サイト小説の記事一覧
2020/03/06
【第六章 神殿と辺境伯】第六話 セバス・セバスチャンの帰還
ヤスは緊急時の設定を確認していた。マルスに頼んで訓練も行ったのだ。一通りの確認をして問題箇所の修正を行った。 一人で部屋の端末を操作している。ツバキは、自分に与えられた部屋の掃除を行っている。マルスからの指示で、『マスターの部屋を掃除することになるのだから、自分に与えられた部屋で掃除の練習をせよ』という指示を受けているのだ。掃除の仕方はマルスが説明している。 ヤスは、できた時間を利用して設定変更を行った物事の確認作業を行っていたのだ。 「マルス!ちょっと確認したいけど大丈夫か?」 ヤスは確認作業をし…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 サンドラの決意
辺境伯の屋敷。奥にある当主が使っている執務室には、父親と娘だけがテーブルを挟んで向かい合っている。 娘はサンドラ。母親の身分は平民なのだが、辺境伯が自分で選んだ女性との間に生まれた娘だ。現在17歳。婚約者が居たのだが、半年前に発生したスタンピードで命を落としている。そのため、婚前未亡人となってしまっている。婚約者の死去から1年間は喪に服すことになる。その間は、領主の許しがなければ外に出ることは無い。 「お父様。どうされるのですか?」 「第二分隊に王都に食料を」「おやめになったほうがよろしいかと思います」…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 辺境伯の憂鬱
ヤスがアフネスから渡された交換機の起動を行う少し前。 魔通信機の接続が切られている状態になったことを皆が騒ぎ出していた。 とある辺境伯の屋敷に、街に放っていた密偵からの報告を読んだ辺境伯が自分の息子と娘を呼び出していた。 「馬鹿者!!!!」 執務室に怒号が響き渡った。 「貴様!何をしたのか解っているのか?いや、その前に事実なのか?」 辺境伯であるクラウスは、まとめられた報告書を握りしめている。 「お父様。俺は」「兄様は、第二分隊を動かして、エルフ族やドワーフ族から食料を徴発していました」 「なっ?…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ヤス対策?
「結局、ヤスを問い詰めないと話がわからないということか?」 アフネスの言葉が総意であるとは思えないが、皆”ヤスに聞かなければわからない”には同意することだろう。 「姉さん。それで・・・」 「なんだい?」 「アフネス殿。スタンピードのことを先に話したいのだがいいか?」 ミーシャがアフネスに相談したいことがあることは雰囲気で解る。その話を始めると長く掛かりそうなので、ダーホスとしてはまずはスタンピードのことを決定したいと考えている。ヤスというよりも神殿への対策は、出張所を作ってドーリスを初代の責任者にするこ…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 道中の話?
ギルドの入り口でデイトリッヒが挨拶をする。アフネスがギルドに入ってきた。 「ミーシャ!ラナ!それで?何があった?」 椅子に座る前にアフネスは同郷二人に問いかけた。 ミーシャとラナはお互いの顔を見て何かを諦めたかのような表情をしてヤスが領都からユーラットに向けて出立してからのことを話した。 「それで、ミーシャとラナはリーゼ様を守る形でユーラットに移住を決定したという事かい?」 「姉さん」「ミーシャ。その呼び方をするなと言っているよな?お前はわかってやっているのか?」 ミーシャが頭を下げるが、ラナもアフ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第五話 警告?
「マルス。この警告はなんだ?」 パソコンのディスプレイに”警告”のアイコンが表示された。 『神殿の領域へ侵入が確認されました』 「侵入?」 『はい。警告アイコンを選択していただければ詳細を表示する事ができます』 ヤスは内容を確認して安心した。侵入と聞いた時に、思い浮かんだのがスタンピードの残党が居て神殿への攻撃が行われたのだと思ったのだ。しかし、表示されているのは”リーゼ”と一緒に来ている集団が、ヤスの作った場所で野営している状態だ。 ヤスは表示されている情報から現場の状況が確認できる事がわかったので…
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【第六章 神殿と辺境伯】第四話 神殿をまだ拡張?
ヤスが配置した建物の建築?が終了した。 実際にヤスは配置して、完了までの時間を見て余裕があると考えて、自分が遊ぶ為に必要な地下3階と4階と5階の設定をはじめた。 3階は、全面をアスファルトにした。表面の調整ができないと出ていたので諦める事にした。カート場にする事にした。 デフォルトとなるフロアを設定して保存しておく事にしたようだ。広い何もない場所を作って、続いてカート置き場を作った。 コースは、線を引いてその上に色が付いた砂を接着していくことになった。ツバキが率先して動く事になったので、ヤスはコー…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ミーシャの混乱
「ミーシャ!まだなの?」 私は、ミーシャ。家名を持っていたがエルフの森を出たときから家名を捨てた。 私の事はどうでもいい。実際、領都レッチュヴェルトで冒険者ギルドのサブマスをやっていた普通のエルフだ。サブマスも、冒険者ギルドがエルフ族への忖度にほかならない。いつ辞めてもよいと思っていた。 今回の件はちょうど良かった。リーゼ様を守るという大義があり姉さんもリーゼ様を守ってユーラットに帰(・)っ(・)て(・)こ(・)い(・)と言っている。 ユーラットに戻れるだけではなく、エルフ族の悲願と言ってもいい”神…
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【第六章 神殿と辺境伯】第三話 建設ラッシュ?
『マスター。パソコンの設定が終了しました』 小型パソコンのスピーカーからマルスがヤスに設定が終了したことが告げられた。 サブディスプレイは4分割されて表示されている。左上がマルス。右上がエミリア。下の二ヶ所がディアナの状態が表示されるようだ。ディアナが制御している車やバイクの状態が表示されるようになる。今はまだトラクターとFITとモンキーだけが表示されている状態だ。 メインのパソコンにはエミリアの機能が使える状態になっているようだ。 神殿の監視機能があり、広場や魔の森の状況を含めて確認できるようにな…
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【第六章 神殿と辺境伯】第二話 広場設計?
「マスター。お食事はこれで大丈夫でしょうか?」 ツバキが持ってきたのは、パンを軽く焼いて焼いた肉を挟んだサンドウィッチのような物と野菜を焼いて塩で味を整えた物だ。 ヤスは受け取って一口ずつ食べた。 「うん。うまい。十分だ。これからも頼むな」 「はい!」 「そうだ。さっきのジュースをもう1杯頼む。さっきより冷やせるなら冷やしてくれ」 「かしこまりました」 ツバキがキッチンに下がってから、ヤスは出された朝食を食べている。 うまいと表現したが全体的にぼやけている。胡椒を使えば格段と美味しくなるだろうと思っ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第二話 広場設計?
「マスター。お食事はこれで大丈夫でしょうか?」 ツバキが持ってきたのは、パンを軽く焼いて焼いた肉を挟んだサンドウィッチのような物と野菜を焼いて塩で味を整えた物だ。 ヤスは受け取って一口ずつ食べた。 「うん。うまい。十分だ。これからも頼むな」 「はい!」 「そうだ。さっきのジュースをもう1杯頼む。さっきより冷やせるなら冷やしてくれ」 「かしこまりました」 ツバキがキッチンに下がってから、ヤスは出された朝食を食べている。 うまいと表現したが全体的にぼやけている。胡椒を使えば格段と美味しくなるだろうと思っ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第一話 神殿拡張!?
ヤスが惰眠を貪っている間に、マルスは陣容を固める事にした。 セバス・セバスチャンには対外的なことをしてもらう事にした。 眷属であるエントやドリュアスたちは広場と領域を担当する事になる。神殿や魔の森に発生している魔物の討伐を行うのも主な仕事とした。セバス・セバスチャンはヤスの眷属筆頭として、これから来る事が想定されている国からの使者や貴族の対応を行わせる。セバスの従者としてドリュアスをつける事になっている。 新たに眷属になったツバキは、ヤスの身の回りの世話を行う事になる。 ドリュアスは眷属で無いため…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十七話 やっと到着!
カーブの度にカウンターを当てながら走っていく、ユーラットから神殿に向かう道を爆走している。 ナビにはスタートからの時間がカウントアップされている。スマートグラスはかけないで記憶を頼りにFITを走らせている。 つづら折りのような道が続いているが直線の長さやカーブの深さが微妙に違うので当てるカウンターや速度を微調整する必要があるのだ。 事故を起こすことなく神殿の広場に辿り着いた。広場は一部整地されているだけの状態になっている。 ヤスは頭の中で整備計画を考えていた。 リーゼの家とギルドを作る必要がある…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十六話 依頼達成?
セバスたちはすでに魔の森に移動を開始して、ヤスから離れていた。 ヤスはセバスたちを見送ってから神殿に移動する事にしたようだ。 「ヤス!」 イザークがヤスのアーティファクトに駆け寄ってきた。 「どうした?」 ヤスは窓を開けてイザークに答えた。 「すまん。ギルドのドーリスが宿屋に来て、ヤスに相談したい事があるらしい。それに、依頼達成の手続きをしていないだろう?」 「依頼達成?」 「アフネス殿からの依頼を受けたのだろう?アフネス殿がギルドに完了報告をしていたぞ?」 「え?あっそうなのか・・・。わかった。あり…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十五話 ユーラットとの関係
注)話数が間違っていました。 — 正門から飛び出してきたイザークが見えたことで、ヤスはFITのアクセルを緩めた。 「ヤス!」 イザークは、アーティファクトをヤスが操作している事がわかっているので、アーティファクトの近くまで駆け寄って声をかける。 「イザーク?何かあったのか?」 「”何か”って、ヤスが街道から来たから驚いただけだぞ?ヤス神殿に行ったよな?」 ヤスはイザークからの疑問を聞いて納得した。 たしかに領都に向かう時に、ユーラットを通過していない。イザークが疑問に思うのは当然の事なの…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十四話 我が家へ
ヤスは順調にユーラットへの道を走っていた。 頭の中では、どんなトレーラー(被けん引車)を討伐ポイントで交換しようか考えていた。 実際、かなりの討伐ポイントが有りヤスが望む物が手に入る状況になったのだ。 「マルス。ナビにエミリアの操作画面を表示して、音声で操作する事はできるか?」 ”可能です” 「設定を頼む。準備ができたら、討伐ポイントで交換できるリストを表示してくれ」 ”了” マルスが設定の変更を始めたのか、ナビが暗転した。 暗転していたナビが再起動したのは5分くらい経ってからだ。 「マルス。コン…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十三話 移動開始
ヤスがマルスに指示を出している間に、ラナは移住希望者の間を駆け回っていた。 領都を見捨てる決定をしたのはラナだったのだが、エルフ族の取りまとめをしている者たちへの説明を行う必要があったのだ。 経緯の説明をした結果、移住希望者の数が増えてしまった。 当初は、ラナを中心にした者たちだけの予定だったのだが、リーゼの話が伝わるとラナたちが(正確にはアフネスがリーゼの両親が残した物を使って)支援している孤児院も移動する事になった。成人して孤児院を出ていった者たちもそれに加わった。 ドワーフたちも移住を行う事…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十二話 状況確認
「ヤス殿。申し訳ないが、時間を少しもらいたい」 ラナが申し訳無さそうにヤスに頭を下げる。 「ん?どうした?」 ヤスとしてはもう自分の作業は終わったものと思っていた。後は、荷物が積み込まれたらユーラットに運ぶだけだと考えていたのだ。魔物はすでに討伐しているので、帰りは流しながら帰る事ができると思っている。 「思った以上に神殿への移住が魅力的なのか希望者が増えてしまった」 「そうなのか?荷物が多いのか?」 「いえ、人数が多くなってしまいまして、アイテムボックスを持っている者もいるのですが、ドワーフたちが鍛冶…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十一話 交渉
「大体で構わないのだが、何人くらいが移住できそうだ?」 ヤスの言葉に、ミーシャとラナは固まってしまった。 ある程度は把握していたのだが、実際に移住の意思を確認した事がなかったのだ。 「おい?」 実際に人数の把握は難しいことはヤスにもわかっている。 「ヤス殿。神殿に移住を希望する者は全て受け入れてくれるのですか?」 「そうだな・・・。今の状況だと、リーゼも神殿に来るよな?」 「・・・」「・・・」 「おい。ラナ!ミーシャ!俺を見ろ。目を逸らすな!」 ラナとミーシャは、リーゼを止める事ができないことはわか…
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【第五章 ギルドの依頼】第三十話 交渉?
二人は、ヤスの提案を承諾するしか道が無いように思われた。頭の中でいろいろ考えているのだが条件が曖昧すぎるために何を聞いていいのかさえもわからない状況になってしまっている。そのために、二人はヤスが何か聞いてくれる事を期待しているのだ。 三人がいる部屋に沈黙の時間が流れる。 ”エミリア。神殿の広場にユーラットに向かう道と山下りへの道と魔の森に向かう道を作る事はできるか?” ”個体名セバス・セバスチャンの眷属に指示を出す事で可能です。討伐ポイントでの設置は現実的ではありません” ”討伐ポイントは使えない?” …
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【第五章 ギルドの依頼】第二十九話 実際問題?
「わかった。ラナ。でも、ユーラットに・・・。エルフ族が何人いるのかわからないけど入る事ができるのか?入れたとして、生活できるのか?」 ヤスの懸念も当然なのだ。 ユーラットは王国の辺境伯の領地から更に辺境に移動した場所にある。辺境の町だ。村と呼んでもいいレベルだ。 土地は有るのだが問題は食料となる物が、漁業が中心になってしまう事だ。肉は魔の森が近くになるので供給する事はできるだろう。 問題は、穀物や野菜や水だ。 狭い土地を切り開いて作った町なので、畑を作る余裕が無い。ユーラット単体ではどうあがいても…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十八話 事情確認2
ミーシャとラナはお互いが知っている事情を補足しながら、一日目に発生したことを説明した。ヤスは、目を閉じながら二人の話を聞いていた。 ヤスが閉じていた目を開いて二人を見た。 「それで?それだけじゃないのだろう?」 ヤスの怒りを含んだ言葉に二人は驚いた。 飄々としていたヤスがはっきりと怒りの感情を出したのだ。二人は、自分に向けられた怒りの感情でない事は理解できているが、それでも背中に流れる汗を止める事ができなかった。それほど、ヤスは怒っていたのだ。ヤスも自分が何に怒っているのか理解できないでいた。ただ、…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十七話 事情確認1
ラナが立ち上がって部屋から出ていこうとする。ミーシャが腕を掴んで目線で何かを訴えている。ヤスに一人で説明するのが嫌なようだ。 「ミーシャ。飲み物を持ってくるだけよ」 ミーシャも手伝う事で妥協したようだ。説明が嫌だった事も有ったのだが、話す内容の打ち合わせができていなかったので、ラナと話をしたかったようだ。ラナとミーシャは、コンラートの醜態を見て、ヤスには正直に話す事に決めたようだ。アフネスからの伝言もあり、ヤスには敵になって欲しくはなかった。できれば、リーゼのことを守って欲しいと思っていた。 ラナとミ…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十六話 事情説明
コンラートには、ヤスが救世主に見えたことだろう。何か情報を持っているのかもしれない。 停まったアーティファクトの所まで、コンラートは急いだ。 「ヤス殿!」 「どうした?何か有ったのか?」 「何か有ったではない!ヤス殿。ユーラットには行けなかったのか?」 コンラートが危惧したのは魔物がすでにユーラットに至る街道を封鎖してしまっていることだった。 「ユーラットには届けた。”魔通信機”での通信もできただろう?」 確かにユーラットから通信が届いたと報告は有った。 ヤスが荷物を運んできたと報告も上がってきて…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十五話 急展開
ヤスが美味しく夕ご飯の時間に食べる朝ごはんを食べている頃。 領都は大騒ぎになっていた。 領都の守備隊が魔物討伐に参加しないのは納得できないが、納得しなければならない理由がある。領都を守護するための守備隊なので、王家直轄領のユーラットに派兵する事はできない。そもそも、魔物がユーラットに向かっているという正確な情報がない上に領都に魔物が来ないという保証がない間は動くことができない。 守備隊が動かないのは冒険者ギルドも納得していた。 ユーラットに行くことができる冒険者を領都で募っていた。一部のチームには…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十四話 後始末?
ヤスは、トラクターの運転席で眠ってしまっていた。 太陽に照らされるトラクターはボディーが凹んでミラーも割れている。根本から折れてぶら下がっている状態だ。 スマートグラスの表示は戦いの激しさを物語るには十分な情報が表示されている。 損傷率:32%(自走可能) 稼働時間:2分30秒 風魔法:0回 結界損傷:— ディアナには辺りの情報が表示されている。 神殿の境界まで自走してきて魔力が無くなって体力もなくなって眠ってしまったのだ。あと少しで境界の中に入る事ができる位置まで来ているのだ。 辺…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十三話 討伐?虐殺?
「結界の発動トリガーはエミリアが担当。結界の効力が切れたら発動」 『了』 「100体以上の群れが索敵対象。それ以外の群れはスマートグラスに表示」 『了。マスター。上位種がいる集団を”群”。それ以外は集団と認識します。色分けを行います』 「わかった。群れの上位種も解るように色分け。色は、赤の濃さで識別」 『了』 ヤスも指示が熟れてきた。 曖昧な部分を消すことはできないが、それでも以前よりもだいぶマシになってきた。エミリアやマルスも学習を行い。ヤスの指示を補正できるようになってきている。 「索敵対象の群を時…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十二話 強行
『マスター。トラクターの準備が整いました』 「ありがとう」 ヤスは残っていたパンを口に押し込んで、ジュースで流し込んだ。 「マルス。トラクターを正面まで移動しておいてくれ」 『了』 「エミリア。山下りのルートは算出できるか?」 『可能です』 「スマートグラスに表示してくれ」 『了』 5分ほど経過した。 ヤスは準備を整えていた。死ぬつもりはない。運転には自信を持っている。無茶な事ではないと考えているのだ。 「マルス。行ってくる」 『マスター。お気をつけて』 マルスに声をかけてから正面に停められているト…
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【第五章 ギルドの依頼】第二十一話 神殿
ヤスは、マルスの指示通りにアーティファクト(HONDA FIT)に乗り込む。 神殿の領域範囲内のギリギリだがディアナでの制御が可能で自動運転ができる状況なのだ。 ヤスがエンジンをスタートした。 『マスター。自動運転に切り替えますか?』 「頼む。さすがに疲れた」 『了』 ディアナは静かにスタートさせた。 速度を緩めるだけでモーターだけで動作する事がわかっている。マスターであるヤスが乗っているので、魔力の供給が受けられる為にモーターでの移動が可能なのだ。常にバッテリーがチャージされている状態なのだ。 …
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【第五章 ギルドの依頼】第二十話 情報と依頼
沈黙を破ったのは意外にもイザークだ。 「ヤス。魔物が迫っているのは間違いないのか?」 「解らない。大きな群れができていたのは間違いない。領都に向かっていないと言っていたが、それも俺が確かめた情報ではない」 ヤスの言い回しが気になったのかアフネスが口を挟む。 「ヤスは、その情報だけで、リーゼ様を領都に置いてきたのか?」 批判する気持ちが全く無いわけではない。連れてきて欲しいというのは状況を考えれば無理な話である事も理解している。 たとえ、スタンピードが発生してユーラットに向かっているのではなく、領都が…
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