家族の記事一覧

2020/04/20

【第二章 落札】第一話 締切

 壁のタイマーが残り60分をしめした。  館内放送でも同じ事が告げられる。  入札を終えた人たちはひとまず入札をしなかった奴隷の部屋を最後に見て回っている。  必ず入札が成立するわけではない。相思相愛にならないと落札できないのだ。  問題なのが、複数に入札を行った者が両方の奴隷を落札してしまった時だ。  この場合には、先に入札を行った方が優先される仕組みになっている。奴隷側には、複数入札が解るようになっているので、選ぶときの指標にもなる。  壁のタイマーが徐々に少なくなっていく。  残り10分になると、廊下…

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2020/04/20

【第一章 入札】第二話 入札

 全部の情報を取得したときには、ちらほら入札が行われたルームが目立ち始めた。  入札が行われると、入札数が表示されるのだ。入札数が1だと入札は流れる事になっていると説明された。不正防止なのだろう。 /// ルーム18 性別:女性 年齢:18 出身:駿府 希望:殺してくれる人 特記事項:  なし。 ///  居た!  赤い印が付いている。それでいて、特記事項がない。特記事項に書けないほどの事情を持っている。  僕の望みにこれほど近い奴隷は居ない。それで死にたがっている。  ルーム18には、すでに入札が4件され…

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2020/04/19

【第一章 入札】第一話 見学

 僕は、六条(ロクジョウ)晴海(ハルミ)。  見た目は、純粋な日本人・・・には見えないと思う。左腕が肩からなくなっている。今は、生体義手を付けているので生活に不自由する事はない。新型で、防水・防塵・熱感知機能まで付いている特級品なのだ。外装部分に使っている皮膚も僕の細胞を培養して作られた物だ。指先はわざと機械の指にしている。義手である事が解る様にしている。  日本人に見えないのは、目の色が特徴的なのだ。右目が黒で左目が青の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)だ。  目だけではなく、殺人事件の事件の被害者となり、僕だけ…

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2020/04/19

【序章】第一話 開場

 見知らぬベッドの上で 足と手を固定され、口枷をさせられ、耳栓をされ、自由が利かない状態になっている自分の周りを何人もの人間が取り囲んでいる。  頭も固定され、目には何か解らない装置を付けられて、正面部分しか見られないようになっている。その正面のはるか前方には大きな鏡があり、そこに自分の姿が映し出されている。  そして、多数の男女が露になっている秘部を見たり顔を覗き込んだりしてから紙に金額を書いて立ち去っていく。  奴隷市場。  これが、この場所の名前なのだ。 —  『第13回 奴隷市場開催決定…

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2020/04/05

【目が覚めるとそこには】夢で終わらない

 あぁこれは、いつもの夢だ。誰にでも、1つくらいあるだろう。  同じような夢。疲れた時に見る夢。誰かを殺したいと思っている時に見る夢。  窓も、ドアも、部屋の調度品がなにもない部屋。上も下もわからない白い部屋に私が全裸で居る夢をよく見る。  私は、部屋の中を抜け出すために走りまくる。床だけでなく、壁や、天井を使って、走りまくる。走って、走って、走って、疲れ切って、倒れる。最後は、なぜか部屋から抜け出す。  その時に、必ず振り返ってしまう。白かった部屋が、真っ赤に染まったシーンで目をさます。  目を覚ますと、…

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2020/03/25

【二番目の愛情】戸惑いの告白

 俺には長男だけど二番目の子供だ。  当然の事だと思う。  俺は少しだけ複雑な子供だ。  俺の父はバツ1なのだ。  父の再婚相手が、俺の産みの母で、産みの母の最初の配偶者が本当の父なのだ。  ようするに、俺が今『父』『母』と呼んでいる両親とは血が繋がっていない。  本当の両親が、どうなったのかは知らない・・・ことになっている。  一度酔った父が話してくれた。  俺の本当の父は、父の友人だった人物ですでに死去している。産みの母も、父と再婚して2年後に死去した。  自殺だと言っていた。父は、本当の母の死を自分た…

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