2021/10/03
【第二章 スライム街へ】第一話 後始末
ギルドの日本支部は荒れていた。 本部からの発表で、”情報管理部”と”スキル管理部”と”登録者管理部”だけが残されて、他が解体されることになった。主な理由は、企業からの献金を着服していた事実と、魔石の横流しの事実と、情報漏えいの事実が見つかった。特に、スキル保持者の情報や魔物の情報をプロトコル(正規の手順)以外の方法で流出させたのが問題になった。 解体された部署を仕切っていた者たちは、多くの者が横領で当局に告発された。 それだけではなく、ギルド本部にて査問に掛けられた。日本での法律では、”白”に出来る…
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【第五章 マヤとミル】第二十話 王都へ
神殿の拡張と、運営をマヤとロルフに任せて、俺とミルは、ギルドとの交渉を行うために、王都に向かうことにした。 「ロルフ。マヤ。神殿を頼むな」 「うん!」『かしこまりました』 マヤは、妖精の姿をしている。ブロッホの肩に乗って、元気に承諾をした。 マヤとミルは、二人で一人なのだ。ミルと一緒に王都に向かうと決めてから、いろいろと確認をしなければならなかった。 最初に確認したのは、”マヤとミルが離れても大丈夫なのか”だったが、距離は、問題にはならない。 マヤを乗せた、アウレイアとアイルが、王都を超える距離ま…
続きを読む2021/10/01
【第一章 スライム生活】第二十九話 一匹のスライム
どうやら、カーディナルたちは裏山の東側を、徹底的に調査を行うようだ。 ドーンやフリップやジャックだけではなく、ダークまで呼んでいる。 実際に、ゴブリンが2体と、色が違うゴブリンが1体と角が生え犬のような生き物が居た。 アドニスが誘導して、私が岩を落として仕留めた。 最初は、カーディナルたちが戦おうとしたけど、家族が傷つくのがイヤで私が安全に倒せると説明して、対応した。 どうやら、捜索部隊は、他の山にも分け入って魔物?を探してきている。確かに、裏山だけが安全でも意味がない。救える命が散らされるのは…
続きを読む2021/10/01
【第一章 ギミックハウス】第二十九話 帝国
俺の討伐部隊が攻め込んできてから、3ヶ月が経過した。 魔王城(仮称)は、今日も平和だ。 帝国からは、奴隷と関係者が、200名ほど連れられてきた。同時に、違法奴隷を扱っていた商人や貴族も連れられてきた。”好きにしてよい”と言われた。元奴隷たちに聞いたら、殺したいほど憎んでいる。 父親を、母親を、家族を殺された。 妻を目の前で犯された。 恋人を殺された。 子供を殺された。 攻め込んできている者たちの中に、獣人や多種族を奴隷にするために、町や村を襲っていた者が居た。しかし、奴隷たちは、商人や貴族た…
続きを読む2021/09/30
【第一章 スライム生活】第二十八話 本当の密談
本題だと言って渡された資料に目を落とした孔明と蒼だが、最初の数ページを読んで頭を抱えだした。 常識派だと言ってもいい孔明は解るが、破天荒な性格をしていて、破滅主義な蒼まで資料に書かれている内容には眉を顰める。 「おい。円香?」 「なんだ?」 蒼は、資料を引きつった表情で丸めて、テーブルを叩いている。 「気に食わないか?」 「違う!円香!この情報は正しいのか?違うな、どこから持ってきた!」 蒼は激高して立ち上がる。 孔明は、二人のやり取りを眺めているが、明らかに円香を睨んでいる。 「ふたりとも、少し…
続きを読む2021/09/30
【第一章 ギミックハウス】第二十八話 【帝国】魔王の所業
陛下からの呼び出しだ。状況を報告しろとのことだ。 陛下と宰相に連絡をしたので、当然の反応だ。それも、他の予定を飛ばしての面会だ。 昨日の夕方に、ギルド職員と一緒に書状を提出した件に関してだ。 朝には、呼び出された。ギルドは、職員ではなく、ボイドと名乗った、隊員と一緒に戻ってきた者が、会議室に呼ばれている。 会議室に入ると、ギルドのボイドは既に着ていた。 陛下に臣下の礼をしてから、指示された椅子に座る。 「ティモン!本当なのか?」 陛下から、想像していたのとは違う質問が来る。 陛下が聞きたいの…
続きを読む2021/09/29
【第一章 スライム生活】第二十七話 あらいぐま
よし、今日は裏山の探索を行おう。 先日から、魔石の増え方が遅くなった。すごく嬉しい。魔石は命だ(多分)。小さいかもしれないが、一つ一つが大切な命だ(多分)。 (おはよう。パロット) ”にゃ!” うん。 挨拶が帰ってくるのは嬉しい。言葉が通じたら、もっと嬉しいのだけど、出来ないものは、考えても無駄だ。今、意思の疎通が可能になったことを喜ぼう。 外の巣箱には、カーディナルもアドニスも揃っている。 昼間だから、お願いするのなら、カーディナルがいいかな? (カーディナル!) 私の呼びかけに、カーディナ…
続きを読む2021/09/29
【第一章 ギミックハウス】第二十七話 魔王の所業
さて、そろそろ不快感が上回ってきた。 今、セバスと一緒に魔王城(仮称)で、武器や防具を持っていた者たちの話を聞いている。 話の内容は、速報として俺のところに届けられるが、気分が悪くなってくる。 「ルブラン!」 どうやら、奴隷たちは、無理やり戦いに参加させられたのは間違いないようだ。 村を襲われて、家族の命と引き換えに奴隷になった者や、目の前で家族を惨殺されて、心が折れてしまって奴隷になった者も居る。 「はっ」 奴隷の前で、セバスが俺に対して頭を下げる。 セバスやモミジからの助言だ。魔王城(仮称…
続きを読む2021/09/28
【第一章 スライム生活】第二十六話 密談開始
停泊しているクルーザーに近づく、甲板を見ると見知った顔が手を振っている。 「孔明!」 「円香。俺の名前は、孔明(よしあき)だ」 「おっしっかりと、蒼(あおい)を連れてきてくれたようだな」 円香は、俺の話しをスルーして、上村を見つけて、にこやかに話しかける。円香が載っているクルーザーは俺たちが載ってきたクルーザーよりも、1.5倍ほど大きな船だ。上村が横付けして、円香たちのクルーザーに乗り込む。 「円香。こんな面倒なことをしなくても・・・」 「悪いな。でも、問題が多すぎて、孔明のところでは話せないだろう?私…
続きを読む2021/09/28
【第一章 ギミックハウス】第二十六話 追加と拡張
25人を追加する前に、セバスたちの部屋の拡張を行おう。現状では、25名の部屋は無い。 仕事場は、それぞれの代表に考えさせよう。 基本は、魔王城の4階かな。攻められても、4階までは来ないだろう。それか、子どもたちに用意する予定になっている。地下に施設を作るか? 子どもたちに教えるという役割を持たせるのなら、近くの方がいいよな。 面倒だな。 捕らえる奴隷たちを労働力に使って、施設を作らせるか? 領域は余分に確保している。 外側の壁は、今回はスルーさせたが、本来なら罠として利用出来る。2つの壁との…
続きを読む2021/09/27
【第一章 スライム生活】第二十五話 正道
「ねぇ聞いた?」 「なに?なんの話?」 「ほら、中央厨の・・・」 「あぁ」 「また、やらかしたみたいなの?」 「え?また?この前は、市内にゴブリンが出現したとか言って、ロケ隊を引っ掻き回しのでしょう?」 「そうそう、それでニュースで使う画(え)が撮れなくて大変だった」 「ご愁傷さま。それで、今回も?」 「ううん。今回は、視聴者からの情報とか言って、スライムの動画をニュースで流して、スライムの捕縛に懸賞金を賭けたの・・・」 「え?あれって、中央厨の仕業なの?」 「そうなの!私が担当している番組のSNSまで大炎…
続きを読む2021/09/27
【第一章 ギミックハウス】第二十五話 補強
また、”本”を読んでいて、寝てしまった。 解ったことがある。”夜伽”はスキルで存在していて、呪いのような物だ。セバスたちを呼び出す時に”OFF”にしていた俺を褒めてやりたい。 これから、気をつけよう。 ”スキル”として夜伽があるとは思わなかったが、オプションで選択が可能な項目は、全部スキルになっていると思ったほうがいいだろう。チュートリアルが終わって、大丈夫だと思ったら、こんな罠を仕掛けるなんて、簡単に攻略をさせたくないようだ。 でも、セバスたちが夜伽は、本人の意思だというのがわかっただけでも・・…
続きを読む2021/09/26
【第一章 スライム生活】第二十四話 交差する思惑
「桐元!」 ドアをノックもせずに開けて部屋に入ってきた、上村を睨むが、上村の気持ちも理解できる。俺も、同じ気分だ。 「失礼しました。孔明(こうめい)少佐!小官へのご命令に関して質問があります」 「上村中尉。私の名前は、孔明(こうめい)ではない。孔明(よしあき)だ」 「これは、失礼しました。頭脳明晰でいらっしゃる。桐元少佐なので、彼(か)の諸葛孔明の生まれ変わりかと考えてしまいました」 「はぁ・・・」 書類を読む手を止めて、ソファーに移動する。 上村をソファーの対面に座らせる。 「それで?指令書の件か?…
続きを読む2021/09/26
【第一章 ギミックハウス】第二十四話 【帝国】魔王城?
我たちは、魔王城に作られた壁を突破した。 簡単に突破できてしまった。反対側にしか門が無いために、距離はあるが。魔物も罠も無いために、ただ距離がある以外の意味は持たない。 我の説を裏付ける事態が更に展開される。 「殿下」 「間違いは無いだろう」 門から入った場所で、部隊を集結させる。中央に建つ異様な白い建物が魔王城だと思われるが、我は愚か者ではない。斥候を出して、門の位置や罠の確認を行わせる。その間に、部隊に休息の指示を出す。 斥候が戻ってくる頃には、後ろからやってくる奴隷兵たちも到着するだろう。 …
続きを読む2021/09/25
【第一章 スライム生活】第二十三話 マスコミ
「柚木ちゃん。話を調べてくれた?」 面倒な奴に見つかってしまった。 中央に返り咲きたいと常々言っているが、この男がやっているのは、犯罪の”ギリギリ”とかではない、犯罪行為だ。 それで、中央から飛ばされたのに、こりていない。 「はぁ」 「ほら、柚木ちゃんの知り合いに、ギルドの職員が居るでしょ。彼女にちょっと渡してね」 「無理です」 「そんな事はないよ。頼むよ。ほら、なんとかの、なんとかも、金次第とかいうでしょ?なんとかなるよ」 茜に、そんなこと(買収工作)をしたら、私は間違いなく、翌日の朝日は拝めない…
続きを読む2021/09/25
【第一章 ギミックハウス】第二十三話 学習
セバス(ルブラン)が、マスタールームから出ると、5人が整列して待機していた。 「代表を決めたほうが良いでしょう」 ルブランからの言葉は、上位者からの言葉だ。 代表と言われても、皆が顔を見合わせる。 「そうですね。カエデ。貴方が、皆の代表です。他の者もいいですね?」 文句が出るはずもない。 上位者からの命令は絶対だ。 ルブランは、5人に、知識として”知っている”と思われる内容を含めて、マスターに関する物事の説明を行う。 自分がマスターの眷属になってからの話は、丁寧に、マスターの偉大さを伝えるよう…
続きを読む2021/09/24
【第一章 スライム生活】第二十二話 調べ物
今日は、オークを倒した東側に行こうと考えている。考えているだけで、実行するかは未定だ。。 名前を付けてから、パロット(猫)が家に上がってくるようになった。 ナップたちが、家の周りを警戒するように見回っている。前は、巣を作っていたが、名前を付けてから、巣を作らなくなった。いいのかな?食べ物とか困っていない? それに、わたし、少しだけ大きくなっている? 今までは、触手?が2本までしか出せていなかったけど、今は4本まで増やせる。もう何本か出せそうだけど、制御が難しい。全部、同じ動きになってしまう。 触…
続きを読む2021/09/24
【第一章 ギミックハウス】第二十二話 【帝国】突破
部下からの報告で、門に不可解な数字が出現して、数字が減っていると報告を受けた。 意味がわからないために、攻撃を控えるように指示を出した。 増援が向っている状態で、下手に動くのは得策ではない。 「殿下!」 5番隊の隊長と、15番隊の隊長が揃って挨拶に来た。 「よく来てくれた。援軍は、公爵からか?」 「いえ、自分たちは、陛下からの勅命を受けて来ました。7番の軟弱者が撤退を考えているようだと聞いて、殿下の戦歴のために我らを使わせたのだと理解しています」 天幕の中には、7番隊の目が居る。5番隊の隊長も、解…
続きを読む2021/09/23
【第一章 スライム生活】第二十一話 裏庭
我は、この場所に住み着いた者たちの長をしている。 我らには、主(あるじ)様が居る。丸くて、柔らかそうで、”ぷよぷよ”としているが、ものすごく強いことは、我らの本能が訴えている。 逆らってはダメだ。敵対してはダメだ。 それだけではない。この楽園のような場所を作ったのも主様だ。主様の想いの一部は我らに伝わってくる。山では最上位である我だが、飢餓との戦いだ。しかし、この場所では飢餓を感じない。 『ワシ殿』 ”ワシ”と言うのが、我の仮の名だ。主様は、我の種族だと言っていた。他の者も、種族名を仮の名にしてい…
続きを読む2021/09/23
【第一章 ギミックハウス】第二十一話 新たな人材
起きたが、やることがない。 ポイントを使って、好きだった弁当を取り寄せる。 一度、こっちのパンを食べてみたが、味がしない。いや、味はしているのだが、素朴な味だ。軽く炙ってから、バターをたっぷり乗せたら食べられるかもしれない。そこまでして食べたいとは思わなかった。適材適所なのかもしれないが、パンが食べたくなったら、食パンを仕入れようと思う。それか、こっちの世界でも小麦が存在しているから、パンを作らせてみるのもいいかもしれない。 「マイマスター」 「何かあったか?」 「お部屋に入ってよろしいですか?」 「…
続きを読む2021/09/22
【第一章 スライム生活】第二十話 名前
うーん。 なんか、裏庭に住み着いた動物たちの様子がおかしい。 私に襲いかかるようなことは無いのだけど、なんだか見られているように感じる。最初は気のせいかと思ったけど、裏山に魔石で作った結界を設置しているときに、フクロウが一定の距離で付いてきた。ハクビシンも、付かず離れずの距離を保っていた。東側に行ったときのような、立体機動はしなかったが、それでも、かなりの速度で移動したけど、二匹とも私を監視するようにしていた。 スライムは珍しいだろうから、不思議な生物だと思って、見ていたのかな? 気にしてもしょう…
続きを読む2021/09/22
【第一章 ギミックハウス】第二十話 【奴隷】穏やかな日々
ここは? あっ 私たちは、魔王様に捕らえられて・・・。 部屋を与えられた。産まれて初めて、お風呂に入った。冷たい水ではなく、温かい水で身体を拭いた。汚れで、綺麗だったタオルがすぐに汚くなってしまった。でも、ルブラン様から言われた通りに、石鹸を付けて身体をこすった。いい匂いがして、身体が綺麗になった。ゴワゴワだったしっぽがふわふわになった。それから、温かい水に身体を沈めた。 なぜか、涙が出てしまった。 身体から、全部の悪いものが出ていくように感じてしまった。妹が心配そうに見上げてきたが、頭を撫でて…
続きを読む2021/09/21
【第一章 スライム生活】第十九話 桐元孔明
久しぶりに連絡が来たと思ったら・・・。 奴は、どこから自衛隊の秘匿情報を得ている? それを脅し文句にして・・・。まぁいい。久しぶりに、会うのも一興だ。たしか、奴はギルドの職員だし、情報交換と言えば問題は無いだろう。 指示された場所は、市内にあるカラオケ店だ。カラオケ店の近くで、奴にメッセージを送ると、部屋番号が送られてきた。 「おい!」 部屋では、奴・・・。桐元がマイクを持って熱唱していた。同世代なら誰でも歌える曲だ。 「お!桐元・・・。今は、少佐だったよね。昇進おめでとう」 マイクを持ったまま…
続きを読む2021/09/21
【第一章 ギミックハウス】第十九話 セバス動く
私は、セバス。 マイマスターに生み出された。 先程、マイマスターのお力で、魔物を使役して、私の配下になるように設定していただいた。 私が出向けば、目的の達成は容易い。しかし、マイマスターから頂いた”子供たちを頼む”という命題との同時進行では、マイマスターのお側で過ごす時間が減ってしまう。そのために、失礼な話だとは思ったが、マイマスターにお願いをしてしまった。 それにしても、面白い。 魔物ポットという装置は、本当に魔物が産まれてくる、産まれてきた魔物は、私が支配できる。意思の伝達が可能になっている…
続きを読む2021/09/20
【第一章 スライム生活】第十八話 ファントム
スライムになってしまった彼女の犠牲者が居るとしたら、ギルド日本支部の”情報管理課”兼”スキル管理課準備室”兼”登録者管理課準備室”の職員だろう。その中でも、ほぼ彼女の担当と言っても良いようになってしまっている、里見(さとみ)茜(あかね)だろう。 彼女は、父親が趣味で作った環境が”異常”だとは知らない。今後も気がつくことは無いだろう。そして、スライムになってしまった自分が、外でスマホを持っているのは、おかしいのではないかと考えて、スマホを部屋に置きっぱなしにしている。 彼女が、ここ数日でギルドに与えた衝…
続きを読む2021/09/20
【第一章 ギミックハウス】第十八話 門を開く
人族が攻め込んできて、今日で6日だが・・・。魔王城は、今日も平和です。 捕らえた、子どもたちはセバス(二人の時に、ルブランと呼ぶと悲しそうな顔をする)に会ってから、素直に地下の部屋に入ってくれた。地上部は、戦闘になる可能性を考慮して、出入りを禁止した。戦闘が終わってから、地上部で自給自足が可能な状態まで持っていこうと思ったが、”本”で先代の日記を読んでいたら、面白い記述があり試してみた。 地下型の魔王城を作成した者の日記だったのだが、地下に地上と同じような草原を作られるという記述だ。 うーん。ポイン…
続きを読む2021/09/19
【第一章 スライム生活】第十七話 家の裏
夜に寝られるようになった。スライムです。乙女の敵である体重計に乗ったら、体重が測れなくなっていて、少しだけ落ち込んでいます。 眠くならないのですが、寝る方法が解った。感情を切り離す訓練をしていたら、意識を手放す方法が確立できた。 やっぱり、夜に寝られないと、気持ちが悪い。 しかし、ここ数日は起きるのに、スマホのバイブではない。 なぜか、増えている裏庭の動物たちの鳴き声だ。 結界を張っているのに、なぜか動物が増えている。悪意があるわけでも、私(スライム)を攻撃してくるでもなく、動物同士で喧嘩するわ…
続きを読む2021/09/19
【第一章 ギミックハウス】第十七話 【帝国】
「宰相。増援部隊は?」 「昨日、帝都を出ました。まもなく、攻略を開始するでしょう」 「そうか・・・。後継者争いが起こる前に、考えなければならないな」 「まだ、その・・・。お言葉は、些か早いように思えます。殿下が、魔王を討伐して」 「宰相。そちも、解っているのだろう?」 「はっ。陛下。ギルドからの申し出は?」 「本部から来るのであろう?会わないわけには行かないだろうな」 「はっ。日程の調整を行います」 「討伐部隊と増援部隊の結果が出てからになるように調整してくれ」 「かしこまりました」 宰相が、余に頭を下げ…
続きを読む2021/09/18
【第一章 スライム生活】第十六話 スライム
僕たちは、産まれたばかりのスライム。自分が、スライムなのを、なぜか理解している。 僕たちが、どうやって産まれたのかわからない。僕たちは、スライムとして一体だけど、一匹ではない。 僕たちは、池で生活をしていた。でも、スライムに生まれ変わった。 今、僕たちは、2つの気持ちに支配されている。 一つは、ご主人さまに会いたい。遠くに居る。ご主人さまに会いたい。僕たちは、産まれた時から、ご主人さまと繋がっている。ご主人さまのために、僕たちは産まれた。でも、僕たち以外の僕たちは、無残にも殺された。なんで、殺され…
続きを読む2021/09/18
【第一章 ギミックハウス】第十六話 魔王の所業?
「魔王様」 「ルブランで良い」 魔王は、マイマスターの称号だ。代理とは言え、”魔王”と呼ばれるのは避けたい。 それに、魔王と呼ばれて良いのは、マイマスターだけだ。 「はい。ルブラン様。食料や毛布をありがとうございます」 子どもたちが揃って頭を下げる。 代表は、狐人族の少女のようだ。人族が居るのに、珍しい。 「お前たちは、真命はあるが、呼び名が無いようだな」 「え?真命?で、ございますか?」 真命を知らないのか? 奴隷だからなのか? 「知らぬのなら、それで構わない。貴様たちは、300名だったな」 …
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