2020/08/31
【第一章 遭遇】第十三話
/***** ??? Side *****/ 三人の冒険者は、サラトガの街を出て、ブルーフォレストの中を進んでいた。 そこに、一人の男性が合流してきた。 リーダ格の男性が女性を気にしながら、合流してきた小柄な男性に声をかける 「どうだ?」 「やっぱり、街道は駄目な様だ」 小柄な男性は、もうひとりの大柄な男性から、水筒をもらって、口に含む。 落ち合ったのは、ブルーフォレストの中だが、魔物やダンジョンに向かう者たちを避けていたので、通常ルートからかなり外れている 「そうか、ブルーフォレストに逃げ込んで…
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【第一章 遭遇】第十二話
水路を作った翌日堀に十分な水が溜まっている事を確認した。排水用の水路も完成しているらしいので、水が出ているのかを確認した。 立派に、岩の隙間から水が出ている。洞窟の入り口を隠すように綺麗に流れている。 カイとウミは、引き続き44階層の探索を行っている。ライも昨日と同じだ。 堀ができたので、ログハウスの周りの畑仕事を行う事にしている。スキルの実験過程で見つけた使い方だが、速度向上スキルを付与した魔核を畑に入れる事で、果物が俺の常識以上の速度で成長した。 スキルの合計枚もかなりの数が溜まってきている。…
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【第一章 遭遇】第十一話
気がついたら、転移(転生)してきてから、2年が過ぎた。 洞窟での生活が快適すぎる。ヌルゲーをやっているような感覚だ。転移してきた当初は、食べ物や飲み物に困ったが、飲み物は、スキルを付与した魔核で水が生み出される。それだけではなく、スキルの組み合わせで、エアコンのような物を作る事ができた。 食べ物も、ダンジョン攻略を行っている過程で、食用に適した魔物を倒して、食べている。果物も、十分な量が確保できている。 野菜に関しても、森に自生していた物を、実験的に栽培を行って、現在では食べきれないくらいの量が確保…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十六話 イヴァンタール博士
四枚目を読み始める。 イヴァンタール博士は、やはり、AI(アイ)を作ったのだと書かれている。身体は、人造人間(ホムンクルス)なのだと書かれている。人でない理由は、永遠に生きる理由を、”転生して来た魂を博士が無理やり押し込んだ”と信じ込ませるためだと書かれていた。他にも理由があるのだろうが、それ以外には書かれていない。 魔法生物は、俺が魔法で作る”龍”と似て非なるもののようだ。魔物の心臓と魔核を使って居るようだ。 そして、肝心の性格は”パソコンのAI”を埋め込んだと書かれている。記憶が出来て、教えた通…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十五話 懐かしの匂い
目に入ってきたのが”馴染みのある”光だ。蛍光灯だ。LEDではなく、白色灯だ。電気も無いのに、白色灯が灯るわけがない。地球に繋がっているのか? 部屋に足を踏み入れる。 俺が使っていた地下室に似ているが、決定的に違うのは、壁一面に大小様々なディスプレイが配置されている。正直に言おう、憧れる。 中央には、ディスプレイを3枚並べた状態で配置されている。 事務机ではなく、この世界の標準的な机だ。キーボードもマウスも存在している。 近づいてみると、OSはよくわからない。コマンドラインのよう見える物もあれば、…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十四話 攻略??
そして、扉には、何やら文字が書かれている。 「はぁ????なんで?」 扉には、”なぞなぞ”が、”日本語”で書かれていた。 『樽を3つ持っている人の履物はなに?』 本当に、”なぞなぞ”だ。それも、日本語で書かれている。 ダンジョンに日本語が書かれているのもわからないけど、”なぞなぞ”が書かれているのも意味がわからない。 答えの入力は、下の入力パッドにするようだ。 答えは、”さんだる”だと思うけど、”ひらがな”なのか、”カタカナ”なのか、一回だけなのか、複数回なのか、それもわからない。 駄目なら駄…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十三話 ダンジョン?
最下層は、不思議な感じがする。 魔物は一体だけのようだ。 最下層は一本道だ。扉の先には、お約束では、ドラゴン種でも居るのだろう。 5分くらい通路を歩くが何も出てこない。探索を行っても、何も無いのが解っている。意地が悪いゲームだと最下層の一本道に隠し扉があって、貴重なアイテムが隠されていたりする。隠し通路から、裏ボスに繋がっていたゲームもあった。 扉の前に到着した。 結局、魔物は出てこなかった。セーフエリアではないが、魔物が出現しないようになっているのか? 扉の前でゆっくりと身体と心を休めてから…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十二話 最下層
30階層の階層主を倒して、ユリウスとクリスとギルと別れた。 これからは、一人での戦いになる。 気を引き締めて、階段を降りる。 後ろで光っていた、魔法陣の光が消えた。3人が地上に戻ったのだろう。 「・・・」 階段を降りると、そこは草原になっていた。 草原はセーフエリアが存在しない。一人で単独踏破は骨が折れる。 「聞いていた話と違う。31階層は、まだ洞窟のはずだ。変異したのか?」 独り言になってしまっているが、不安な気持ちは誤魔化せない。 立っていても何もならない。 進んでみるか・・・。 &#…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十一話 階層主。そして・・・
「アル。もういいのか?」 「大丈夫だ。ユリウスは怖かったら帰っていいからな。ギルが素材を持って帰れば、俺が討伐した証明になるだろう?」 「おま」「ユリウス様。アルノルト様のおっしゃっている内容は、一考する価値があります。ユリウス様が自ら確認なさらずとも・・・」 「クリス。俺が決めたことだ。アルと俺の”差”を確認する」 「わかりました。アルノルト様。もうしわけありませんが、よろしくお願いいたします」 「わかった」 階層主の部屋の前に来ている。 30階層の階層主は少しだけ特殊だと聞いている。強さは同じなのだ…
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【第三章 ダンジョン攻略】第七十話 情報交換
30階層のセーフエリアまで無傷で到着できた。 振り返って、3人の顔を見ると少しだけ複雑な顔をしていた。 「アル?」 「どうした、ユリウス?」 「どうした!?お前!」 クリスが、ユリウスをなだめている。 「マナベ様。いえ、アルノルト様」 「クリス。どちらでもいいよ。それで?何かおかしかったか?」 「はい。アルノルト様。ユリウス様が言いたいのは・・・」 クリスに説明されて納得した。 俺が30階層のセーフエリアに来るまでに、魔法を使わなかったことを聞きたかった・・・。らしい。 ユリウス。”アル?”だけ…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十九話 攻略開始?
「旦那様。本当に、一人で行かれるのですか?」 「それが条件だからな」 セバスとサルラから、報告を聞いて問題はないと判断した。 俺の力を見て安心したいのだろう。先方も、待ち合わせの場所を直前に変えてきた。俺が単独で動いていると確信しているのだろう。 「マスター。俺も、セバスと同じ意見です。皇太孫と婚約者は信用できるとしても・・・。だからこそ、マスターと一緒に殺してしまおうと思っている連中には、最高のチャンスだと思います」 「俺もそう思う」 「旦那様。なぜ!」 「セバスと、サルラと、ダーリオを、二人よりも信…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十八話 攻略準備
ダンジョンの攻略を行うための準備を開始した。 「マスター」 ダーリオが俺に声をかけてくる。 「どうした?今日の訓練か?」 「はい。本当に、マスターも参加されるのですか?」 「そのつもりだけど?」 「その・・・。必要なのですか?」 「ん?」 「今日は、ダンジョンに潜るための訓練ですよ?」 「わかっている」 「マスターは単独で、20階層まで行けますよね?」 「あぁそういうことか?俺の攻略は、力で押し通しているだけだ。20階層くらいまでなら通用するだろうけど、その先はわからない。そもそも、ダンジョンの中での戦…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十七話 マナベ商会出張所
各ギルドの関係者を呼び出して、セーフエリアに宿屋と商店を、ホームの運営で展開することを考えていると告げる。 同時に、ホームのメリットやデメリットを説明する。一種の新店舗を展開する時のプレゼンだ。 一通り説明を終えた俺に、グスタフが代表して質問をしたいと言い出した。そのために、プレゼンが終了してから2日後に打ち合わせを行う事になった。 グスタフに指定された時間にギルドを訪れた。 「マナベ様」 「なんだ?」 資料は作っていないようだ。 グスタフの正面に座ったら、質問が始まった。 出された、果実水を…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十六話 ダンジョン
久しぶりにダンジョンに来た。ティネケの体調がよくなったこともあり荷物持ち(ポーター)に立候補してきた。 今回は、俺のリハビリやティネケの能力を見るという意味があるので5階層の階層主を倒して帰ってくる予定にしている。 ティネケが参加することを聞きつけて、アンチェとヤンチェとハンフダとハンネスも一緒に行く事になった。大所帯になってしまったがパーティーで考えると丁度いい人数なのかもしれない。 刀を抜くことなく4階層まで楽に潜る事ができた。 「ティネケ。大丈夫か?」 「旦那様。大丈夫です」 「無理しなくてい…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十五話 アンダーカバー
クリスからの謝罪はケジメという意味以上の意味があるとは思えなかった。 今更言われても誰も幸せになれない。それなら、話を受け入れたほうがいい。少なくても、クリスの心に残った痼は取り除けるだろう。 ギルも、あの事件を引きずっている一人だ。ギルは・・・。違うな。俺以外、誰も悪くない。でも、だからといって”気にするな”の一言で済ます事ができるようなことではない事もわかっている。 ギルは、ウーレンフートのホームと街中に商会主体の商店を立ち上げてくれた。 俺が言ったとおりに、街の中に作った商店は元クリスの部下…
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【第三章 ダンジョン攻略】幕間 ユリウスの決断?
俺は、皇太孫とか言われているが、この国のことを考えるならば、アルノルト・フォン・ライムバッハこそ国のトップに立つべきだと考えるときがあった。 もちろん今はそんなことを考えていない。俺の親友であるアルノルト・フォン・ライムバッハがやりたい事を成し遂げて帰ってきたときに、思いっきり殴る事を楽しみにしている。 俺は今・・・。 ライムバッハ辺境伯のカール・フォン・ライムバッハの後見人を努めている。進学しないで、実践や国に携わる事がしたかった俺には最適な場所だ。 結果だけを見るならば・・・。と、いう条件がつ…
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【第三章 ダンジョン攻略】幕間 ギルベルトの活躍?
俺は、ギルベルト。皇太孫のユリウスやライムバッハ辺境伯の第一子であるアルノルトと同級生だ。 正直な話、アルノルトと同級生になれたのはラッキーだと思っていた事もあった。 実際の所は、どうだろうと思えてしまう事も多い。総合的に見れば大幅なプラスで動いているのだろう。特に、実家の商会は”ここ数年”大きくなっている。全部アルのおかげだ。オヤジが言うには、最初は玩具の売上が大きかったが、最近では”燻製”の売上がすごいことになっていると言われた。 オヤジの商会で売り出した所、川や海が近くにある貴族からの引き合い…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十四話 謝罪
もう俺からは何もない。はずだ。忘れている事はあると思うが、クリスからお小言(説教)をもらうような事は無いはずだ・・・よな? 皆が部屋から出ていったのを確認して、クリスは深々と頭を下げた。 はぁ?なんでクリスが頭を下げる。俺が知らない事がまだあるのか? 「クリス。なんのつもりだ」 「アルノルト様。本当に申し訳ありませんでした」 「だから、なんのつもりだ!」 クリスは、頭を上げてから、懐から束になった羊皮紙を取り出した。 「これは?」 「お読みください」 一枚目を読んでみるが、大きな問題はなさそうだ。…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十三話 情報交換?
女性と子供が入ってくる。 女性は初めて見る顔だが、猫族だという事がわかる。子供はよく見た顔だ。 「えへっにいちゃん。ごめん」 「アル!」 アルバンが何故か悪ふざけが成功したかのような顔で部屋に入ってきて、クリスの横に控えるように立った。 「アルノルト様」 アルの横に立っている猫族の女性が”アルノルト”と俺のことを呼んだ。 「マナベだ」 よく見ると、ユリウスもクリスも苦笑しているのがわかる。 「失礼しました。マナベ様」 「”様”はいらない。俺は、冒険者シンイチ・アル・マナベだ」 「かしこまりました。…
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【第三章 ダンジョン攻略】第六十二話 皇太孫?
翌日行動する事にした。 施設を見て回っただけではなく、孤児院を見に行ったときに子供たちに夕ご飯を一緒に食べないかと誘われた。言葉は”誘われた”で間違っていないのだが、俺が居ると院長たちが料理の質を少しだけ上げると思ったのだろう。しっかり者の子供が多い孤児院なのだ。 それでも良かったのだが、今後のことを考えて厨房にお願いをした。料理は”いつもどおり”でかまわないと伝えて、その代わりに食後にデザートを出してもらう事にした。 「マナベ様。よろしいのですか?」 「あぁ子供には腹いっぱい食べて欲しいからな。それ…
続きを読む2020/08/30
【第三章 ダンジョン攻略】第六十一話 ホーム改造
ユリウスとクリスとおまけでギルが、正式に査察官としてウーレンフートを訪れることが決まったようだ。 当初は数日後と言われていたのだが、ライムバッハ領都での作業が残っていたらしく、約1ヶ月後に延期されることになった。 問題が解決に向かった事や、”シンイチ・アル・マナベ”がホームを得て状況を変えていると報告したことが大きいようだ。”マナベ商会”のことを彼らは知っているので、アルノルトが絡んでいると判断して、急いでくる必要がなくなったと考えたのだろう。 査察官から冒険者マナベにありがたいお手紙が届いた。 …
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