主人公の名前なしの記事一覧
2021/09/18
【第一章 ギミックハウス】第十六話 魔王の所業?
「魔王様」 「ルブランで良い」 魔王は、マイマスターの称号だ。代理とは言え、”魔王”と呼ばれるのは避けたい。 それに、魔王と呼ばれて良いのは、マイマスターだけだ。 「はい。ルブラン様。食料や毛布をありがとうございます」 子どもたちが揃って頭を下げる。 代表は、狐人族の少女のようだ。人族が居るのに、珍しい。 「お前たちは、真命はあるが、呼び名が無いようだな」 「え?真命?で、ございますか?」 真命を知らないのか? 奴隷だからなのか? 「知らぬのなら、それで構わない。貴様たちは、300名だったな」 …
続きを読む2021/09/17
【第一章 ギミックハウス】第十五話 【帝国】増援部隊
「陛下。派遣部隊から、増援要請が来たのですか?」 「宰相が持ってきた」 執務室で、我が増援の書類を見ていると、7番隊の隊長がやってきた。7番隊の隊長は、今回の増援には加わらない。加えてはならない。呼び出したのは、7番隊と5番隊だ。宰相が、すでに両部隊の隊長を呼び出していたので、訂正が間に合わなかった。 7番隊は、増援には反対するだろう。そして、増援しなければならないのなら、情報を集めて撤退を進めてくるのだろう。 5番隊は、この度の魔王討伐から外れた。小国への遠征を行っていたためだ。しかし、彼らは小国で…
続きを読む2021/09/16
【第一章 ギミックハウス】第十四話 魔王(ルブラン)降臨
「マイマスター」 「セバス。そうだな。子供たちの前なら良いかもしれないが、セバス。これから、俺の身代わりを行う時には、”ルブラン”を名乗れ」 「はっルブランが名で、真命をセバスと心に刻みました。マイマスター」 「子供たちには、パンと果物と水を送る。それから、寝ている間に、部屋を作ろうと思うが、地上部には草木を植えたから、地下に作る」 「はっ」 「地下で、通路を隣に作ってある、執事やメイドの部屋に繋げる。扉には、罠を設置した。こちら側の者しか通られない」 「それは?」 「今は、俺とルブランだけだな。そうだな。…
続きを読む2021/09/15
【第一章 ギミックハウス】第十三話 【奴隷】
「お姉ちゃん!」 寝ないようにしていたのに、いつの間にか眠ってしまった。 魔王城の檻に捕らえられて、それから・・・。美味しいパンと、美味しい干し肉を食べて、綺麗なお水を飲んで、妹と毛布に包まって・・・。妹を抱きしめていた。離れないように、妹の体温と心の音を聞いていた。 村を襲われてから、初めてゆっくりと寝たかもしれない。 「どうしたの?」 飛びついてきた妹の頭をなでながら、周りを見る。 半分くらいはまだ寝ている。 「ううん。お姉ちゃんと一緒に居られて嬉しいだけ」 妹の言葉が嬉しかった。私も同じ気…
続きを読む2021/09/14
【第一章 ギミックハウス】第十二話 セバス登場
本当なのか? 引き戸になっている門を抜けるのに、4時間掛かっているぞ?罠じゃないぞ、ただの”引き戸”だぞ? こいつら・・・。頭は大丈夫なのか? いきなり、門を攻撃し始めたときには、何をしたいのか迷ってしまった。 急遽、引き戸への攻撃で、頭上から石が落ちる罠を配置する。これは、引き戸への攻撃がトリガーになって別の罠が発動するだけの物だが、効果的だ。罠の発動場所を、引き戸の近くではなく、一つの門と引き戸の間でランダムに発生するようにした。 奴隷っぽい奴らに引き戸を攻撃させていた奴らが、自分の頭上から…
続きを読む2021/09/13
【第一章 ギミックハウス】第十一話 【帝国】七番の目
「殿下!なぜ?」 「何故だと!貴様!何故と聞くのか!貴様が、自分が何を言ったのか解っているのか!」 「殿下。自分は、自分の権限で、撤退を進言いたします。この魔王城は、事前の準備をしていない状態で突破ができるほど、甘く有りません」 「門までの通路を見つけた手腕を認めれば、撤退だと!考えもしないことだ」 「攻城兵器も、カタパルトを1基しか持ってきていません。先程から、岩が門に当たって砕ける音だけで、門に被害が無いように思えます。殿下。あの門を突破するためにも、帝都に戻られて」 「うるさい!貴様は、俺に、負けを認…
続きを読む2021/09/12
【第一章 ギミックハウス】第十話 前哨戦-温情
確保した子どもたちは、毛布に包まって寝てしまっている。 よかった、パンも干し肉も食べられたようだ。明日は、違うものを出してあげたい。そうだ、地下に部屋を作ろう。なんとなく、種族別にまとまっているから、種族別に部屋を作るのが良いのだろう。 ポイントの収支がおかしいように思える。 ”本”の中に記述が、存在したか確認してみる。チュートリアルの最中には、ポイントの収支に関しての記述はなかった。 ん?本が光っている? ”権限が拡張されました。新しい項目の閲覧許可を得ました” 閲覧許可? 新しい項目? …
続きを読む2021/09/11
【第一章 ギミックハウス】第九話 【奴隷】
村が人族に襲われた。大人たちは、殺された。お父さんもお母さんも隣のおじちゃんも・・・。 私たちは、そのまま人族が治める国に、移動させられた。 妹と私は、奴隷にさせられた。国に治めるお金を誤魔化したとか言われて、殴られて、首輪を付けられた。。 奴隷にされて、首輪を付けられて、そして、違う国に・・・・。 そこで、私たち姉妹と同じように連れてこられた、子どもたちと、粗末な建物に押し込まれた。 一日一回、固くなったパンが与えられるだけの生活。 何人も死んでいく・・・。私たちが何をした!勝手に攻めてきて…
続きを読む2021/09/10
【第一章 ギミックハウス】第八話 開戦-前哨戦
スキル画面の右上の数字が、100を切った。 外に居る連中は、いきなり攻め込んでくるのか? ちょっとだけ外を見てみたい。 でも、俺には攻撃力も防御力もない。それに、服は日本からより寄せたものだ。この部屋から出たら全裸になってしまう。 それにしても、先頭にいる奴らは、薄汚れた格好をしているし、子供だけに見える。 奴隷とかなのか? 先代の日記にも、奴隷を戦わせている記述があった。 うーん。 ひとまず、落とし穴の水罠は止めておこう。 転移罠にして、敷地内に隔離する場所を作ろう。 鎧を身に着けて…
続きを読む2021/09/09
【第一章 ギミックハウス】第七話 【帝国】ギルド
「面会?開戦が近づいている、この時期にか?」 白い壁が取り払われるのは、あと数時間だ。早ければ、1時間もしないで白い壁が取り除かれる。 あの異様な広さを誇る魔王城がお目見えするのだ。すでに、白い箱の手前に、15番隊から連れてこられた奴隷兵が並べられている。保管されている、魔王との戦いで、白い壁がなくなったと同時に、魔物が氾濫したことがあり、魔物への備えのためだ。 前回の魔王が愚かだったのは、間違いではない。 魔王がなんで産まれるのか、どういった仕組みなのか、解明はされていない。ただ、魔王城を放置する…
続きを読む2021/09/08
【第一章 ギミックハウス】第六話 拡張?
スキル画面の右上にあるカウントダウンを眺めるしか、やることがなくなった。 ポイントを利用して、地球から紅茶とジャムと砂糖と牛乳を、交換(お取り寄せ)した。カップは、この世界にも有るらしいが、まだ交換が出来ない。しょうがないので、高く付いてしまうが、地球から取り寄せる。 100均で十分なのだが、見栄で、ウェッジウッドを探したら出てきた。躊躇するポイントだ。割れてしまったら・・・。 ダメだ。100均を探して、食器類と日用品で必要になりそうな物を交換する。 料理は、するつもりは無いが、冷蔵庫や電子レンジ…
続きを読む2021/09/07
【第一章 ギミックハウス】第五話 【帝国】魔王城
俺は、第七番隊の隊長から直々に命令されて、魔王討伐部隊の輜重兵に紛れ込んでいる。 俺が指揮する部隊がそのまま配置されている。 表向きは、輜重兵の統率なのだが、それ以上に、大事な役目として、魔王城のギミックを見抜くことにある。聞こえてくる話では、奴隷兵を使って罠を食い破るつもりのようだが、ギミックが、魔物を絡めた物だった場合に、奴隷兵ではただ死ぬだけだ。我らが、ギミックを突破して、殿下を安全に魔王の下に届ける。 陛下の演説から、殿下の出陣の挨拶。 そして、殿下を先頭にして、討伐部隊が帝都から祝福され…
続きを読む2021/09/06
【第一章 ギミックハウス】第四話 拡張2
作成は、一瞬で終わった。 マスタールームに居たので、変化に気が付かなかった。 変化は、確実に実行されている。マスタールームが広がっている。 新しく作成した扉もしっかりと作られている。 次は罠だ。 ポイントは、まだ30億以上残っている。維持には、ポイントは必要ないが、再配置が必要な罠にはポイントが必要になる。 残念ながら、マスタールームには”家具”は置けるが、罠の配置が拒否されてしまう。地球から取り寄せる武器を配置するしかない。 罠は、基本な物以外では、先代や他のハウスの当主が設計した物も存在…
続きを読む2021/09/05
【第一章 ギミックハウス】第三話 【帝国】派遣部隊
「殿下!殿下!」 「なんだ!俺は、今、魔王討伐の兵を編成するのに忙しい。くだらない話なら、お前を処断するぞ」 豪華な部屋に、装飾が施された机に、御前会議で、魔王討伐を言い渡された男が手元に視線を落としながら、部屋に入ってきた男に答える。 「いえ、その”魔王討伐”の任に、是非、我ら、第七番隊に参戦の許可を・・・。お願いいたします」 部屋に入ってきた男は、床に頭が付くのではないかと思うくらいに、殿下と呼びかけた男の前で、頭を下げる。 「そうか、貴様の部隊か・・・」 殿下と呼ばれた男は、考えるフリをしながら…
続きを読む2021/09/04
【第一章 ギミックハウス】第二話 拡張1
本に書かれていた最後の指示を実行した。 それは、ポイントを使って、自分自身にスキルを付与することだ。 何か、罠があるだろうと考えて、その後を読み進めた。 推奨するスキルが書かれているだけで、その後は本当に、チュートリアルのような内容はなかった。 チュートリアル以降は、ポイントで交換できる”物”が説明と一緒に掲載されていた。 魔物やスキルだ。説明も細かく書かれている。 ”本”が勧めていたスキルは、”鑑定”だ。本の説明では、細かく書かれているが、俺が考えている鑑定と同じだと思って良さそうだ。チュー…
続きを読む2021/09/03
【第一章 ギミックハウス】第一話 【帝国】新しい魔王
帝国。 人類国家の中で最大の領土を誇る。名前は、プレシア帝国。大国と呼ばれる5つの国家の中の一つだ。 帝国の他には、王族が支配するプレシア王国。天子を名乗る者が支配するプレシア皇国。宗教国家で唯一の人族絶対主義を掲げるプレシア神聖国。商人たちが集まってできたプレシア連合国。 全てが、プレシアの名前を冠しているのには理由がある。 この世界を作った創造神の名前がプレシア神だと言われている。そのために、多くの国家は”プレシア”の名前を付けて、自国の正当性を主張している。他にも小国に分類される国家が多数存…
続きを読む2021/09/03
【序章】閑話 第494代目当主
第494代目当主ルブラン・ヴォコント 地球歴(基督紀元) 1943年 ・・・・に生まれる。 1982年 ・・・・にて、生涯を閉じる(刺殺)。 プレシア歴 9967年 1月08日 第494代目当主になる。 1月08日 当主ルブラン・ヴォコント。ハウス6174に名前を付ける(名前:ピ○タン) 1月10日 当主ルブラン・ヴォコント。服を召喚。(5,300ポイント消費) 1月11日 当主ルブラン・ヴォコント。食事(飲料を含む)を召喚。(3,400ポイント消費) 1月12日 当主ルブラン・ヴォコント。食事…
続きを読む2021/09/02
【序章】第三話 第495代目当主
読んだ。 理解できたかは、不明だが、読んだ。 部屋の中心で、テーブルの上に置いた紅茶を飲みながら、考えをまとめている。 あの本・・・。 本当に悪意しか感じなかったが、大事なことが書かれていた。途中でチュートリアルのような物まで書かれていた。 チュートリアルをいきなり実行しようと思って、踏みとどまった。次のページを見たら、実行したら失敗すると書かれている。3ページほど進んだら、”実行の注意点”が書かれていた。人を馬鹿にしたような作りだが、しっかりと読み込んで考えれば、”クセ”のような物がわかる。 …
続きを読む2021/09/01
【序章】第二話 本?プレゼン資料?
豪華なベッドで目が覚めた。時計がないので、時間はわからないが、寝て起きても、状況は何(・)も(・)変わっていない。 これは、困った。 腹が減って起きたり、トイレに行きたくなったり、生理現象で目が覚めたわけではない。寝返りを何度か行ったのだろう、布団が乱れている。一人で”何か”をやったわけではない。寝返りだろう。起きて、大きくなる男性の生理現象も発生していない。使えるのか?いや、妄想したら大きくなったから使えるのだろう。使えたら嬉しい。 現実逃避は、ここまでにしよう。 サイドテーブルを見ると、本が置…
続きを読む2021/08/31
【序章】第一話 転移?転生?貴族?勇者?
”ここ”は、”どこ”だ? 俺は、確か・・・。 — 「はぁはぁはぁ」 苦しい。考えるのもイヤになってしまう。 生きたい。生きたい。生きたい。 楽しみにしていたイベントは軒並み中止。それでも、歯を食いしばって生きてきた。 「苦しい」 安物のベッドが軋む音と、俺が酸素を求める音だけが部屋の中で響いている。感染が確認されたときに、病院の確保ができましたら連絡しますと言っていた担当者。食事と水分を運んでくれると言っていた担当者。 あれから、何日が経過したのかわからない。ただ、解っているのは、…
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