暗躍の記事一覧

2021/12/04

【第二章 ギルドと魔王】第十七話 【ギルド】会談前

 朝から・・・。いや、正確には3日前から、緊張してしまっている。  今までの会談とは、持っている意味が違う。メルヒオール様が控えているが、自分が全面に出なければならない。  魔王ルブランは、理知的な魔王だ。いきなり、激昂して我らを処断するような状況にはならないだろう。  今までの報告では、魔王ルブランは従者たちを愚弄した者や、自ら作り出した物を粗雑に扱った者には、厳罰をもって接しているが、自分自信への暴言には寛容な態度を示している。それが、苦言だとしたら、その者に褒美を取らせたこともある。 「ボイド。今から…

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2021/11/23

【第二章 ギルドと魔王】第十六話 【ギルド】城塞町

 帝国の辺境地域にある城塞町に、一通の召喚状が届いた。 「ボイド。魔王ルブランからの召喚状だ」  部屋に入ってきた、メルヒオールは執務机に座っているボイドに投げかける。  メルヒオールは、新ギルドの相談役のような役割になっているが、現状では、城塞町の領主になっているティモンの所で食客のような立場になって、新ギルドと帝国を繋ぐ役割を担っている。  入ってきたのが、メルヒオールだとわかっても、ボイドは言葉遣いを変えない。  今のギルドは、ボイドがトップの体制になっている。前ギルドマスターであるメルヒオールでも敬…

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2021/11/17

【第二章 ギルドと魔王】第十五話 開戦

 開戦?  バチョウもカンウも連合国の背後に回っている。見つかったら、見つかったで、突撃を許可していた。わざと見つかるような愚かな行為はしなかった。しかし、連合国は、進軍するときに斥候を放たないのか?  確かに距離を開けていたが、苦もなく迂回が成功した。  うーん。  次に造る施設?アトラクションは、レベルを落としたほうがいいのか?こいつらだけが愚か者だと思いたい。アトラクションを楽しんでもらえる程度には知恵を持っていると嬉しい。  行軍が遅かった理由が、心の底からくだらないと言える理由だった。 ”奴隷の男…

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2021/11/06

【第二章 ギルドと魔王】第十四話 魔王は暇

「マイマスター。もうしわけありません」 「いいよ。セバス。見ていたから・・・。ふぅ・・・。連合国は何がしたいのかわからない。それに、あんなに弱いとは思わなかった」  モニターに映されるのは、監視罠(罠とつければ、何でも許されると思っている)から送られてきている映像だ。森の端に、監視用に設置している物だが、今は連合国からの侵略者を迎え撃つために使っている。  砦を築いていたのは、最初は5,000人程度だったので、モミジとカエデとナツメだけで戦ってみることになった。  バチョウとカンウの部隊編成が終わっていない…

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2021/11/05

【第二章 ギルドと魔王】第十三話 【連合国】

 連合国は公称10万の兵で、魔王ルブランの討伐を掲げて、進軍を開始した。  総指揮は、序列1位の”エルプレ国”の騎士デュ・ボアがとっている。  連合国の序列4位の国オラブルから、出陣した公称10万の兵は、砦の構築を行うために先行した1万(公表した数字は5万)の奴隷兵を除いた。9万(実際には4万)の兵が、魔王ルブランの居城を目指している。各国から精鋭部隊(と言っている者たち)が参加している。足並みが揃うはずもなく、進軍速度は予想以上に遅い。  序列4位のオラブルから、魔王城までは通常行軍で5日ほどだが、倍の1…

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2021/11/04

【第二章 ギルドと魔王】第十二話 御前会議

 憂鬱な気分になっている。  しばらくは、マイマスターと楽しい時間が過ごせていた。  書庫で読んだ本の内容を、マイマスターに質問する。マイマスターが解らなければ、また新しい本を取り出していただける。その一連の流れで、マイマスターと楽しい時間が過ごせた。 「ルブラン!」  あぁ”セバス”とは呼んでもらえない。モミジたちだけではなく、ヒアとメアも居るから”セバス”呼びが無理なのは理解している。でも・・・。  そして、ヒアはメアを気にしている。メアの目線は、マイマスターに注がれている。 「はい」 「攻めてきたのは…

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2021/11/03

【第二章 ギルドと魔王】第十一話 周辺国

「ティモン」 「陛下。御前に」  帝国の帝都にある。高級な宿屋の一室だ。7番隊の隊長であった、ティモンが、一人の男性に跪いて頭を垂れる。 「堅苦しい挨拶は必要ない。余と、貴様しかいない」 「はっ」  玉座の住人が、ひと目を避けるようにして、宿屋に来たのには大した理由はない。  面会の相手が、前7番隊の隊長であるためだ。7番隊は、表向きは解体されている。そして、隊長であったティモンは、責任を取る形で、辺境の”村”の領主となった。玉座では、余人に聞かれてしまう可能性があり、宿屋での面談となった。 「それで、魔王…

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2021/11/02

【第二章 ギルドと魔王】第十話 【ギルド】

「ギルマスからの連絡は有ったのか?」 「ない。上の方から、新たなギルマスの選定を行うと連絡が入った」 「そうか・・・。メルヒオールも愚かなことをしたな」 「そうだな」  本部のギルドマスターであったメルヒオールが、複数のギルドを新設した。ギルドの新設は、新たなポストと権益が産まれるために、ギルド職員や関係者は、権益のおこぼれに期待をした。  しかし、権益は本部には割り振られなかった。正確には、”現在のギルドを支える者たち”には、新たなポストが割り振られなかった。  メルヒオールが独断で決定して、ギルドマスタ…

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2021/11/01

【第二章 ギルドと魔王】第九話 確認

 平和だ。  帝国のゴミを掃除してから、魔王城に攻め込んでくる者が出てこない。  増えたポイントで領域を広げた。魔王城(仮称)の周りに広がる森の全域が領域に組み込まれた。もう少し広げられるポイントは残っているのだが、存在する村や町を領域内に組み込めなかった。  平和で暇な時間に、先代たちの日記を読み漁ったが、森の向こう側まで領域を広げた例が見当たらなかった。ポイントが足りないのか、それともそもそも不可能なのかわからない。もしかしたら、なにか条件があるのかもしれない。  スキルは多すぎて、まだ”本”での確認が…

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2021/10/30

【第二章 ギルドと魔王】第八話 日常?平和?

「マイマスター」  マスタールームの拡充をしているとセバスが部屋を訪ねてきた。  前室のような場所を作って、セバス以外は前室で待たせることにしているが、セバスも前室で待ってから、部屋に入ってくる。  今日は、マスタールームの拡充を行っているので、前室で会うことにした。 「どうした?」  セバスの服装が、どんどん過激になっていくのは気のせいだろう。  このままだと、セバスは全裸で俺に会いに来るぞ? 「はっヒア、メアの両名により、帝国から送られてきたゴミの始末が終了しました」  帝国からは定期的に、ゴミが送られ…

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2021/10/29

【第二章 ギルドと魔王】第七話 【連合国】

 連合国の首都にして、加盟国のすべての出先機関がある街は、ある意味で秩序がバランスよく保たれている。連合国の首都は、ギルドの本部が存在している。ギルドからもたらされる情報を扱って、連合国間だけではなく、各国とのバランスを取っているのだ。  その連合国の首都にある。出先機関の一つで重大な会議が行われている。加盟国の出先機関に同じ部屋が設置されることになっている。この部屋の用意が難しい国は、連合国の重大な決定事項には関わることが出来ない。 「どうするのだ!」  円卓には、6名が座っている。  末席という概念はな…

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2021/10/27

【第二章 ギルドと魔王】第六話 ギルドvsギルド

 ボイドは悩んでいた。  ギルド本部に反旗を翻したのは後悔していない。必要なことだと本気で思っていた。昨今のギルドは、あまりにも二つの国家に近づきすぎている。それに、ギルドと神聖国には、秘密があり、その秘密をボイドたち情報部はしっかりと握っている。 「君が、今代のボイドなのか?」 「そうです。情報部の取りまとめをしております」  今日のボイドは、朝から客人との打ち合わせを行っている。  帝国の上級貴族に連なる者との面談や、帝国だけではなく、大陸に根を張る商家との面談を行っていた。そして、今日の最後に面談が、…

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2021/10/26

【第二章 ギルドと魔王】第五話 リニューアル

 魔王城を守るための城壁は三重になった。内壁と六芒壁と外壁だ。外壁は、幹部となった子どもたちと武官であるカンウたちの意見で作った。  六芒の形になっている城壁の周りには、水堀が存在している。幅は10メートルほどだ。その水堀の一部が湖になり、カプレカ島が存在している。湖の中心くらいから、魔王城を囲うように、新たな城壁が出現した。魔王ルブランから、カプレカ島を介して城塞村には伝えられていた。一晩にして現れた城壁は驚愕を持って迎えられた。この城壁の出現で、魔王城の守りは強固になった。野営が出来る場所が、一箇所に絞…

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2021/10/24

【第二章 ギルドと魔王】第四話 城塞村?

「メイ。おはよう」  狐人の姉妹は、引っ越しを終えて、魔王城の地下での生活をスタートさせた。  姉であるメアは、ルブランの配下になっているが、他の者たちと同じで、モミジや四天王から、いろいろなことを教わりながら生活をしている。  妹のメイは、カプレカ島にある学校で午前中を過ごして、午後は、学校の仲間と、魔王が定めた領域の外側に出来た城塞村で、ギルド員としてお手伝いをしている。子どもたちなりに、自分たちで出来ることを探しているのだ。過保護な魔王が、護衛役を付けているのは知られている。  護衛役が居なくても、子…

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2021/10/23

【第二章 ギルドと魔王】第三話 【連合国】【ギルド】

”帝国は、新しく産まれた魔王と密約を結んだ”  こんな噂が、各国の首脳部に流れたが、帝国は噂だと取り合わなかった。  事実、帝国は魔王と密約を結んでいない。全面降伏だ。”攻めてこないで欲しい”・”魔王城に手を出す輩がいたら、遠慮しないで殲滅しても問題にはしない”。これらが、帝国から魔王に伝えられたことだ。  噂を信じている者たちが居る。正確には、”真実でないと困る”と思っているのだ。 「ギルドは、どういうつもりだ?」 「え?」  ギルド本部がある連合国の首都にある。連合国に属する国の大使館は、朝から新たに産…

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2021/10/22

【第二章 ギルドと魔王】第二話 元奴隷の日常

「お姉ちゃん。おはよう」 「メイ。おはよう」  ルブラン様。違った、魔王様から、呼び名を貰った、本当の名前は、”家族から貰ったものだから大事にしなさい”と言われて、普段は魔王様から貰った名前で呼び合うことに決まった。  家族も大事だけど、私は魔王様から貰った、”メア”という名前がすごく、すごく、すごく、大事だ。 「うん!」  妹も、貰った名前を気に入っている。 「メイ。今日は、学校だね?」 「うん!ヒカと一緒に行ってくる!」  ヒカは、人族の子供だ。メイが、よく一緒に遊んでいる。  村に居た時には、人族と”…

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2021/10/03

【第二章 ギルドと魔王】第一話 カプレカ島

 セバスに、島に名前が欲しいと言われたので、安直だとは思ったが”カプレカ”と名前を付けた。  セバスが、ルブランとして、島に訪れて、名前を”カプレカ島”と宣言した。従って、セバスは”カプレカの魔王”と呼ばれるようになった。  魔王への感謝が限界突破している子どもたちは、契約を行ったあとで、子どもたちには呼び名を授けた。  子どもたちの話や、大人の奴隷の話を聞いて、”名前”を与える儀式が危険な行為だと解った。セバスとモミジが、名前を持つ者たちを調べた結果、弱い”呪”が埋め込まれていた。人族だけではなく、種族に…

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