ホラーの記事一覧

2020/04/04

【第三章 託された手紙】第五話 記憶

「はい。マホが私に”見つけてほしい”と言っています。見つけて、帰ってきて欲しいです」  鈴の宣言を聞いた4人は覚悟を決めた。 「美和。悪いけど、沙奈を呼んできてくれ」 「わかった。子供たちの様子も見てくるね」  美和が部屋から出ていく。追い出したわけではない。今後の動きを確認するためと、行動するのなら沙奈が居たほうがいいと判断したのだ。関係者だけで行動するよりも、部外者が居たほうが言い訳ができる。 「克己。どうする?内容から、俺は動けないぞ」 「そうだな。桜と進は動かないほうがいいだろうな」 「進は絶対にダ…

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2020/04/02

【第三章 託された手紙】第四話 邂逅

 鈴は、マホが自分を恨んでいると思った。だから手紙を唯に渡して、届けさせたのだと考えたのだ。 「鈴!鈴!いいか、手紙が、本当にマホが書いた物なら、お前や進や唯を恨む内容ではない。大丈夫だ。マホがお前たちを恨むはずがない。鈴やなつみを恨んでいるのなら、同窓会のときに対応していたはずだ。だから、鈴。大丈夫だ」  克己が鈴を見てはっきりと宣言する。進も同調する。 「・・・。進さん。・・・」  年齢で言うと、鈴だけ年下になる。それでも、一児の母親だ。自分の子供に被害が及ぶかも知れないと思って恐怖を感じていたが、手紙…

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2020/04/02

【第三章 託された手紙】第三話 託された手紙

「あ!ママ。忘れ物は見つかった?」  美和と沙奈が制止しようとしたが、唯は鈴に抱きついた。 「うん。ありがとう。見つかったよ。それで、唯。手紙は読んだの?」 「うん!菜々ちゃんが書いたのは先生から貰ったよ!」 「菜々ちゃんが書いた?」 「うん!お休みするときに、書いてくれて、菜々ちゃんのママが持ってきてくれたの!」  唯の話を聞いて、鈴と進は安心した。  やはり、唯の話し方が悪かっただけで、先生が2つ先に居る唯に届けてくれたのだろう。そう考えた。  しかし、桜は唯が不自然だと感じた。 「なぁ唯」 「何?ユウ…

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2020/04/01

【第三章 託された手紙】第二話 星

 唯の話に補足を入れているユウキの言葉が余計に話を複雑にして大人たちを翻弄した。  どうせいつも通りだろうと、その場に居た者たちは唯とユウキの話を聞き流していた。 「遅くなってごめんなさい」  警察の取り調べが終わった鈴が丸大飯店に入ってきた。進が書いて置いた伝言を見て来たのだ。 「鈴。遅かったな」 「桜さん。”遅かったな”じゃないわよ。私に聞いたって何も知らないわよ」  鈴は話を聞くという取り調べを受けていた。  桜が関係していないのは知っているのだが、当たりたくなる気持ちもわかる。 「そうだろうけど・・…

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2020/03/30

【第三章 託された手紙】第一話 報告

「ママ!ただいま!」  九条唯は、来たときと同じように長嶋校長が運転するバスに乗って家に帰ってきた。  玄関は空いていたので、そのまま家に上がって、母親を探す。  いつもは、パソコンが有る部屋に居るか家事をしているのだが、今日はどこにも居ない。 「あれ?ママが居ない?」 「唯。おかえり。早かったな」  九条(くじょう)進(すすむ)。  唯の父親だ。今日は、仕事が休みで珍しく家に居たのだ。  進の仕事は、船大工で主に漁船のメンテナンスをしている。あとは、メカ音痴の為に魚群探知機やオート操舵のセッティングを行っ…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】幕間 手紙

 唯はもらった2通の手紙を眺めている。 (ママに渡してって言われたけど、ママの知っている子なのかな?)  そして、唯は知らなかった。  この手紙を、母親である九条(くじょう)鈴(すず)が読む時に新しい犠牲者が産まれる事を・・・。 (マホちゃん?私以外には声をかけなかったけど良かったのかな?もうどっかに居なくなっちゃったけど?) 「唯!」 「うん!」  自分を呼ぶ声に気がついた唯は周りを見回すが、手紙と順番を教えてくれた女の子が居なかった事を不思議に思ったが、気にしないで名前を読んでくれた、タクミの方に急いだ…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】第五話 手紙

 唯が1人で寂しい思いをしている時に、手紙のリレーは鳴海から晴海に、晴海からユウキに繋がろうとしていた。 「あ~る~は~れ~た~きょ~う~の~ひ~を~」  晴海に歌声が聞こえてくる。  正直タクミ以外には、なんの歌かわからない。晴海は、一度タクミに聞いたのだが、言葉を濁して逃げられてしまった。  そして、問題ないのは歌詞だけではない音程がめちゃくちゃなのだ。  しかし、晴海は音程が外れた調子の歌声を聞いてユウキが近い事を確信した。 「ユウキ!」 「ハルちゃん!待っていたよ!」 「だから、僕は男だ!」 「解っ…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】第四話 肝試し

 夕飯が終わって、キャンプ場に集められた生徒たちは座って、先生が離す怪談を聞いていた。 ”キャァァ!!” ”ヤメロ!”  誰が言ったのは名誉のために伏せておこう。  しかし、タクミたちではない事だけは確かだ。  タクミたちの班は一箇所に集まって話を聞いているのだが・・・。 ”フッフーン。怖くなんて無い”  ユウキが口ずさんでいるが、タクミの服の裾を離す気配はない。同じく、鳴海は晴海を後ろに座らせて、自分の背後を守らせている。  怪談は、よくある話だ。  よくある話だけに怖いのだ。そして、積み重ねられた歴史が…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】第三話 タクミの能力?

「ちょっと待て!ユウキ!」  タクミの静止も虚しく、肝試しの順番が最後に決定してしまった。  それには理由もあった。班のリーダーはユウキなので、ユウキが言ったのなら決定事項になる。  先生方もわざと意地悪をしたわけではない。  これが、最初を望んだりしているようなら、タクミの静止を聞いて、”班で話し合ってからもう一度申告しなさい”と言ってくれだろう。しかし、ユウキが言ったのが”最後”だったので、先生はこれ幸いと受諾してしまったのだ。  先生方の考えもわかる。理由も簡単だ。肝試しの順番では、最後を選ぶ班はほと…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】第二話 二日目

「ねぇユウキ?」 「なに?」  班ごとに部屋に入っている。  もう、夕ご飯も食べて、夜のリクリエーションも終わって、各班に割り当てられている部屋の一室だ。  9時を少し回った位の時間だが、朝早い時間に集合して、慣れない山歩き。疲れて寝てしまう子が出ても不思議ではない。  この部屋に居るタクミ。ユウキ。唯。鳴海。晴海の5名も疲れて寝てしまっている者も居る。起きているのは、元気いっぱいなユウキと慣れない場所で寝られない唯だ。 「ユウキのパパとママは、私のパパと同級生だよね?」 「うん。タクミの克己パパも同級生だ…

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2020/03/30

【第二章 キャンプ】第一話 お泊まり会

「桜!」 「なんだよ」  そこは、篠崎家のリビングだ。  森下桜は、悪友で隣に住む篠崎克己の家をたずねている。  お互いは幼馴染だと言っていい関係だ。  二人は、生まれ育った町に家を新築した。隣り合った土地が空いていた事や、とある事情で安く購入する事ができるなどのいくつかの偶然が重なった結果だ。二人とも、実家は別にある。実際には、篠崎克己には実家と呼べる物は無い。両親や親戚は、全て他界してしまっている。篠崎克己には、妻の沙菜と息子の巧が居るだけだ。  森下桜には、母親は存命だが隣町に引っ越してしまっている。…

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2020/03/30

【第一章 過去】第三話 忍び寄る影

『きゃぁぁぁぁ!!!!』  どこからか悲鳴が聞こえる。  鈴と菜摘も悲鳴の方を見ると、前面に備え付けられていたスクリーンが降りてくる。  スクリーンに何かが投影され始めたのだ。  最初は、最近死去した者たちの写真が流れた。  その後、鈴と菜摘も会場で見かけた者たちの名前が流れるように表示される。 「(山中と古谷?)」  鈴は後ろの席に座っていた二人の名前を見つけて、気になって後ろを振り向いた。  鈴と菜摘のテーブルは中央の最前列になっている。  横には、今は静かになっているが、騒がしかった立花たちが座ってい…

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2020/03/30

【第一章 過去】第二話 同窓会

 そこは、ビルの3階にある結婚式の二次会で使われることが多い広いスペースを持つ飲食店だ。  同い年の男女が200名ほど集まっている。俗に言う”同窓会”が執り行われている。  通常の同窓会では、会費を入り口で徴収するなどのことが行われるが、この同窓会では、受付に名簿があるだけで誰かが立っているわけではない。  心配した数名が、会場の設営をしてくれた者たちに確認をしたら、すでに代金の支払いが終わっていることや、進行や設営の指示は貰っているということだ。 『同窓会にお越しの皆様』  アナウンスが始まった。  席が…

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2020/03/30

【第一章 過去】第一話 葬儀

 黒い服に、黒いネクタイをした男性が2人で話をしている。  葬式に参列して、顔なじみに会って近況を話し合っているようにも見える。 「なぁ」 「なんだよ」    しかし、二人はここ4ヶ月で、3回の葬式に参列して顔を会わせている。   「少し葬式が多くないか?」 「あぁ?そうか?こんな感じじゃないのか?」  4回を少ないと考えることはできそうに無い。  しかし、二人は多いと考える事ができなかった。 「おっ西沢!久しぶりだな」  西沢と呼ばれた女性が立ち止まって二人を見る。 「なに?立花くんも山崎くんも来ていたの…

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2020/03/30

【序章】第一話 終わり

 すべて終わったわけじゃないけど、ボクにできる事はもうない。  パパ。ママ。ユズ姉。ボクは地獄に行くよね。ボクは、天国には行けないよね。これだけのことをしたのだから、当然だよね。  後悔なんてしていないよ。ヤツラは、奴は、それだけの事をしたのだから、報いを受けないとね。ボクは、喜んで地獄に行くよ。この身体が・・・心が・・・100万回引き裂かれても、悠久の時を苦しもうと後悔はしないよ。ボクは、パパとママとユズ姉とナユ兄のことを思い出して、それだけでボクは大丈夫。だから、ボクのことは安心してね。  パパとママと…

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2020/03/20

【感じた重さ】失った物

 確かに、僕は、彼女の・・・君の重さを感じていた。ほんの数秒前に、君は僕の腕の中に居た。  彼女は僕の前に現れた。僕は、一目見て君を愛する道を選んだ。そして、彼女もそれを受け入れてくれた。僕の心には、彼女がいて、彼女が側にいる日常が当然の事の様に思っていた。  僕は、彼女の夢を聞いて、彼女は僕の夢を聞いてくれた。そう、二人を別つ事が来ることを考えていなかった。  僕は、彼女と初めて身体を合せた公園に来ている。あの時は、確かに彼女を身体で感じる事が出来た。  そして、彼女も僕の重みを感じてくれていた。二人は、…

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2020/03/20

【消された証】過去の清算

 俺は、消防士をしている。  よくある話だが、この職業をしていると、”バカ”に遭遇する事が多い。  今日も、高校生の”ガキ”が、公園で花火をしていると連絡が入った。”警察に言えよ”とも思うが、公園の遊具が燃えていると言われたら、緊急出動しなければならない。  俺は、大木の様にはなれないだろう。  やつは、中学生の時に、学校で自殺騒ぎがあり、それが後に事故だと言われて、最終的には、いじめの延長で殺されたと知った。その殺人がきっかけで、同窓会で数名が殺されるという事件があった。やつは、それがきっかけで、今でも収…

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2020/03/19

【笑えない話】仕事を頑張る人

 あぁ今日も終電を逃してしまった。  しょうがない。いつものように、プロジェクトの進行状況を確認して、問題がありそうなところをレビューしておこうかな。  僕が務める会社は、ソフトウェアの開発を行っている。小さな地方都市の、小さな小さな会社ですが、幸いな事に仕事が切れる事がない。人手不足とまでは言わないけど、待機工数が発生しないくらいには仕事が充実している。こんな事を言うと自慢に聞こえかもしれないが、僕が開発した”開発ライブラリ”が売れている。  音声を使って操作コマンド入力を可能にする開発ライブラリだ。各種…

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2020/03/19

【見えない手】港町の喧騒

 僕の田舎は、東名高速が通って居ることと、銘産となる海産物があるくらいしか取り柄がない。田舎町だ。  その中でも、港に近い地区には、昔からの風習が残されている。中学校卒業を間近に控えた、十分冬と言われる季節に行われる行事だ。  春漁の豊漁と、新しく船乗りになる、男児が行う行事だ。  僕は、漁師にはならない。高校に進学するし、できれば、大学にも行きたい。伝統行事と言われるが、はっきりって迷惑この上ない。しかし、悲しい村社会・・・漁師ではない僕は、参加を拒否する事はできるはずだったが、円味(まるみ)が参加する。…

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2020/01/22

【優秀高場】第三話 学校の噂

「どうだ?」 「今年の出来ですか?」 「そうだ」 「芳しくないですね。まだ始まっていません」 「そうか、派閥は?」 「出来ています」 「仕掛けろ、女からは情報が抜き取れているか?」 「もちろんです。全員分の遺伝子情報はいつものように入手しています」 「それは重畳」 「はっ!それで今回はオーダーはなしですか?」 「あぁ自然に任せろ」 この学園では、生徒になんでも与えて、教師に逆らえない状況を作る事から始める。 100名を家畜にする事から始める。大体の家畜が、中学生になるくらいで雌を求める。種族の指定や処女性を…

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2020/01/22

【優秀高場】第二話 全寮制の男子校

俺は高校生になった。学校は、小学校から同じ顔ぶれで物珍しさはない。 俺の学校は、小学校から全寮制だ。 普通の学校と違うのが、長期休みでも地元に帰る事が殆どない。小学校の頃は、寂しくて泣くやつも居たが、中学校にあがると学校の寮に居たほうがいいと思えてくる。 俺たちは、世間で言う”上流階級”の子息だ。議員の息子なんて当たり前で、世界的に有名な企業の会長の息子(庶子)なんかも当たり前のようにいる。俺は、とある大学の理事長を務める父親の3番目の息子になる。 それで、なんで皆がこの寮が”楽”だと思えるのかというと、こ…

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2020/01/22

【優秀高場】第一話 とある記者の疑問

蠱毒 ”代表的な術式として『医学綱目』巻25の記載では「ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。この毒を採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりする。人がこの毒に当たると、症状はさまざまであるが、「一定期間のうちにその人は大抵死ぬ」と記載されている” 出典Wikipedia 私がこの言葉を知ったのは、とある学校の噂話を聞いて、編集長に取材の許可を求めた時だ。 その学校は、全国的に見ても優秀な学校だ…

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