2020/06/08

【第九章 復讐】第二話 忠誠

 先頭を歩いている。礼登が、ドアを開ける。  中には、10人ほどが円卓に座って居る。上座には、4つの席が空いている。  入口に全員の視線が集中する。  礼登が開けた扉から忠義が先に部屋に入り、扉を押さえる。晴海が部屋に入り。夕花が続く。  晴海が手を差し出すので、夕花は戸惑いながらも晴海の手を取る。晴海の横に並んで歩くように誘導される。夕花は、晴海の腕に自分の腕を絡ませる。  夏菜と秋菜が部屋に入ったのを確認して、礼登が扉を閉める。 「六条家、現当主。晴海様の御前です」「いつまで座っているつもりですか?」 …

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2020/06/08

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十七話 帝国に穿たれた小さな楔

 ヤスへの質問はまだ続いていた。  ドッペル男爵を使った帝国での”いやがらせ”は十分に理解できたが、まだ聞かなければならなかった。 「ヤスさん。お父様とドッペル男爵の会談を取り持てませんか?」 「問題ないぞ?家の格を考えると、ドッペル男爵をローンロットに向かわせるか?その時に、帝国の村の村長をやるドッペル息子も一緒に連れていけばいいよな?」  エアハルトが手を上げて話に入ってきた。 「ヤス殿。サンドラ様。その会談には、私も出席したいのですが問題はありますか?」  ヤスはサンドラを見る。問題はないと思っている…

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2020/06/07

【第六章 ネット盗聴】第五話 日常

「タクミ!タクミ!」  誰だよ!?煩いな。 「タクミ!」  そうか、昨日・・・。報告書を読み直して、ソファーでユウキと・・・。  なにか忘れている?  オヤジに提出・・・。 「あ!」 「いきなり起きないでよ!」 「すまん。今、何時?」 「朝の8時。タクミ。僕、お腹がすいた」  ユウキのワガママで救われた。 「悪い。すぐに準備するから待っていてくれ、オヤジに報告を送信してくる」 「わかった。早くしてよ」  ユウキをリビングに残して、自分の部屋に戻った。  昨晩、読み込んでいると言っても、もう一度、読んでおこう…

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2020/06/07

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十六話 報告会

「ヤス。正直に教えてほしい。なんなら、ここに居る全員にリーゼを呼んで制約の魔法をかける」 「そこまでは必要ない。話を聞いて出ていきたいのなら出ていけばいい」  ヤスは、自分の行動を秘密にする必要性を感じていない。秘密にして隠していれば、弱みになりかねない。秘密は弱点にもなりかねない。ヤスは、幼馴染でもある男の顔を思い出していた。 「わかった。聞いた後で判断させてもらうよ」 「皆もそれでいいか?」  サンドラに続いてルーサが皆に確認をする。  ルーサの確認に皆がうなずいた。  皆がうなずいたのを見てヤスは肩を…

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2020/06/07

【第九章 復讐】第一話 側仕

「夕花。可愛いよ。気にしなくていいのに・・・」 「駄目です。私が嘲られるだけなら構いません。でも、晴海さんが馬鹿にされるのは我慢出来ません!」 「うーん。大丈夫だよ。僕を馬鹿にしたら、その家は終わりだよ。解っていて、そんな愚行は犯さないと思うよ」 「違います。その場で言われる位なら我慢出来ます。帰ってから言われるのが我慢出来ないのです!」 「わかった。時間はまだあるから好きにしていいよ」 「ありがとうございます」  晴海と夕花は、礼登が用意した会議を行うクルーザーに移動している。大学に顔を出して、駿河から礼…

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2020/06/05

【読了】地味で目立たない私は、今日で終わりにします。 1 (B’s-LOG COMICS)

雑感 悪役令嬢物では無いようです。Web版は読んでいますが、原作には手を出していません。 火事の話で終わるのか・・・。火事の原因くらいは語ってほしかったな。 書籍紹介 公爵令嬢エレイン・ラナ・ノリスは、 聖女を苛めたという無実の罪を着せられ、婚約破棄されてしまった。 さながら悪役令嬢に仕立てられたラナは、実家からも追い出されてしまう。 しかし――ラナは異世界からの転生者だった。 「これからは自由に生きるわ!」 前世のコスプレ趣味を活かし、「地味」だと揶揄された見た目も大変身! 下町の宿屋の女将として第二の人…

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2020/06/05

【読了】追い出された万能職に新しい人生が始まりました (2) (アルファポリスCOMICS)

雑感 原作の1巻の半分位? 原作を買って読んでいるから、先の展開は知っているけど、気になる所で終了です。 ロアというよりも従魔が好きです。 書籍紹介 わがままな勇者パーティーから追放されて行き場を無くした少年ロアを救ったのは凄腕商人コラルドだった。彼に錬金術としての才能を見出されたロアは異国から来た新たな仲間たちと共に再び探索の旅に出る! 関連作品 東堂大稀関連作品 宇崎鷹丸関連作品

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2020/06/05

【読了】異世界ゆるり紀行~子育てしながら冒険者します~ (3) (アルファポリスCOMICS)

雑感 貴族や奴隷商人との対決が一話で終わってくれるのは気持ちが良かった。 原作がもう少し冊数が出ていなかったら買うのにな・・。どうしようかな? 書籍紹介 異世界に転生し、幼い双子のアレンとエレナを育てながら冒険者生活を送るタクミ。さらに広い世界を見るため、タクミは双子とともに住み慣れたシーリンを離れ、海沿いの街を目指すことに。その途中で立ち寄った海で人魚の女性と出会い、ひょんなことから人魚族の集落へ向かうことになり――!? 子連れ冒険者の異世界のんびりファンタジー、心躍る第3巻! 関連作品 水無月静琉関連作…

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2020/06/05

【読了】じい様が行く (4) (アルファポリスCOMICS)

雑感 確かに釣り針は偉大なる発明だと思う 亀?との競争もいい感じですし、なかなか話が進まない事を除いては読み応えがありますね。 原作を買おうか迷い中。 書籍紹介 「いいんじゃよ」が口ぐせのセイタロウさん(73歳 お茶農家経営)、うっかり気味な異界神イスリールの手違いで、孫の身代わりとして異世界転生してしまいました。モンスターに襲われても魔法を見ても「孫のゲームで知っとるぞい」とすぐになじみ、パッと見は幼女、中身は最強モンスターなルーチェちゃんと一緒にのんびり世直し旅を続けます。今回はリザードマンと湖で釣り三…

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2020/06/05

【読了】黒の創造召喚師―転生者の叛逆― (3) (アルファポリスCOMICS)

雑感 最終巻 うーん。もう少し続けて欲しいと思うのだけど、中途半端かな? 原作誘導とも思えるけど、原作が読みたいとは思えなかった。 書籍紹介 たやすく生命の危機に瀕する苛烈な世界を、黒き魔書による「創造召喚魔法」で生き抜いてきたツグナ。だが、超大型合成獣との戦闘で憤怒に飲まれ、深淵の力を呼び覚ましてしまう。神の領域に達する力を巡りツグナを取り巻く運命は大きく変革していく──…! 異世界ブラックファンタジー最終第3巻!! 関連作品 幾威空関連作品 宇河弘樹関連作品

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2020/06/05

【読了】マリはハッピーエンドでお願いします 3 (花とゆめコミックス)

書籍紹介 トラブルで碧とお泊まりすることになったマリ。 大嫌いなはずなのに、こんなにドキドキするのは…? そして、Blue Spangleの地方ライブで思わぬアクシデント!? 「俺 マリじゃなきゃダメなんだ」 恋が大進展、見逃せない第3巻! 関連作品 晴海ひつじ関連作品

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2020/06/05

【読了】犬の哭く村 2 (花とゆめコミックス)

雑感 最終巻。 スッキリしたような。スッキリしないような感じの終わり方です。個人的にはすごく好きです。 書籍紹介 幼馴染みのスギが犬神の社のそばで殺され、犬神を恐れる村人と健太に捕えられた月子は、事件の容疑者・玲一に救われる。 月子の生家を調べていくうちに明らかになる月子の過去と犬神の秘密。 月子は真相を突き止めるため診療所に向かうが!? 2020年6月刊 関連作品 黒川こまち関連作品

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2020/06/05

【読了】魔眼と弾丸を使って異世界をぶち抜く! 1 (HJコミックス)

雑感 キャロを買い取ってウルフ討伐に向かう所までです。 Web版は読んでいるので、内容は解っていますが、漫画にするとツッコミどころが出てきてしまうのですね。 とくに、冒険者3名を仕留める所とか描写が難しいし、説明不足ですよね。 書籍紹介 超人級スナイパー、異世界へ! 「小説家になろう」発! 最強英雄譚をコミカライズ!! 不幸な事件に巻き込まれて命を落とした青年・アタルは、神から三つの特殊な力を得て異世界へと転生する。 最強の銃、弾丸を自由に創りだせる力、そして「魔眼」と呼ばれるすべてを見とおす力。 この世界…

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2020/06/05

【積読】異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術13 (講談社ラノベ文庫)

書籍紹介 突如としてリフェリア王国に宣戦布告してきたゲルメド帝国によって王は戦没し、王城は占領されてしまった。 そのうえ、レムが敵の魔導機兵に攫われかける。 内心では平和を望んでいたディアヴロだったが、魔術により敵兵を撃破するのだった。 救出には成功したものの戦局は劣勢だ。 覆すには、単独で乗りこんでの奇襲しかない。 「これより、王城グランディオスまで《転移》にて乗りこむ!」 来る決戦! とうとうシルヴィの秘密が明らかに!? 魔王クルムがファルトラ市を旅立つ。 離反した王宮騎士団ノアの動向は……!? やがて…

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2020/06/01

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十五話 帝国の村

 子爵たちの処分に目処が付いたヤスは、保留していた帝国への対応を開始した。  マルスからの情報で、帝国軍は、3つの家の連合で作られているようだ。それぞれの家の三男や四男が率いている。連合と言っても、統率が出来ているわけではない。ただ一緒にいるだけの関係だ。兵士数も、各家では3、000の兵士を出して、物資を輸送する兵站を1,000名出している。合計すると1万2,000にもなるが烏合の衆であるのは間違いない。  石壁が始まっている場所で、陣取って動こうとしない。  先に攻撃を仕掛けて、失敗したら笑いものになる。…

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2020/06/01

【第八章 踊手】第九話 端緒

 晴海はコーヒーを飲みながら情報端末を操作している。  かばんの中にはタブレットも入っているが、逃げる場合を考えて、すぐに動ける状態にしてある。  夕花のエステの施術は予定終了時間を少しだけ過ぎたが、概ね予定通りに終わったようだ。 ”晴海さん。終わりました”  晴海の情報端末に、夕花からのメッセージが届いた。  晴海は、夕花がビルから出てくるのを、コーヒーショップから見えていたので、支度をして夕花に近づく。夕花も晴海に気がついた。 「夕花。綺麗になったね」 「ありがとうございます」  うつむきながら晴海に礼…

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2020/05/31

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十四話 捕らわれの者たち

 見世物になるのが確定しているリップルたち”ヒトモドキ”は、隷属の首輪をするのを拒否している。  リップル子爵の命令で、身分の低い者が首輪を付けられた。宣言通りに、絶命するまでゆっくりと首輪が絞まっていった。その間、首輪を付けられた者は苦しみ続けた。それを見て誰も首輪を着けようとしなくなってしまったのだ。一人と首輪一つが減った檻の中では、醜い争いが発生していた。  身を隠すことが出来ない場所に捕らわれている。食事も人数分しか提供されない。  快適な生活が出来るような場所と環境ではない。魔物が出ないだけマシだ…

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2020/05/31

【第八章 踊手】第八話 文月

 晴海は、夕花を助手席に乗せて市内に向かった。 「晴海さん。どこに?」 「明日の準備」 「え?準備?晴海さんの?」  夕花が驚くのも当然だ。  昨日の段階で、準備が終わったと晴海は宣言しているのだ。  夕花にも、明日の会談は重要な物だと説明している。 「ううん。夕花の準備だよ。綺麗になろう!」 「え?僕?なんで?」 「ん?夕花は、僕の奥さんだよ」 「はい」 「うん。うん。一族の者が揃うからね。夕花のお披露目の意味を込めて、会ってもらおうと考えたのだよ」 「・・・。えぇぇぇぇ。僕、聞いていませんよ?」 「うん…

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2020/05/30

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十三話 トーアヴァルデ

 帝国は確かにトーアヴァルデには近づいてきている。  しかし、戦闘が開始されるような距離ではない。入口に到達したに過ぎない。それも、野営地を作って新たに作られた壁を調べている段階だ。帝国は、リップルとは違って撤退しても問題はない。攻めてこない可能だって残されている。  リップル元子爵軍は、騎士を中心に一斉に動き出した。  規則正しい動きではなく、統率も取れていない。ただ、門を目指しているのだ。  先頭が門に到達する寸前に、門が内側に開かれた。 ”開いた!” ”進め!勝利は我らの物だ!” ”何が神殿の主だ!所…

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2020/05/30

【第八章 踊手】第七話 準備

 大学に通い始めて3日が過ぎた。  晴海と夕花は、屋敷と学校での生活を楽しんでいる。  屋敷では、片時も離れない。離れるのを恐れているかのように常に一緒に居る。学校では、研究室の設営がまだ出来ていないために、夕花は図書館に通い詰めている。晴海は、その時間を利用して、城井から蔵書や他の家の情報を聞いている。  そして、晴海が期限を区切った会談の前日。  礼登が城井を訪ねてきていた。城井に会うためではなく、晴海に会うためだ。 「城井。明日は、どのくらい集まる?」  晴海は、正面に座った城井に質問をする。まとめ役…

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2020/05/29

【積読】傭兵団の料理番 9 (ヒーロー文庫)

書籍紹介 大人気食ラノベ9弾の調理場は地下牢。子豚の丸焼き、アサリの酒蒸し、モツ鍋、ポテチ…料理の力で処刑台から脱出できるか? アルトゥーリアで革命軍に加担し、革命を成功に導いたガングレイブ傭兵団。 新たにスーニティ国で仕事を請け負って勝利し、 その地で領地をもらって仕官できることになったと団長から聞かされ、団員たちは喜びに沸く。 ただ、その裏にはスーニティ国内の抗争が絡んでいるとガングレイブから聞かされ、歓喜の様相は一変する。 内政を司る長男エクレス。軍事を司る次男ギングス。 後継者候補二人の派閥争いを承…

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2020/05/29

【読了】天空の城をもらったので異世界で楽しく遊びたい (2) (角川コミックス・エース)

雑感 原作小説で言うと1巻が終わって、2巻の最初の部分ですね。 これからって感じです。 書籍紹介 無敵の城で人助け! わくわく異世界ファンタジー!! 転生と同時に何もかもが揃った天空の城を手に入れたタイキ。どうやらこの異世界は、帝国と王国が一触即発の事態になっているようで――? 関連作品 井上みつる関連作品 Matsuki関連作品 YuzuKi関連作品

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2020/05/29

【積読】黒の召喚士 12 天穿の黒 (オーバーラップ文庫)

書籍紹介 異世界からの転生者にして戦闘狂の“ケルヴィン”。 その仲間であるジェラールは、ついにある人物との邂逅を果たした。 その者の名はジルドラ。かつてジェラールの祖国を滅亡に追いやった人物その人であった。 亡国の、そして亡き妻子の仇を討つため―― ジェラールは今、剣を振るう……! 一方その頃、聖域「揺り籠」にてケルヴィン、メルフィーナと相対するは、「神の使徒」を束ねるアイリスだった。 強者との戦闘を望むケルヴィンと、エレアリスを妄信するアイリス。 両者が選択したのは、刃を交えることのみであり……

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2020/05/29

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十二話 帰還と開戦

 ヤスとリーゼとサンドラが神殿に帰ってきた翌日には大量のドワーフがアシュリに到達した。  酔っぱらい状態だったらしいが、足取りはしっかりしていた。それだけではなく、リップルの神殿討伐軍(笑)の動向も掴んできていた。途中で逃げ出した者や軍から物資を持ち逃げして、盗賊になった者を討伐してきたようだ。逃げ出した者は、そのままレッチュ辺境伯領に押し付けてきたとルーサに説明した。  ドワーフたちが討伐軍よりも早く到達したのにも理由がある。  ドワーフたちは、最短距離を移動してきた。レッチュ辺境伯領を突っ切った形だ。限…

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2020/05/29

【第八章 踊手】第六話 疑惑

 晴海は、夕花と別れて、城井貴子の部屋に向かった。  ドアをノックすると部屋から返事があった。 「文月さん。お待ちしていました」 「教授。お時間を頂きありがとうございます」  晴海が丁寧な言葉遣いをしているのは、城井の秘書が今日は一緒だからだ。 「晴海様。大丈夫です。この者は、我家の者です」 「そうか、わかった」  城井の後ろに控えていた女性が頭を下げる。  名乗らない所を見ると、城井家に属している分家筋なのだろう。晴海も、気にはしないで話を開始した。 「城井。それで、六条からの本のリストは出来たのか?」 …

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2020/05/28

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十一話 鉱山の村

「ディアス。二人の様子はどうだ?」 『エミリアが応えます。ファーストからの問題点の指摘はありません』 「そうか・・・」  神殿を出て、ユーラット経由でアシュリに向かっている。  一度、アシュリでルーサに会って、リップルの動向を確認してから、鉱山の村に向かう道を考えることに決まった。 「ディアス。ファーストに連絡して、アシュリの駐車スペースに停車させろ」 『了』  運転しているのは、リーゼだ。  ヤスの指示に従って、駐車スペースにFITを停めた。  リーゼが運転席。サンドラが助手席に座っている。後部座席には、…

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2020/05/28

【第八章 踊手】第五話 秘鍵

 晴海は、夕花の隣に戻った。  能見と話をして情報が増えてモヤモヤした気持ちを、頭を冷やすためだ。  情報端末で、表向きの情報を読んで見て、情報を整理してみる。  文月コンツェルン  東京都に本家を置く企業の集合体。爪楊枝から大陸弾道ミサイルまでがコンセプトのような企業だ。第三次世界大戦の後に大きくなった企業体で、戦争特需をうまく利用した。本体は、上場しているわけではなく、子会社や孫会社を次々と上場させ本体は株式の取引で大きくなった。  現在の会長は112歳になる文月巌だ。日本の平均寿命が、110歳だと言わ…

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2020/05/27

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十話 イワンの依頼

 ドアを開けて入ってきたのは、リーゼとサンドラだ。  サンドラは、ヤスを見て頭を下げるが、リーザはヤスに飛びついたのだ。 「ヤス!僕が案内するよ!」 「わかった。わかった。イワン。二人で間違っていないのか?」 「あぁ・・・。サンドラの嬢ちゃんだけの予定だったが・・・」 「駄目だよ!サンドラとヤスを二人だけなんて!僕も一緒に行く!案内なら任せて!」  ヤスは、サンドラを見るが、なぜか懇願する表情になっている。ヤスはリーゼが無理矢理サンドラを説得したのだと理解した。 「わかった。その鉱山の村までは遠いのか?」 …

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2020/05/27

【第八章 踊手】第四話 遺伝

 部屋に入った二人は疲れているのもあって、風呂に入ることにした。 「晴海さん。お風呂の準備をします」 「頼む」  晴海は、礼登から渡されるはずだった資料を従業員から受け取った。  夕花が風呂の準備を始めたのを見て、封筒を開けて資料を見た。  資料は、予想通り夕花の母親の情報だった。 (大物だな)  夕花の母親は、東京都の裏社会をまとめている家の出だ。昔風に言えば、反社会的勢力の家の生まれだ。東京の裏を支えると言っても過言ではない。裏の顔も表の顔も持っている。表の顔の時に使う家の名前が”文月”だ。本当の家名は…

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2020/05/26

【第八章 踊手】第三話 薯蕷

 晴海は図書館に用事があるわけではなかった。  祖父が寄与した蔵書があるはずなのだ。その中から、歴史に関係する本ではないが、”人食いバラ”とかの稀覯本もあると思っている。晴海の数少ない家族との思い出の中に祖父の書庫で見た”人食いバラ”が忘れられないのだ。  図書館の中は、静かだった。書生が居るわけではなく、ガードロボットが管理をしているだけだ。  晴海と夕花は、情報端末で身分を説明した。 「夕花、好きにしていいよ。僕も、気になる本を探したいからね」 「わかりました」  夕花は、晴海から離れて、歴史書が置いて…

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