【第一章 異世界?】第三話 おきまり?

 

どのくらい走った?

何回か、コボルトやゴブリンと思われる魔物?に遭遇した。石礫や弓矢や何やら魔法らしき物で攻撃してきていた。

しかし、マルス・・・ディアナには、一切通用しなかった。バリアやATフィールドを張っているわけでも結界でも無いようだが、傷が付くことはなかった。
フロントガラスに、石を投げつけられた時には”フロントガラス”が割れたと思ったが、石の方が砕け散った。

過信は禁物だが、ディアナの中にいれば俺は安全なのではないか?
大物の魔物が出たときには、全速力で逃げれば・・・・。逃げ切れるよな?

マルスは、駐車場/居住スペースの作成を実行中で応答ができないらしい。俺の対応は、エミリアが行っているようだ。
それにしても、ディアナの移動が可能な距離は、最低でも1,000kmになるってことだよな?500km先にある拠点までが半分の距離だって事だからな。
現在のガソリンメーターが指しているのは”F”近くだ。ほぼ満タンだということを示す。これもおかしな話だ。日本?で、静岡から都内に東名と首都高を使って走った。帰り道の中井PAまで走っている。最低でも200kmは走っている。それなのに、ほぼ満タンという事は経験的にありえない。

異世界補正がかかっているのか?

考えてもわからないけど、少し気持ちが悪いな。

考えても結論は出てこないだろう。でも、何らかの方法でガソリンが補充されたと考えると、満タンにすればもう少し走れそうだな。
途中でガソリンスタンドなんて無いだろうから、給油方法を考えておく必要がアルのだろうな。

まぁのんびり行くか!
異世界に来てしまったのは間違い無いだろう。戻れるかわからないけど、若返っている事を考えると、戻る事はできないのだろうな。戻れないのなら、戻れないでこちらで楽しめる事を探せばいいだろう。娯楽は少なそうだよな。

ラノベの定番設定だとすると・・・。ハーレム・・・かぁ・・・。俺にゃぁ無理だな。

うーん。流石に、道が悪い。
跳ねるまではいかないが速度をかなり落とさないと走る事ができない。直線距離で、500kmだからな。今も、道なりに進んでいるけど、方角が違うからな。
考えてもしょうがない。ナビにはならないが、指し示される方向に向かって、ディアナを進める事にするか?

そうだ!

「ディアナ!」
『はい。マスター』

「おぉぉ音声入力に対応しているのか?」

『エミリアが答えます。ディアナは音声出力には対応しておりません。しかし、ディアナ内部にて操作する場合は、安全を考えて、エミリアがディアナからの情報をマスターに伝えます』

「そうか、わかった。エミリア。自動運転って、なにができる?」

『質問が曖昧です』

「うーん。俺が運転しなくても、速度を20kmに固定して、安全に走れるルートで、目的地に向かう事はできるか?」

『可能です。ただし、不測の事態への対応が行えないため、補助機能だとお考え下さい』

「そうだよな。わかった」

自動運転といいながら、運転できる人間が運転席に座っていないと安全ではないと言うことだな。
日本の道路で行う自動運転よりは安全なのだろうな。周りに同じ速度で走る車が居ない。周りにだけ注意していれば避けられそうだな。速度は、圧倒的にディアナの方が早いだろうからぶつからないようにだけ注意していれば良さそうだな。

「エミリア。周りの状況を判断する事はできるか?」

『質問が曖昧です』

「エミリアの周り10m程度。前方50mに生き物の反応が有った時に、アラームで知らせる事は可能か?」

『現状は不可能です。前方と後方のみカメラが有るので可能ですが、真後ろは不可能です』

そうか、トレーラーを連結する関係で、真後ろにはカメラの装着はしていないからな。カメラが売っていたら、後方にも着けたいな。
売っているわけ無いだろうけど・・・。

「わかった。前方と後方の見える範囲で、生き物の反応が有った時には、アラームで知らせてくれ。後は拠点まで、速度を30kmに固定して、安全に走れるルートを選択して走ってくれ、多少時間がかかってもいい」

”了”

ディスプレイに表示された。エミリアではなく、ディアナが答えてくれたようだ。

「ディアナ。エミリア。俺、居住スペースに居て問題ないか?」

『問題ありません。魔物の反応を見つけた時の対処は?』

「”対処”とは?」

『はい。1.轢き殺す。2.跳ね飛ばす。3.直前で停止。4.見える位置で威嚇。5.発見次第クラクションを鳴らす。6.マスター自ら殺す。どれにいたしましょうか?』

「は?どれも却下だ。見つけ次第。その場で停止。俺に知らせろ」

『かしこまりました』

エミリアなのか、マルスなのか、ディアナなのか、わからないが、過激な思想を持っているようだ。少しだけ注意しておこう。俺の影響じゃないよな。絶対に元を作った、桜か、真一か、克己か・・・の影響だろう・・・そう思いたい。いや、そうに決っている!

自動運転の経験はないが、異世界の道を走る事自体初めてだし、数時間走った感じだと、ディアナ以外の車はなさそうだ。人や動物さえ轢かなければ、問題は無いだろう。

『マスター。左前方に、ゴブリンです』

「エミリア。魔物とそうじゃない生物の区別はできるか?」

『可能です。しかし、現地での呼称と一致する保証はありません。マスターの記憶上の呼称を利用しています』

「わかった。それなら、未知の生物や人を検知したら、停止して知らせろ」

『かしこまりました。あのゴブリンはどうします?』

「無視だ」

『かしこまりました』

ディアナがまた走り出した。
ゴブリン達がディアナの前に躍り出てきた。襲おうとするようだ。

”あっ”と思った時には、既に遅かった。
ディアナが、十数体居たゴブリンを跳ね飛ばした。

「あっ!」

大丈夫なわけないよな。
子供くらいの身長のゴブリンが宙を舞っているのが見えた。

”ゴブリン6体討伐”

ディアナからか?
ナビに文字が浮かんでいる。

「ディアナこれは?」

『マイマスター。エミリアが答えます。ディアナが、魔物を討伐した事を記憶しました』

「ん?魔物討伐?」

『はい。この世界では、生き物を殺すと、討伐記録が刻まれます。マルスは、その討伐数で機能や消耗品の補充を行います』

「討伐数?」

『討伐記録を見る事で確認ができます』

「討伐に関してはいい。それよりも、討伐する事で、マルスのできる事が増えるのか?」

『はい』

「魔物って討伐していい物なのか?」

『魔物討伐を検索・・・成功。レールテには、人族と呼ばれる種族と、魔物と呼ばれる種族が存在します。人族が含まれる動物と植物に分類されます』

「あぁ」

『魔物は、動物でも植物でもない存在で、レールテを脅かす存在です』

「討伐して大丈夫なのか?」

『マスターの記憶を参照・・・成功。マスター。レールテを人の身体だとお考え下さい。魔物は、身体を蝕むウィルスに相当します』

あぁウィルスは排除しないと駄目だ。・・・と、いう事だな。

「エミリア。身体に有益なウィルスも存在するよな?」

『情報を検索・・・失敗。検索条件が曖昧なために失敗しました』

まぁいいかぁ
魔物は討伐しても大丈夫な物と認識していれば大丈夫なようだ。

まずは、拠点に戻って、どんな事ができるのかを把握しないとな。

「ゴブリンは殺していいよな?」

『わかりません。マスターの記憶からは、ゴブリンは殺して問題ないと判断されます』

そうか、やはり、現地の人とのコミュニケーションも考えないとダメだな。魔物の討伐を含めた、異世界の常識を俺の常識と比較したい。
俺の知識と言っても、ラノベやアニメやマンガの知識だからな。正しいとは限らない。

「まぁいいか・・・考えてもわからん。ディアナ。俺、居住スペースで休んでいるから、頼むな」

ディスプレイに”了”とだけ表示された。

居住スペースに入る。運転席から移動が可能なのだ。残ったゴブリンが気になるが、気にしてもしょうがないだろう。
スタートも、問題なくディアナができるようだ。少しだけホイルスピンしたようだが、まぁ問題ないだろう。

ディアナがゆっくりと速度をあげていく、心地よい振動と、安心できる空間で、睡魔が俺を襲ってくる。