俺は、電脳世界が好きなだけの一般人ですの記事一覧

2020/07/02

【第十章 ワンクリック詐欺】第一話 日常?

 セキュリティ大会から始まった問題は終息した。  結局、前会長(美優さん)と前副会長(梓さん)を脅していた、上地から始まった病巣の残り滓が、悪化したのだ。  少なくない退学者と留年者をだして騒動は終了した。1クラス分の人間が学校を辞めていった。数万の金を得るために道を踏み外したのだ。  上地が残した負の遺産はそれだけではなかった。  北山が部費を流用して用意した、SDカードやUSBメモリカードは、部活連に渡っていた。必要だからと言うわけではなく、ただ欲しいという理由だった。回収は、遅々として進まなかった。北…

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2020/07/01

【第九章 怪しいバイト】第五話 結局

 きっちり30分後に、まーさんから連絡が入った。  連絡が来るだろうと考えて、生徒会室からパソコン実習室に移動していた。戸松先生と雑談をしていた。 『タクミ。遅くなったな』 「いえ、時間通りです」 『そうか?それでな』 「はい」 『タクミ。詳細は、あとで克己と桜に送る。それで、結論だけど、筋が悪い金主が居る』 「金主?スポンサーみたいな者ですよね?」 『あぁそう考えて間違いじゃない』 「筋が悪い?」 『自称IT屋だ。広告代理店で、フロントだ』 「え?」 『TVのCMや番組とかにも顔が利く。芸能事務所・・・。…

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2020/06/30

【第九章 怪しいバイト】第四話 出会い系のサクラ

 放課後になるまでユウキから、調査に関する報告はなかった。  昼に食堂で会ったが、すぐに女子の方に戻ってしまった。同級生から部活の先輩を紹介してもらうのだと言っていた。  放課後になって、生徒会室に入ると、生徒会のメンバーが揃っていた。  珍しいこともあるのだと、話を聞いたら、どうやら、学校も生徒のバイトの実体を掴むために、生徒会に依頼を出してきたようだ。俺が生徒会を手伝うようになってからは、ペーパレスにしたが、過去に遡ってデータ入力をしていない。前会長(美優さん)も前副会長(梓さん)も仕事はきっちりとして…

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2020/06/29

【第九章 怪しいバイト】第三話 調査

 もう一度、北山に話を聞いてから、処分を下すことになった。  特に、バイトの件は戸松先生も重く見ている。津川先生だけではなく、戸松先生も北山から直接話を聞くことになった。  パソコン倶楽部の廃部が決まった。残っていた、部員たちは、津川先生が預かっている。戸松先生の電脳倶楽部に移籍することも考えたのだが、北山がやっていた部費の流用に関与していた可能性があるために、全員からの聞き取りと北山からの証言との整合性を確認してから、問題がない部員から移籍の話をすると決まった。  俺は、そのまま大将の店で待っているユウキ…

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2020/06/28

【第九章 怪しいバイト】第二話 処分

 何も成果が出ないまま2日が経過した。  放課後に、津川先生と話し合いが行われる。 「あれ?戸松先生?」 「篠崎くん。急に、来てしまって・・・」 「いえ、戸松先生が出席されるのは、問題は無いのですが・・・。なぜ?」 「それは、これです」  戸松先生が一枚の紙を俺に見せてきた。  最初から目を通す。 「え?これって・・・」 「北山くんの処分は、津川先生が一人で決められないのです。だから、学校側の代表として私が来ました」 「やはり、退学ですか?」 「どうでしょう。体育教師や機械科の教師からは、退学が相当だという…

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2020/06/27

【第九章 怪しいバイト】第一話 怪しいバイト

 日常が戻ってきた。  戻ってきたと考えるのもおかしな話だが、戻ってきたが正しいだろう。  結局、ハッキング大会は俺たちの有志チームが席巻した形になった。2位のチームも、複数チームと連動して攻撃してきたが、堅牢なシステムは崩れなかった。  有志チーム以外では、パソコンをルータにしたチームはなかったようだ。  用意されているルータを使って、ネットワークを分断したのも、20チーム程度だと統計が出てきた。  大会が終了する直前で、終了の11時から構築したシステムを触らないで欲しいと通達が来た。レギュレーションの確…

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2020/06/26

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第十話 引率の必要なかったな

俺がロビーで待機している最中には、誰も部屋から出てこなかった。 北山が出てきて、津川先生に何か怒鳴り散らしていたが、無視して差し上げた。ユウキを呼び出そうかと思ったが、悪趣味なので辞めておいた。 津川先生が、俺に何か言ってくるかと思ったが、何もなかった。 夕方まで俺が待機して、戸松先生と交代した。 「篠崎くん。何かありましたか?」 「何もありません。どのチームも問題はなかったようです」 学校で待機している後輩チームが管理している掲示板には、何やら質問が投稿されていたが、他のチームの人間が解決策を提案していた…

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2020/06/25

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第九話 大会

大会が始まった。 俺とユウキはバイクで移動しようと思ったが、戸松先生から辞めて欲しいと言われた。俺たちの学校では、バイク通学は認められているが、他の学校では禁止されている。そこに、バイクで乗り付けるのは、ダメだと言われたのだ。一緒に移動しても良かったのだが、学校が用意したバスでの移動となるとパソコン倶楽部の面々と同じ空間で過ごす必要がある。持っていく荷物を見られたくなかったという理由もある。 そこで、俺とユウキは、頼りになる前会長と前副会長に連絡をして、”貸し”の一つを返してもらうことにした。 先輩たちは、…

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2020/06/24

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第八話 北山からの要望

後輩たちがツールの作成を始めた。 津川先生は、パソコン倶楽部を中心に見ることにして、パソコン実習室には顔を出さなくなった。 連絡事項は、俺にメールで知らせてくるようにしてもらった。 参加の応募が締め切られた。 4チームとパソコン倶楽部の、参加は承認された。 問題なのは、元パソコン倶楽部の面々を引率としていたが、許可がおりなかった。 各4チームの引率になるように振り分けたのだが、却下されてしまった。 俺とユウキの引率は許可された。部屋もそれぞれで用意されるようだ。戸松先生も許可された。 連絡を受けて、戸松先生…

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2020/06/23

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第七話 ツールとスクリプト

質問が途切れたので、レギュレーションで抜けている部分を質問する。 「そうだ。津川先生」 「はい?」 「時間制限とかはありますか?レギュレーションには書かれていませんでした」 「時間制限とは?」 「徹夜してもいいとか?休憩時間があるとか?です」 「去年の話ですが、いいですか?」 「はい」 津川先生からの説明では、徹夜は駄目。 夜は、21時までに作業を終了する。会場に施錠されるので、21時以降に、会場に入ることは出来ない。 朝は、7時に会場が開かれる。各チーム別に部屋が決められていて、鍵を渡される。7時以降なら…

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2020/06/22

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第六話 防御と攻撃

学校からの依頼を受けてから1週間が経過した。 結局、毎日パソコン実習室でいろいろ教えている。 やっと、俺が目標としていた、2時間でのサービス起動が出来るようになってきた。 変則的な設定の場合には、考えて手が止まってしまったり、手間取ったり、躊躇したりしてしまう。しかし、CentOSを試しにDVDから標準的な構成を、手順に従って設定とセットアップをしてもらった時間と、同程度の時間でサービスが起動できる。 時間短縮の方法は至って簡単だ。 最小構成でOSをセットアップする。そのときに、SSHのポート番号を変えて起…

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2020/06/21

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第五話 面談

パソコンの実習室に入ると、チームでまとまっている。 俺が、戸松先生に送った資料を読んでいる。 「皆さん・・・」 戸松先生の口上が始まった。 基本は、戸松先生がリーダーとなって皆を指導していく、俺はサポートを行う。 30人を見回すと、1年生が多いように思える。 「津川先生。パソコン倶楽部の子ですか?違う科の子ですよね?」 女子の4人は、違う科のバッチを付けている。 それに、パソコン倶楽部の子が2名居るから、女子の半分以上はパソコン倶楽部から来ている。 「篠崎君。それに関しては、謝罪しますが、駄目でしょうか?」…

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2020/06/20

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第四話 作戦と提案

さて、有志のレベルがわからないけど、パソコンが触れる素人と仮定しよう。 1年も混じっているだろうし、プログラムはほぼ無理だろう。ネットワークの授業もまだ始まっていないだろう。しまったな。津川先生に聞いておけばよかった。 多分、OSは、Linux系統を入れさせるつもりなのだろう。 いくつかのディストリビューションを持っていこう。RedHat系とDebian系とSlackware系だな。CUIで困らないようにしておこう。 さて、学校でのセキュリティの勉強会をかんがえないとならない。時間も無いし、本番を想定した感…

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2020/06/19

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第三話 確認

「篠崎くん。それで、受けてくれますか?」 「はい。受けます。それで、実習室の使用許可をください。あと、レギュレーションにあるように、OSが入っていない同型のパソコンが10台ほど欲しいのですが、ありますか?」 「完全に同じでは無いですし、スペックが低いのですがいいですか?」 「チップセットとGPUが同じなら多少の違いは大丈夫」 戸松先生が空いているパソコンを考え始める。 流石に、10台は難しいか?オヤジに相談して、古いスペックの珠(サーバ)が転がっていないか聞いてみよう 「そうだ。戸松先生。篠崎くん。有志の選…

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2020/06/18

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第二話 レギュレーション

作業場所に帰る前に、近所のラーメン屋で夕飯を食べようと思った。 「お!今日は、一人か?」 「えぇユウキは、バイト先で食べてくるらしいので」 「そうか、それでどうする?」 「チャーハンセットを塩で」 塩ラーメンとチャーハンのセットを頼む。 ユウキが居ると、これに餃子か唐揚げが追加される。デザートの杏仁豆腐までしっかりと食べる。あの身体のどこに入っているのか不思議に思えてしまう。そして、育たなかった身体の一部を思い出す。 「はいよ」 他にも客は居るが、顔なじみばかりだ。 名前も職業も知らない人たちだが、街ですれ…

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2020/06/17

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第一話 学校からの依頼

ユウキと住み始めて2ヶ月が経過した。 委託された業務は、サーバの監視業務だ。だが、面倒なことに監視内容が多岐に渡っている。死活確認だけではなく、レスポンス確認や月に一度の脆弱性の確認まで含まれる。報告書にまとめて、月一回の作業報告として提出する。正直、月10万では割に合わない。回線代と電気代と複合(コピー)機のレンタル代と各種アカウント代がなければ、赤字案件確定だ。作業量から考えると、多分2-30万が妥当だろう。 そう言えばユウキは、オヤジの事を、克己パパと呼んで、オフクロの事を、沙菜ママと呼ぶようになった…

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2020/06/16

【第七章 家庭ネットワーク】第五話 新しい生活

秘密基地で、ハブにケーブルを接続していく、一般回線のルータにも火を入れた。業務回線のルータにはまだ火を入れていない。 固定IPの使い方は、オヤジに相談だな。サーバを置くつもりなのかもしれないからな。 さて、一つだけ刺さっているサーバに火をいれる。 モニターとキーボードとタッチパッドを繋いだ。ひとまず、LANからは分離する。 あぁペンギンが表示される。そういうことだな。 中身は・・・。本当にサービスはOSが起動するだけだな。オヤジから珠(ラックサーバ)を回してもらおう。使わなくなった古い物もあるだろう。 秘密…

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2020/06/15

【第七章 家庭ネットワーク】第四話 ルータとWIFI

結局、朝まで地下室で作業をしてしまった。 2台のルータの設定はできていた。オヤジから送られてきた資料の中に契約に関する物もあったので、ルータの設定を確認した。それからパズルのように、ケーブルの接続を行った。外部からの接続は、後で考えるとして、家の中のネットワークの構築を行った。外部への接続は、業務回線は使わない。家庭用の回線を使えと言われているように思えたからだ。セッション数が増やされている。 ユウキと俺で別々にゲーム機を持っている。Microsoftのゲーム機と任天堂のゲーム機とソニーのゲーム機は、最新の…

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2020/06/14

【第七章 家庭ネットワーク】第三話 ネットワーク環境

おかしい。 心臓がドキドキしている。俺は緊張しているのか? 「タクミ」 「オヤジ。桜さんと美和さんは?」 「もう帰ってきている」 「わかった」 作業部屋(家)から出て、森下家に向かう。 美和さんがすぐに出てきてくれた。 「タクミ。どうしたの?克己も一緒?」 「桜さんは?」 「リビングよ?ユウキも呼ぶ?」 「大丈夫。桜さんと美和さんに、お願い。違うな。宣言しに来ました」 オヤジが、後ろから美和さんになにか合図を送っているが後ろを振り向いてはダメだろう。 「あら。そうなの?良いわよ。上がって、リビングはわかるわ…

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2020/06/13

【第七章 家庭ネットワーク】第二話 作業場所

オヤジは、そのままリビングに移動して、ソファーではなくダイニングテーブルに座った。 俺に正面に座るように言った。 オフクロが用意してあった珈琲を入れて、俺に渡してくる。 正直、オヤジがいれる珈琲は濃い。俺には合わない。 「それで?」 「結論を急ぐな。まずは落ち着けよ」 「あぁ」 オヤジが入れた濃い珈琲を飲む。やはり濃い。よくこんなに濃い珈琲を飲めるものだ。 「旅行はどうだった?」 「楽しかった」 「そうか。どこに行った?」 「ん?オヤジは知らないのか?」 「あぁ伊豆とだけ教えられたが、詳しい行程は聞いていな…

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2020/06/12

【第七章 家庭ネットワーク】第一話 認識

先輩たちは、俺とユウキを家まで送ってくれる。 「梓さん。美優さん。ありがとうございます」 「素直なタクミ君も悪くないな」 「どういう意味ですか?」 「ククク」 「なんですか?」 「いいねぇ美優。僕たちも手を握っていようか?」 梓さんは、俺とユウキが手を繋いでいるのをどうやって確認したのかわからないが、からかってくる。 手を繋いでいるわけではない。ユウキが、俺の腕に掴まって寝ているのだ。 梓さんと美優さんに聞いて知ったのだが、ここ数日、ユウキは考えすぎて、ペンション以降はあまり眠れていないようだ。 それなら、…

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2020/06/11

【幕間章 伊豆旅行】第四話 伊豆旅行(その2)

ん?ここは? いい匂いだ?甘い。俺が好きな匂いだ。 え? ユウキ?裸?何が? 思い出した! 伊豆旅行で泊まったペンションだ。 そもそも、ユウキは着替えてガウンを着たのだろう? 俺の腕に抱きついている。やばい。いろいろ駄目だ。腕に、ユウキの胸が当たる。普段はこんなにも意識しないのに・・・。匂いか?柔らかさか? 思い出せ。 大丈夫だ。 何もしていない。何もしていないが、何が大丈夫なのかわからない。でも、大丈夫だ。 ユウキの身体を拭く時に触ったけど不可抗力だ。 ユウキをベッドに運ぶときに触ったが不可抗力だ。 ユウ…

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2020/06/10

【幕間章 伊豆旅行】第三話 伊豆旅行(二人の夜)

 今日は、ペンションに泊まると教えられていた。土肥のホテルではある意味しょうがなかったのだろう。シングルの部屋がなかったのだ。ペンションなら、部屋数もあるし大丈夫だろう。  14時を回った位に、白浜海岸に到着した。  ユウキは白浜を喜んでいる。美優さんも控えめながら梓さんと一緒に波打ち際での散歩を楽しんでいるようだ。  近くのショッピングモールで早めの夕飯を食べたのが16時前だ。そのまま、買い物をした。  なぜか、梓さんと美優さんから水着を買うように言われた。夏になれば必要になるし、奢りだと言うので不思議に…

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2020/06/09

【幕間章 伊豆旅行】第二話 伊豆旅行(その1)

「タクミ君。準備はいいのかい?」 「梓さん。車を変えたのですか?」  先輩たちが乗り付けた車は、前に乗ってきた車と違っていた。BMW MINI だ。 「これは、美優の車だ」 「へぇ可愛いですね」 「ありがとう。それで、タクミ君。ユウキは?」 「準備は終わっているので、すぐに来ると思います。荷物はトランクに入れればいいですか?」 「あぁちょっとまってくれ、開ける」  トランクが開けられる。それほど広くは無いが、並べれば綺麗に入るだろう。  丁度。ユウキが玄関から荷物を持って出てきた。 「先輩!あっタクミ。荷物…

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2020/06/08

【幕間章 伊豆旅行】第一話 旅行前

 伊豆旅行が近づいてきている。  先輩たちは何やら企んでいるようだが、気にしないほうが良いだろう。聞いても教えてくれるはずがない。  5泊6日で伊豆を一周する。  国内旅行だし、先輩たちも居るから問題は無いだろう。  ユウキも準備をしている。 「オヤジ。この前に盗聴は解決したのか?」 「あぁタクミ。まだ詰めが甘かったな。仕掛けられていたのは一つじゃなかった。全部で3箇所だ。他の場所は、コンセントが外れていたから、使えなかっただけだ」 「・・・。それは、無理だ。そもそも、どうやって見つけた?」 「簡単だぞ?お…

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2020/06/07

【第六章 ネット盗聴】第五話 日常

「タクミ!タクミ!」  誰だよ!?煩いな。 「タクミ!」  そうか、昨日・・・。報告書を読み直して、ソファーでユウキと・・・。  なにか忘れている?  オヤジに提出・・・。 「あ!」 「いきなり起きないでよ!」 「すまん。今、何時?」 「朝の8時。タクミ。僕、お腹がすいた」  ユウキのワガママで救われた。 「悪い。すぐに準備するから待っていてくれ、オヤジに報告を送信してくる」 「わかった。早くしてよ」  ユウキをリビングに残して、自分の部屋に戻った。  昨晩、読み込んでいると言っても、もう一度、読んでおこう…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第四話 報告書作成

 荷物の片付けを終えて、ユウキに声をかける。 「帰るぞ!」 「うん!」  帰ろうと席を立つと、塾の事務員が話しかけてきた。  報告を忘れていた。 「篠崎さん?」 「情報流出は、この端末を始末すればなくなると思います。留意する必要はありますが、大丈夫だと思います。後日、報告書を提出します」 「わかりました。お待ちしております」 「念の為に、明日もう一度調査をします」 「わかりました」  塾の問題はこれで片がつくだろう。  明日また来て野良基地局がないかを確認する事にする。  今日調べた限りでは大丈夫だとは思う…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第三話 調査

「ユウキ?」 「なに?」 「いや、なんでもない」  なんでもなくはないが、何かユウキが隠しているような雰囲気がある。  気にしてもしょうがない事だと割り切るしか無い。聞いても答えるとは思えない。 「タクミ。先生には?」 「話が通っている。調査を開始するけど、ユウキはどうする?」 「僕?うーん。タクミの作業を見ていてもわからないから、適当に話を聞いているよ」 「頼む。”ネットが遅くなった”とか聞いてくれると助かる」 「わかった」  ユウキが、知り合いを見つけて話しかけている。  俺が頼んだ古株を見つけるつもり…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第二話 準備

 塾は、夕方に行けばいいようだ。  ユウキを見ると、幸せそうな顔でフルーツジュースを飲んでいる。BOTを使って、ゲームをしているという話も気になる。最近のゲームでは、BOTが動かしにくいようになっている。通信パケットもそうだが、プロセスからの入力ができないようになっている場合が多い。規定の入力デバイス以外からの入力は受け付けていない。  何にでも抜け道は用意されているが、根本的なことをいうとBOTでキャラクターを強くしても、売れないゲームが増えている。  もしかしたら、俺が知らない方法が有るのかもしれない。…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第一話 依頼

 朝起きたら、珍しくオヤジから呼び出された。 「オヤジ。俺に何か用事があるらしいけどどうした?」 「タクミか・・・少し待ってくれ・・・。下で待っていてくれ」  誰かと電話しているようだ。簡潔に話が終わればすぐに降りてくるだろう。 「わかった。リビングでいいのか?」 「あぁユウキも来ているのか?」 「どうだろう?今日は来ていないと思うけど・・・ユウキも必要なら呼んでおくよ」 「まずは、お前だけでいい」 「わかった」  オヤジの仕事(趣味)部屋の前からリビングに移動する。リビングに、ユウキはいなかった。部屋に居…

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