スキルの記事一覧
2022/09/28
【第二十六章 帰路】第二百七十話
アトフィア教の連中の尋問は、港町で生き残った者たちに任せた。 エクトルにも使者を出したのですぐにやってくるだろう。 俺は、シロと宿屋の部屋に入った。港が混乱しているから、すぐには出港できる状況ではない。 状況は収まっているが、破壊された港の修復も必要だ。 死んでしまった者たちの埋葬や送り出しを行う必要がある。俺たちが関与すべき事柄でないので、今は”待つ”しかやることがない。 「カズトさん」 もちろん、シロは一緒だけど、俺もシロもやることがなくて、ディメンジョンホームで鍛錬をしている。 「どうした?」 「エリ…
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【第二十六章 帰路】第二百六十九話
カイとウミなら心配する必要がない。 カイとウミなら、港にすぐに到着するだろう。問題の解決は無理でも、原因に繋がるヒントくらいは探し出してくれるだろう。 「カズトさん。ぼくたちも・・・」 「そうだな」 シロと腕を組んで、港に向かう。 喧噪が大きくなってくる。 しかし、港から逃げ出した者が居ないのが気になる。 逃げるとしたら、海に逃げるか、俺たちがいる街道方面に逃げるしかない。 「カズトさん。もしかしたら、街道方面から、港に何かが入ったと・・・」 その可能性も考えられるが、俺たちを追い越していった者は存在しない…
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【第二十六章 帰路】第二百六十八話
港が騒がしい? 「カズトさん!」 「シロ?」 シロが横を見ている。草原の方向を見ている。 指した方角から、何かがすごい勢いで俺たちにまっすぐに迫ってきている。 「あっ!」 『カズト様!』『カズ兄!』 心強い援軍の到着だ。 これで、港で何があっても大丈夫だ。 「カイ!ウミ!」 「カイ兄様!ウミ姉様!」 カイが俺の足元で止まるが、ウミは勢いのまま、シロに飛びつく。なんとか、踏みとどまったシロだが、ウミが甘えている。 「カイ。もういいのか?」 『大丈夫です。生き残りが森に居ました』 「そうか、それはよかった」 ウ…
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【第二十六章 帰路】第二百六十七話
港に到着する前にやっておきたいことがある。 「モデスト。ステファナ」 二人が、俺の前に来て、跪く。 「二人には、俺とシロから離れて、隠れてもらうよ」 二人の顔に不満を示す印(マーク)が浮き出る。 「二人は、港を制圧する仕事があるから、俺たちと一緒にいる所は見られないほうが、最初はやりやすいでしょ?」 ステファナとモデストは、お互いに顔を確認して、ステファナが前に出る。 「旦那様。私とモデストは、離れまして、夫婦として港に入ります」 「そうだな。その方が目立たないな。モデストの眷属を、従者として残してくれ」 …
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【第二十六章 帰路】第二百六十六話
港を占拠する。 実質的な占拠か、支配的な占拠か、武力を全面にだした占拠か・・・。 モデストは、支配的な占拠が望ましいと考えているようだ。 「実質的な支配ではダメか?」 「はい。我らの力を自らの力を勘違いする可能性があります」 モデストが危惧していることは理解ができる。しかし、人材が居ないのも確かだ。実質的な支配なら、俺たちの大陸からある程度信頼ができる商人を派遣して、現時点で港を仕切っている商人たちを追い出せばいい。 人材の面から、俺としては”実質的な占拠”が望ましいと思っていた。 「勘違い?」 「はい。旦…
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【第二十六章 帰路】第二百六十五話
草原エルフは、現在の拠点を、別の場所に移動することが決定している。 場所の選定も終わっている。 「カズトさん。どうして、場所を移すように言ったのですか?」 「ん?たいした理由は無いのだけどな・・・」 「??」 シロが可愛く首を傾げる。 「草原エルフの場所をそのまま使うと、勘違いする奴が産まれると思う。だから、新しい場所にして、既得権益を持つ奴から剥がしてしまったほうがいいだろう」 「そうなのですか?」 うまく行けばいい程度だけど、シロには言わなくてもいいだろう。 エルフの奴らがどうなろうと気にはならないが、…
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【第二十六章 帰路】第二百六十四話
クレバスは置いておくとして、生態系とか大丈夫なのか? 別の場所で狩った魔物には、いろいろ・・・。まぁ気にしてもしょうがない。違う世界ではないし、細菌とかに違いはないのだろう。 「シロ」 「はい」 「モデストたちと合流して、帰ろうと思うけど、カイとウミが、このクレバスを放置することが出来ないらしくて・・・」 「わかります。ここまで死んでしまった森を見たのは初めてです」 シロがステファナを見る。 ステファナが悲しそうな表情を崩さない。 よほどショックなのだろう。 「ステファナ」 「・・・」 「クレバスから、多様…
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【第二十六章 帰路】第二百六十三話
クレバスの様子を見ていたウミが戻ってきた。 崖の上に戻ると、ステファナとシロが墓標に向って頭を下げていた。シロが唄を紡いでいるようだ。ステファナが望んだことのようだ。 二人の後ろまで移動して、ステファナに合わせるように頭を下げる。 俺に気がついた、ステファナが少しだけ驚いた表情をするが、墓標に向き直った。シロも、俺の存在に気がついたが、会釈をする程度で、紡いでいる唄を止めない。 唄が終わり、辺りに静寂の時が流れる。 木々が風で揺れる音が耳に心地よい。 「カズトさん」 「シロ。ありがとう」 シロが俺の横に戻っ…
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【第二十六章 帰路】第二百六十二話
モデストの行動は早かった。 俺からの指示を受けて、即座に行動を開始した。 俺たちへの頼み事もしっかりと忘れない辺りは、ルートに通じるものがある。遠慮がなくなってきたのはいいことだ。俺やカイやウミにしかできないことを、無理にやろうとして失敗するよりはいい。 モデストの要請を受けて、草原エルフからの里から、森エルフの里にまっすぐに伸びる一本の道を作成した。 木々をなぎ倒して、道を通した。同じように、沼エルフと草原エルフも道を通した。 沼エルフと草原エルフの道の間には、モデストからの依頼通りに、関所を設置する。壁…
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【第二十六章 帰路】第二百六十一話
「何者だ!」 わらわらと、エルフたちが湧いてくる。 確かに美形揃いだけど・・・。 シロを見ると、シロが不思議そうな表情で俺を見る。 森エルフたちが俺たちを威嚇するが、無視を決め込んで、カイとウミが作った道を進む。 横を通り過ぎる時にも、目を向けるのも面倒だ。 攻撃してきたら、受け流して、殺してしまえばいい。シロには、レベル5の結界と障壁を使わせている。 「カズトさん?」 「いいよ。どうせ、何もできやしない」 「そうですが・・・」 「どうした、なにか気になるのか?」 「いえ、ステファナとモデストの気配だと思い…
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【第二十五章 救援】第二百六十話
エルフの結界を破壊した俺たちは、境界に向って歩き出す。 「そうだ。誰か、草原エルフの里に向って欲しい。今から追いかければ、追いつくだろう」 「それならば、私が」 1人の眷属が俺の前に来て跪く。 「任せた、モデストかステファナに、そこで怯えている奴らのことを報告しろ、処置にこまるようならテル・ハールに丸投げしろと伝えてくれ」 「かしこまりました。こやつらの見張りは?」 「必要だと思うか?」 檻の中で怯えている奴らを見る。 逃げ出しても怖くはない。もし、なんとか逃げ出して、治療をして、腕や脚を繋げたとして、俺た…
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【第二十五章 救援】第二百五十九話
「カズトさん?」 シロが、俺の顔を見るが、心配はしていない。どちらかと言うと、カイとウミがやり過ぎないか心配している。 「大丈夫だろう。カイ。ウミ。手加減しろよ」 カイとウミは、俺の声を聞いて、弾けるように森に向かう。 森の方から、カイとウミが使ったと思えるスキルの波動が伝わってくる。それほど強いスキルは使っていないようだ。 10分程度は、戦っているような音がしているが、その後で静寂が訪れた。 「カズトさん?」 「大丈夫だ。殺してはいない・・・。と、思う」 静寂が怖いが、殺していても問題は無いだろう。 『カ…
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【第二十五章 救援】第二百五十八話
さて、モデストが一緒に行ったし、影も数名付けているから、大丈夫だろう。 俺は、俺で動き始めるか? 「もう少しだけ休んだら移動するぞ?」 「はい。どちらに?」 「草原エルフの里は、ステファナに付けた者たちが、教えてくれるだろうから、俺たちは、モデストたちが取り逃がした者たちを捕らえる」 「わかりました」 「でも、俺やシロの出番はなさそうだな」 カイとウミを見ると、戦闘準備を始めている。シロも、俺の意見に賛成のようだ。準備運動を行っているカイとウミを見て納得している。 「それでも」 「はい。わかっています」 シ…
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【第二十五章 救援】第二百五十七話
私は、ステファナ。 旦那(ツクモ)様と奥(シロ)様から離れて、エルフの里に来ている。 通された部屋には、女の子が横になっている。 部屋には、私とモデストとエクトルが入った。里の者たちも入ろうとしたが、エクトルが強制的に追い出した。まだ、部屋の外で喚いていたので、モデストが遮音結界を張った。旦那様から渡されたスキルで、音を遮断するのだと教えられた。レベル5のカードになっているのだが、私もエクトルも知らないカードだ。 「姫様」 エクトルが、横になっている女の子の前に跪いて、呼びかける。 寝ているわけではなさそう…
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【第二十五章 救援】第二百五十六話
私は、ステファナ。 カズト・ツクモ様に拾われて、奥様になられたシロ様の従者(メイド)を務めさせていただいている。 旦那様と奥様が、エルフ大陸に渡ることになった為に、私が付いてきた。 いろいろあって、旦那様と奥様はエルフの里には向かわずに、港町を出た所で待機されている。 入り組んだ障壁を抜けて、草原エルフの里の前まで来た。 草原の中に、木で作られた家が立ち並んでいる場所だ。旦那様が作られるような堀や柵はなく、簡素な柵があるだけの場所だ。 テル・ハール殿が、門の所にいた男性に声をかけている。 モデストを睨むよう…
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【第二十五章 救援】第二百五十五話
エクトルとテル・ハールが、ステファナと私(モデスト)が居る場所まで戻ってきた。 「ステファナ様。草原エルフの者たちで、姫からの使者です。我らに敵対する意思がないと確認しました」 「わかりました。案内をしてくれるのですよね?」 「はい」 「いきましょう」 ステファナ様が決断しました。 しかし、聞いておくべき事があります。 「お待ち下さい。ステファナ様。旦那様へのご報告はどうされますか?」 私たちだけで移動して治療を行って、ステファナ様のご家族への挨拶をして帰ってきても、旦那様は何も言わないでしょう。奥様は、旦…
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【第二十五章 救援】第二百五十四話
「ステファナ様」 モデストがステファナに話しかける。 ステファナも解っているので、頷くだけにとどめた。二人のやり取りを見ていたテル・ハールは不思議な感覚に捕らわれていた。 (主従ではないのか?) 「モデスト。連絡はどうしますか?」 モデストは、ちらっとテル・ハールを見た。 「必要ないでしょう」 ステファナが少しだけ意外そうな表情をするが、すぐにモデストの考えが解った。 先程まで近くに居たカイが姿を消している。ツクモの所に報告に言っているのだ。ステファナも、モデストも解っているので、何も言わない。そんな二人を…
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【第二十五章 救援】第二百五十三話
「ウミ様。モデスト様。ステファナ様」 エクトルが、私たちの前に来てひざまずきます。 「・・・」 「どうしました?ステファナ様。そうだ。ステファナ様。ここから、私の事は、”モデスト”と呼び捨てにしてください」 「え?」 「交渉は、私が行います。ステファナ様は、旦那様と奥様の代理なのです。旦那様に保護された一族とは立場が違います」 「それなら、私は・・・」 「いいえ。ステファナ様。貴方は、旦那様や奥様と同じ場所で生活をされています。私たちは違います。指示系統は違いますが、貴方が上位者です」 「わかりました。モデ…
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【第二十五章 救援】第二百五十二話
「カズトさん。大丈夫でしょうか?」 「正直、わからない。なるようにしかならないと思う」 「そうですよね」 カイの頭を撫でながら、モデストたちが歩いていった方向を見つめる。姿は見えなくなっている。ウミは、5分程度は我慢していたが、我慢の限界だったのか、狩りに出かけている。カイがいれば護衛は大丈夫だと思ったのだろう。モデストの部下も残っているので、大丈夫だとは思っている。それに、草原エルフが何か仕掛けてきても、ウミなら大丈夫だろう。 実際に、魔物の気配は感じない。シロも、最初の頃は周りを警戒していたが、今は俺に…
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【第二十五章 救援】第二百五十一話
案内役だと思っていた奴が放った暴言から始まった威圧と殺気が止まらない。 「・・・」 どうにかしてくれ。 ひとまず、身内からどうにかしないと駄目だな。 「カイ。ウミ。まず、殺気を抑えろ。俺が、お前たちと離れるわけがない。お前たちから、離れたいと言っても、許可しない。いいか、お前たちは、俺の家族だ」 跪いているエルフは、いきなりカイとウミに”里で過ごしてください”と言い出した。これには、モデストだけではなく、エクトルも絶句した。 眷属を解除する方法も里ならあるとまで言い出したのだ。ステファナが呆れるような表情で…
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【第二十四章 森精】第二百五十話
「旦那様。よろしいのですか?」 「何が?」 「”完全回復”を、私が・・・」 「うーん。一番の適任だと思うけど?シロはどう思う?」 「僕も、カズトさんの考えに賛成です。僕やカズトさんが持っているよりも、ステファナが持っていて、僕たちに何か有った時に、使ってくれると嬉しい」 「・・・。わかりました」 ステファナの許可も得られたし、シロも賛成してくれている。ルートや元老院は文句を言うかもしれないけど、居ない者の心配をしてもしょうがない。 ステファナを説得して、レベル9”完全回復”を仕えるようにした。 モデストが主…
続きを読む2022/09/28
【第二十四章 森精】第二百四十九話
部屋で待っていると、きっちり5分後に、エクトルだけが部屋を訪ねてきた。 「ツクモ様」 「入れ」 「はっ」 シロは、俺の後ろに立っている。いつでも踏み込めるような体勢で、武器に手をかけている。俺も、左側に刀を置いている。 エクトルは、俺とシロが武器を手放していない状況が解ったのだろう。 剣と刀が届かない距離で止まった。それから、ゆっくりと一歩一歩前に歩いた。シロの剣が届く距離で歩くのを止めて、跪いた。 「エクトル。それで?」 「はっ。ムー様は、”シ”族の族長」 「待った。その”シ”族というのを俺は知らない。意…
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【第二十四章 森精】第二百四十八話
「シロ。そろそろ、帰るぞ」 「はい!」 シロが俺の腕を取る。 二人とも、靴を脱いで素足で、砂浜の感触を確かめながら出口に向かう。 出口に近づいた時に、出口を監視している視線に気がついた。 俺たちを狙っているのかわからないが、警戒シておく必要があるだろう。 「カズトさん!」 「3人か?スキルを使うか?」 「いえ。カズトさん。僕にやらせてもらえませんか?」 「久しぶりに動きたいのか?」 「それもありますが、僕も・・・」 「大丈夫だよ。シロ。シロは、俺の大切な人だ」 「・・・」 「そうだな。久しぶりに、二人で身体…
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【第二十四章 森精】第二百四十七話
襲撃は、不発に終わったが、ステファナの事情を考えれば、今回の襲撃が最後ではないだろう。 自分やシロが原因ではない襲撃も久しぶりなので、俺たちに理由がないだけで気分はだいぶ楽だ。 「ステファナ。それで移動の準備は?」 「もうしわけございません。まだ、全部は終わっていません」 「わかった。今日は、もう休んで、明日以降に頼む」 「はい」 ステファナは、もうしわけなさそうに頭を下げるが、別にステファナのせいじゃない。襲撃してきた者たちに責任があり、原因もステファナに責任があるわけではない。 「あっステファナ!」 「…
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【第二十四章 森精】第二百四十六話
「旦那様!」 モデストでもエクトルでもなく、ステファナが最初に部屋に入ってきた。 「本物のステファナが戻ってきたぞ?ステファナ(偽物)の意味は無いぞ?狂信者といつまでも遊んでいる時間は無いからな」 「くっ殺せ」 「え?殺す?ステファナ。偽物のステファナを殺すか?」 「旦那様。面倒事を私に押し付けないでください。殺したら、それで終わりですよ。生かして利用する方法を考えましょうよ」 ステファナが窓の方向を指差している。 モデストと下で別れたのだろう。そして、モデストは別で動いているのだろう。 時間稼ぎをすればい…
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【第二十四章 森精】第二百四十五話
エルフ大陸に無事到着した。 襲われることもなく、入港手続きをして、大陸への上陸の許可が貰えた。ステファナの里帰りという目的と、エクトルが持っていた(正確には、返した)身分を保証するカードと、多(・)少(・)の”袖の下”で、宿まで紹介してもらえた。 交易船の船長たちにも助力を貰えたのが大きかった。船長たちは、それなりにエルフ大陸との交易で訪れているので、信用はされている。 宿の手配も終わった。 俺とシロが同室で、あとはモデストが配分した。ステファナは、俺とシロが泊まる部屋に付いていた従者の寝泊まりする部屋に入…
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【第二十四章 森精】第二百四十四話
ルートが用意した、商船の中にある客室で過ごしている。 変わらない風景と同じような音に飽きてきたのか、エリンは俺とシロの間で眠ってしまっている。 シロは暫くは、剣や防具の手入れをしていたが、それも飽きてしまったようだ。 「カズトさん。なんで、船で行くのですか?」 「ん?あぁエリンたちに乗っていかないかってことか?」 「はい」 「うーん。いくつか理由はあるけど、エルフたちに余計な詮索をさせないためだ。本音の話として、”俺がシロと一緒に居る時間が欲しかった”も付け加えておく」 「カズトさん。いろいろ台無しです。で…
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【第二十四章 森精】第二百四十三話
「ルート。いいのか?」 「はい。お任せください。それに、妻(・)も向かっています」 昨晩、パレスキャッスルに到着して、宿に案内されながら、ルートから提案されたことだ。 俺たちは、パレスキャッスルには滞在しないと決めた。俺が居たのでは、代官が”こと”を興すのを、思いとどまってしまうのは困るのだ。俺が居ることで、代官が諦めでもしたら、居なくなってから、また騒がしくなるのは面倒だ。 レッシュとレッチュは、ルートの所に戻るように言ってある。 ルートの妻は、クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオだが、公には”ク…
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【第二十四章 森精】第二百四十二話
パレスキャッスルまで、1日の距離になった。 「カズトさん。僕、カイとウミと模擬戦をします」 「わかった。カイとウミも頼むな」 大陸の中なので、目立った護衛は連れていない。 エルフ大陸での移動の時に、どうしようかと思っているのだが、パレスキャッスルでルートと相談しよう。 休憩中に、シロはカイとウミを相手に模擬戦を行っている。 身体がなまっていると言っているのだが、動いていないと嫌なのだろう。 『旦那様』 レッシュとレッチェがロングケープから戻ってきた。 ルートに行程を伝えていたのだ。変わっていないから、必要な…
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【第二十四章 森精】第二百四十一話
シロが俺の横に座る 「カズトさん」 「シロ。身体の力を抜け」 「はい」 シロの身体を押し倒す。シロは抵抗しないでそのまま押し倒される。 シロの綺麗な首筋を撫でる。 可愛く身体を攀じるシロを見つめる。虐めたくなってしまう。 「シロ。逃げるから、ガウンが開けて(はだけて)しまっているぞ」 「・・・。カズトさん」 「なんだ?」 「僕。カズトさんが」「俺は、シロが欲しい」 「はい!カズトさん。僕の全ては、カズトさんの為にあります」 シロがガウンを脱ぎ捨てて、大きく手を広げる。 「シロ」 「はい!」 嬉しそうにするシ…
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