~第495代目当主~

2021/09/17

【第一章 ギミックハウス】第十五話 【帝国】増援部隊

「陛下。派遣部隊から、増援要請が来たのですか?」 「宰相が持ってきた」  執務室で、我が増援の書類を見ていると、7番隊の隊長がやってきた。7番隊の隊長は、今回の増援には加わらない。加えてはならない。呼び出したのは、7番隊と5番隊だ。宰相が、すでに両部隊の隊長を呼び出していたので、訂正が間に合わなかった。  7番隊は、増援には反対するだろう。そして、増援しなければならないのなら、情報を集めて撤退を進めてくるのだろう。  5番隊は、この度の魔王討伐から外れた。小国への遠征を行っていたためだ。しかし、彼らは小国で…

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2021/09/16

【第一章 ギミックハウス】第十四話 魔王(ルブラン)降臨

「マイマスター」 「セバス。そうだな。子供たちの前なら良いかもしれないが、セバス。これから、俺の身代わりを行う時には、”ルブラン”を名乗れ」 「はっルブランが名で、真命をセバスと心に刻みました。マイマスター」 「子供たちには、パンと果物と水を送る。それから、寝ている間に、部屋を作ろうと思うが、地上部には草木を植えたから、地下に作る」 「はっ」 「地下で、通路を隣に作ってある、執事やメイドの部屋に繋げる。扉には、罠を設置した。こちら側の者しか通られない」 「それは?」 「今は、俺とルブランだけだな。そうだな。…

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2021/09/15

【第一章 ギミックハウス】第十三話 【奴隷】

「お姉ちゃん!」  寝ないようにしていたのに、いつの間にか眠ってしまった。  魔王城の檻に捕らえられて、それから・・・。美味しいパンと、美味しい干し肉を食べて、綺麗なお水を飲んで、妹と毛布に包まって・・・。妹を抱きしめていた。離れないように、妹の体温と心の音を聞いていた。  村を襲われてから、初めてゆっくりと寝たかもしれない。 「どうしたの?」  飛びついてきた妹の頭をなでながら、周りを見る。  半分くらいはまだ寝ている。 「ううん。お姉ちゃんと一緒に居られて嬉しいだけ」  妹の言葉が嬉しかった。私も同じ気…

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2021/09/14

【第一章 ギミックハウス】第十二話 セバス登場

 本当なのか?  引き戸になっている門を抜けるのに、4時間掛かっているぞ?罠じゃないぞ、ただの”引き戸”だぞ?  こいつら・・・。頭は大丈夫なのか?  いきなり、門を攻撃し始めたときには、何をしたいのか迷ってしまった。  急遽、引き戸への攻撃で、頭上から石が落ちる罠を配置する。これは、引き戸への攻撃がトリガーになって別の罠が発動するだけの物だが、効果的だ。罠の発動場所を、引き戸の近くではなく、一つの門と引き戸の間でランダムに発生するようにした。  奴隷っぽい奴らに引き戸を攻撃させていた奴らが、自分の頭上から…

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2021/09/13

【第一章 ギミックハウス】第十一話 【帝国】七番の目

「殿下!なぜ?」 「何故だと!貴様!何故と聞くのか!貴様が、自分が何を言ったのか解っているのか!」 「殿下。自分は、自分の権限で、撤退を進言いたします。この魔王城は、事前の準備をしていない状態で突破ができるほど、甘く有りません」 「門までの通路を見つけた手腕を認めれば、撤退だと!考えもしないことだ」 「攻城兵器も、カタパルトを1基しか持ってきていません。先程から、岩が門に当たって砕ける音だけで、門に被害が無いように思えます。殿下。あの門を突破するためにも、帝都に戻られて」 「うるさい!貴様は、俺に、負けを認…

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2021/09/12

【第一章 ギミックハウス】第十話 前哨戦-温情

 確保した子どもたちは、毛布に包まって寝てしまっている。  よかった、パンも干し肉も食べられたようだ。明日は、違うものを出してあげたい。そうだ、地下に部屋を作ろう。なんとなく、種族別にまとまっているから、種族別に部屋を作るのが良いのだろう。  ポイントの収支がおかしいように思える。  ”本”の中に記述が、存在したか確認してみる。チュートリアルの最中には、ポイントの収支に関しての記述はなかった。  ん?本が光っている? ”権限が拡張されました。新しい項目の閲覧許可を得ました”  閲覧許可?  新しい項目?  …

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2021/09/11

【第一章 ギミックハウス】第九話 【奴隷】

 村が人族に襲われた。大人たちは、殺された。お父さんもお母さんも隣のおじちゃんも・・・。  私たちは、そのまま人族が治める国に、移動させられた。  妹と私は、奴隷にさせられた。国に治めるお金を誤魔化したとか言われて、殴られて、首輪を付けられた。。  奴隷にされて、首輪を付けられて、そして、違う国に・・・・。  そこで、私たち姉妹と同じように連れてこられた、子どもたちと、粗末な建物に押し込まれた。  一日一回、固くなったパンが与えられるだけの生活。  何人も死んでいく・・・。私たちが何をした!勝手に攻めてきて…

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2021/09/10

【第一章 ギミックハウス】第八話 開戦-前哨戦

 スキル画面の右上の数字が、100を切った。  外に居る連中は、いきなり攻め込んでくるのか?  ちょっとだけ外を見てみたい。  でも、俺には攻撃力も防御力もない。それに、服は日本からより寄せたものだ。この部屋から出たら全裸になってしまう。  それにしても、先頭にいる奴らは、薄汚れた格好をしているし、子供だけに見える。  奴隷とかなのか?  先代の日記にも、奴隷を戦わせている記述があった。  うーん。  ひとまず、落とし穴の水罠は止めておこう。  転移罠にして、敷地内に隔離する場所を作ろう。  鎧を身に着けて…

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2021/09/09

【第一章 ギミックハウス】第七話 【帝国】ギルド

「面会?開戦が近づいている、この時期にか?」  白い壁が取り払われるのは、あと数時間だ。早ければ、1時間もしないで白い壁が取り除かれる。  あの異様な広さを誇る魔王城がお目見えするのだ。すでに、白い箱の手前に、15番隊から連れてこられた奴隷兵が並べられている。保管されている、魔王との戦いで、白い壁がなくなったと同時に、魔物が氾濫したことがあり、魔物への備えのためだ。  前回の魔王が愚かだったのは、間違いではない。  魔王がなんで産まれるのか、どういった仕組みなのか、解明はされていない。ただ、魔王城を放置する…

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2021/09/08

【第一章 ギミックハウス】第六話 拡張?

 スキル画面の右上にあるカウントダウンを眺めるしか、やることがなくなった。  ポイントを利用して、地球から紅茶とジャムと砂糖と牛乳を、交換(お取り寄せ)した。カップは、この世界にも有るらしいが、まだ交換が出来ない。しょうがないので、高く付いてしまうが、地球から取り寄せる。  100均で十分なのだが、見栄で、ウェッジウッドを探したら出てきた。躊躇するポイントだ。割れてしまったら・・・。  ダメだ。100均を探して、食器類と日用品で必要になりそうな物を交換する。  料理は、するつもりは無いが、冷蔵庫や電子レンジ…

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2021/09/07

【第一章 ギミックハウス】第五話 【帝国】魔王城

 俺は、第七番隊の隊長から直々に命令されて、魔王討伐部隊の輜重兵に紛れ込んでいる。  俺が指揮する部隊がそのまま配置されている。  表向きは、輜重兵の統率なのだが、それ以上に、大事な役目として、魔王城のギミックを見抜くことにある。聞こえてくる話では、奴隷兵を使って罠を食い破るつもりのようだが、ギミックが、魔物を絡めた物だった場合に、奴隷兵ではただ死ぬだけだ。我らが、ギミックを突破して、殿下を安全に魔王の下に届ける。  陛下の演説から、殿下の出陣の挨拶。  そして、殿下を先頭にして、討伐部隊が帝都から祝福され…

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2021/09/06

【第一章 ギミックハウス】第四話 拡張2

 作成は、一瞬で終わった。  マスタールームに居たので、変化に気が付かなかった。  変化は、確実に実行されている。マスタールームが広がっている。  新しく作成した扉もしっかりと作られている。  次は罠だ。  ポイントは、まだ30億以上残っている。維持には、ポイントは必要ないが、再配置が必要な罠にはポイントが必要になる。  残念ながら、マスタールームには”家具”は置けるが、罠の配置が拒否されてしまう。地球から取り寄せる武器を配置するしかない。  罠は、基本な物以外では、先代や他のハウスの当主が設計した物も存在…

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2021/09/05

【第一章 ギミックハウス】第三話 【帝国】派遣部隊

「殿下!殿下!」 「なんだ!俺は、今、魔王討伐の兵を編成するのに忙しい。くだらない話なら、お前を処断するぞ」  豪華な部屋に、装飾が施された机に、御前会議で、魔王討伐を言い渡された男が手元に視線を落としながら、部屋に入ってきた男に答える。 「いえ、その”魔王討伐”の任に、是非、我ら、第七番隊に参戦の許可を・・・。お願いいたします」  部屋に入ってきた男は、床に頭が付くのではないかと思うくらいに、殿下と呼びかけた男の前で、頭を下げる。 「そうか、貴様の部隊か・・・」  殿下と呼ばれた男は、考えるフリをしながら…

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2021/09/04

【第一章 ギミックハウス】第二話 拡張1

 本に書かれていた最後の指示を実行した。  それは、ポイントを使って、自分自身にスキルを付与することだ。  何か、罠があるだろうと考えて、その後を読み進めた。  推奨するスキルが書かれているだけで、その後は本当に、チュートリアルのような内容はなかった。  チュートリアル以降は、ポイントで交換できる”物”が説明と一緒に掲載されていた。  魔物やスキルだ。説明も細かく書かれている。  ”本”が勧めていたスキルは、”鑑定”だ。本の説明では、細かく書かれているが、俺が考えている鑑定と同じだと思って良さそうだ。チュー…

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2021/09/03

【第一章 ギミックハウス】第一話 【帝国】新しい魔王

 帝国。  人類国家の中で最大の領土を誇る。名前は、プレシア帝国。大国と呼ばれる5つの国家の中の一つだ。  帝国の他には、王族が支配するプレシア王国。天子を名乗る者が支配するプレシア皇国。宗教国家で唯一の人族絶対主義を掲げるプレシア神聖国。商人たちが集まってできたプレシア連合国。  全てが、プレシアの名前を冠しているのには理由がある。  この世界を作った創造神の名前がプレシア神だと言われている。そのために、多くの国家は”プレシア”の名前を付けて、自国の正当性を主張している。他にも小国に分類される国家が多数存…

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2021/09/03

【序章】閑話 第494代目当主

 第494代目当主ルブラン・ヴォコント 地球歴(基督紀元) 1943年 ・・・・に生まれる。 1982年 ・・・・にて、生涯を閉じる(刺殺)。 プレシア歴 9967年  1月08日 第494代目当主になる。  1月08日 当主ルブラン・ヴォコント。ハウス6174に名前を付ける(名前:ピ○タン)  1月10日 当主ルブラン・ヴォコント。服を召喚。(5,300ポイント消費)  1月11日 当主ルブラン・ヴォコント。食事(飲料を含む)を召喚。(3,400ポイント消費)  1月12日 当主ルブラン・ヴォコント。食事…

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2021/09/02

【序章】第三話 第495代目当主

 読んだ。  理解できたかは、不明だが、読んだ。  部屋の中心で、テーブルの上に置いた紅茶を飲みながら、考えをまとめている。  あの本・・・。  本当に悪意しか感じなかったが、大事なことが書かれていた。途中でチュートリアルのような物まで書かれていた。  チュートリアルをいきなり実行しようと思って、踏みとどまった。次のページを見たら、実行したら失敗すると書かれている。3ページほど進んだら、”実行の注意点”が書かれていた。人を馬鹿にしたような作りだが、しっかりと読み込んで考えれば、”クセ”のような物がわかる。 …

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2021/09/01

【序章】第二話 本?プレゼン資料?

 豪華なベッドで目が覚めた。時計がないので、時間はわからないが、寝て起きても、状況は何(・)も(・)変わっていない。  これは、困った。  腹が減って起きたり、トイレに行きたくなったり、生理現象で目が覚めたわけではない。寝返りを何度か行ったのだろう、布団が乱れている。一人で”何か”をやったわけではない。寝返りだろう。起きて、大きくなる男性の生理現象も発生していない。使えるのか?いや、妄想したら大きくなったから使えるのだろう。使えたら嬉しい。  現実逃避は、ここまでにしよう。  サイドテーブルを見ると、本が置…

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2021/08/31

【序章】第一話 転移?転生?貴族?勇者?

 ”ここ”は、”どこ”だ?  俺は、確か・・・。 — 「はぁはぁはぁ」  苦しい。考えるのもイヤになってしまう。  生きたい。生きたい。生きたい。  楽しみにしていたイベントは軒並み中止。それでも、歯を食いしばって生きてきた。 「苦しい」  安物のベッドが軋む音と、俺が酸素を求める音だけが部屋の中で響いている。感染が確認されたときに、病院の確保ができましたら連絡しますと言っていた担当者。食事と水分を運んでくれると言っていた担当者。  あれから、何日が経過したのかわからない。ただ、解っているのは、…

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