【第三章 魔王と魔王】第八話 【カミドネ】会合?

 

今日は、魔王ルブランから”会合”があると通知が届いたので、カプレカ島に来ている。
場所は、カプレカ島にある魔王ルブランたちが常用する家だと言われた。転移で、カプレカ島に移動した。本当に便利だ。

魔王様の配下になってから、何度か訪ねているのだが、不思議な場所だ。
多種族が問題なく生活をしている。それだけではなく、子供から老人まで皆が意思を持った表情をしている。こんな世界が前世にあったら・・・。

そういえば、魔王ルブランから回してもらった魔王様の情報書籍。魔王様は東の果てにある島国の出身だと思える。しかし、魔王ルブランから渡される資料や情報を読み込んでいけば、不思議に思う事がある。あの島国が、ここまで洗練された国になっているとは思えない。遠洋にも出られなかった国だったはずだ。
私は、これでも他国の情報に触れられる階級に居た。あの島国は、金や銀や鉄の資源が豊富にありながら、価値が解らない様で、型遅れになっている物品と交換している。それだけではなく、小さな小さな島国の中で、100近い国が争っていた。やっと統一されたらしいが、内戦は続いている。そんな状況から、たった300年くらいで、こんなに洗練されるのか?

もしかしたら、私の祖国はもっと・・・。
機会があるとは思えないが、魔王様に聞いてみたい。

カプレカ島を歩いていると、顔見知りになったハンターから声をかけられる。

「お!カミドネ殿。今日は、こっちで仕事ですか?」

「こっちで、ルブラン殿たちが開催する会合に参加するために、来た」

「へぇ。そうなのですね。あっまた、近々、カミドネのダンジョンに挑戦するからよろしく!」

「挑戦を待っているよ。我は、魔王カミドネ。挑戦を待つ者」

「ハハハ。よろしく。っと、呼ばれているので、失礼。今度、飲みましょう」

「わかった。わかった。死ななければ、いつでも待っている」

「俺たちは、無謀な挑戦はしないよ!」

ハンターは、手を振って、駆け出す。
不思議な光景だ。私が望んだ光景でもある。

魔王様に改修されて、私と魔王ルブランらの手が入った、カミドネのダンジョンは、挑戦者が増えた。魔王ルブランから、挑戦者や死亡者の統計を取るように言われた。魔王様から与えられた権能で確認ができるので、数字をしっかりとメモしている。
死者数は、以前から大きくは変わっていない。改修前の数字は持っていないので、感覚になるが、同じくらいに感じている。しかし、内容は変わっている。ダンジョンで死んでいるのは、国に所属する者たちだ。ギルド・・・。新生ギルドに属している者は、殆ど死亡していない。連合国のギルドに属している者や、神聖国や王国に属している者は、ダンジョンの警告を無視して、深い所まで潜って、死んでいる。

改修されたダンジョンの名前と、私が魔王であると宣言した。
先達である魔王ルブランと一緒に、ダンジョンが新しくなったと宣言するためだ。階層の説明もされた。

本気か?と思ったが、商人たちが安全な階層に店を出したいと言ってきた。
もちろん、魔王ルブランに相談したら、笑いながら、私のダンジョンなのだから、好きにしたらいいと言われて、試しにギルドと繋がりがある商人に出店を許可した。そのあとで、宿屋や、鍛冶屋が、出店を希望してきた。あと、私が表に居ない時でも連絡ができるように、”フォリ”という執事を地上に常駐させることになった。余り始めるポイントで、強化した人型の魔物だ。
魔王様から、戦闘力はスキルやスクロールで強化すればいいと言われて、設定した。性別を設定しないで、夜伽をありにしたら、女性が生成された。どうやら、魔王様の言っていたことがよくわかった。本当に、罠としか思えないが、幸いに、私は女性の方が好きな女だ。問題はない。私の好みに設定した。魔王様にも魔王ルブランにも伝えていないが、そういうことだ。察して欲しい。フォリは、私の眷属にした。寿命はギリギリまで長くした。もう一人は嫌だ。魔王様や魔王ルブランはいるが、上司や同僚という感じで、家族ではない。他の眷属たちにもまだ寿命がある。
ダンジョンの罠が発生しない階層で、戦闘訓練を繰り返していたら、フォリも前からの眷属も寿命を超越したようだ。そして、強い結びつきを感じるようになった。

「魔王カミドネ」

「魔王ルブラン。呼び出しにより、参上した」

吃驚した。
フォリや眷属たちのことを考えていたら、魔王ルブランから声をかけられた。私が言う事ではないが、魔王ルブランも気楽に歩いているな。命を狙われていると言っていたが、気にならないのか?

「魔王カミドネ。少しだけ、不用心ではないか?」

「それは、貴殿も同じでは?」

「ハハハ。我には、影の中に、シャドー系の魔物が居て、常に警護している」

「え?」

「なんだ、護衛の話は、誰からも聞いていないのか?」

「あぁ」

「そうか、歩きながら話をしよう。もうすぐ、会合が始まる」

「わかった」

「まぁ外にでる事が無いのなら、護衛は必要ないだろう」

「外?」

「そうか、我には制限がないから、城塞村や帝国にも行くことがある。だから、護衛となる者を連れている」

確かに、私はカミドネの自室に居ることが多い。外に出るのも、カミドネの街か、カプレカ島だけだ。安全に配慮されている場所だけだ。
でも、確かに、私もだけど、眷属たちにも護衛を付けるのは、必要だ。フォリや眷属を失いたくない。

「魔王ルブラン。会合の後で、護衛に適した者を教えて欲しい」

「ハハハ。わかった」

一つの建物に案内された。
場所は知っていたのだが、魔王ルブランと一緒に歩いていたら、すんなりと通された。

メンバーを見ると、魔王様に謁見ができる権利を有している者ばかりだ。

魔王ルブランが、上座に置いてある椅子に座る。上座には、3つの椅子が置かれていて、右側に座る。どこに座っていいのか迷っていると、魔王ルブランが手招きして、上座の左側に座るように言われた。中央の椅子は、誰も座らない。多分、魔王様の席なのだろう。

そして、魔王ルブランが悪い笑顔を浮かべて、ゲストを紹介した。
開いた扉から、フォリが出てきて、机の左側の私に近い場所に座る。

『フォリ!』

『申し訳ありません。ジュレ様』

『なぜ?』

『魔王ルブラン様から、お誘いを受けて、断ったのですが・・・。ジュレ様が一人では、寂しいだろうと・・・』

『ふぅ・・・。でも、ありがとう。一人で、心細かった』

いろいろ言いたいが、黙っていたのではなくて、念話が通じる場所では無かったのだろう。
でも、一人で心細かったのは本当だ。

魔王ルブランに向かって、軽く会釈する。手を上げて、答えてくれた。解っていたのだろう。

モミジ殿。ナツメ殿。カエデ殿。ミア。ヒア。と、続けて、魔王ルブラン側。

始まった会合は、恐ろしいほどに有用なことだらけだ。
罠の設置は、通常は単独で強い罠を配置するのが良いと言われていたのだが、魔王ルブランたちが配置している罠は、違った。

簡単な例と言っているが、水を飛ばす時に、弱めの麻痺毒を含ませて、浴びせかけたる。ただ、水を飛ばすだけだと避けられるから、矢を飛ばす罠と一緒に配置する。矢を避けることに集中して居れば、水ならダメージがないと考えて、避けない場合が多い。そうなると、気が付かないくらいの弱い麻痺毒を喰らう。徐々に動きが鈍くなり、矢のダメージが通る。この時に、致命傷になるような場所を狙うよりも、手足を狙ったほうが、侵入者たちは撤退を考える。
本当に、よく考えられている。

会合は、3時間程度で終了した。

「魔王カミドネ。騙し打ちのようなことをしてしまって申し訳ない」

「魔王ルブラン。気にしないでください。私も、フォリが側に居てくれて、助かりました」

「そう言ってもらえると、助かる。魔王カミドネ。貴殿にも余裕ができたのなら、ギミックハウスの設定に協力していただきたい。それと、人型の眷属を増やして欲しい。これは、魔王様からのご要望だ」

「わかった。眷属は、検討しよう。ギミックハウスは、フォリに協力させる」

「助かる。貴殿はどうする?」

「魔王様からのご許可が必要になると思うが、カミドネの街にも、ギミックハウスを設置しようと思う」

「それはいい!我からも、魔王様に進言をしてみる」

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