【第五章 共和国】第二十七話 瞬殺

 

先に動いたのは、クォートとシャープだ。
野盗・・・。盗賊?の動きが少しだけ早いので、このまま放置すると到着してしまう可能性がある。時間調整が必要になってしまう。

カルラとアルバンも、準備を整えたら、迎撃に向かう。二人なら、村人に毛が生えた程度の連中に遅れを取ることはないだろう。

「旦那様。行ってまいります」

「兄ちゃん!すぐに戻ってくる」

「アル。お前は、そのままウーレンフートの連中を誘導する役目がある。解っているのだろうな?」

「あっ・・・。もちろん、おっちゃん達を連れて来る。うん。忘れてないよ」

その顔はダメだな。完全に、忘れていたのだろう。

「カルラ」

「はい。すでに、先発が、アルトワ町に到着しています。タイミングは、大丈夫だと考えます」

「わかった。アル。後ろから襲ってくる連中は、殺すなよ。町に連れて行くのだからな」

「うん。兄ちゃん。大丈夫。武器を破壊して、抵抗ができない状態にすればいいよね」

「そうだ。カルラ。頼む」

「はい」

カルラとアルバンは、立ち上がって後方から襲ってくる奴らを撃退に向かう。
やりすぎないか心配している。クォートもシャープもカルラもアルバンも、感じている程度の相手では、刃は届かないだろう。

4人が俺から離れた。
俺は、囮役だが、相手が囮になった俺に喰い付いてくるとは限らない。囮になる必要性も少ない。

さて、クォートの予想では2時間くらいだよな?

雑多に詰め込まれた流れてきた品物を眺める。
PalmやWindowsCEか・・・。スマホもいいけど、遊ぶのなら、PDAの方が楽しい。できることが少なく、制限が多い状況で何ができるのか考えるのが楽しい。そういえば、俺が作った”ネコの体重計”は出荷されたのか?エサ置きと一緒になった体重計をUSBで繋いで、日々の体重変動を記録するだけのシステムを、ネコを飼っている奴から依頼されて作った。体重計が人用の物を改良したから、精度はよくなかったけど、十分に実用な範囲内だと思う。センサーを付けて、プッシュ通知を行って、受信したデータの記録を行う。食べた餌の重さも計算で求められるようにしておいたから喜ばれた。あれも、体重計のセンサーには、WindowsCEのenndebeを使った。一般家庭では、24時間に渡ってパソコンの電源が入っていないそうなので、日々の記録はWindowsCEでパソコンの電源が入った時に、転送されるようにした。
複数のRaspberry Piも見つけているけど、モジュールがあまり見つけられていない。遊ぶには十分だけど、何かを作ろうと思うとセンサー系でつまずいてしまう。

馬車にセンサーでも付けて、索敵の範囲を広げてみようか?
魔法との組み合わせは、まだまだ広がりそうだ。魔法のプログラミングは、媒介になるインタフェースが多くなる。エラー検知が、インタフェースに依存してしまう問題が大きい。人を媒介としない魔法なら、エラー検知が可能になるが、汎用性がなくなってしまう。
あと、実験を繰り返していて解った事なのだが、スクリプト言語では発動にラグが生じてしまう。そもそも、魔核への転写ができない。スクリプト系では、端末が必要になってしまうので、俺が使うのなら問題は少ないが、馬車に配置したり、武器に配置したり、運用面での制限が出てきてしまう。
複雑なフレームワークを必要としない。単純な繰り返しや状況把握が行えて、処理の分岐が行えれば、魔法は成功する。
コンパイル言語でも、フレームワークの内封ができない物が多い。魔法を作るだけなら、言語での差異は少ない。

おっと・・・。クォートの予想よりも少しだけ早い。
お客さんが来たようだ。

さて、どうするか?
一人でも制圧は出来そうだけど、タイミングを合わせないと逃げられてしまう。逃げられても困らないけど・・・。今後の事を考えれば、”格の違い”を見せておいた方が・・・。あっ。こいつら、ダンジョンの栄養になる未来が待っているのだったな。

んじゃ関係ないか?

「エイダ」

『はい。結界を展開します』

「人数は?」

『11名です』

「あと、一人は?」

『後方です』

「さきに、1名で居る奴を拘束できるか?」

『拘束は不可能です。無力化は可能です』

馬車に付けたカメラで、男たちを視認する。

「わかった。俺が出たタイミングで、無力化。そのあとは、町長と町長の横で偉そうにしている奴を結界で確保。音は遮断。強度はマックス」

『了』

エイダがスキルを発動する。遠隔地への発動は、俺よりもエイダの方が得意だ。

『男を無力化しました』

よし、逃げられる者はいなくなった。
設置しているモニタで確認を行うと、馬車を反包囲するように展開している。

無意味なのに・・・。

「エイダ。声は拾えるのか?」

『了』

お!
モニタのスピーカーから外の音が流れて来る。
予想通り、隣町の奴らと手を組んだのだな。

俺を殺して、財産を奪う?何を言っているのかよくわからない。
カルラとシャープは性奴隷か、こいつらには無理だな。シャープはもちろんだけど、カルラに勝てるとは思えない。

それに、こんなに大きな声で近づいてくるなんて、何を考えている。
本当に、こいつらは今から戦うという状況を理解しているのか?

もしかして、自分たちだけが攻撃できる特殊な方法でもあると思っているのか?

「エイダ。俺が、馬車から出た瞬間に、実行」

『了』

武装はしていない。ちょっとそこまで散歩に出かけるような恰好で、馬車から降りる。
その瞬間に、エイダの結界が発動する。

さて、やるか・・・。

状況が把握できない者たちは、戸惑の表情を見せる。

その一瞬で十分だ。
ニヤリと笑って、地面を蹴る。

まずは、左からだ。

棒立ちになっている男に攻撃を仕掛ける。刀を抜いてしまうと、殺してしまう。武器は使わない。手加減が行いやすい。拳を握って、殴りつける。男は、何をされたのか解らない間に、町長たちを囲んでいる結界に背中から当たる。

情けない声を出しながら飛ばされた男は地面に倒れる。数秒間。身体を弛緩させたあとで、意識を失った。
最初の男が、意識を失う数秒間に、同じような男が量産されている。

すでに、町長たちの右側に居た男たちは、地面で寝ている。

町長たちには、何が起こったのか解らないだろう。
でも、魔法は最初の一歩目と殴るときに手を傷つけないようにガードしている意外には使っていない。身体能力だけで、瞬殺している。

少しだけ距離を取る。何か、町長たちが怒鳴り散らしているようだが、遮音の結界のおかげで聞こえない。不快な気持ちにならなくてよかった。間違って殺してしまうともったいない。

「エイダ!結界内で拾った音を、2倍にして、結界内に聞かせてやれ、ハウリングが起こっても構わない」

『了』

俺の命令で、エイダがすぐに実行したのだろう。アルトワの町長が耳を押さえてから、頭を抱えるようにして、うずくまる。隣町の男も同じような状態になる。自分の声でダメージを受けたのだろう。鼓膜くらいは破れたかもしれない。

「エイダ。音を止めろ」

『了』

右側の男たちは、どうしていいのか戸惑っている。
風体から、筋がいい者たちではないだろう。盗賊になっていないだけの人間となのだろう?
俺を殺して、奪うだけの楽な仕事だと思ったから受けたのだろう。浅はかな自分の考えを呪えばいい。

さて・・・。
馬車の位置まで戻ってから、地面を蹴る。足に強化を施しただけのほぼ身体能力だけだ。この程度なら、ウーレンフートの中層から下層のはじめに居る魔物でもできる事だ。速度は早いが、直線的で意識すれば捕える事ができる。下層の中層に入れば、移動にスキルを併用してきて、立体起動を行う魔物も存在する。
それらに対応するために、作ったスラスターというスキルを使って、左側の男たちを殴り倒していく、素手で殴ると、俺の手が痛いので、手をスキルで強化している。殴り殺さないように、ボクシングのグローブを意識したスキルだ。俺の手を守るのと、相手への衝撃を弱める意味がある。

右側の5人を倒すのに、要した時間は1分程度だ。
さて、アルバン以外は間に合いそうだな。相手が想定よりも弱かったこともあるが、なんとかいいタイミングで倒せた。

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