バーテンダーは夜を隠すの記事一覧

2021/04/09

【第一章 バーシオン】第三話 夜を隠す

「マスター。いつもの!」  カウンターに座る女性の注文を受けて、ブランデーの瓶と、カカオ・ホワイトリキュールの瓶をカウンターに用意した。ブランデーをシェーカーに適量(30ml)を注いで、カカオ・ホワイトを半分(15ml)を注いで、生クリームを適量(15ml)を注いだ。シェイクしてショートグラスに注ぐ。  女性は、シェイクしているマスターの手元をうっとりとした目線で眺めている。 「ホワイト・アレキサンダー」  女性は、白く甘い香りがする液体を暫く見つめた。 「ねぇマスター?」 「どうしました?」 「アレキサン…

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2021/04/05

【第一章 バーシオン】第二話 マスターの仕事

「マスター。聞いてよ」 「聞いていますよ」  心地よいテンポで音を奏でていたシェーカーから、グラスに淡いオレンジ色の液体を注ぎ込む。  カウンターに座る彼女の前に、グラスを静かに置く。 「シンデレラです」 「夢見る少女か・・・。マスター。私、少女なんかじゃないですよ。汚れちゃっています」 「それなら、なおさら、それを飲んで、汚れを洗い流してください。貴女に必要なのは、夢を見る時間ですよ」 「夢を見るのには、私は・・・。ううん。マスター。ありがとう。夢を見せに行ってくる」 「いってらっしゃい」  女性がドアか…

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2021/04/05

【第一章 バーシオン】第一話 バーシオン

 繁華街の外れにある寂れた雑居ビル。  その地下でひっそりと営業をしているバーがある。このバーは昼の1時から営業を開始して、夕方には店を閉めてしまう。  少しだけ変わったバーテンダーが居る。店名は、”バーシオン”ありふれた名前のカウンターだけの狭いバーだ。 「マスター。いつもの」  客層は、営業時間の関係もあるが、夜の店で働く”ワケあり”な者たちが多い。  素性は誰にも語らない。誰も聞かない。この街で働く、最低限のマナーだ。 「それを飲んだら、今日は帰ってください」  カウンターに座った女性は、”いつもの”…

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