【第十章 統一】第百八話
/*** カズト・ツクモ Side ***/
アトフィア教が攻め込んできたのを撃退してから1ヶ月が経過した。
だいぶ街も落ち着きを取り戻してきた。
大方の予測どおり、ロングケープ街は、ロングケープ区となりペネム街の支配下に入る事に決まった。街道の整備も始まっている。
「カズトさん。流石にペネムではロングケープまで支配領域を伸ばすのは難しいです」
「そうか・・・やっぱりダメか・・・ありがとうなクリス」
「いえ。大丈夫です」
一礼して、行政区にある執務室から出ていく。
今日もルートガーが付き従っている。仲良くやっているのはいいことだ。クリスの従者たちも、それぞれが居場所を見つけられたようだ。ヴィマとヴィミはイェレラとイェルンと一緒に、ギュアンとフリーゼの手伝いをしている。
ラッヘルとヨナタンとロッホスとイェドーアは、エリンに眷属を借り受けて小型ワイバーンにまたがって、街々を行き来する伝令?係をやりつつ、小型ワイバーンの世話をおこなっている。
ルートガーを除く8名は、俺の所に来て、自分たちもダンジョンに潜りたいと言ってきたが、成人に達していないので許可しなかった。
ギュアンとフリーゼが、イサークたちの訓練を受けている事を知って、自分たちも受けたいという事だったので、イサーク達に追加で依頼を出すことになった。
「ツクモくん!」
「なんだ?」
「追加って事は・・・?」
「わかった。わかった。何が欲しい?」
「この前の”プリン”も美味しかったけど・・・新しい甘味はないの?」
「渡すのはいいけど、ナーシャ・・・最近太ってきていないか?」
「え?うそ?そんな事・・・イサークにも似たような事を言われたけど・・・太ってないよね?」
「どうだろうな?俺は、毎日顔合わせるわけじゃないけど、前よりはふっくらしていると思うけどな?」
「え!・・・どうしよう!!」
「甘味止めれば?」
「無理!!無理!絶対に無理!。そうだ、ツクモくん。何か、太らない甘味作ってよ!」
「ナーシャが我慢すれば済む話だろう・・・それか、摂取した以上の運動をすればいいだけだな」
こんなやり取りはあったが、イサークがナーシャの口を塞いで、8名の訓練を承諾すると宣言してくれた。
報酬とは別に、武器と防具とスキル道具をイサークたちにも渡す事が条件に追加された。
謁見の為の場所も整えられた。
場所は、ブルーフォレスト内だが、ペネム街からそれほど離れていない場所にした。行政区や商業区からは見えない位置にある。行政区から道を繋いでいる。馬車を走らすのを前提とした作りにした。
建物と、塀と、堀と、手入れされた庭が整備されている。
”迎賓館”と呼ぶことにした。これにより、今までログハウスでやっていた会議に関しても、迎賓館で行う事になった。迎賓館には、宿泊所も作られている。大小様々な会議室も用意した。
300名程度入る事ができる謁見の間も用意した。200名ほどが同時に会議ができる場所も用意した。日本の国会議事堂をイメージした建物になってしまった。まぁ異世界だし問題ないだろう。内装は、徐々に整えていく事になるのだろう。
内部の人間を招くときには、今までどおりログハウスの方にしたいと言うことだ。
外部・・・ペネム街以外の人間を招くときには、迎賓館を使う事になる。毎月の定例のときには、迎賓館を使う事になる。
俺の気分次第では有るけど、概ね内部の住人で少人数の時にだけログハウスで、それ以外は迎賓館という感じにする。
そして今日、スーンに連絡してきた種族が迎賓館に集まる事になっている。
見栄も必要だという事で、武器と防具を装備させたエントを左右に並ばす事にした。100体づつ左右に並ぶ事になる。最前列には、5体づつの竜族が並ぶ。
玉座の近くに、右側にスーンとミュルダ老が控える形になる。左側には、クリスとリーリアとオリヴィエとクリスの眷属が並ぶ。
そして、俺の横にはシロが立つ事になる。フラビアとリカルダは、後ろで装備を整えた形で控える事になった。
スーンたちは、今日一日で全部を終らせるつもりのようだ。
今、俺の前でプルプル震えながら跪いているのは、ハーピー族の長だという事だ。
普通に話してくれるし、問題は無いのだが、謁見の間に入るまで横柄な態度だったという事だ。スーンに再度確認した”自分たちから恭順の意思を示したのだよな?”と、もちろん返事は”Yes”だった。
それならなぜ横柄な態度なぞ取ったのか?
それも本人?の言葉で聞いた。
それほど難しい理由ではなかった。俺の下には、エントやドリュアスだけではなく、ブルーフォレストの支配層の一角だった”エルダーエント”が加わっている。そこに、ハーピー族が加わる時に、一段下に見られないための虚勢だ。恭順はしたい。でも、恭順した事で、奴隷の様に扱われたくないという事らしい。
もともと、そんなつもりもないし、恭順の意思を示したからって、俺が支配するつもりはない。支配しても、手間が増えるだけで俺のメリットが少ないからだ。
今まで、ブルーフォルスト外にはロングケープとの街道以外では目を向けていなかったが、アンクラムから数日度進んだ所に、湿地帯があり、沼や湖が点在しているという事だ。ここにも集落が点在しており、アンクラムとの交易をおこなっている。
湿地帯の先には、ブルーフォレスト以上に巨大な森が存在しており、魔物の楽園となっているらしい。その森の中に、カイとウミの長老たちが住んでいる集落が有るのだと話していた。
今、ペネム街に恭順の意思を示した集落や種族は、21にものぼっている。
ヒルマウンテンの反対側にある巨大な街の名前がわかった。その街は、人族が多く、エルフやドワーフも住んでいるという事だが、意識有る魔物種は隷属された奴隷だけだという事だ。
街の名前は、”ユーバシャール”だと説明された。
今日最後に謁見の間に現れたのは、吸血族の族長と戦士だ。
「カズト・ツクモ様。我らをお救いください」
「どういう事?」
よく見れば、戦士はなんとか威厳を保とうとしているが、装備品はかなり傷ついている。
長が、戦士を見る。
「はっ」
戦士が説明を始める。どうやら、ユーバシャールの街から攻められているという事だ。戦況は一進一退が続いているが、戦力差が著しい。吸血族は、一騎当千の力を有しているらしい(進化したエントと同等か少し上くらい)が、ユーバシャールは人海戦術で各個撃破戦略を繰り返しているという事だ。
「長殿。そのユーバシャールは、なんで吸血族の集落を襲ってくる?アトフィア教関連か?」
「ツクモ様。儂の事は、モデスト・ヴァスコ。ヴァスコと呼んで下さい」
「わかった、それで、ヴァスコ。どういう事だ?」
「はっはい。元々は、儂等の里とユーバシャールは交易を行う関係だったのです」
「それで?」
「サイレントヒルやヒルマウンテンの反対側に街ができ始めて、周囲の集落を吸収して大きくなっていると噂が流れ始めたのです」
「そうか」
「その時は、何も無かったのですが、アンクラムが吸収されて、アンクラムからの難民が、ユーバシャールに流れ着いてから、雲行きが怪しくなってきました」
そういう事か?
俺たちが周りを吸収して大きくなっているのを真似しようとしたか、それとも俺たちが襲ってくる事を警戒したかだろうな。
地形的に見て、攻めるのは難しいが、それは吸血鬼の集落が味方したらの話だ。ヒルマウンテンの上を超えるのは竜族以外には難しい。ヒルマウンテンの吸血族の集落がある辺りが山道としては1番狭い場所になっていると説明された。
リヒャルトの商隊の規模では通るのに苦労する場所らしい。そんな山道が数キロに渡っている。
それでは、山道以外の道は無いのかと言えば有るのだが、湿地帯を抜けなければならない、そのほかだと魔物の楽園となっている森の直ぐ側を通らなくてはならない。その上、ヒルマウンテンほど高くはないが、岩山も点在しているために通過するのが困難を極めるという事だ。
吸血族を味方に付けるのが、安全に山道を通る方法になっている。
「経緯はわかった。でも、理由が不明確だな」
「捕らえた者から聞いたのですが、ユーバシャール街の領主たちは、アンクラム・・・ペネム街から来る商隊から山道の通行料を取りたいらしいのです」
「それでも、お前たちが襲われている理由には・・・そうか、安全保障をさせるわけだな」
「はい。それと、儂たちの集落の近くには鉱床があり、鉄鉱石やミスリルなどが採取できます」
ふーん。
ヒルマウンテン自体がかなり優秀な鉱床という事は間違いなさそうだな。
「わかった。それでどうして、俺たちに恭順を示す?ユーバシャールでも同じではないか?」
「いえ、ツクモ様。貴殿の周りは見て分かる通り、いろいろな種族がいらっしゃいます。貴方は、儂らのような者でも受け入れているとお聞きいたしました」
「どういう事だ?」
「儂らは、人族とは違う種族です。力が強いのも特徴ですが、吸血行動により子孫を増やします」
「へぇそれで?」
「!!」
「どうした?」
「いえ、あまりにも何事も無いような対応でしたので・・・」
「そりゃぁすまない。皆が知っている事ではないのか?」
ミュルダ老やシュナイダー老を見るが首を横にふる。
クリスに至っては何に驚いているのかわからないがびっくりしている。
後ろに控えていた、シロが俺の耳元で囁くように教えてくれた。
各大陸に、吸血族は居るが、吸血族がどの様に増えるのかは今まで一族以外には知らされていなかったという事だ。名前から、食事が”血”である事は間違いないと思われていたが、もともと人族との交流が極端に少ない種族でいろいろ謎に包まれていたという事だ。
シロがそこまで話をして、またさっきまでの位置に戻った。
「そうか、すまない」
「いえ、構いません。隠しているわけではなく、信じてもらえないので、結果的に秘密にしていただけですので・・・あっそれで、そんな儂らが一般的な街で過ごせるとお思いですか?」
「・・・無理だな。軋轢を産むだけだろうな」
「はい。100年位前に人族の街に出ていった者たちもいましたが、1人も帰ってきませんでした」
「そうか・・・寿命も違うのだな」
「・・・はい。ツクモ様?」
「なんだ?」
「儂らを受け入れて頂けないでしょうか?」
長と戦士が頭を下げる。
さてどうしたモノかな・・・戦力的には、ユーバシャール街を殲滅するのはそれほど難しくないだろう。竜族に協力を仰いでヒルマウンテンを越えて、街の背後から急襲すればいい。崖を馬で駆け下りるよりは安全で確実性がある。
受け入れるのは問題ない。俺的にはというレベルになってしまうが・・・。
街の中というのは問題があるかも知れない。
「ヴァスコ。集落は、今の場所でないと問題はあるのか?」
「いえ、問題はありません」
「何か有るのなら言って欲しい」
「はい。一部移動を渋る者たちが居るかも知れないと言うだけです」
「わかった。クリス。どうだ?」
クリスは名前を呼ばれて、アタフタしているが、ペネムの中が1番問題が少ないだろう。強いのなら、ダンジョン攻略をおこなってくれてもいいわけだからな。
「ツクモ様」
「ルートガーか?」
「はい。ヴァスコ殿たちの場所なら、既にペネム内に存在する場所なら問題ないと思います。どの様な場所がいいのか、お話をさせて下さい」
「わかった。任せていいか?」
「はい!」
ヴィスコたちの事は、ルートガーに任せる事が決定した。
それでも集落に残る者も居るのだし、何か守る方法を考える必要がありそうだな。
「カズト様」
「ん?シロ。どうした?」
「はっ。私は、その場所を見ていないので、見当違いの事を言っているかも知れませんが、ロングケープ街を守られたときの様にされてはどうでしょうか?」
「ん?あぁ石壁か?」
「はい。今のヴィスコ殿のお話では、山道を抜けた先に開けた場所があり、魔物の森や岩山や湿地帯に連なる場所があるという事です。湿地帯にもカズト様に恭順した集落が多数あります。湿地帯を含めて守護する為にも石壁を建築してはどうでしょうか?」
シロが言っている事はよく分かる。
1番楽な解決方法だ。作っている最中に、ユーバシャールが邪魔したりしなければだけど・・・な。
ついでに、森も囲ってしまいたいな。
「ヴィスコ。ユーバシャールから来ている兵を一時的にでも、押し返す事はできるか?」
「可能です」
「シロの献策を採用する。まずは、ヴィスコ。ルートガーと移住場所の相談をして欲しい、ルートガー。全面的に任せてしまうが、クリスに相談しながら進めてくれ、あと湿地帯からの移住も考えられるから対処を頼むな」
ルートガーならこれで伝わるはずだ。
湿地帯に住んでいる部族も移住を考えるだろう。その意味では、クリス1人ではパンクしてしまうだろうから、ちょうどいいかも知れない。
「はい。お任せ下さい」
「ツクモ様。儂ら・・・は?」
そうか、押し返せと言ったけど、吸血族にやってもらうつもりはなかった。
「スーン。イリーガル種のエントやドリュアスは居るよな?」
「はい。壁際に居る者たちです」
「わかった。その者たちを、スキル変体を使って、吸血族の特徴を付与したい。問題はないか?」
「ありません」
俺の作戦は、エントやドリュアスの進化後の者たちを使って、ユーバシャールの兵達を押し返す。
地理を確認しながら効率よく石壁が作られる所まで押し返したら、一夜城ならぬ、一夜石壁を作成する。一度形ができてしまえば、あとは同じ事の繰り返しになる。水も湿地帯にある湖や沼からひけば問題ない。時間がかかるようなら、スキル道具を作ってしまえばいい。水を生み出し続ければいいだけだ。
森を覆うように石壁を伸ばしていく。
これは、俺が1番信頼している、カイとウミとライに委ねる事にする。実質的に岩壁を作るのは、エント達に任せる事になるが、距離的に、数百キロにも及ぶ大事業だが、先日の工事の進み具合から見ると、1~2ヶ月で完了しそうだ。
この腹案を、スーンに念話で伝えた。
カイとウミとライからは反対意見は無かったが、ウミだけは俺の側に居る事になって、森にはカイとライと魔蟲達が赴く事になった。交渉するなり殲滅するなりするらしい。意識ある魔物も居るという事なので、新しい眷属が生まれるかもしれないが、ひとまず、森から魔物が溢れないようにしてもらう事が先決だ。ついでに、ユーバシャールへの嫌がらせの意味もある。
彼らがダンジョンを手中におさめていないのはわかっているが、それでは素材やスキルカードはどこから得ているのかと考えると、森や湿地帯からだろと推測できる。もしかしたら、他にも有るのかも知れないが、供給源の一つを潰す事ができるのは有意義な事だろう。
石壁の中に、障壁・防壁・結界のスキルを付与した魔核を適時埋め込む方法で、石壁の強度が格段と上がる事が確認できている。範囲は4~5キロは覆われる事も確認しているが、安全面を考えて、2~3キロごとに埋め込む事にしている。レベル5魔核でも良いが、安定して威力を発揮する為には、レベル6魔核で作成する事にした。
湿地帯の集落から来ている他の種族にも伝えた。
21集落で意見も違ったが、集落の半数は残る事になりそうだ。残りの半分は、ペネム内への移住を希望してきた。石壁に関しても了承している。森に面している集落は、魔物の襲撃が定期的にあるという事なので、ちょうど良かったのかも知れない。
ユーバシャール街と吸血族の集落を隔てる石壁は15mを想定している。ユーバシャール側に、堀を作成して水で満たす事にした。
ミュルダ老やシュナイダー老やヨーンほか、住人たちの承諾が取れたので、石壁作成の具体的な作成を考える事になった。
さきに、俺が考えた作成を伝える。その後に、皆で細部を調整して決めた。
作戦決行は、吸血族の移住が開始されてからに決まった。
— 3日後
吸血族の移住が開始された。
ルートガーからの報告で、吸血族は岩場を好むというわけではなく、岩場に流れ着いたが正しい解釈のようだ。そのために、一般的な入植と同じで問題ないという事だったので、吸血族が望む環境に近い場所を作成してすぐに移住が開始された。
移住と同時に、ユーバシャールの兵を押し返す作成も開始された
それほど難しい事ではなく、ユーバシャール兵に吸血族の増援が来たと知らせる。種族敵な特徴は、背中に羽がある事と耳が(俺的解釈でエルフ並に)尖っている事だ。エントとドリュアスをスキル変体で吸血族にしてから、一気に押し返すまずは山道から数キロ後退させた。
その間に移住を終わらせる予定だ。日付変わって、翌日にエント達は再度攻勢にでる。今度は、石壁予定地からさらに押し込む。後方に回った部隊で兵糧部隊を襲わせて、撤退を決断させる状況を作る。エントたちには、ユーバシャール兵は殺すなと厳命した。慈悲からではない。できるだけ、怪我を負わせる。四肢欠損や骨折などの、”スキル治療”では対処できない怪我をおわせる。そうする事で、街に数名で護衛しながら撤退を行わなければならない。
これを繰り返す事、2週間。
ユーバシャールの兵は、石壁建設予定場所から半日くらいの場所まで撤退した。
石壁の作成を開始した。
石壁に埋め込むスキル道具は俺が作成している。レベル6魔核を、進化した魔蟲たちがチアルダンジョンから大量に運んでくる。それに、防壁・障壁・結界を固定していく。作った者から、ワイバーン便で運んでもらっている。
森の方も順調に進んでいる。
どうやら、森のどこかにダンジョンが存在しているようだ。ライたちが、森の中に死んでしまったダンジョンを複数発見している。ペネムに聞いたら、魔素が豊富であまり考えないで子供を生んでいるダンジョンだと若いダンジョンが近くにできてしまって、簡単に攻略されてしまっているのではないかという事だ。
それなら、魔物の楽園になってしまったのも納得できる。攻略されたあとのダンジョンで産まれた魔物は、地上でも行きていけるように進化する。
まずは、石壁で覆ってから、対応を考えよう。
魔物も森を、仮称”魔の森”と命名した。石壁で覆ってから、本格的な対応を考える事にした。
2ヶ月後魔の森を覆う石壁が完成した。高さは15mで両側に10mの堀が存在している。海に面している部分も探索させたが、断崖絶壁の場所がほとんどで一箇所だけ砂浜が存在している事がわかった。砂浜は最終的には港にする為に確保しておいた。
ユーバシャール側の石壁もほぼ同時に完成した。
こちら側は、高く20m以上になってしまった、堀も15m程度あり一般の冒険者が身体強化系のスキルを付与した状態で飛び越える事が難しい距離にした。壁も反り返るような感じに加工した。15mを飛び越えられるような場合でも反り返った石壁を登る必要がある。堀の深さは20m近くあり水は推進5m程度にしている。したがって、石壁の高さは実質的に35m程度になっている。
何度か、ユーバシャール側からの攻撃もあったが、総て撃退した。
リヒャルトの意見を取り入れて、一箇所だけ門を作った。検問を設置したのだ。ペネム側には屯所を作成した。今は兵だけだが、リヒャルトが言うには、そのうち街になるでしょうという事だ。必要になるかわからないが、アンクラムからの道も整備し始めている。
ユーバシャール側には、出島の様な場所を作成した。
検問に向かう橋の手前に半径100mの半円の場所を作成した。周りを浅い堀で囲った場所だ。
これだけの物を2ヶ月かそこらで作ってしまうのだ。
いくら、スキルを自由に使っていたとはいえ驚異的な速度だ。
使った魔核の数から、魔の森を覆った壁の総延長距離は4、000km以上になるだろう。ユーバシャール側の石壁も400km以上にはなる。万里の長城には敵わないがかなりの距離になる。両方の石壁ともに、頂上は馬車が一台すれ違える位の幅は持たせている。位置壁の上と移動する事もできるようになっている。
検問所を兼ね備えた石壁の完成から、半年。
ユーバシャール街からペネム街に使者が訪れた。
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