシか判断ができる。 二匹にも…
続きを読む2022/12/06
【第四章 スライムとギルド】第一話 贈り物
少女との会談は、無事に終了した。 無事だと思いたい。最低限。本当に、最低限のラインは守れた。少女たちと敵対はしていない。 「円香!」 孔明が何か怒鳴っているが気にしないようにしている。 千明がアトスを撫でている。私も、千明と一緒に現実逃避したい。茜は、少女からの依頼を達成するために、端末で格闘している。 「円香!」 「孔明(こうめい)。聞こえている」 「聞こえているのなら、返事をしろ。それに・・・」 孔明が見つめる先にあるのは、少女から渡された”贈り物”だ。 あの日、少女は、女王蟻をライ殿に吸収させた。 そ…
続きを読む2022/11/28
【第三章 スライム今度こそ街へ】第二十話 少女からの提案
横に座る少女からは、害意は感じられない。 話を進めるにも、困った表情を私に向ける。本当に、”人”ではないのか?それとも、”人”なのに”魔物”なのか? 魔石の話から始めなければならない。 少女から渡された魔石の取り扱いだ。 「壊れましたか?」 私の問いかけに、少女から返ってきた話で、思考が停止してしまった。 慌てて、少女が何を言いたいのか考えた。 私の質問の仕方が悪かったようだ。 「そうではなく、主(あるじ)殿が作られたと、ライ殿から聞きました」 「そうですね。私が、魔石にスキルを付与する形ですが・・・。実際…
続きを読む2022/11/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十九話 不思議な少女
「円香さん。私も行かなきゃダメですか?孔明さんと蒼さんだけで・・・。私、留守番していますよ?」 茜がまだ行かないと言っている。 二日前から同じことを繰り返している。 「茜。諦めろ。ライ殿とはお前も会っている。”行かない”のはダメだ。もしかしたら、茜か千明しか会話ができない可能性があるのだ。何度も言わせるな」 ライ殿とライ殿の主と言われる方に会う。 もしかしたら、停滞した事柄が一気に動き出すかもしれない。まだ、ギルド本部には報告を上げていない。私の所で止めている。 長沼公園での出来事は、思い返しても不思議だ。…
続きを読む2022/11/06
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十八話 スライムとギルド
新しい服の購入は諦めた。諦めたというよりも、私のことを簡単に説明する方法を考えついた。 制服姿になって、待ち合わせ場所で待っていることにした。 ライはギルドの人に解りやすくするために、スライムの姿で待っていることにした。 私もライも、結界を張って、隠蔽のスキルを発動すれば、認識は難しい。 家の近くで試してみたが、誰も私が居るとは気が付かなかった。テストの仕上げは、最寄り駅の駐輪場で行ってみたが、誰にも気が付かれなかった。 スライムの状態で、カーディナルとアドニスに乗って移動をして、待ち合わせ場所で制服を着て…
続きを読む2022/10/23
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十七話 賭け
家で、天使湖で得た物(ドロップ品)を整理していた。 こればかりは、私かライにしかできない。判断した物を、まとめるのは、家族にもできるのだけど、まずは必要な物なのか判断しなければならない。 そして、”必要な物”を判断するのが難しい。 殆どの物が、ギルドの買い取りリストに載っていない。 買い取りができないのか?それとも、知られていない物なのか判断が私にはできない。情報がない。 そして、魔石の買い取りは出ているが、ゴブリンの魔石程度の大きさしか買い取っていない。魔物の名前ではなく、大きさでの買い取りが書かれている…
続きを読む2022/09/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十六話 念話と結界
円香さんは、念話の魔石を触って、何かを考えている。 「千明。この魔石を持って、キャンピングカーの外に出てくれ」 いきなり、円香さんが、千明にキャンピングカーの外に出ろと伝える。実験をしたいのは解るけど、最初に実験の説明をしなければ、千明が戸惑うだろう。実際に、千明はいきなり言われて動揺している。 「はい?」 「円香さん。実験をしなくて大丈夫ですか?」 「そうだな。使い方が解らないな。千明も念話ができるか触ってみるか?」 円香さんは、一つを千明に渡して、一つを自分で持つ。 『千明』 「え?頭の中に、円香さんの…
続きを読む2022/09/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十五話 規格外
千明に、円香さんを呼びに行ってもらった。 もう面倒なので、円香さんに丸投げすることに決めた。 話は、3つ。 一つは、眷属化だから、ワインズマンに入力するか確認すればいいだけだ。 『里見茜殿。本体に相談しました』 急にライが話しかけてきた。 「え?」 『里見茜殿は、説明が出来なくて困っている?違いますか?』 説明ができない? もっと簡単に言えば、ライの言葉を中継しなければならないのに困っている。 「そうね。ライが円香さんと話が出来たらいいとは思っている」 『はい。マスターから、贈り物です』 ライが少しだけ震え…
続きを読む2022/08/29
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十四話 会話
”ライ”が私を見つめている。多分・・・。スライムに目があるのか解らないが、”ライ”から視線を感じる。 まず、このスライムは”ライ”。本体が別に存在している。その本体との繋がりが出来て、はっきりと意思があるのだと言っている。 そして、スライムに名付けした者が存在している。”ライ”はマスターと呼んでいるが、主人なのだろう。 それだけではない。 ”ライ”は、円香さんのスキル構成を見抜いてしまっている。そういうスキルを持っているのか?それとも、スライム特有の能力なのか? 「千明?」 「ん?あっそうね。うん。茜に任せ…
続きを読む2022/08/21
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十三話 使い方
ギフトの使い方は、クロトが教えてくれた。 猫語が解るようになったわけではないが、私はクロトとラキシが何を言っているのか解るようになった。 どうやら、こちらに友好的な魔物とは意思が通じるらしい。クロトの上に乗っていたスライムが、アトスの上に移動した。 アトスの上に乗っていたスライムは、茜を見てから、アトスと何か話をする。 話をしているのは解るけど、私にはアトスの話は解らない。 「千明?」 アトスの話を聞いていたのだろうか、千明が少しだけ困った表情をしている。 「茜。スライムの話を、アトスが翻訳?してくれたけど…
続きを読む2022/08/11
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十二話 スキルとギフト
私は、里見茜。普通のギルド職員だ。 しかし、普通だと思えていたのも、ついさっきまでだ。 突然、脳内に、言葉が響いた。 『スキル:魔物鑑定を獲得』 『スキル:魔物支配を獲得』 『個体名クロトが眷属に加わりました』 『個体名ラキシが眷属に加わりました』 『眷属からのギフト:意思疎通が贈られました』 どうやら、私もスキルを得たようです。 『スキル:ステータス編集を獲得』 まだ終わっていなかった。 スキルが3つ?クロトとラキシが眷属?ギフトって何? ステータスは知っている。自分のステータスが表示される。でも、”ステ…
続きを読む2022/08/03
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十一話 大活躍
私は、里見(さとみ)茜(あかね)。ギルド日本本部の常識担当。 常識担当なのは、上司がぶっ飛んでいるのが原因だ。私くらいの常識人が居ないとギルドは成り立たない。 同僚?になった、元自衛官も脳筋と腹黒の二人で、円香さんと気が合う。円香さんとまともに話ができる時点で、私の中で二人は”偉人(変人)”としてのカテゴリーに分類される。 もう一人は、私と違った意味で常識担当の千明だ。 その千明は、朝から出かけている。 なぜかギルドで飼う事になった3匹の猫を病院に連れて行った。定期健診の知らせが届いた。里親募集で譲ってもら…
続きを読む2022/07/27
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十話 スライム発生
天使湖の後始末が終わって、各国への報告を行い。 関係各所への説明が終わって、やっと人心地が付いたギルドに、緊急を伝える無線が入った。 「円香!」 「聞こえている。手が離せない。蒼。頼む」 「・・・」 上村蒼は、重い腰を上げて、無線をコネクトする。 「ギルド。上村。そちらは?」 「失礼。静岡県警。巡査の森下です」 「あの森下巡査ですか?それで、何かありましたか?」 上村蒼の表情が変わる。 森下の名前を聞いて、奥で作業をしていた。榑谷円香も無線の近くに移動してきた。 消防や警察からの連絡は、日常茶飯事だ。それこ…
続きを読む2022/07/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第九話 また街へ
街に行ってから、2か月が経過した。 家の中に居るのも飽きてきて、裏山の改造をしている。 頂上付近にある小屋を物見やぐらに変更した。細かいことは、私かライが行う必要があるけど、分体が居るので、平行作業ができるのはありがたい。別に、人が登れるような櫓を作っているわけではない。カーディナルたちが、羽を休めながら遠くを見るための場所だ。人だったころは登るのは不可能だけど、優秀なスライムボディなら問題なく登れる。 物作りや改造は、スキルを使いこなす意味もある。スキルの数が多すぎて把握が追いついていない。新しい家族が増…
続きを読む2022/07/02
【第三章 スライム今度こそ街へ】第八話 休日?
今日は、休日・・・。暦の上では・・・。 スライムになってから、曜日の感覚が無くなっている。 曜日とは一切・・・。関係がないが、気が付いたら、家族たちの知性?が上がっている。 特に、カーディナルとアドニスは顕著だ。 あと、なぜかパロットの知性が爆上がりしている。 知性が上がった事で、カーディナルとアドニスは、行動範囲を広げた。 私に許可を求めてきたので、許可したら、静岡市・・・。安倍川までをテリトリーと決めた。東は富士川。西は安倍川。南は駿河湾(岸から離れた位置)。北は県境までをテリトリーと決めて、監視網の構…
続きを読む2022/06/16
【第三章 スライム今度こそ街へ】第七話 後始末
天使湖の異常な状態が鎮静した。謎の人物?の参戦によって、天使湖に居た魔物たちは駆逐された。 朝日と共に飛び立った鳥たち。一人の少女と少年が居たように見えた。私だけにしか見えなかった。円香さんも、孔明さんも、蒼さんも、千明も、見ていない。私の勘違い? 大きい鳥。鷲とか鷹とかだと思うけど・・・。地面から飛び立った時には、少女も少年も居なくなっていた。眠気は無かった。透明な壁(結界?)に覆われていた場所から、一斉に鳥が飛び立った。種類もいろいろだ。鳥には詳しくないけど、一種類ではない。複数の種類が一斉に飛び立つ。…
続きを読む2022/06/02
【第三章 スライム今度こそ街へ】第六話 帰り道
必要な物は揃えられたと思う。買い忘れが有っても困らないけど、もう一度だけ確認しておこう。 ライに持ってもらっている物もあるけど、不思議な事にスキルのレベルが上がったのか、私とライの”アイテムボックス”に共有の部分が出来ている。買った物を共有の場所に入れておけば、二人で取り出しができる。今度、距離の問題があるのかとか検証をしてみようと思う。 今は、買い物の確認をしておこう。 「ライ。買い忘れはない?」 「うん。あっ!」 「どうした?」 「お姉ちゃん。あのね」 「うん?」 「パロットが、”ちゅーる”が欲しいらし…
続きを読む2022/05/17
【第三章 スライム今度こそ街へ】第五話 買い物?
帰りは、セノバから電車に乗って、清水まで移動して、市場(河岸の市)に行こう。留守番をしてくれている子たちにお土産を買っていきたい。肉よりも、魚系が好きな子が多い。街中で買ってもいいけど、しっかりした物を買うのなら、河岸の市が便利だ。 「ライ。他に、何か欲しい物はある?」 「お姉ちゃん。文字や言葉が学べる本ってある?」 「ん?文字や言葉?」 「うん。僕は、読めるけど、カーディナルやアドニスたちも、文字が読みたいみたい」 「え?カーディナルたち?」 「うん。他の者たちも!」 「そう?わかった。セノバの上に本屋が…
続きを読む2022/05/08
【第三章 スライム今度こそ街へ】第四話 町から街へ
早く駅に到達する方法は、カーディナルに送ってもらうか、人の姿で、スキルを使って走り抜ける方法だ。 しかし、目立つので、その考えは、頭から追い出して、素直に自転車を使う。 通いなれた下り坂を、いつも以上の速度で降りていく、カーディナルに乗って移動していたときに比べれば、遅く感じてしまう。 駅について、ホームに移動する。 誰にも怪しまれていない。地下の自転車が置いてある場所から、ライも一緒だ。ライは、交通系カードを持っていないから、二人分の切符を購入した。 『お姉ちゃん!お姉ちゃん!』 「ライ。声を出していいよ…
続きを読む2022/05/01
【第三章 スライム今度こそ街へ】第三話 出発
「お姉ちゃん」 「うん」 ライが、男の子の姿になって、私を”お姉ちゃん”と呼ぶ。 外では、マスター呼びは目立つうえに不審者に見えてしまう。似ては居ないが、”姉”という設定だ。名前は、”ライ”のままだ。本名は”雷太(らいた)”とでもしておけば不自然ではない。と、思う。ちなみに、女の子(私の分体)は、”フウ”だ。本名も、”風(ふう)”だ。とある、漫画の好きなキャラクターの名前だ。設定をマルパくした。誕生日は12月12日。射手座のA型。身長だけは、156cmには出来なかったのが心残りだ。 ”にゃ!” 「パロット。…
続きを読む2022/04/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第二話 確認
服は・・・。さすがに、制服はダメだろう。 でも、困った。平日の昼間に、街に行ったら、間違いなく怪しまれる。最悪は、警察の厄介になってしまう。 学校を辞めているから、補導されても困らない。でも、身元を証明するもの・・・。あ! (マイナンバーカード!) 良かった。作っておいて・・・。 写真も入っている。身分証明書として使える。親も親戚も居ないから、補導されたら・・・。うーん。 補導されない様にすればいいのか? 学校がある時間はダメだ。 夕方は、移動を考えると、難しい。まず、過保護な家族から許可が出ないだろう。 …
続きを読む2022/04/12
【第三章 スライム今度こそ街へ】第一話 家族会議
新しい子たちが、我が家の庭と裏庭に揃うまで3週間もかかった。 しょうがないのだろうけど、”転移”のスキルとか無いのかな?移動が面倒だ。私とライだけなら、カーディナルやアドニスに乗っていくこともできるけど、家族で移動を考えると、難しい。 高校を卒業したあとな、免許も取れていただろうけど・・・。今は、免許は無理だ。人の姿になれる。確認したけど、指紋もある。声は出せるようになった。遠征で新しいスキルが沢山芽生えた。まだ、ライや家族たちが検証中だ。私が得たスキルで、一つだけは私だけが得たスキルのようだ。 私が得たス…
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