バトル要素少の記事一覧
2022/09/28
【第八章 進展】第八十三話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 学校施設に向かう。 作られた学校は、自由区の中では1番大きな建物になっている。 学校に到着すると、ミュルダ老が待っていた。 少し慌てた様子で俺の所に駆け寄ってきた。 「ツクモ様。何か有りましたか?」 スーンにでも聞いたのか? 「ん?なんでもない。学校がしっかり回っていると聞いたから見てみたくなっただけだ」 明らかに安堵した表情になる。 そうか・・・俺は、出資者って事になるのか?でも、俺の命令で作ったのだよな? 「ありがとうございます。もう学校は、ペネム街になくて…
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【第八章 進展】第八十二話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 公開から1年と数ヶ月が過ぎていた。 ペネム・ダンジョンを公開してから、街は大いに発展した。 表向きには、アンクラム-ミュルダ-サラトガの元街を含む、サイレントヒル地域全般をさして”ペネム街”と呼ぶようになっている。 各元街は、アンクラム区やミュルダ区やサラトガ区と呼ばれるようになった。SAやPAは、そのまま数字で呼び名を付けていたが、それぞれに名前を着けて欲しいという要望が上がってきた。 SAが21箇所。PAが18箇所。ダンジョン内にできた街/集落が14箇所。全…
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【第八章 進展】第八十一話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ ペネム・ダンジョンが正式オープンして、3階層を突破したと、クリスから連絡が入った。そろそろ、6階層・・・実質の7階層以下を作らないとならないだろう。 俺が進めていたチアルダンジョンの攻略は七十九階層で止まってしまっている。 意図して止めているわけではない。 ログハウスを一日留守にすると、翌日に決裁が必要な案件/書類が”嫌味”なのか大量に置かれている。しばらく無視していたら、しっかりたまり続けて行く。 俺は楽がしたい。そもそも、13歳の子供が行う仕事量ではない。ミ…
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【第七章 暗雲】第八十話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 新領主のシュイス・ヒュンメルの屋敷からは、10歳以下の幼女が大量に見つかった。心が死んだ状態で・・・だ。肉体的にも死亡している者も存在していた。 そして、案の定プロイス・パウマンの屋敷から、心が壊れたり、本当に死んでしまった男児が見つかった。同時に、それらを調達していたのが、アトフィア教の獣人殲滅部隊であることが解る証拠も見つかった。 後始末を、シュナイダー老に任せた。 殺さないように苦しんでもらう事にした。当初は、磔状態で村々を回らせるつもりだったのだが、シュ…
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【第七章 暗雲】第七十九話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 「ツクモ殿」 「ゲラルト殿?」 何やらすごい顔をしている。 「本当に、いいのか?」 なんだ、鱗が本当に欲しいようだ。 「いいですよ?俺が持っていても価値は”綺麗な飾り物”以上にはならないが、ゲラルト殿たちが鍛えれば”素晴らしい剣”や”素晴らし盾”になるのだよな?それに、”優秀な職人”を雇える機会があるのならそちらを優先する。これ以上望むのは贅沢というものだ。それでも気がすまないのなら、俺が作って欲しいと思う道具を、ペネムで沢山作ってくれればいい。売れない物も出て…
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【第七章 暗雲】第七十八話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 「ツクモ殿。お時間を頂き申し訳ありません」 「いや、いいですよ。ミュルダの新領主様に、昼前までは宿に居ると約束しているだけで、他に約束はありませんからね」 朝から来るとは思っていたが、タイミングとしては悪くないのだろう。ミュルダの新領主との話し合いもしてきて、決裂すると考えての・・・この時間だったのだろう。 「そうだったのですね」 白々しい まぁいい冒険者ギルドの関係者よりは話ができそうだな。 「そちらの方ははじめましてですよね?」 「そうでした!鍛冶師長老の1…
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【第七章 暗雲】第七十七話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 俺が、領主の館から帰って来て、すぐに執事が訪ねてきて、少し待って欲しいとだけ伝えられた。 執事にはメッセンジャーになってもらって悪かったのだが”俺には用事はない。明日には、獣人(ペネム)街に帰る”とだけ伝えてもらった。 執事が帰ってすぐにヒュンメルが宿に訪ねてきた。 「ツクモ様。申し訳ありません」 「何を謝っているのですか?ヒュンメル殿に謝罪されるような事は無かったと思いますよ?」 「いや・・・私の後を継いだギルド長があの様な態度をとってしまった」 商隊や商人か…
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【第七章 暗雲】第七十六話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 蕎麦を得るために、寄道をしてしまった。寄道に一切の後悔はない。 時間も遅くなってしまったために、村長宅で一泊する事になった。 村長宅で、村の生い立ちを聞かされた。 もともと村は、アンクラムの領主主体で作られていて、アンクラムに食料を提供する目的があったのだと言っていた。今の村長で、3代目だという事だが、二代目の途中くらいから、麦が取れなくなってしまって、細々と作っていた”蕎麦”に切り替えたのだと説明された。 ミュルダの異端認定騒ぎがあって、もともとアトフィア教の…
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【第七章 暗雲】第七十五話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ アンクラムの宿をダミーでとった上で、アンクラムから抜け出す。前金で、2日分を渡している。宿の主人が横柄な態度だったので、多少罪悪感は消えたのが救いだ。 後は、領主同士でうまく話をして欲しい。 『あるじ。スーンから連絡が入った。あるじが”蕎麦”と呼んでいた穀物確保したって』 「おっありがとう」 『それでね。眷属が大量に買い付けたら、村長?から村の子供1人でも2人でも構わないから連れて行って欲しいと言われたらしいよ?』 「それで?」 『あるじに確認しますと言って、そ…
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【第七章 暗雲】第七十四話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ アンクラムに到着した。 商業区で見送りを受けてから、カイとウミとライとエリンを伴った”徒(・)歩(・)”の旅だったが、カイとウミが大きくなり、俺とエリンをそれぞれが載せて、ライは俺の持つバッグに入った。 それから、移動速度が信じられないくらいに上がった。魔物との遭遇も何度か有ったが、カイとウミとエリンが出るだけで、殆どの場合は逃げていく、ただ、ゴブリンとオークだけは気持ちの問題で、殲滅の指示を出した。集落らしき場所も発見した。 集落は、結界を張った上で燃やし尽く…
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【第七章 暗雲】第七十三話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 商業区での作業は、それほど多くない・・・はずだった。 ミュルダ老は、どう考えているのだろうか? 俺は、13歳の餓鬼だぞ? 俺がスーンから予定を聞かされた時の感想だ。 なんだよ、この打ち合わせの予定は? 居住区と、ミュルダからの人が来る?俺に話を通したい? 勝手にしろよ。 お前たちのほうが経験が有るだろう。うまくやってくれよ。報告だけは聞くから、計画段階のことまで説明しなくていいよ。 打ち合わせの予定をこなしながら、当初の予定だった商業区の下にダンジョンを作る作業…
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【第七章 暗雲】第七十二話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ さて、ダンジョンも攻略したし、ペネムというおまけまで入手できた。 『主様』 『どうした?』 『掃討が終わりました』 『早いな』 『いえ・・・あっ魔物は全部ライが収納しました』 『有益なスキルカードは出たか?』 『・・・いえ、すでに保有する物ばかりです』 『わかった。こっちも終わったから、確認しながら、地上にむかう』 『わかりました』 「クリス。聞こえていたよな?」 「うん」 「地上に出て、リーリア達と合流してから、商業区に向かうぞ」 「はい!」 ペネムを見る。 …
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【第七章 暗雲】第七十一話
/*** サラトガ領主 Side ***/ 「それでどうなった?」 「・・・はい。どうやら、ダンジョンが攻略されたわけではなさそうです」 「は?それでは、なぜ、スキルカードも魔核も出てこない!」 執事が申し訳なさそうにしている。 「よい。話せ。何が解った?」 「はい・・・」 冒険者たちが持ち帰った情報だと前置きされたが、サラトガのダンジョンの秘密というか・・・サラトガ領主家にまつわる秘事だと言ったほうがいいだろう。 サラトガのダンジョンが、1人の男に寄って維持されているのは知っていた。知っていたが、それは領…
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【第六章 開発】第七十話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ モゾモゾしていて、起きた。 クリスが起きたのだろう。起きて、自分の状況を確認しているようだ。 『カイ。ウミ。起きるぞ』 『起きています』『うん。大丈夫』 カイとウミは、もう起きているようだ。もう少し、このモフモフを楽しんでいてもいいかもしれないが、起きるとするか。 「クリス。起きているのだろう?」 「くぅ~くぅ~くぅ~」 「枕を抱え込むな」 「えへ」 「”えへ”じゃないよ。ほら、プロテクターを出すから、身に着けろよ」 「うん。カズトさん。着けて?」 「できるだろ…
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【第六章 開発】第六十九話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ よく寝ている。 安心しているのかわからないが、今は寝言のような物は聞こえない。 『ウミ。クリスはどうだ?』 『うーん。まだ魔眼に頼っているけど、だいぶ良くなってきたよ』 『主様』 『どうした?』 『スーンには、10日ほどで帰ると言ってあります』 『あぁそうだな』 『あと10階層だとは思いますが、このままでは少し時間がかかってしまいます。次から、僕とライも出ます』 そうだな。 ここまで疲労するのなら、そのほうがいいだろうな。スキルの訓練や調整なら、外でもできるだろ…
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【第六章 開発】第六十八話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 暑さで目を覚ました。周りの状況を確認して納得した、そりゃぁそうなるよな。 クリスが毛布を身体に巻きつけてから、俺に抱きついて寝ている。器用にミノムシ状態の毛布から腕だけだしている。 ウミとカイは、布団の中で丸くなって、俺の足の辺りで寝ている。 カイと、ウミは、俺が起きた事がわかったのだろう。布団から出て、伸びをしている。 こうやって居ると、普通の猫のようだな。毛づくろいをしている様子を見てから、クリスを起こそうかと思った。 俺から離れようとはしない。それほど強い…
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【第六章 開発】第六十七話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 「ウミ。クリスはどうだ?」 「ねぇカズトさん。なんで、ウミ姉に聞くの?僕に聞いてくれてもいいと思うけど?」 「そうか?クリス。どんな感じだ?」 「問題ないよ!」 だろうな。 「そうだろうな。それでウミどうだ?」 「カズトさん。酷いぃ!」 「はい。はい」 『まだまだだけど、なんとか形になってきた』 「そうか、どの程度だ?」 『エリンといい勝負かな?』 「そうか・・・いい勝負は、負けるって事か?」 『どうだろう。ブレスを使わせなければ、クリスが勝つとは思うよ』 「わ…
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【第六章 開発】第六十六話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ スキル調整も終わったし、クリスのスキル確認の意味もあるから、ダンジョン探索を開始するか。 『あるじ!』 「ん?どうした?」 『うん。ダンジョン。攻略すると、ダンジョンの魔物たちが溢れるけどどうする?』 「あぁ・・・そんな事を言っていたな。ライ。眷属を呼び出して配置させておく事はできるか?」 『うん。大丈夫だよ。エントやドリュアスも呼んでおく?』 「そのほうがいいだろうな。意識芽生えた魔物なら、話ができるかも知れないからな。それ以外は、狩り尽くしても問題ないだろう…
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【第六章 開発】第六十五話
/*** クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオ Side ***/ 話には聞いていた。リーリアお姉ちゃんからも、カイ兄やウミ姉は別格だと・・・。 サラトガのダンジョンに入ったのは、2時間くらい前だと思う。 既に、5階層まで降りてきている。その間、僕がやった事は、魔眼を使って、魔力の流れを読んだ事だけだ。それも、カズトさんから言われてやってみたら見えただけだ。 イサークさんやナーシャお姉ちゃんから、5階層には、フロアボスが居る部屋があって、その部屋の前には、セーフエリアがあるという事だ。そこまで、一気…
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【第六章 開発】第六十四話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ サラトガの街に入った。 ミュルダ発行の身分証で問題なかったようなので、俺とカイとウミとリーリアとクリスは、身分証を見せる。カイとウミの身分証を確認した時に、少し苦笑したのを忘れない。別に、眷属が身分証作ってもいいだろう・・・って、今、カイとウミは、眷属ではなく、隷属している魔物に見えるのを忘れていた。 クリスの身分証を確認した時に、少し戸惑ったが、お忍びで来たと言う言葉とレベル5魔核を1個握らせたら、そのまま通してくれた。 これでいいのか? サラトガの街は、ミュ…
続きを読む2022/09/28
【第六章 開発】第六十三話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ どうやら、夜の見張りは、カイとウミとライも参加することで、決着したようだ。 それから、クリスが、オリヴィエとリーリアから、樹木のスキルを教わりながら、小屋を作成した。初めてにしては、なかなかうまく作れたと思う。樹木のスキルは、エントとドリュアスの種族スキルだが、野営地を作ったりする時には重宝する。 クリスは、魔眼という特殊なスキルを持っているので、スキルを使う時に、なるべく並列で使うようにさせてみた。魔力の流れが見えるのなら、スキルを使う時に役立つだろうと思った…
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【第六章 開発】第六十二話
/*** スーン Side ***/ 少し、認識を改めないとダメかもしれない。 私が持っていた知識では、統治者は、周りに異性を大量に置いて、交配行為を行うものと思っていた。 だが、大主様は、交配者は1人で良いと言っている。強き者は、複数の交配相手を持ち、子孫を残すことを求められる。獣人族の族長会議でも同じような事を議論していた。だが、大主様は違った考えをお持ちのようだ。 そもそも、我ら眷属は、大主様を中心にまとまっている。ご子息ができても、ご子息に従う事は無いだろう。種族の長としてお迎えするだけだ。また、大…
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【第六章 開発】第六十一話
/*** サラトガ領主 Side ***/ どういう事だ。 ダンジョンに向かった者が帰ってこなくなり、ダンジョン入口に作成していた小屋が魔蟲に攻撃され、破壊された。 それから、ダンジョンに入ることさえできなくなってしまった。 最初は、ミュルダの奴らの嫌がらせかと考えたが、奴らは奴らで大変な様子だ。 どうやら、ミュルダ老が引退したようだ。代わりは、ギルド長を努めていたもので、長老衆の承認も得ているらしい。 情報が錯綜していて、何が正しいのかわからない。アンクラムもおかしな状況になっている。アトフィア教が完全撤…
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【第五章 埋伏】第六十話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ ミュルダ街からログハウスに帰って来て、3ヶ月が経過した。 ミュルダ街から、ビックスロープまで約6日間の行程だった。道を通す事も考えたのだが、獣人族や街の人たちに任せる事にした。俺が指示したのは、40kmごとに馬車を駐めて休める場所を作る事だ。感覚的には、高速道路のSAだ。人の手配は、カスパル(前領主)に丸投げする。20kmごとに小さな休憩所を作る。こちらはPAだ。 PAでは、食事と休憩が行える。寝るための施設も作ってあるが、馬車に関する施設は用意していない。 S…
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【第五章 埋伏】第五十九話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ 息子エンリコが、ツクモ殿を襲撃してから、一ヶ月が経過した。 昨日、ビックスロープに向かっていた、交流隊が帰ってきた。何やら興奮していた。 今回は、交流というよりも、視察の意味合いが強いのは、誰もが解っていた事だ。ツクモ殿を通して、先方にも伝わっているのだろう。視察は成功した。予定よりも、帰ってくるのが遅かったのが気になったので、長老衆を通して聞いてみた。 思っていた以上に、大きな街になっているという。 行政区として、中央に施設がまとめられ…
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【第五章 埋伏】第五十八話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ あの騒動から、3週間。俺は、まだミュルダの街で過ごしている。 カイとウミは、街での生活が気に入っているが、オリヴィエとエリンは、窮屈に感じていたのか、2週間程度滞在して、ログハウスに戻りたいといい出したので、許可した。リーリアは、俺の身の回りの世話係として残っている。 今日の午後は、カイとウミを連れて、街中を散策する予定だったのだが・・・。 俺は今イサークから謝罪を受けている。 「ツクモ殿。申し訳ない。あんなに良くしてもらったのに、ナーシャが原因で迷惑をかけた」…
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【第五章 埋伏】第五十七話
/*** クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオ Side ***/ 「えぇぇぇぇぇぇ」 『クスクス。慌て過ぎだよ。ご領主様が不審に思っているよ』 そうですね。 お祖父様が、勘違いされているようなので、早めに謝罪の言葉を口にしたほうが良さそうですね。 「ごめんなさい。少し考え事をしていました」 「クリス。辛いのなら、部屋で休んでいても・・・」 「いえ、お話を聞かせて下さい」 『リーリアお姉ちゃん、な、な、何を言っているの?お嫁さんって・・・僕、子供だよ・・・』 『リーリア!カイも、ウミも、オリヴィエも…
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【第五章 埋伏】第五十六話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ どうしたらいい? 幸いなことに、カズト・ツクモ殿は、それほど怒っているようには見えない。共回りの者たちもだ。儂の判断を尊重してくれると考えていいだろう。 「ツクモ殿。この者たちは?」 「先程、襲われました。私の従者である。リーリアの持つ、”ただの袋”が目的だったようです」 は? 収納袋ではないのか?儂も何度か見ているが、収納袋のような動きじゃったぞ? 毎回スキルを発動しているとは思えない動きだ。 ツクモ殿は、リーリア殿から、袋を受け取って…
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【第五章 埋伏】第五十五話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ 物見遊山で来たのだけど・・・おおごとになっている。 確かに、エリンはやりすぎたと思う。それは反省した。反省したので、通常プロトコルでの入街を主張した。 俺とリーリアとオリヴィエと、エリンが、身分証を作成するのを見て、ウミが自分も作成したいと欲しがった。 門で審査をしている人に聞いたが、できないことがないという事だ。 実際に、馬などをいれる時に、持ち主札代わりとして作る人が居るという事なので、カイとウミの身分証を作ってもらう事にした。 何やら不穏な雰囲気があるなら…
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【第五章 埋伏】第五十四話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ 竜族が、リーリア殿のご主人様?カズト・ツクモ殿は竜族だったのか? 確かに、竜族の一部は、人の姿を取れる事はよく知られている。確かに、それならば、10歳前後の姿で、イリーガルを眷属化していることもうなずける。 何にせよ。出迎えの準備をしないとならない。 華美にならないように、しかし、質素になってはならない。 街領隊の隊員が、屋敷に入ってきた。 「領主様。いくつかご報告があります」 いくつかと言ったか、当然だろうな。 「わかった。執務室で聞く…
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